もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。   作:孤独なバカ

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ライバル

「えっ今日転校生が来るの?」

「またかよ」

と俺は苦笑してしまう。最近桐崎が来たばっかりと言うのにな

「らしーよなんか突然決まった事らしくてさ生徒には通知が遅れたんだと。」

集がめんどくさそうにしていることから男子だとすぐにわかる。

「…ねぇまたあんた関わるなって言うの?」

「いや、さすがにないかな。多分強制的に関わることになりそうだし。」

「…どう言うこと。」

「最近あのメガネいないだろう。多分この転校生は」

「クロードの刺客ってこと?」

「だろうな。だからお前が知っている奴がくるんじゃないのか?」

とあくびする。あぁ眠い。

「んじゃおやすみ。」

と眠る姿勢に入る。昨日のバイトがしんどすぎたのでしょうがないね。

「おーい一条兄何でいつも転校生が来るときだけ確実に寝るんだ?」

……めんどくさいからです。

「まぁいい突然だが今日は転校生を紹介するぞ。入って鶫さん。」

「はい。」

「ちょっと夕貴起きなさいよ」

……お前から言われると起きないといけないから。

「……ファー」

「おっ、彼女から起こされたら起きるのか。」

すると笑い声が聞こえるけど

「初めまして鶫誠士郎と申します。どうぞよろしく。」

と男子の制服を着た女の子が挨拶をしていた。クラスではかっこいいって言われているけど、

「……なぁ桐崎、あいつ」

「つぐみ!!」

「お嬢。」

とこの時点で知り合いってことが確定する。

これまでは読んでいたんだが

「お久し振りです。お嬢ー!!」

と桐崎に飛び込む転校生。

「おぉ~~~~なんだぁ!?」

「転校生が桐崎さんに抱きついた~~~!!」

「バ、…バカ…!!何やってるのよ。皆の前で。」

「あぁお嬢…!!お会いしとうございました…!」 

「……まためんどくさそうな奴を」

とため息をつく。

女子とかは修羅場とか言ってるけどまぁ寝るか

「ちょっと夕貴助けて。」

「……はぁ。」

と教科書を丸めて転校生の頭を叩く

「何するんですか。」 

「とりあえず座れ、せめて休み時間にしてくれ。そういえば、今日こいつからラーメン奢ってもらう約束しているけど、一緒に行くか?桐崎の事聞いてみたいし」

「……貴方誰ですか?お嬢と仲がいいみたいですけど。」

「あーあのメガネから聞いていると思っていたわ。」

と目付きが変わる。なるほどこれが本性か。

「まぁ千棘から聞けばつぐみさん」

と挑発してみる。クラスの皆は修羅場だと思っているから挑発しやすい。でも俺はこの瞬間こいつのことは敵だと認識した。

 

「あー、けっこうくるな」

と俺は弁当を食べながら集に言う。

「イライラしているなゆう」

「そりゃ、あいつのおかげで全然桐崎に話せていないからな。」

ずっと桐崎にまとわりついている転校生に腹が立つ。

「なんか女だとわかっていてもさすがにな」

「おっゆうは気づいていたのか?さっき楽男だと思っていたぜ。」

「そりゃここが少し膨らんでいたからな。」

胸を叩く。正直服が変に膨らんでいたのでわかってしまった。

「まぁそうだよな。でもゆうって意外とムッツリだよな。」

「興味がないよりかましだろ。俺だって一応男だぞ。」

「ちょっと夕貴来てー」

「はいはい。集悪い」

と俺は桐崎のところにいく。

「なんだよ。」

「彼!この人が私の恋人よ…!」

「…ども」

「おお」

といかにもわざとらしく笑う転校生。さっさと話をつけたいな。

「なぁ鶫さんでよかったよな。少しいいか?」

「はい?なんでしょうか?」

「桐崎、ちょっとこいつ借りるぞ。」

「えっちょっと」

「どうせこいつは桐崎のいないすきを見て俺に話かけてくるつもりだったと思うしそれなら先に仕掛けた方がいいと思って。」

とニヤリと笑う。すると

「分かりました、お嬢ちょっといってきますね。」

「えっつぐみまでちょっと」

「屋上でいいか?」

「えぇ構いませんよ」

と俺と転校生は屋上に出る。

「んじゃ少し話そうか。ブラックタイガーさん」

「……なんだ知ってたのか?」

「まぁな、日本では余り知られてないけど、アメリカで桐崎のことを誘拐しようとしたアウトライオンを一夜で壊滅させたって友達から聞いてな。二週間前からアメリカで消えたって話題になっていたらしいぞ。」

「さすがヤクザの二代目って言ったところだな。」

「残念だけど俺はそっち側じゃあないからな。ヤクザの二代目なんてつぐつもりはないから。」

と苦笑する。もとよりヤクザの二代目よりやりたいことがあるからな。ってかヤクザ嫌いだし。

「まぁそんなことはどうでもいい。どうでもはっきりさせておきたいことがあるんです。」

「俺は桐崎のことは好きだぞ。まぁ信じてもらえるかは別だけどな。」

「じゃあお嬢のためなら死んだっていい?」

「それは絶対にヤダな。」

「はっ?」

「絶対にヤダって言ってるんだよ。聞こえないのか。」

と俺は笑う。

「ふざけるな。」

と転校生はきれている。でも

「ふざけるはずがねぇだろが。本気で言ってるんだよ。」

とニヤリと笑う。

「誰かを守って自分が死ぬ。そんなのバカがすることだ。それが好きな人ならなおさらな。」

「貴様そんなことでお嬢が好きって言えるのか。」

「あぁ、大好きだよ。」

と俺は言う。

「てめぇらとはやり方だって考え方だって違う。でも俺なりに一番大事な奴なんだよ。家族や友達とくらべられないくらいな。それにな、桐崎は俺の恋人なんだよ。てめぇごときの自己満足だけの奴なんかに絶対わたさねぇ!!」

それだけは絶対譲れないんだ。最悪の場合実力行使になったとしても。

「恋人だと…ほう…」

「ちょっ、二人ともストップストップ、」

「桐崎止めんな」

と完全にヤル気になった。てめぇごときが守るって言うな。

「これは俺とこいつのけんかだ。桐崎は見とけ。」

「ほう、私に勝てるとも」

「あぁ、勝てるさ」

「なら一条夕貴、貴様にお嬢をかけて決闘を申し込む!!!」

「望むところだ。時間は放課後のここでいいか?」

「あぁ場所ならどこでもいい。でもお前が負けたらどうなるかわかってるだろうな。」

「奴隷でも殺されてもいいさ。そのかわり俺が勝ったら少し付き合え。本心を話してやる。」

「あぁ、でも負けるはずはないがな」

と教室に転校生は戻っていった。

「ど、どうしよう……」

「さて俺も教室に帰るか、」

「ちょっと夕貴どう言うことなのよ。」

「だから意見が食い違ったからこういうことになったんだよ。さすがに引けないところつかれたから仕方がないだろう。」

「あんたバカでしょ。」

「バカだよ。でもあいつほどじゃないけどな」

と俺は苦笑する。

「……なぁ桐崎は俺が死んだらどう思う。」

「何よ急に。」

「いいから、」

「……嫌に決まってんでしょうが。」

と桐崎が下を向く。

「ずっと守ってもらってばっかりでお礼も何もできてないもん。あんたが負けたら絶対許さない。つぐみから言って死ぬ以上の命令をしてもらう。」

その一言だけでも十分だよ。

「だったら勝たないとな。まだ時間もあるから準備してくるわ。」

と俺は職員室の方に走っていった。

 

放課後、俺は約束どうり屋上にきた。

すると 

「……フッ逃げずに来たことはほめてやる」

「あんな啖呵切って逃げるはずないに決まってるだろ。」

と俺は気合いをいれる。

「……でもいいか?この騒ぎはなんだ?」

「それは俺にもわかんねぇよ。」

とまわりにはギャラリーができており、転校生の応援+食券で賭けまで行われている。賭けも転校生が圧倒的らしくまぁ完全アウェー状態だ。

「このコインが地面についたら決闘開始だ。覚悟はいいな!」

「あぁいいぜ。」

と転校生がコインを投げると銃を構えるけど俺は屋上を出た。使ってくるのはわかっていたので最短ルートを把握していた。

「待てぃ一条夕貴」

「待てって言われて待つ奴はいねーよ」

と階段を飛び降り。教室の中に入って混乱させていく。

「待てー正々堂々勝負しろー」

「だから正々堂々勝負って言ってテメーは銃使ってるだろうが」

と俺は目的の場所につく。あそこはずっと俺があいつに唯一転校生を怪我させずに勝てる場所だ。あいつが怪我しても桐崎は傷つけることにある。俺はあいつのことが嫌いだが、桐崎はあいつのことが好きなのだ。

「さてこれで終わりだ」

と俺は三階から飛び降りた。

「逃がさん」

と後ろから聞こえる。でも

「だから終わりっていっただろ。」

と落下していく先はプールだ。さすがに受け身も準備してないとできない。

そして2つの水柱があがる。俺は泳いで転校生を救う。

溺れたら大変だからな。

ひきあげてすぐに息の確認すると呼吸もしているし大丈夫だろう。完全にノビているけどそれは罰として受けてもらう。

そして数分後

「……ん」

「大丈夫か?」

と転校生が目覚めた。

「俺の勝ちだ。」

「あぁ、そうだな。」

と転校生はかなり落ち込んでいたらしく下を向く。

「なぁお前に足りなかったのがなんだか分かるか?」

「……」

と首を振る。

「お前さ、何で自分は生きようとしないんだよ。俺も最初は桐崎さえ助かればいいと思っていたんだ。でもなお前がくる前に桐崎がここで溺れたんだよ。」

「それは本当か?」

「あぁ準備体操をしてなくて、両足がつったんだよ。とりあえず助けたんだけど、あいつが目覚めた時俺は泣いていたんだよ。何も意識してないのにな力が抜けて少しの間動けなかったし」

とあの時を思い出すだけで寒気がする。

「……怖かったんだ。スゲー怖かった。桐崎が死んでしまうんじゃないかってな。そのときは桐崎がちゃんと生きていたからよかったけど、お前は桐崎にそんな思いをさせるのか?」

「……!!」

「俺はそんな思いしてほしくねぇよ。スゲー怖かっただぞ。」

……俺はだから

「卑怯でも汚なくても何でもいい。大事なのは生き残ることだ。汚名だったらどれだけでもいいんだよ。隣に好きな人が笑ってくれるだけで幸せなんだよ。」

あいつが笑ってくれるだけで力が出てくるし、俺だって笑顔になれる。

「これでも反論があるんなら、まだ相手になるぞ。今後はお前が言うよう正々堂々な。女だったから怪我させないように闘っていたけど。」

「いいや、私の完敗だ。」

と転校生が俺の方に向かってきて

「お嬢のことをよろしく頼んだぞ。一条夕貴」

「あぁ任された。」

と握手を求まれて素直に応ずる。こいつ根はいいやつなんだな。

「夕貴、つぐみ、」

「桐崎ここだ」

と声をあげる。けっこう本気で走ったから疲れていた。それに心配かけてしまったから多分殴られるだろう。

「夕貴」

桐崎がきた瞬間俺は抱き締められる。

「ちょっと桐崎お前」

「いいから黙って」

と後ろからヒューヒューとからかわれるけど、

「……」

と静かに涙を流していた。ずっと心配してくれたんだろ。

「バカ、無茶して。」

「ゴメンな心配かけて。でも勝ったから」

すると皆がため息に代わる。多分集主催の賭けに負けたからだろうな。

「いやー儲けた儲けた。」

「集後から少し分け前よこせ」

「わかってるよ。」

としてもかなり儲かったのだろう。とても嬉しそうだった。そういえば

「小野寺、宮本、鶫お願いしてもいいか?」

「えっどうして?」

「わかったわ。」

「小野寺、つぐみは女だぞ。」

「「「えーー」」」

とクラスメイトから驚きの声が聞こえる。

「気づいていたの?鶫が女の子って」

「あぁ、集が胸の大きさでわかったとか言っていたからな。」

「なっゆう」

と集が逃げようとしているがもう遅い

「ちょっと一条夕貴それは本当か?」

「あぁ」

「ちょっと待ってそれゆうが」

「問答無用」

と集が追いかけられているのを見て笑う。

「桐崎帰ろうぜ。んでラーメン食いにいこう」

「あんたの奢りね。」

「あぁ、了解。」

とまずは着替えてからいつものラーメン屋に食べに行ってそれから、少し昔の桐崎の話でも聞いてみようか。


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