ガンダムビルドファイターズ ザ☆チェイサー   作:大井忠道

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さて、前回CPU戦を行ったチェイス。
いよいよ対人戦・・・と行きたいところですがここで初めて仮面ライダーより、
あのゲストキャラを出していこうと思います。
さらには普通の対人戦がまさかの大波乱!
第6話、お楽しみください!


第6話 戦う魔進 その2

チェイスが初めてのガンプラバトルを終える。それまでギャラリーに徹していた部員が散り散りになっていく中、マシンを片付けたバトル部の面々は帰ることにした。

その前にカマキリのような模型部部長が大きなガンプラを持って対戦の申し込みをしてきたが、フミナとユウマがやんわりと断る一幕もあったが。

今までに見たことのない大きさのガンプラに少し驚いたチェイスであったが、今はとりあえずセカイ達に付いていくことにした。

 

「でも驚きましたよ。セカイくんと一緒ですね!初心者ながらに凄いポテンシャルを秘めているんですから!」

 

先頭を歩くフミナがチェイスを褒めちぎる。しかしチェイスはいつもどおりのクールな顔で「そうか。」と答えただけだ。

ユウマがボソリと(秘めすぎてて怖いですけどね)と呟く。

 

「何か言った?」

 

「ああ、いえ、何も・・・。」

 

フミナに聞かれたかと焦ったユウマがなんとか取り繕う。次はラルさんがチェイスに話しかけた。

 

「チェイスくんはこれからどうするね?住むところが無さそうなのだが・・・。」

 

そうであった。建前上は「追い出された」チェイスだったが、どのみち今、住む場所はない。顔のいいホームレスと化しているのだ。

お金も職もいため、アパートを借りることもできない。非常に困った事態に陥ったが、そこに助け舟が出された。

 

「じゃあ、俺の家に来ますか!?」

 

セカイだ。キラキラしたような顔で提案をしている。その言葉に隣のユウマが驚いた表情をするが、チェイスは気にせずに聞き返した。

 

「いいのか?」

 

「はい!ウチは2人で住むのにはちょっと広いし、それに空き部屋もあるんですよ!姉ちゃんもきっと分かってくれます!」

 

隣のユウマはコロコロと複雑な表情になっているが、それはともかくこの提案は

チェイスにとってはありがたい話だ。

話に乗ることにする。どうやらセカイはもう一人、姉とあの家に住んでいるらしい。助けられた時には会わなかったが。

 

だが、その「姉」の了承も得ないとどうしようもない。彼ら内で話し合い、まずはセカイの家に行って了承をもらうことにし、

万が一ダメだった場合はラルさんの家にお世話になることになった。

 

下校中、チェイスはガンプラバトル部についての話を聞いた。結成のこと、ガンプラのこと、そして全国大会まで上り詰めて

優勝したこと、さらに南の島での少し不思議な体験・・・。

どれもチェイスにとっては新鮮な話だった。表情はいつもどおり変わらないが、興味はそそられた。

 

話していくうちに、最初にフミナが、次にユウマが帰宅のために離脱していく。残った三人は三人で、身の上話をしてセカイの家に着くまでの時間を潰したのであった。

 

 

 

 

「お、ちょうど姉ちゃんがいるな!姉ちゃんただいまー!」

 

玄関にある革靴を見たセカイが上がる。ラルさんとチェイスも続き、家の奥へと入った。セカイと「姉ちゃん」が会話しているのが聞こえてくる。

 

「あらセカイ、お帰り。今日はちょっと早かったわね。」

 

「今はあんまり部活ないからなぁ。それよりも姉ちゃん、ちょっと話があるんだけど・・・。」

 

「何?・・・あら。」

 

ドアに佇む2人をセカイの姉が見つけた。

 

「ラルさんと・・・そちらの方は?」

 

「チェイスさん!俺が昨日助けた人なんだ!」

 

まあ、とセカイの姉が声を上げる。不審がる顔ではない。前夜チェイスがこの家を出てから入れ違いにセカイの姉が帰宅。その際にセカイがあらましを話したのだ。

 

「昨日はウチのセカイから話を聞きまして・・・。ああ、私、セカイの姉のカミキ・ミライと言います。」

 

「チェイスだ。セカイにはずいぶん世話になった。礼を言おう。」

 

「いえいえそんな・・・。ところで、ラルさんも一緒にどうしたんですか?」

 

「ああ、実はだね・・・。」

 

「それは俺が話します。ラルさん。」

 

いつになく真剣な表情のセカイに通され、和室に通される。和室の隅には仏壇があり、そこには写真があった。

セカイと一緒に写った夫婦がいる。しかし、セカイが先ほど言っていた『2人』ということ、そしてこの仏壇。

 

考えられることはただ一つだが、こういうことは迂闊に言わない方がいい。そう判断したチェイスは写真から目を外した。

そして大きな机の片方に、ミライが座る。反対側には残り3人。話を切り出したのはセカイだ。

 

「実は姉ちゃん、チェイスさんをしばらくここに泊まらせて欲しいんだ。」

 

「セカイ・・・。」

 

ミライはすぐには何も言わない。セカイが言葉を続ける。

 

「今、チェイスさんは住む家がないらしいんだ。そんなチェイスさんを放っておいてはおけない。それに・・・。」

 

「それに?」

 

「ちょっと賑やかになるかなって・・・。」

 

少し照れくさい表情のセカイが頬をかく。ミライは表情が変わらない。

 

「あっ、でも、チェイスさんを泊めたい気持ちに変わりは無い!助けたいんだ!チェイスさんを!」

 

「私からも頼むよ。」

 

さらにラルさんが助ける。

 

「本当は、赤の他人である私がこんなことを言うのも何だがね。セカイくんがこんなに真剣になって人助けとしたいと

言っているのだ。何かあったら私も手伝う。だから、セカイくんの頼みを聞いて欲しい。」

 

チェイスは気づいた。こんな自分のために、セカイとラルさんは必死になって頼んでくれている。その思いに気づき、

ミライをまっすぐ見据えた。当のミライがチェイスに話しかける。

 

「チェイスさん・・・でしたか。あなたは、セカイと一緒にいたいですか?」

 

「・・・俺は。」

 

セカイを見る。セカイもまた、チェイスをまっすぐ見ていた。

 

「俺は、ここに来て何も知らない。しかし、この世界のことをセカイが何でも教えてくれるというのなら、俺はここに、

いたいと思う。いや、いたい。俺は、セカイと一緒に、ここにいたい。」

 

しばしの沈黙が流れる。遠くの街の喧騒が小さく聞こえてくるだけだ。

 

時間にして1分弱。ミライが口を開いた。

 

「ようこそ。カミキ家へ!」

 

「えっ。」

 

「何。」

 

「おおっ。」

 

3人がやや間の抜けた声を上げた。あっさりと許しが出たのだから、無理もない。

 

「だって、セカイからチェイスさんのこと聞かされた時に私もちょっと心配してました。公園で倒れてるなんて・・・。

それに、家が無いってなったらセカイじゃなくても助けたいと思うのは、当然でしょう?」

 

この弟にして、この姉あり。セカイほど強くないにしろ、ミライも同じようなことを思っていたのは、嬉しい誤算であった。

やった!とセカイが小さくガッツポーズをし、チェイスを見た。

 

「すまない。ありがとう。できることであれば、何でもするから、困ったことがあれば言ってくれ。ここに居候する以上、

この家に貢献できるようにはしよう。」

 

その言葉に、ミライが何か考え込む。何か仕事をあてがうつもりだろうか。すると、ポケットからスマホを取り出し、チェイスに向かって構えた。

ぱちり、と小気味良いシャッター音が鳴り響く。チェイスの写真を撮ったのだ。そのまま今度はずいっと迫り、バストアップの撮影に取り掛かる。

 

「ね、姉ちゃん・・・?」

 

セカイが怪訝な顔で尋ねるも、意にも介せずミライはチェイスを色んな角度から撮影していく。その光景にラルさんはあることを思いつくも、それを言わないでいた。

ミライは恐らくサプライズで仕事をチェイスにプレゼントするのであろう。

 

「これでよし、と。じゃあ、今日からよろしくお願いしますね。」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

二人ががっちりと硬い握手を交わす。これで一件落着、見事チェイスはカミキ家の一員になることができた。

横ではセカイが狂喜乱舞している。

 

「俺からも!これからよろしくお願いします!チェイスさん!」

 

「ああ。よろしく、セカイ。」

 

実に微笑ましい光景を見つつ今度はラルさんが話しかけた。

 

「良かったな、チェイスくん。」

 

「ああ。今まで世話になったな。ありがとう。」

 

「いやいや、対したことはしてないよ。だがまた、ガンプラについて聞きたいことがあったら気軽に聞いてたまえ。」

 

「ならば、明日なのだが、もっと色々ガンプラを見ていきたい。付き合えるだろうか。もちろん、セカイも付いてきてくれ。」

 

快くその頼みに二人が了承する。明日は土曜日であるためセカイも付いていくことができるのだ。

しばらくしてラルさんが帰り、家の中には新しい家族が増えたカミキ家が残った。

 

「では、今日からよろしくお願いしますね。チェイスさん。」

 

ミライがにっこりと微笑んだ。

 

「あぁ。だが、お世話になってもらう身だ。何かしらの礼はしよう。」

 

「そんな、いいんですよ。」

 

「だが、恩返しをするのは人間のルールではないのか。」

 

「んー・・・、それじゃあ・・・。」

 

少しイタズラな微笑みをミライが浮かべた。

 

 

 

 

 

「やはり、チェイスくんはミライくんに読者モデルに誘われたというわけか。」

 

翌日。晴れた昼下がりの道をチェイス、ラルさん、セカイの3人が歩いていた。向かうところは模型屋。

その道中、チェイスはあの後のことを話していた。

 

「やはりって、ラルさんは知っていたんですか?」

 

「途中でミライくんがチェイスくんの写真を撮っていただろう。あの子のことを考えたら、自分たちの世界に引き込むつもりだったのだろうと思ってな。」

 

そう、チェイスがミライから持ちかけられたのはミライがやっている読者モデルの世界への誘いだった。

 

「凄いモデル映えしそうな顔だもん。きっと仕事がすごい舞い込むと思うの。」

 

とは、ミライの弁。そして今日はちょうどミライに仕事があるため、事務所についでに話を持ち込むという。

 

「確かにチェイスさん、すっごいカッコイイですもんね。オマケに強い!」

 

セカイがそう褒めてくるのだが、見てくれを気にしないチェイスにはサッパリだ。

だが、カミキ姉弟に恩を返せるのなら、モデルの仕事だろうがなんでもやるつもりである。

 

「それよりもラルさん、模型屋というのはもうすぐなのか?」

 

別に話を逸らしたつもりはないが、本来の目的である話題に変えた。

 

「うむ、もうすぐだな。おお、アレだ。」

 

近づいてみると看板にデカデカと掲げられた「イオリ模型」の文字。一軒家を改造したような店舗だ。

 

「ここか。」

 

「うむ、私の行きつけの模型屋だ。」

 

3人が中に入ると、その小さな店舗に反して客が結構いた。その中を明るくて大きな声が出迎える。

 

「いらっしゃいませー!あら、ラルさん!」

 

奥から現れたのはふくよかなプロポーションをした青い髪の女性だ。

 

「リ、リンコさん~!」

 

その瞬間、ラルさんの顔が緩んだものになる。

 

「今日はお友達を連れてきたんですか?」

 

「ええ、そうなんですよ。いや~、相変わらず繁盛してますな!」

 

その変貌ぶりをセカイがチェイスに説明した。

 

「ラルさん、ここのリンコさんていう店長さんに弱いんですよね。」

 

「なるほど。ラルさんは店長のことを好いているのか。」

 

「でも、リンコさんは結婚してるんですよね。」

 

「他人と結婚している人に好意を抱いているのか。それはルールに反するのではないか?」

 

うう~ん、と難しい顔をするセカイ。朴念仁の彼にはこういった話題は勉強やガンダムの世界と同じく難しいものであった。

 

「それで、今日はこの2人を連れてきたんですよリンコさん。」

 

へ~、とリンコがセカイとチェイスに近づいた。

 

「セカイくんもいつもありがとうね。ウチの息子も含めてイオリ家でのイチオシファイターよ!」

 

「はい!ありがとうございます!いつかあのガンプラを作ったセイさんにも会ってみたいんですよね!」

 

「ホント、会わせたいけどあの子ここにいることが少なくなっちゃったから・・・。で、あなたが期待の新星、チェイスくんね。」

 

「ああ、そうだ。よろしく頼む。店長。」

 

店長という慣れない呼び方にリンコがやや困惑した。

 

「店長・・・まぁ、店長ではあるけどね。みんなは私のことを名前で呼ぶからあなたも名前で呼んでいいのよ。」

 

「ならば、リンコ。これからここにお世話になると思う。よろしく頼むぞ。」

 

いきなりの呼び捨てである。旦那にも呼ばれたことがほとんど無いのに。

 

「え、えぇ。こちらこそよろしくね。まぁ、ゆっくりしていって。」

 

そう言われ、チェイスは店内を見回ることにした。そこにラルさんが声をかける。

 

「キミは、とても胆力があるな。」

 

「何のことだ。」

 

「いきなりとは・・・。私にはまだそのような勇気はない。」

 

「だから何のことだ。」

 

そう言われてもラルさんはチェイスの肩をポンポンと叩くばかりだ。

 

「それよりもチェイスくん、ここに並べられたのがガンプラだ。どうかな。」

 

実に壮観だ。ガンプラの箱が棚にギッシリと詰め込まれている光景はチェイスが初めて見るものだ。

 

「これなら、俺専用のものが見つけられそうだ。」

 

「うむ。時間はたっぷりあるから見つけてみたまえ。分からないことがあれば聞いてみてもいいぞ。」

 

分かった、と言って別れる。セカイはチェイスに付いていくことにした。

 

「ここにあるのは、完成品か。」

 

「そうみたいですね。」

 

商品より先に覗き込んだのは巨大なガラスの中のガンプラだ。白いガンプラが所狭しと並んでいる。

 

「セカイは、分かるか。」

 

「あんまり、分かんないですね・・・。」

 

「俺もだ。だが、これはラルさんから教わった。」

 

指を差したのはお馴染みファーストだ。

 

「あ、それなら俺も知ってますよ。最初のガンダムらしいですね。」

 

「あぁ。しかし、ガンダムといっても実に様々なものがあるな。」

 

白いガンプラ、歴代の主人公ガンプラ一つとってもチェイスには新鮮である。やせ細った様なガリガリのものもあれば、

明らかにパワーが高そうな骨太のもの、他よりも身長が低いものと様々だ。

チェイスはその一つ一つをしっかりと吟味していく。

 

「チェイスさん、なんかいいのありますか?」

 

セカイにそう言われるが、チェイスはしばらく黙り込む。やがて口を開いた。

 

「どれも分からないから、一度使って試してみたいものだな。」

 

「リンコさん呼んできましょうか?ここにあるの試せるらしいですよ!」

 

しばらくしてリンコがやってくる。チェイスがリクエストしたのはZZガンダムであった。昨日のMk-Ⅱとは明らかに違うものを使ってみたくなったのだ。

バトルマシンへと持っていくと偶然いたラルさんがチェイスの持ったZZを見て驚きの声を上げる。

 

「ほぉ、汎用性が高いガンダムの次はピーキーなものを選んだのだな。」

 

「使ってみるだけだ。まだこれに決まったわけではない。」

 

「そうか。ならば、あそこに入ってみてはいかがかな。」

 

見れば子供も大人も入り混じった5人程度による乱戦が繰り広げられている。

 

「これは割り込みアリのバトルだ。いわゆるバトルロワイヤルという形式だな。」

 

そう言われ、レンタル用のGPベースを持って参戦しようとした、その時であった。

バトルスペースの扉が突如開かれ、謎の男女2人組が入ってくる。

 

「ハイハーイ、あたしらも混ぜてぇー!」

 

「全員蹴散らしちゃうよぉー。」

 

目尻にほんの少しの化粧を施し、浴衣を着た謎の男女はマシンに巨大なガンプラを置いた。

 

「あれは、アルヴァトーレ!つまり、あの2人は・・・。」

 

ラルさんが驚くのも無理はない。元とは違い、真っ赤なカラーリングに身を包んだアルヴァトーレが戦域となる宇宙へと飛び立つ。

セカイがラルさんに聞いた。

 

「心当たりあるんですか?」

 

「ああ、あの2人は男性の方がヒメ、女性の方がドージというのだが、いわゆる道場破りのようなものだ。いきなり飛び入り的に参加してはバトルの参加者を蹴散らして帰っていくという、いわゆる迷惑プレイヤーなのだ。いかんせん野良試合にしか来ず、神出鬼没的に現れるからお店側も対策のしようがないのだが、まさかここにも現れるとは・・・。」

 

それを聞いたセカイが止めようとするが、カミキバーニングを家に置いてきたことを思い出す。同様にラルさんもバトルをする気は

無かったため、ガンプラを持ってきていなかった。仕方なくチェイスに指示を飛ばす。

 

「チェイスくん!あの2人はルールを踏みにじる厄介な2人だ!なんとか止めることはできるか!」

 

ルールを踏みにじる、という言葉に反応したチェイスはZZの説明書に目を通し、GPベースを置いた。

 

「分かった。なんとか止めて見せよう。」

 

「頼んだぞ!私とセカイくんは出られないから助けにもいけなくてすまない!」

 

ZZの目が光る。素組みにスミ入れを入れただけの代物を使うため、分離合体ができないZZはMS状態のまま宇宙へと飛び出した。

その瞬間、チェイスは操縦に違和感を覚える。それもそのはず、無重力で戦うことはチェイスにとっては初めてだった。

仮面ライダーの時にも体験したことは無いので、初めての体験である。

 

だがこれに手をこまねいている時ではない。AMBACを利用して態勢をなんとか立て直すと、アルヴァトーレに向かって真っ直ぐに頭から突っ込んでいった。

その勢いのまま、背中のビームキャノンを発砲する。ビームはアルヴァトーレの左上面に当たると思われたが、オレンジのバリアがアルヴァトーレを包み込み、ビームを弾いた。

 

「バリアか。だが。」

 

少し驚いたチェイスであったが慌てずに大型ビームサーベルを抜き放ち、斬りかかる。だが今度は巨体がぐるりと回り、ZZを弾き飛ばした。

そのまま吹っ飛ばされ、小惑星に衝突すると思われたがチェイスが急制動をかけた事で逆に小惑星に降り立つことができた。

ふと見ると今までの参加者のガンプラはあっけなくやられ、そのほとんどが宇宙を漂う残骸と化してしまっている。

 

チェイスは憤りを感じ、再び機体をアルヴァトーレへと向けた。向こうはキャノンを発射するが、それはあっさりと回避する。

いけると感じたとき、向こうの背後から何やら細長いものが発射された。

チェイスはそれが分からず、とりあえずさらに近づこうとするが、その細長いものからビームが放たれた。慌てて回避しようとするも、内一つが足の甲を焼く。

 

アルヴァトーレのGNファング。これもチェイスにとっては初めての武器だった。そもそも遠隔武器を持った相手はあまり相手に

したことが無い。そのような状況で逆に本体をやられなかったのはチェイスの技術の賜物である。

だがGNファングはZZに執拗な攻撃を仕掛けてくる。さらに追い打ちのGNキャノン。これではZZは近づくことさえできない。

あまりの執拗さにチェイスは切り札を使うことにした。

 

「設定上は連射はできないらしいが・・・一発くらいなら大丈夫だろう。」

 

トリガーを引くと、額の砲口からビームの奔流が放たれた。ハイメガキャノン。ZZの持つ必殺武器といっても差し支えない兵装だ。

まずは放たれた瞬間に2機が飲み込まれ、爆散する。

さらに機体ごとビームをぐるりと回し、自分を囲んでいたファングを全て消し炭にした。それと引き換えに砲口は使用不能になってしまったが。

 

ようやくファングの地獄から抜け出したZZは再びアルヴァトーレへと向かう。またも相手のキャノンによる砲撃をかわし、今度は下側から迫った。だがこの下側というのが良くなかった。

 

前方にある膨らみが変形し、ハサミとなってZZを襲う。チェイスは急いで操縦桿を上に持っていくが向こうの方が早く、両足をガッチリとホールドされてしまった。

 

「よくやったけど、残念だったねェ~。」

 

「ここで終わりだよォ~。」

 

ヒメとドージの煽りがチェイスに聞こえてくる。なんとか操縦桿を動かそうとするも、相手のハサミの力が強く、一向に抜け出せそうにない。

さらにダメ押しなのか、追加のファングが現れ、ZZを取り囲む。

 

「さァ、逝けェェェェ!!!!」

 

ヒメが叫び、ファングとキャノンのトリガーを押し込もうとした瞬間、二条の光線が遠くから浴びせかけられた。

それにより、ファングとキャノンを繋ぐチューブが切られてしまう。

そして凄まじい速さで何かがZZの横を通過した直後、ハサミのアームが破壊されてしまった。ZZがその場から急いで脱出する。

 

「何者ォ!?」

 

ヒメがカメラを反対方向に向けると、ステージ内の太陽を背に、柄の長い剣を持った深緑のメタリックに輝くMSが佇んでいる。

そのMSのパイロットと思われる人物の声が響き渡った。

 

 

 

「バケモノ退治の、鬼だよ。」




物語の切りどころを見失って結構なボリュームになってしまった件。

ホビーアニメでマナー違反プレイヤーは定番ですが、今回は仮面ライダー響鬼より、
姫と童子を出してみました。テンション的にはドロタボウの時のものに近いです。
それにしてもドージと鬼が関わるとビルドファイターズよりもビルドダイバーズって
感じですね。

そして現れた助っ人。メタリック深緑に柄の長い剣といえば・・・?


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