ガンダムビルドファイターズ ザ☆チェイサー   作:大井忠道

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いよいよガンプラバトルに触れるチェイス。まずはガンプラについて簡単に知るようで。


第3話 触れる魔進

「さぁ、入ってくれたまえ。少し散らかってはいるがね。」

 

ラルさんの家へと招かれたチェイス。プライベートルームへと入ったチェイスは中の様子に目を見張った。

 

部屋の壁に沿うように棚が並べられ、そこには所狭しとフィギュアが並べられている。これもガンプラなのだろうか。

 

チェイスは棚に近づき、ある一段を見る。セカイの部屋で見たものとは違ったタイプのものがサイズも大小様々に並んでいる。

 

「セカイのものとは違うな。」

 

「セカイ君の部屋にあったものはいわゆるガンダムタイプと呼ばれるものだな。」

 

「ガンダムタイプ?」

 

ラルさんが本棚から雑誌を取りだし、誌面を見せる。

 

「RX-78-2…。」

 

「これはセカイくんのもつものの元祖とも言える機体。ガンダムだ。俗にはファーストとも呼ぶ者もいる。」

 

「ファースト…。」

 

「セカイくんのものは後継機というよりは、派生型と言った方が君には分かりやすいかな。」

 

このファーストというガンダムはいわば自分、そしてその他のロイミュードがセカイのもの、チェイスは頭の中でそう片付けていた。

 

「ならば、この棚にあるものは…。」

 

「それはガンダムの対となる存在のものだ。ガンダムからしてみれば敵だな。」

 

「敵…。」

 

見るとなるほど、その多くが1つ目でガンダムのようにヒロイックなものは無い。

 

「まあガンダムという作品は兵器がこのロボ…あぁ、モビルスーツというのだがね、これを使った戦争もののアニメだからね。人気があるのは、主人公格であるガンダムだが、アニメを見る側からはこのようなカウンターキャラにも人気が出るのだよ。」

 

アニメとはいえ、敵にも人気が出る。忌み嫌われていたロイミュードであった自分から見ると、チェイスはそれが少し羨ましく見えた。

 

「この中で、チェイス君の心に触れるものはあるかな?」

 

「心に触れるもの…。」

 

チェイスはあるガンプラを指差した。

 

「俺と同じ紫色をしている。」

 

「プロポーションは大きく違うがね。ドムという機体だ。だがこんな姿でもホバーにより、機動力は目を見張るものがあるのだよ。」

 

「ホバーということは、浮くのか。」

 

「浮くのだ。」

 

チェイスはドムをじっと見た。

 

「これもラル…さんが作ったのか。」

 

「そう。この棚にあるもの全て、私の作品だ。」

 

「全部…。」

 

ざっと数えて百以上は確実にあるガンプラ。その全てをこの男は一人で作った。その事実にチェイスはただただ圧倒されるばかりだ。

 

「今も作っているがね。こちらはオリジナルのカスタムなのだが…。」

 

「オリジナル?」

 

「自分で考えて、いろんな部品を持たせたり作ったりして元のガンプラの姿を変えるのだよ。」

 

「改造、ということか。」

 

「そうだね。これもそうだ。」

 

ラルさんは今度は青いドムを見せる。

 

「これは先程のドムを改造したものだ。名はドムR35。世界に1つしかない、私だけのドムだよ。」

 

違うのは色だけではない。武装もトゲのついたシールドを両手に持っている。

 

「武器も考えたのか。」

 

「そうだ。我ながら自信作だよ。」

 

チェイスはラルさんの顔を見る。その顔は喜びに満ちた笑顔だ。

 

これこそが、チェイスが守りたかったもの。溢れる人々の笑顔。人々の個性が光り、輝きを世界。

 

この世界は、ロイミュードその他のような人類の天敵はいない。ガンプラによってみんなが楽しく生きていけている。

 

この世界でならば、自分も人間を理解できるだろう。

そして、この世界にも「ダチ」が…(剛や霧子などがいなさそうが残念だが)

 

そう思ったチェイスは早速ラルさんに頼みこんだ。

 

「俺も、ガンプラに触れてみてもいいか。」

 

「ほう、興味が出てきたか?」

 

「ああ。だが、詳しくは知らない。明日、どこかへ行きたいのだがどこへ行けばいいだろうか。」

 

ふーむ、と考え込むラルさん。すると、ある考えが閃いた。

 

「ならば、明日学校へ行ってはどうかね。」

 

「学校?」

 

ガンプラバトルは部活でも行われている。

セカイから学んだことをチェイスは思い出していた。

 

「こう見えても私は高校のガンプラバトル部のコーチでね。ついでに行ってみるかね?」

 

「いいのか?」

 

「いいとも。ならば、明日行くかね?また乗せてあげよう。」

 

「分かった、またよろしく頼む。」

 

うむ、とラルさんが快く快諾する。その日は夜もふけてきたため、二人は寝ることにしたのであった。

 

 

 

翌日、チェイスが連れてこられたのは聖鳳学園という高校であった。

 

ラルさんに連れられ、学園内へと進む。ラルさんはともかく、全身紫の青年がいるのは実に目立つようで、特に女子生徒が反応している。

 

ヒソヒソして話すその内容は、「誰あのイケメン!?」とか「カッコいいー!」などとおおよそ黄色いものであった。

 

校舎内へと入っていき、数多くある教室の一室の前に立った。

 

「本当はしっかりした部室があるんだがね、今は工事をしててここの教室を一時借りしているのだよ。」

 

そのラルさんの言葉にチェイスがデジャヴを覚える。聞き覚えのある言葉をつい最近…どころか昨日聞いた。

 

「まさか。」

 

「さ、入るぞ。」

 

ドアが開けられる。その中にいた人物にチェイスは目を見張った。




目を見張ったって言ったって実際問題1人しかいないワケでして。
さてさて、次回はついに…?

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