【完結】藤丸立香のクラスメイトになった 作:遅い実験
いや違うんですよ。あれはそうなんていうか。若気の至りと言いますか。ノってしまったと言いますか。ね?分かるでしょ?いわゆる深夜テンションみたいなものでね?
黒歴史を生産してしまった日から一年が経ち、私たちは中学三年生になった。
そう、高校受験の年である。
◆
「いやだー!もうお家帰る!」
「図書室で騒ぐのは良くないよ立香」
あれから、普通の友人として立香とは接している。彼は仲の良い友達が多いからずっと一緒という訳ではなく、私も私で中学校に友達が増えているので、まあ、よく遊ぶけっこう仲の良い友達同士と言ったところだろうか。
「そろそろ休憩にしようそうしよう」
「まだ始めて二時間だよ?」
「十分長い!」
今はクラスの有志たちによる勉強会を行っているところだ。私は立香の勉強を見ている訳だが彼はめきめきと能力を伸ばしていくため、ついつい熱が入ってしまったようだ。めんご。
「そうだね、というかそろそろ帰る時間かもしれない、委員長?」
「そうね、そうしましょうか」
委員長が解散の号令を告げると、所々でうめき声が漏れだす。
「おー、疲れた…」
「お疲れ様」
つぶれた饅頭みたいになってしまった立香に、少々やりすぎてしまったかと反省する。
「…うん。今日はありがとう悠月。やっぱり教え方が分かりやすいから助かるよ」
「…どういたしまして」
ふふり。そうか、あれぐらいならまだ大丈夫なのか。
「でも、休憩はさせて…」
「ごめん」
帰り支度をしながら遠い未来に思いを馳せる。
私たちももう中学三年生。朧気ながらでも将来のことを考え始める時期だ。そういえば立香って学歴はどうなるのだろう?中卒?高校中退?その辺は
本編開始は2015年の夏。計算すると立香は高校二年生。そこからは怒涛のような人生が待っているわけだ。
その時が来たら私にできることはもうなにもない。魔術を使えない、武術を習っている訳でもない。そもそもカルデアに入ることもできないだろうし。
だから、今のうちに一杯助けてあげよう。
やりたいことをやらせてあげよう。
やりたくないこともやらせてあげよう。
その時までに、一杯思い出を作ってあげよう。
彼の旅路に祝福があるように。
この世界でもっと生きていたいと思えるように。
一度きりの青春に、心残りができないように。
「帰ろう、立香」
「うぃっす」
例え世界と共に燃え尽きたとしても、
私はあなたの幸福を願い続けよう。