東方氷災録   作:魔神王

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幕門②

「して、次の事だがーー」

 

転生の団。

それは、神により転生させられし者達が集う組織。

十二人の幹部と一人の長が治める組織だ。

元々は身寄りもなにもなく、身を守る為に作られたもの。

そんな組織だ。

 

「三人の脱走者についてだが」

 

「どうしようもないんじゃない?」

幹部唯一の女が言う。

 

三人の脱走者。

それはロード・ガンとミルザム、ミアプラのことだ。

 

「確かにそうだが……」

 

この三人に手出しはできない。

したら最悪、この組織が滅ぶ。

それほどまでにこの三人は異常だからだ。

いや、異常なのはこの三人じゃない、ロード・ガンだ。

彼は転生者の枠を越えている。

それこそ、この組織の全戦力ーー転生者数千人を一瞬で消せる程に。

封印という、自身を弱体化させる術を受けていなければ、彼を幹部という器に収めることはできなかっただろう。

そして残りの二人はロード・ガンと行動を共にしていると思われる。

よって手を出すのは不可能ということだ。

だがーー面子というものがある。

 

「アンダレス、君が作っていたものがあったよね?」

 

「あったが……」

 

「それを使ってくれ」

 

「……承知した」

 

もう、後戻りはできない。

 

 

 

 

 

 

 

「西洋、か…」

 

目玉が点在する異空間。

赤く、血に染まったような場所で一人の女性ーー八雲紫が思案していた。

 

(西洋には私が望むものがあるかも知れない……)

 

そう、八雲紫の夢、『妖怪と人間の共存』

それを完璧(・・)に実現する手段が、西洋には有るかもしれない。

そう、紫は自身の夢ーーはっきり言うが『幻想卿』を既に九割型完成させていた。

というか既に、一部の地形を覗けば原作の幻想卿そのものである。

しかし、念には念を、という言葉がある。

 

「藍~遠出の準備をして~」

 

紫の言葉に、何処からか現れた藍が答える。

 

「遠出って……何処に行かれるのですか?」

 

「ふふ、剣と魔法の世界、西洋よ!」

 

 

 

「ハッハッハッ!どうしたどうした?!その程度か?!」

 

「言うじゃない…!」

 

太陽の畑。

元は向日葵が咲く、美しき場所。

そんな美しき場所が、地獄のような世界に作り変えれられていた。

犯人はこの畑の所有者、『風見幽香』

そして、何処からともなく現れた邪神を自称する存在

 

規格外の化け物二名の戦いが、美しき畑を地獄へと塗り替えた。

 

「消えて無くなれ!魔力砲!」

 

「ファイルマスタースパーク!」

 

全てを殺す即死のレーザーを邪神が放つ。

それを幽香が全てを消し飛ばすレーザーで相殺する。

両者の力は、拮抗していた。

 

「フハハ!やはりUSCの名は伊達じゃないな!」

 

軽口を言いながらも、両腕から魔法ーレーザーや炎等を放つ邪神。

 

「その言い方…凄くムカつくからやめろ!」

 

対して幽香も、日傘でレーザーや氷等を弾きながら言い合う。

 

急に、邪神が攻撃を止める。

それになにか察したのか、幽香も攻撃を止める。

 

「時に風見幽香よ、世にも珍しき、この世界にたった一つしかない花の種を知っているか?」

 

パンパン、と邪神が喋りながらテを叩く。

すると一瞬、なにか膨大な力を感じたと思ったら、太陽の畑が元に戻っていた。

文字通り、元の美しき畑に。

 

そんなことが起こったのに、幽香は気にしてないように話す。

 

「あら、それは気になるわね。何処にあるの?」

 

「それは西洋にある。剣と魔法の異界、西洋にある」

 

邪神は、口元を歪めながら、言った。

 

 

「やぁやぁやぁやぁ!始めまして蓬莱人さんたち!」

 

人々が迷いの竹林と呼ぶ竹林の奥深く。

その常人なら決してたどり着けない場所にある館で五人の人間が会話をしていた。

二人は勿論皆ご存知八意永琳と蓬莱山輝夜の二人。

そして残り三人は誰かと言うと、守谷諏訪子と八坂神奈子。

そして最後の一人はと言うとゼロ・グレイルであった。

何故彼等が一緒にいるのか。

簡単に説明すると、守谷の二人はゼロの仲間になったのだ。

正確には違うが。

 

「で、もう一度言うけど、彼に会いたくないの?」

 

ゼロが言う。

ゼロが言う彼とはここにいる人物全員が馴染み深い『氷霧 零』のことだ。

 

「会いたい、けど…」

 

怪しすぎる。

それが永琳たちが感じた、ゼロに対する印象だ。

というか出会いが最悪過ぎた。

誰が食事中に天井からにょきっと出てくると思うのだ。

更にいきなり「氷霧君のこと知りたい?」等と言ってくる。

頭可笑しいんじゃないか。

 

「まぁまぁ、そこまで気にしなくていいよ、別に俺の言葉が嘘で、騙されたとしてもいいと思うよー」

 

そんな軽口を言ってくる。

確かに、氷霧云々はともかく、西洋には行きたいと永琳は思っていた。

理由は単純、西洋独自の技術だ。

西洋には、月にも、この地方の地上にもない技術があると言う。

それを見てみたかったのだ。

が、月からの刺客を考えると、この迷いの竹林からでるのは下策も下策。

迷いの竹林から出たら最後、月に捕まりゲームオーバー。

 

「あ、そこら変はこっちでどうにかするから問題ないよ」

 

ゼロが永琳の思考を読んだのかように答える。

 

「具体的には」

 

「月に俺特性のコンピューターウイルスをばらまく。

それで月にある機械関係は全ておじゃん。

霊力こみのハイブリッドもこれで壊れる。

更に適当な妖怪を各地に襲撃させる。

これで月は復旧に時間をとられるから監視の目は一時的に消える。

完璧…とは言えないけどいい作戦だろ?」

 

「それ、実現で」

 

「できるよ、現にここに転移してきてるじゃん」

 

ド正論。

ゼロが言った通りこの迷い竹林には幾つもの術式が掛けられている。

入って来たものを惑わす幻術。

外部から見られないようにする防壁。

内部への侵入をそしする転移阻害。

その他、永琳が作った侵入阻害の術式等。

それら全てをゼロは軽く突破してきたのだ。

永琳に感知されることなく。

 

「ねぇ、永琳、行きましょ」

 

「姫様…」

 

輝夜が後押しするように言う。

 

「はぁ…わかりました」

 

「お、ついてくる気になった?」

 

「えぇ」

 

「それは良かった」

 

ーー一瞬、ゼロの口元が醜く歪んだことに、永琳は気付かなかった。




闇斬「闇斬と!」

作者「作者の!」

「「後書きのコーナー!」」

闇斬「そんな訳で作者が完全に忘れていた後書きのコーナーだ!」

作者「今回は本編の補足ですがね」

闇斬「で、最初の質問だが幽香は何で邪神と戦ったあとに普通に会話したんだ?あと邪神ってだれ」

作者「幽香が戦いをやめて会話したのは邪神に勝てないと思ったからですね、一瞬で元に戻す奴に勝てるわけないと、戻した力が時間逆行なり地形操作だとしても。
あと邪神はネ友に使えって言われたので使いました。
今後登場はしません」

闇斬「次に、永琳が西洋行くって言ったのは何でだ?
あんなんで行くとかおかしいだろ」

作者「それは断ったらどうなるかわからなかったからですね。
月の賢者が作った侵入阻害の罠を軽く越えてくる奴です、断ったらやべぇことになると思ったのでしょう」

闇斬「成る程、そして最後に、更新が遅れた理由は?」

作者「それはMHWが楽しすぎるからですね」

闇斬「ギルティ」

闇斬「で、なんかこれまでのキャラが西洋行くみたいになってるけどどうなんの?」


作者「ああ、次の章が最後の章なので、いっそのことパーリィーなことにするのですよ」

闇斬「マジかよ」

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