東方氷災録   作:魔神王

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第二話『吸血鬼と勇者達とオマケ』

ーー吸血鬼

それはファンタジー作品では必ずでてると言っても過言ではないだろう。

なかには時を停めたり、運命を操る者さえいる。

そんな、この世界における吸血鬼はーー

 

 

■■■■

 

「お嬢様、どういたしますか?」

 

「どうって言われてもねぇ……」

 

ーー悩んでいた。

部屋で優雅に紅茶を飲みながら、悩んでいた。

悩みの元はこの紅魔館に侵入してきた愚かな人間のことだ。

無論、彼女、『レミリア・スカーレット』の力を持ってすれば人間等瞬く間に皆殺しにできる。

が、それは出来ない。

別に侵入してきている人間が強いわけではなく、そのバックにいる奴が問題なのだ。

その後ろ楯(バック)にいるもの。

それは『ローザンメイデン帝王国』

そう、今侵入している人間の背後には国が一つついているのだ。

しかもこの大陸における最大国家。

変に殺すと最悪、吸血鬼VSローザンメイデン帝王国という馬鹿げた事態になるかも知れないし、両勢力ともそんなことをしてる暇も余力もない。

結果、どうすべきか悩んでいるのだ。

 

「悩んでいるようだね、レミリア」

 

「お父様!」

 

そんないっそのこと国ごと消してやろうかと考えていた矢先に、彼女の父親にしてこの紅魔館の主『ウラド・スカーレット』が部屋に入ってきた。

 

「あの、ウラド様、女性(レディ)の部屋にノックもせずに入るのはどうかと…」

 

「ん?自分の娘なんだからいいだろう?」

 

「いえ、そういう問題では……」

 

ノックもせずに入ってきたウラドをこの前レミリアが雇った(拾った)『十六夜咲夜』が注意する。

 

「まぁ、ああいう輩はお父さんに任せなさい」

 

「はーい!」

 

あんな奴ら皆殺しにしてくれると言うウラドに、レミリアが元気よく答える。

皆殺しにしたら問題起こるんじゃないの?

とわ言わずにただ咲夜は沈黙していた。

 

■■■■

 

「初めまして、諸君、私はウラド・スカーレット、この紅魔館の主だ」

 

「ーーヒッ」

 

勝てない、殺される。

 

それが侵入者ーー未来の日本から召喚された勇者達が抱いた、ウラドに対する印象。

駄目だ、勝てない、戦うのが間違ってる。

死ぬ。

 

膝が震え、歯がガタガタと音をたてる。

手から剣が滑り落ち、戦う意思が削がれていく。

ああ、なぜ来てしまったのだろう。。

吸血鬼を倒す等、ただの日本人でしかない自分たちには無理だ。

 

そんな、絶望が広がった時。

 

「だーから言ったのに、来たら死ぬって」

 

明るい声が聞こえた。

 

 

■■■■

 

自称勇者君たちと紅魔館に要ったら即全員死にかけてる件について。

もしここにネットがあればこんなスレを建ててやりたい、そんな気分だ。

まず、何故俺ーー氷霧零が紅魔館に入るのか、そして勇者なんてのといるのか、それを説明せねばなるまい。

そう、それは適当な町に行って妖怪ーーこっちでは魔物と呼ばれてるらしいーーを退治し、町の住人に感謝されていたところ、騎士風の人間、つまりこの国の公務員的な奴に頼まれたのだ。

「吸血鬼を共に退治してくれないか」って。

詳しく聞くと、それがスカーレット家、つまり原作キャラを退治してくれと頼まれたのだ。

無論そんなのイエスとは言わない。

が、勇者とやらがいるらしく、俺が居ても居なくても紅魔館に襲撃をかける予定らしい。

で、なら紅魔館ついた瞬間全員殺せばいいかと考え、参加。

結果、今に至るというわけだ。

 

しかし……これ俺いなくて良かったな。

これ俺居なくても目の前の吸血鬼さん(多分レミリアの父)が皆殺しにしてくれただろうし。

これ完全に無駄足じゃないですかーやーだー

 

「貴様……何者だ?」

 

と、そんな下らないことを考えてたら吸血鬼さんが話かけてきた。

なら、こっちはこう返させてもらおう。

 

「俺は氷霧零、しがない旅人さ」


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