東方氷災録   作:魔神王

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更新遅れてすみませんでしたぁぁぁぁ!!!!


第十三話『絶望』

瞬間、闇に染まる。

空も、海も、陸も、星も、何もかもが闇に染まる。

 

『ホイじゃあ…イキマスカァ?!』

 

ドン、とあり得ないスピードで氷霧ーーいや、デスペアが走る。

妖王も極限まで身体能力を妖力で強化し、迎えうとうとする。

 

ーー気づいたら、右手が無くなっていた。

肩のあたりから、えぐりとられている。

 

「なっ?!」

 

噴水のように、血が吹き出る。

驚愕の声をあげるも、冷製に右手を再生させる。

 

『なンだ、てメぇ、再生能力…イや、超速再生カ?面倒な』

 

筋肉がむき出しになった顔で、デスペアが言う。

 

「ーー」

 

妖力でできたレーザーを放つ。

着弾、そして爆発。

 

更に放つ。

何十、何百、何千と放つ。

デスペアは一切、避けることなく、受けた

 

妖王は一度放つのをやめる。

 

煙が晴れた時そこにいたのは、無傷(・・)のデスペアだった。

 

「な……ぜ…」

 

『ハっ雑魚の攻撃なんカ、効かネぇよ』

 

デスペアが一瞬で妖王に近づく。

そして腹パン。

 

とてつもない激痛とともに妖王が吹き飛ばされる。

空中で体制を立て直そうとするが、その前にデスペアに頭を捕まれ、地面に向けて投げられる。

 

周囲に岩をハンマーで殴ったような轟音が響く。

更に地面が津波の様に唸り、クレーターを生み出した。

 

「カハッ」

 

肺の空気が一気に消え、呼吸不全に陥る。

焦りの表情を浮かべるも、まだ余裕があると自分に言い聞かせる。

吸血鬼の再生能力を発動する。

発動しない。

何度やっても、できない。

 

「なっ…ぜ…」

 

困惑の声をあげたところに、デスペアがすぐ近くに着地した。

 

『ほーウ、『妖を司り 操り 支配する程度の能力』か、中々にいイの持ッてルじャねぇカ』

 

なぜ知っている。

それは誰にも言っていない、物に書き記した覚えもない。

 

なぜ、なぜなぜなぜなぜーー

 

『ヤっぱ便利だナー『鑑定の宝石』フォートレスかラ貰っトイて正解だッたナ』

 

何を言っているか、わからない。

いや、理解したくない。

 

『ふむフム、効果は妖力無限ニ全妖怪の能力使用可、更に支配?脇役の癖にイいの持ってンなァー』

 

『ま、オ前は頑張ッた方だよ、じゃアな』

 

ーーそれが妖怪の王、アーロゲントが聞いた、最後の声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……チっ限界か』

 

そう、デスペアは一人呟く。

 

(影の世界(shadowworld)を発動したのが不味かったか…)

 

ーー轟音が響く。

ダイナマイトを一万個爆発してもならないであろう音が、さっきからずっと鳴り響いている。

 

影の世界が、壊れ始めている。

 

『もウ目覚めタか』

 

瞬間ーー影の世界が壊れる。

 

まるで影と化していたのが嘘のように、光を取り戻していく。

そしてデスペアも、元にーー氷霧 零に戻った。

 

ーー全てが、終わった。




あ、後でもう一話投稿するので許してください

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