イントルード・デイモン   作:捻れ骨子

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33・根回しは、派手に地道に。

 

 

 

 

 一連の騒動の後片づけも一段落付いて、アーヴラウはようやく平穏を取り戻した。

 そんな中、鉄華団地上支部支部長代理に就任したタカキとその補佐であるアストン、そしてマニングスはある目的のため、エドモントン郊外の空港を訪れていた。

 

「しかし信用できるものかな。『モンターク商会推挙の傭兵』とは」

 

 先の騒動によるアーヴラウ防衛組織の戦力低下。それを危惧したという理由でモンターク商会はとある傭兵部隊を紹介し推薦していた。確かにモンタークの紹介ともなれば疑いの眼差しを向けざるを得ないが。

 タカキは苦笑を浮かべる。

 

「心配ないと思いますよ。モンタークの配下と言うよりは……」

 

 そこに4人の人物が現れる。がっしりとした体格の男と、筋肉質の女性。そしてグラサンをかけくちゃくちゃとガムを噛んでいる態度の悪いチンピラ。その三人を従えているのは中肉中背だが鋭い目をした男。彼はタカキたちの前に進み出て、さっと型どおりの敬礼を行い口を開く。

 

「お出迎え痛み入ります。自分は傭兵部隊【ガルーダ隊】隊長を務めます【ブラウン】一尉相当官であります。TACネームは【タリズマン】。以後防衛組織の指示に従うよう依頼を受けました。よろしくお願い致します」

 

 残りの三人もそれぞれ敬礼を行う。かつて標的艦隊の一角を務めた――『ランディの元同僚である怪物』たち。鋼鉄の神鳥はアーヴラウの地に舞い降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テイワズ本拠歳星。幹部たちを一堂に集めた会議場で、名瀬は鉄華団から持ち込まれた『商談』を呈示していた。

 

「……こいつはまた、でかい話じゃねえか」

 

 GH火星支部の全権譲渡。アーヴラウ騒動の影響が冷めやらぬ間に叩き込まれたその話に、マクマードは呆れたとも感心したとも取れる調子で言葉を放った。

 名瀬は神妙な態度のまま、淡々と続ける。

 

「勿論今の段階では口約束に過ぎませんが、マクギリス・ファリドと言う男、口先だけの人物ではないかと。現段階で実際に、火星支部の権限の一部を鉄華団に委託する、試験的な試みを申し出てきています」

「ふむ、限定的とはいえ先渡しのつもりか」

「マクギリスと言う男、確かに一角の人物と聞いているが」

 

 幹部たちの多くは反応も悪くはない。それを確認した上で、名瀬は『さらなる燃料を投下した』。

 

「事が首尾良く運べば……鉄華団代表は、『看板だけを自分達と火星の代表勢力に貰い、実際の権限をほぼ全面的に親父に預けたい』と申し出ています」

 

 しん、と会議場が凍った。何を言っているか全員が一瞬理解できなかったからだ。

 最初に動いたのは、堪らぬと言った様子で笑い声を上げたマクマード。

 

「ははははは! そいつは剛毅な判断だ! 言ってみりゃあ『テイワズが実質的な火星の支配者になれる』って事じゃねえか!」

 

 その言葉に幹部たちがざわめく。己が手に出来るであろう莫大な権限を、親とは言え他人に譲渡する、そのような発想など誰がするものか。欲得ずくの泥にまみれた世界で生きてきたものたちには理解が及ばない。

 それでも、納得できないのか自尊心的に堪えられなかったのか、声を上げるものはいる。

 

「そんな絵に描いた餅みてえな話、乗ってやるってんですかい!」

 

 組織の№2であるジャスレイが椅子を蹴立てて吠えるが、マクマードは落ち着いた様子で言う。

 

「二十歳にも満たねえガキどもの言うことだ。与太話にゃあ思えるが……逆に考えてみろ、『あの歳でこんな与太話を持ち込める』。そいつはなまなかじゃねえんじゃねえか?」

 

 にい、と笑みを浮かべるマクマード。その迫力に、ジャスレイも、幹部たちも押し黙る。

 

「俺があいつらぐらいの歳の頃は、箸にも棒にもかからねえ下っ端だった。こんなでかい話を上に持ち込む事はおろか、手前の組織を立ち上げるどころでもなかったさ」

 

 煙草の煙を一吐き。そしてぎろりと会議場を睥睨する。

 

「おめえら、『二十歳前頃にゃあ何やってた』?」

 

 だれも何も言えない。食って掛かったジャスレイもだ。それを確認してマクマードは厳かに告げる。

 

「いいだろう。その話乗ってやる。……だが、へま打ったときの覚悟はあるんだろうな?」

 

 その言葉に対して、名瀬は真剣な面持ちのまま応えた。

 

「いざというときは自分達を切り捨てて構わないと鉄華団代表は言っていますが……その前に、俺が腹を切ります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会議場から退室した名瀬を、外で待機していたオルガが出迎えた。

 

「お疲れ様でした、兄貴」

「おう。首尾良く話は纏まった。親父も大分乗り気だし……思った通り『目の色を変えた奴』もいたぜ」

 

 名瀬はく、と唇を歪めた。

 

「ここまでは『お前の筋書き通り』だな。権限を親父に預けることで、『幹部連中の反目を軽減し』なおかつ『鉄華団に直接ちょっかいを出しにくくする』。よく考えついたモンだぜ」

 

 火星支部の権限全てを手中に収める。それがどれだけの権力を手にすることになるか理解できないものはいないだろう。その力を危険視する人間は必ずいる。だがその権限のほとんどをマクマードに預けてしまえば、下部組織としての筋を通したことにもなるだろうし、妨害などを行えばマクマード本人に敵対するも同じだ。そんな無謀な真似をするものもそういないだろう。

 その権限を巡って幹部連中は色々と考えを巡らすであろうが、そも鉄華団が首尾良く事を運ばなければそれこそ絵に描いた餅でしかない。利を得ようと思ったら鉄華団を妨害することは出来ないのだ。

 言い方は悪いがマクマードを利用し、テイワズ内部からの妨害を防ぐ盾とした、とも言える。しかしこの発想、『オルガ一人で考えついたものではない』。

 

「大筋はクーデリアのお嬢さんと、うちのビスケットで協議したものですよ。俺だって最初は眉に唾塗りましたからね」

「ビスケットはともかく、クーデリア嬢は末恐ろしいな。『親父がどう判断するか見切ってる』ように思えるぜ。……やっぱり女は敵に回すモンじゃねえわ」

 

 クーデリアの発想。それは『火星に秩序と豊かさをもたらすのであれば、誰が支配者になってもかまわない』というものだ。これには鉄華団一同も目を丸くしたが、いち早くビスケットが理解を示した。

 確かに火星支部の権限を譲り受けたとしても、クーデリアと鉄華団だけで何もかもを回せるわけではない。むしろ持てあまし悪ければ破綻することは目に見えている。であればその権限を誰かに預けるのは『あり』だと。

 その場合預ける先として真っ先に思い当たったのがマクマードであった。彼はテイワズという組織を纏め上げ取り仕切っているという実績があると同時に、『火星を丸ごと手中に収めて支配しようとは思わない』と、クーデリアは見ていた。そんな欲望を持つならば『まず圏外圏を完全に支配しているはず』だからだ。自分達の考えを読んだ上で采配を行うだろうという信用がある。

 

「この考えすらも親父は、もしかしたらマクギリスも読んでいるかも知れません。俺らの小賢しい考えなんぞお見通しだという前提で事を運ぶ。そう肝に銘じてやっていくつもりです」

「だな。……事が成れば、親父は俺を若頭として取り立てる予定だ。『お前たちのお目付を兼ねて、な』。意味は分かるな?」

 

 真剣な顔になって名瀬は言う。鉄華団には個人的な好感を向けているマクマードだが、組織の長としては注意を払わなければならないと考えているのは理解できた。

 

「お前たちが力を持つのは構わない。だがテイワズを敵に回すような真似はするなよ? ……俺は親父を裏切れねえ」

 

 その言葉は、重金属のように重く響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜も更け歓楽街以外は眠りについた歳星。マクマード邸の一角で、一席設けている男たちの姿があった。

 

「この俺を妨害除けの盾にしようなんざ、面白れえことを考えやがる」

 

 くつくつと上機嫌に笑い、マクマードは杯を傾ける。空いた杯に徳利で酒を注ぐ人物もまた、にやりと笑みを浮かべた。

 

「昔のマクちゃんでもやらなかった事よ。まあそこまででかい上も居なかったけどね」

 

 まんま怪しい中国人にしか見えないおっさん、ワン。そしてこの場にはおっさんがもう一人。

 

「あの底意地の悪さは、間違いなくリボン付きの薫陶さね。『悪徳の都』の連中はどいつもこいつもろくでもねえ」

 

 手酌で己の杯を満たすのはジョニー。実はこの怪しいおっさん2人、テイワズ創設以前からマクマードの兄弟分で、テイワズの『真の幹部』とも言える懐刀であった。いざとなれば『テイワズを経済的物理的に一掃する』くらいのことはやってのける怪物である。

 そんな怪物を飼い慣らしている男は、楽しそうな様子で葉巻に火を付けた。

 

「その上で、クーデリアの嬢ちゃん『とんでもねえ話』を個人回線で持ち込んできやがった。……下手をすりゃ『GH火星支部の全権限なんぞ霞と吹っ飛ぶ儲け話』よ」

「……それはまた眉唾ものね。どんな話か」

「そいつはまだお楽しみってところさ。……だが、万が一俺が欲かいて火星支部の権限を独占しようとしたときを考えての牽制策だろうな。あの嬢ちゃんとんでもないタマになりつつあるわ」

「なるほど、上手いこと采配しねえと、その儲け話には関われねえぞ、と」

 

 得たりとばかりにジョニーが膝を叩く。クーデリアが何を考えたかまだ不明であるが、闇雲にマクマードを信頼しているわけではないようだ。マクマードが『叛意する気を起こさせない餌』を保険として用意し、対立することを防ぐ。あるいは彼女が持ち込んだ話、はったりかも知れないが『対立する気をなくせれば十分な役割を果たす』。

 商会を自分で仕切り、多くの者と渡り合い、なによりランディという規格外の極悪人を間近で見て学んだ彼女は、テイワズをも手玉に取るような策士と成りつつあるようだ。実に……『わくわくさせてくれるではないか』。

 マクマードは紫煙を吐き出し、言葉を放つ。

 

「となれば……そろそろ俺の跡目も考えなきゃならんなあ。連中と長く付き合うとなりゃ、いつまでもじじいの出番でもなかろうさ。……でだ、『おめえらから見てどうよ』?」

 

 マクマードの言わんとする事を察したワンが、丸いサングラスの下に隠された目をぎらりと光らせる。

 

「正直ジャスレイのあほは薦められないね。テイワズを『継ぐだけ』なら十二分な才覚はあるよ、けどアレ欲かいて調子乗ったら組織ごと身上潰すタイプね」

 

 仮にもテイワズグループの専務を務め、商業部門JPTトラストを恙なく仕切っている人間である。決して無能ではない。だが組織の利益と個人的な欲望を天秤にかけられたらその判断は怪しいと言わざるを得ない。

 かてて加えて彼ののし上がり方は『己の敵対者を蹴落とす』という形がほとんどだ。己の意にそぐわぬ者は排除しイエスマンばかりを取り立てる。テイワズ以外の勢力と渡り合うのに、その性根は不向きであるとワンは判断していた。

 

「俺のお薦めは、やっぱ名瀬だねえ。あいつが一番『捌けている』。……問題は本人がテイワズを継ぎたがらねえってところだろうが」

 

 わずか10年かそこらでタービンズという組織を構成員5万という一大組織に育て上げた手腕。下に見られ軽く扱われていた女性を雇用し実績を上げる目の付け所。年齢から見ればまだ若手と言える立場でありながら、テイワズにおける収益の割合は決して小さなものではない。鉄華団のことが無くとも、そう遠くない未来に幹部として昇格していただろうことは間違いなかろう。

 その上で『自分(ジョニー)という存在の危険性を嗅ぎ付け、当たり障り無いように接している』。その才覚はまだ成長過程にあるが、将来性は十二分にあるとジョニーは睨んでいた。

 が、同時に彼はテイワズを背負うなどと言う責からは逃れようとするだろうとも見ていた。無責任なのではない、『責任というものの重さを理解しているからこそ』のものだ。

 女性ばかりの組織を運営していくと言うことは、並大抵でない苦労を強いられる。タービンズの福利厚生や雇用条件は事細やかに配慮されたもので、恐らくは名瀬の側近の女性たちが大きく影響しているのだろうが、名瀬自身の気の配りようもなまなかなものではない。それはテイワズの他勢力と比べて類を見ないものである。自分の抱え込んだ者に関しては最大限に責任を取るが、望まず押しつけられた場合にはその采配が振るえるかどうか。最低でも名瀬自身はその器ではないと判断している節がある。

 

「継がせるんなら『逃げられない状況に持っていく』しかないんじゃないかね。まあ他にめぼしい人間が居るってんなら無理強いしなくてもいいだろうが」

 

 鼻を鳴らして杯をあおるジョニー。彼の感覚では他の幹部は五十歩百歩といったところだ。継がせられないと言うわけではないが、この先起こるであろう状況の変化に付いていけるかどうか不安が残る。

 ふむ、と頷くマクマード。大まかには自分の見立てと同じだ。地球で起こるであろう激動。その影響は世界に大きな変革を与えることになる。それを乗り切るためには誰を後釜に据えるのが的確なのか。老齢にさしかかった男は思考を巡らせる。

 少し前であればそこまで気を配らなかっただろう。テイワズ内に蔓延る不正だってよほどのことがなければ放っておいたに違いない。テイワズをここまで大きくし、己の引退も視野に入れ始めたあたりで、マクマードは所謂燃え尽き症候群に近い心境にあった。もう自分はやるだけやった。後は野となれ山となれとは言わないが、成るように任せようとすら考えていた。

 そんな自分の心に再び火を入れたのは、火星に生まれた若者たちの行動と――

 

『……見てみたい、とは思わねえか?』

 

 くく、とマクマードは苦笑する。

 

「与太話に、まんまと乗せられちまったなあ……」

 

 時代の転換点。それに大きく関わり世界を動かす要因の一つとなる。歴史に残るかも知れない場所に居るというその事実が、ぞくぞくするほど楽しい。

 

「全く、すっかり昔どおりね」

「ま、年寄りの冷や水も、たまには良かろさ」

 

 ぼやくように言うおっさんどもも、なんだかんだで楽しそうだ。昔の血が騒ぐという奴だろう。血で血を争う修羅場をくぐり抜けたのは確かに昔。だが男たちはその時分の熱さを取り戻しつつあった。

 それが蝋燭の消える寸前の勢いなのか、それとも古参兵の戦線復帰であるのか。果たして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球近海のコロニー群。その一角で勃発した戦闘があった。独立運動派の武装蜂起。それを討伐すべく派遣されたアリアンロッド第2艦隊との武力衝突。マッチポンプの出来レースであるそれは、やはり一方的な蹂躙劇の様相を見せている。

 

「この程度の戦力で、本当に勝てると思っていたのか!」

 

 レギンレイズを駆って参戦していたジュリエッタは、手応えの無さに怒りのような感情を覚えていた。当然ながら相手は素人しかいない状況で、強敵との交戦なんぞ望むべくもない。それが分かっていても、少しでも技量を鍛え上げたい彼女にとっては時間の無駄にも思えてしまうのだ。

 傲慢である。彼女は敵の事情を酌んでやるような視野の広さを持っていない。一介の兵士としてそれは問題になることではないのだが、思考せずにただ忠誠に従順なだけでは大きな間違いを起こすこともあり得ると、そんな危険性など想像もしていなかった。

 ともかく彼女の心境は荒れ気味であったが、その戦いぶりは余裕のあるものだ。ゆえに余所へと思考を振り分けることが出来る。

 

「あれは……ヴィダールか」

 

 水色の装甲を持つガンダムフレーム。パイロットと同じ名を持つそれは、流れるように宙を駆け、獲物に襲いかかる。

 コロニー近隣での戦闘を考慮してアンカーガンを装備したフレック・グレイズ。決死の勢いで襲いくるその機体が攻撃を難なくかわし、すり抜けざまに右手のサーベルを一閃。一撃でコクピットを貫き沈黙させる。

 2度、3度と滞りなくそれは行われ――そして4度目で止まる。身をよじってコクピットの直撃を避けたフレック・グレイズの1体が、サーベルの刀身を掴んで動きを封じたのだ。苦し紛れの行動であったが、それは確かにヴィダールの足を止め――

 かきん、と軽く刀身とグリップが切り離された。そのままグリップを腰のサイドアーマーにはめ込めば、サイドアーマー自体がスライドし、新たな刀身を備えたサーベルが現れる。

 再びの一閃。今度こそフレック・グレイズは沈黙した。が、その間にも足を止めたヴィダールに狙いを定めたミサイル艇たちが、一斉に攻撃を行う。

 放たれた無数のミサイル。ヴィダールはサーベルを収納し、腰のフロントアーマーから2丁のハンドガンを取りだした。それを無造作に左右に向けると、狙いも付けないまま連射。放たれた弾丸は、吸い込まれるようにミサイルの群れを捉えた。

 爆発の閃光が宙を彩る。圧倒的な強さを見せつけるヴィダールの姿に、ジュリエッタは一瞬目を奪われた。

 

「……美しい」

 

 流麗、とも言える動きであった。無駄が無く、かつ洗練されている。相当の鍛練を積んだものと見た。飄々とした普段の様子からは想像も付かない戦いぶりに、ジュリエッタはヴィダールの『影』を見たような気がした。

 

「機体も自分も真の名を隠す。何か事情があるとは思っていたけれど。……あの戦いぶり、相当の覚悟を持って鍛え上げられたよう」

 

 何を背負っているのか。それが気になったジュリエッタは――

 

「この私と互角に渡り合うとは! 相手にとって不足無し!」

『お止め下さいイオク様ァ!』

「ええい放せ! 私は強敵と渡り合い強く成らねばならんのだ!」

 

 背後で何やらごちゃごちゃやってるイオクたちのことなど、完全に意識に入っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……以上が事の顛末となります。状況証拠でしかありませんが、これまでのことと照らし合わせますと、ほぼアリアンロッドの自作自演と考えて間違いないかと」

 

 第2艦隊が行った任務。その一部始終……どころか限定的ではあっても『裏の事情』まで解説し終えたサヴァランは、反応を待つ。

 ややあって応えたのは。

 

「……なるほど、確かにGHの所業であるようだ。……しかしどういうつもりかね? この私――『コロニー独立反対派である人間』に話を持ち込むとは」

 

 そう、サヴァランが話を持ち込んだのはドルトコロニー群を所有するアフリカユニオンの担当者の中でも、独立反対派の重鎮とも言える人間であった。

 勿論何の考えもないわけではない。サヴァランに促され、共に訪れていたナボナが口を開く。

 

「我々が望んでいるのは、あくまで『給与関係を含んだ全般的な地位、環境の向上』であり、独立など視野にありません。むしろ現状では、自治はともかく独立など自殺行為と言っても過言ではないでしょう。それだけの地盤をコロニーは持っていないのですから。これはドルト労働組合の総意と取って貰って構いません」

 

 その言葉に継いでサヴァランが言う。

 

「最低でも今後、ドルトでは自発的かつ武力を伴った独立運動は行わないと、カンパニーと労働組合間で契約が結ばれました。それが誘発されるような動きがあれば……」

「外部からの横槍。その筆頭容疑者はアリアンロッドということか。……なるほど、独立反対派の私に渡りを付けることによって、ドルトとカンパニー、ひいてはアフリカユニオンとの関係悪化を事前に防ごうというのだな?」

 

 担当者の男は頷く。独立などと戯けた寝言を言い出さない代わりに地位、環境の向上に尽力しろと、そう言う取引を持ちかけられていると男は理解した。これは同時にアリアンロッドの自作自演を防ぐ1手でもある。今後ドルトで後先考えずに独立などと言い出す輩がいれば、それがアリアンロッドが介入してきたと見られるのだから。

 

「話は分かった。ユニオンのほうにも働きかけてみよう。すぐにどうこうというものではないことは理解して貰いたいが」

「ありがとうございます。腰を据えてかからなければならない事だと我々も承知しておりますので、なにとぞよろしくお願いします」

 

 ナボナと共に頭を下げながら、サヴァランは内心で拳を握りしめる。

 

(ビスケット、お前たちのように正面切って戦うことは出来ないが……俺は俺のやり方で、GHを追いつめて見せる)

 

 男の静かな戦いは、密やかに進んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……しかし地球のことといいGHからの委託業務といい、すっかり私蚊帳の外じゃないですか。いや記者ですから外様には違いないんですけれども」

 

 鉄華団本部の一角。己のために用意された部屋で、アヤは記事を纏めながらひとりぶつくさ呟いていた。

 地球での騒動やマクギリスからの話に、彼女はほとんど絡んでいない。地球の件はアーヴラウの機密に大きく関わることだったので、報道関係は全体的に規制されていたし、マクギリスとの契約もまだ大きく表沙汰には出来ないものだから仕方がないのだが、なんだか仲間はずれにされたようで面白くないと思ってしまう。

 元から鉄華団に『入れ込んでいる』からこその感覚だが、それでも一応理性は残っているので愚痴をこぼす程度に留まっている。

 と、そんな彼女の部屋のドアを、軽くノックする音が響いた。

 

「はい? どなた?」

「うっす、ライドっす。アヤさんに会いたいってお客を連れてきました」

「お客? ……分かりました、どうぞ」

 

 火星に知り合いは居なかったのだがと首を傾げつつも、入室を促すアヤ。ライドに伴われて現れたのは。

 

「初めましてミスアレン。私はこの度アイゼン・ブルーメ商会で『研修』させていただく事となりましたイアンナ・アレジと申します」

「これはご丁寧に。フリージャーナリストのアヤ・アナンダ・アレンです」

 

 そう、大方の皆様が予想されたとおり火星くんだりまでやってきたイアンナであった。彼女と挨拶を交わしながらアヤは内心首を傾げる。

 名前からしてアーヴラウの重鎮であるラスカー・アレジ副代表の縁者であろう。それが何かを学びに火星までやってくる。そこはいい。2年前とこの間の騒動で鉄華団とアーヴラウには強い繋がりがあるので彼女がこの本部を訪れてもおかしくはない。そこもいい。だが自分に何の用事があるというのだろう。ただの挨拶回り? ぺーぺーのジャーナリスト相手にわざわざ? イアンナの意図が分からず警戒してしまう。

 イアンナの方はそんなアヤの内心など気付いたふうもなく、にこにこと言葉を放つ。

 

「貴女の書いた記事、読ませて頂きました。臨場感溢れる内容で、思わず読みふけってしまいましたわ。機会があれば直接お会いしたいと思っていたのです。それがこんなに早く叶うなんて」

 

 その言葉にアヤは慌てる。

 

「え!? あれ、ネットの端っこのサイトでしかも匿名でやってるのになんで私の事を!?」

 

 とは言っても知る人ぞ知る人気サイトで広告料とかでかなり儲けてるのだがそれはそれとして、正体が割れるようなヘマはしていないはずである。仮にも情報で食おうとしているのだ、その辺はぬかりない。

 イアンナは片目を瞑って人差し指を立てる、茶目っ気のあるポーズで得意げに言った。

 

「蛇の道は蛇、ってことですの。こう見えてもそれなりの伝手はあるので」

 

 ドヤ顔で言うイアンナの背後で、そっぽを向いたライドがだらだらと脂汗を流していた。

 言えねえ。この人(イアンナ)案内している途中で鉄華団の記事の話題が出て、思わず「あ、それ書いた人ならここにいるっすよ」とついバラしちまったなんてとても言えねえ。

 しょーもない事実を知るよしもないアヤは戦慄を覚え、目の前の女にますます警戒心を抱く。僅かに緊張感を漂わせ始めたアヤの様子に、イアンナはにっと挑みかかるような表情へと変わる。

 

「……なにが目的ですか?」

 

 珍しく真剣な口調で問うアヤ。得たりとばかりにイアンナは話を進める。

 

「では遠慮無く。鉄華団の事を調べるに当たって、当然クリュセや他の自治区の事について調べておりますわね? その中でもしめぼしい人材や組織があればぜひとも教えて頂きたく。特にハーフメタル関連で」

「……アーヴラウはアイゼン・ブルーメ商会を通じてハーフメタル事業に深く関わっていると記憶していますが?」

 

 ここで人材を集める意味があるのか。イアンナの意図が分からず問うアヤ。

 答えは満面の笑みと共に。

 

「現状では確かに。ですけれど将来的……『火星が独立などした場合』、伝手は多い方が良いかと思いまして。何しろ火星に自治区を持っているのはアーヴラウだけではありませんので、今のうちに手を打っておくべきかと」

 

 他の経済圏に先んじて将来のために動こうというのか。しかしアヤにも矜持はある。

 

「お話しは分かりました。ですがこう見えても文屋の端くれ。飯のタネになりそうなことをそう簡単にほいほいと……」

「勿論相応のお礼は用意させて貰いますよ」

「……で、どういった人材をご要望で」

「うわこの姉ちゃんチョロっ!?」

 

 あっさりと矜持は引っ込んだ。

 

「ふふ、なかなかお話の分かる人のようですね」

「魚心あればなんとやら、という奴ですよ」

「貴女とは仲良くやれそうです。……ところで某恰幅の良い元支部長の個人的な情報などは手に入りまして?」

「もちろん、相応のものを頂ければ」

『ふふふふふ』

 

 がっちりと固い握手が交わされた。

 もしかしたらこの人たちを会わせたのは致命的な間違いだったかも知れない。でっかい汗を後頭部に流すライドは、後悔しながらもなすがままに任せるしかなかった。

 とまあ本部の端っこでそんな事が起こっている間にも、団員たちは忙しなく動き回っている。

 

「装甲と装備の換装、順番に仕上げていくぞー」

 

 格納庫に運び込まれたランドマン・ロディが次々と装甲をはぎ取られ、強襲型に改装されている。低下した地球支部の戦力を補うのとデモンストレーションのため、元々配備される予定であった獅電はそのまま支部に譲渡され、入れ替わりで本部に回収されたマン・ロディを強化しているのであった。

 その作業の様子を、昭弘と彼の姓を貰った少年たちが見守っている。

 

「こいつはアストンの使っていた機体か。……デルマ、本当に良いんだな?」

 

 昌弘の問いに丸顔の少年――【デルマ・アルトランド】は頷く。

 

「ああ、教官から許可が出た。こいつの方が使い慣れてるしな、足手まといにはならないつもりだ」

 

 アリアンロッドと事を構える前提で、鉄華団は戦力の増強を計っている。これまで予備パイロット扱いで他の仕事に従事していた団員たちも、多くが戦いに加わることを望んだ。

オルガなどは折角堅気の仕事をしていたのにと、少々気に病んでいたのだが。

 

「そりゃ普通の仕事をこなせてりゃそれに越したことはないけどな。だが今度のは俺達全員の将来がかかった大仕事だ、少しでも力になりてえ」

 

 デルマの言葉に、同じく志願した少年たちは頷いて同意を見せた。団長からは貰いっぱなしで少しも恩を返せていないと彼らは感じている。

 幸いにしてと言うわけでもないが、暫く採掘場の方は専門家たちの仕事しかない。手の余った人間をマクギリス関係に回す余裕はあった。

 正直命の危険に晒したくないと言う思いは昭弘にもある。だがそれ以上に自分たちを人間扱いしてくれた団長に、ひいては鉄華団に報いたいという思いは痛いほど分かる。だから彼らを止められない。

 だからこう言う。

 

「……頼りにしてるぜ、兄弟」

 

 信じる。自分の兄弟たちは強かであると。背中を任せるに価する強者であると。

 ぶっきらぼうで不器用な言葉。それを聞いた少年たちは一瞬顔を見合わせ――

 揃って不敵な笑みを浮かべ、応える。

 

『まかせろ、兄弟』

 

 その様子を離れた場所で見ていたラフタは、こう零す。

 

「ったく、格好つけちゃって」

 

 その表情が軟らかく優しい微笑みであったことに、本人は気付いていない。これは暫く秘密にしておこうと隣のアジーは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦力増強は既存の機体を改修するだけではない。

 

「よーし全部運び込んだな。順番に立ち上げてセッティングしてくぞー」

「阿頼耶識搭載機はあとでおやっさんが最終調整するから後回しだ! 基本セッティングが終わったらカスタムパーツのすりあわせからやってくれ!」

 

 テイワズから新たに購入した獅電の群れが、次々と立ち上げられていく。本来アーヴラウに卸す事になるであろう生産分であったが、商談が中断してしまったことにより宙に浮いた形となってしまったのだ。それを格安で譲り渡してやるとワンから打診があり、戦力を欲していた鉄華団はそれをありがたく受け入れたというわけだ。

 

「あのおっさんにも気を使わせちまったなあ。大量購入のおまけに1機つけてくれるとか、ありがたい話さ」

 

 キャリアの上でカバーが剥がされ姿を現した機体。銀色の下地塗装がままのそれは、おまけという名目で押しつけられた機体であった。どう見ても急造で仕上げられたそれに、ユージンはマクマードやワンのせめてもという気遣いを感じていた。

 同時に寄せられる期待、プレッシャーを理解していたが。

 

「火星の利権どうこうよりも、GHの増長に危機感を覚えてるんだろうなあ」

「そりゃ経済圏のインフラぶっつぶして混乱を計る、なんてとんでもねえ輩が出てくるんだ。最低でも牽制しとかなきゃ何されるか分かったモンじゃない、ってな」

 

 溜息混じりで言うユージンの言葉に、シノが頭を掻きながら応える。世界の情勢、戦略的なものの見方をランディから叩き込まれた彼らは、自分なりにその思考を昇華させつつあった。

 とは言っても根本的なところは彼らのままで。

 

「ま、俺達のやるこたぁ変わらねえ。オルガが決めて、三日月が斬り込んで、俺達が道を造る。いつも通りさ」

「ちいとばかし、やりがいがありすぎるけどな」

 

 くく、と揃って笑う2人。困難が予想されていても彼らは、いや、鉄華団は止まらない。

 世界を相手取るそれは悲壮感に彩られたものではなく、希望と闘志に満ちあふれるものであった。

 

「で、オルガはそろそろ話が纏まってるころか」

「ドンパチやるよりもよっぽど面倒かもなあ」

 

 2人が見上げる空の先では――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火星軌道上、GH火星支部が本拠地、軌道ステーションアーレスにて、オルガは幾人かの有力者たちと顔合わせを行っていた。

 

「……若輩者ですが、微力を尽くし務めさせて頂きます。どうかよろしく」

「鉄華団の勇名は聞いている。期待しているよ」

 

 頭を下げ、握手を交わし、有力者たちを見送ったオルガは、ネクタイを首元で緩め、ふう、と息を吐いた。

 

「何度やっても慣れるモンじゃねえな」

「こういうのは気が付けば慣れるものさ。何にせよ数をこなす事だね」

 

 オルガの呟きに、改めて正式に本部長へと就任した新江が言う。今日オルガがこの場を訪れたのは、『ある権限』を火星支部から委託され、その手続きと関係各位に面通しするためである。その権限とは。

 

「捜査権と逮捕権の委託業務……『賞金稼ぎ制度』なんてものを復活させるとはな」

 

 そう、警察権の一部解放。その管理権限を預けられたのだ。所謂賞金稼ぎの受付窓口を務めるということになる。火星支部と有力者たちを元締めに、賞金稼ぎ制度を復活させ環境を整える。これはマクギリスが発案したことだ。

 

「以前から協力者に報奨金をばらまいていたのは、この下地作りと言っても良い。元々火星支部だけでは手の回らない部分も多かったんだ。火星や圏外圏の気風から考えても、妥当な制度だと思うがね」

 

 確かに火星の現状は、かつての西部開拓地に似ていないこともない。それに未だ信用を完全に取り戻せていない火星支部よりは、鉄華団が仕切る賞金稼ぎ達の方がよほど信用されるであろうとマクギリスは見ていた。それは新江も、地球から訪れていた石動も同意見である。

 石動は窓の外に見えるアーレス宇宙港を見ながら言う。

 

「いずれはここも船で埋まることになるかも知れないな。そこまでもり立てられるかは……オルガ・イツカ、君たち次第だ」

 

 いつもの無表情に見えて、その瞳には強い光が宿る。

 

「それもこれも、全ては事をなしてからだな。……最早後戻りは出来ない。我々も、君たちも」

 

 その言葉に、オルガは不敵に笑んだ。

 

「するつもりもないさ。未来を掴むためには、前に進むしかないんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 超望遠で撮影されたアーレス。その窓に有力者たちと握手を交わすオルガの姿が映っている。

 

「政治家気取りかよ。三下のガキが小生意気な」

 

 手下からの報告に、ジャスレイは不機嫌さを隠そうともせず紫煙を吐く。

 先の幹部会議では一度矛を収めたジャスレイであったが、当然ながら納得したわけではない。流石に組織自体の利益には成りそうだという理解は及んでいるが、改めて突きつけられた成長性に危機感と嫉妬を滾らせられるのは止められない。それを自身で分かっているかどうかははなはだ疑問だが、ともかく彼は組織の利益を置いて己の感情のまま動かんとしていた。

 

「どうしますか、叔父貴。このままやつらをのさばらせておくのは……」

「ふん、当たり前だ。……GHに伝手があるのはやつらだけじゃねえ。暫く前に代替わりはしたが、古い伝手に繋ぎを取る」

「いいんですかい? 下手をすりゃ親父の勘に障るかも知れませんぜ?」

「なに、あいつらだってGHを後ろ盾にしようってんだ。俺が繋ぎ取ったところで親父も文句を付けられねえよ」

 

 それにと、ジャスレイは言葉に出さずに続ける。

 

(親父が俺を切れるわけがねえ。テイワズをここまで大きくした立役者である俺をな)

 

 確かにテイワズが成長した要因の一つはジャスレイの商才もある。だがそれは一部に過ぎない。己の能力と立場に対する過信。そして今の自分の立場がそれほど盤石ではないという自覚の無さ。自ら薄氷の上に足を踏み入れた自覚のないジャスレイは、すぐそこに破滅が口を開いて待ちかまえていることに終ぞ気が付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鉄華団本部に戻ったオルガは、早速幹部を集めて今後の方針を相談していた。

 

「ランディ教官は歳星に行ったか」

「ああ、例の機体の仕上げに入るってよ。暫くは缶詰だな」

 

 オルガと入れ替わるように、事務仕事を一段落付けたランディは歳星へと向かった。あの人の意見も聞いておきたかったんだがと少し残念に思うオルガだが、自分達を一人前と認めたからには余計な口出しはしないということだろうと、思考を切り替える。

 

「それじゃあ早速火星支部からの委託業務についてだが……」

 

 少年たちが額を付き合わせて話を始めようとしたその時、会議室のドアが勢いよくノックされた。

 

「っ!? なんだ?」

「し、失礼します団長! 緊急事態です!」

 

 泡を食った様子で入って来た団員は、興奮冷めやらぬままに告げる。

 

「採掘場で試掘していた技術者と団員からの連絡です! 採掘の途中、なんかよく分からないどえらいものと、MSを発掘したそうで……MSは、ガンダムフレームのようです!」

「な、なんだと!?」

 

 完全に予想外の事態が、鉄華団の運命をさらに混沌へと落とし込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※今回のえぬじい

 

『…………………………』

 

 ソ●・ア●バー

 ↑掘り出されたなんかよく分からないどえらいもの。

 

「見なかったことにするんだー!」

「賛成だ俺もそう思う!」

 

 このパロディネタ誰が覚えているというのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ルプスレクスを黒塗りにしたら完全にボスキャラかライバル機体になってしまった。
 いや格好良いからいいんですが捻れ骨子です。

 はいやたらと時間がかかってしまいましたがやっとMA編に突入です。なんかどっかで聞いたような部隊をどっかで聞いたような人間が仕切って参戦してきましたが、果たしていかなる役割を果たすのか。なおガルーダ隊の面子の名前が全部分かった人は筆者の同類。ヒント・近藤組。
 そして微妙に原作と違う展開の中ちゃっかり再登場してるサヴァランさんとイアンナ嬢。サヴァランさんはともかくイアンナ嬢はどう引っかき回すんだ? なお彼女はあんまりうっかりしてないぞ!

 さて次はいよいよMA戦に突入する予定です。ハシュマルとついでにイオクはどうボコられてしまうのか、乞うご期待?

 ということでまた次回。

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