くさのねフレンズ   作:イナバん

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大変お待たせしました。いよいよ物語が加速していきます、原作とは多少異なるところも出てきますがどうかご了承下さい。


5話 ようかい

サーバル、影狼、小傘の乗ったゴンドラは狭くせいぜい2人乗り用だったが1つしかなかったようなので仕方なく無理やりつめこんだ。

途中空を見ていた小傘がカフェの方に飛んで行くフレンズを見て、あの絵に気づいてくれたらいいな、思った。

「サーバルちゃん漕ぎっぱなしでしんどくない?」

「大丈夫だよ、ヘーきへーき、それにほらもうすぐしてに着くよ!」

サーバルの言う通り最初にトキとあった場所が見えて来た。途中落ちてしまうのではないかという不安も彼女たちにはあったがなんとかこの状況を切り抜けた。

ふと影狼がゴンドラ乗り場の階段の下を見るとジャガーがいる、しかし様子が変だなんだかそわそわして心なしか顔色も悪いような気がする。

ゴンドラが近づいて来たのをジャガーが見るとこっちに気づいたようで乗り場に登って来た。

「やっと帰って来た!あのな、落ち着いて聞いて欲しい」

「ジャガーちゃんどうしたの?そんなに慌てて」

「あんたたちの連れの姫が倒れた・・・・」

「え!?どういうことよそれ!一体何が起こったのよ!?」

影狼がジャガーにものすごい気迫て問い詰めたが、

「い、いや、全然わからん・・・あんたたちが行って少し経ったぐらいに起きて私ら4人でとりとめもない話をしていたら急に・・・」

「影狼、速く行った方が良くない?」

小傘が言うのよりも早く影狼は走り始め、その後を他の3人が走った。

 

 

 

 

 

バスのところに着くと呼吸が荒く、ぐったりと横たわったわかさぎ姫がおり一目で尋常ではないとわかった。

影狼が大声で姫を呼び続けているがまったく反応がない、蛮奇も呆然と立ち尽くし、

「なんで・・・いきなり・・・さっきまで全然元気だったじゃん姫・・・」

同じ事を何度も何度も繰り返し呟いていた。

「蛮奇・・・どうして?姫はどうしてこんな・・・」

影狼の悲痛な声に蛮奇は何も返せずにいた、その時姫の荒い呼吸が不意に止まり、体が光始めた。

「今度は一体なんなんだよ!?」

姫を包んでいた光は初めは大きかったが次第に小さくなりついには手のひらに乗るくらいになった、そして光の中から青い小さなクリスタルのようなものが溢れ落ちると同時に光は消えた。蛮奇達は一瞬すぎる出来事だったのであっけにとられていたがありのまま今見た事を話すとわかさぎ姫が青い小さなクリスタルになってしまった、それしか説明のしようがなかった、彼女達自身も何が起こったのかわからなかったと思うが、わかさぎ姫も何をされたのかわからなかっただろう。しばらく沈黙が続き最初にカワウソが、

「もしかして・・・死んじゃった?」

「そんなわけないだろう!私達は妖怪だぞ!死ぬなんて・・・」

「ご、ごめん」

蛮奇はカワウソの言った事に過剰に反応してしまい言わなくてもいい事まで言ってしまった。気づいた時にはもう遅くジャガーが「ようかい」という単語に反応してしまった。

「ようかいって何?あんたらフレンズじゃないの?」

「・・・影狼仕方ないよね」

「そうね・・こんな事になってしまったのだからもう・・・」

影狼と蛮奇は諦めたようにうつむきサーバル達に幻想郷の事、自分達はフレンズではなく妖怪という種族で人に避けられてきた事、サーバル達フレンズを怖がらせないように正体を隠していた事、途中サーバル達は何度も首をかしげたがそれでも真剣な表情で最後まで聞いてくれた。

「ジャガーちゃん今の話わかった?」

「半分ぐらい・・・でも驚いたな〜ここの他にも私らみたいなのがいるなんて・・」

「今まで黙っててごめん・・・怖がらせたくなかったんだ・・・」

「もしここに人がいたら私達と会うと面倒な事になると思ったのよ・・・ごめんなさい」

サーバルとジャガーが少し考え込んで、

「えーい!わかんないや!わかんない!私ね今の話聞いて蛮奇ちゃん達の話聞いて全然怖いなんて思わなかったよ!むしろ自分と違うってだけでのけものにするヒトの方が怖いと思ったよ!私達はそれぞれ得意不得意な事あるでしょ?それとおんなじだよ、みんな違ってみんないいんだよ!」

「そうだな、今の話を聞いても私も特には怖くなかったね、だからさもっと胸はりなよ」

「ジャガーちゃん・・・サーバルちゃん・・・」

影狼は自分でも気付かないうちに涙が出始めていた、しかし蛮奇は、

「綺麗事だよ・・・これを見ても同じ事言えんの・・・」

そういうと蛮奇は妖怪とはこういうものだといわんばかりに自身の頭を持ち上げた、持ち上げた時今までは何もなかったのに今回に限って感じた事もないような痛みがあった。

「痛っ!」

「ちょっと蛮奇!」

影狼が何か言ってるが全て無視して蛮奇は、

「所詮妖怪は誰とも分かり合えない、だから1人で生きてきた」

「蛮奇まだそんな事言ってんの!?私達がいるじゃない!あなたは1人じゃないわよ!」

蛮奇の頭が取れたのを見て、ジャガーとサーバルは不安そうな表情になり、蛮奇はやっぱり口だけじゃん、と言いたげな表情になった、

「すっごーーい!」

それまで明後日の方向を向いていたカワウソが声をあげた。

「は?」

蛮奇は思わず素っ頓狂な声をあげた。

「すっごーい!ねえねえ君!それどうやるの!?私にもできる!?ねえ教えてよー!」

「怖くないの?私こんな体なんだよ・・」

「え!?なんで?すっごーいよ!私初めてみた!ねえねえやり方教えてよ!」

蛮奇は狼狽した、今まで怖がれることはあっても喜ばれることはただ一度たりともなかった、しかしカワウソはどうだ、目をキラキラ輝かせてこっちを見ている。

「ねえ蛮奇ちゃん」

うろたえていた蛮奇だったがサーバルの一言で我にかえった。

「何?こわい?そうでしょ・・妖怪は怖いのよ」

「ううん、痛くない?大丈夫?無理しなくていいよ」

「そうだぞ!蛮奇!さっき痛いって言ってたじゃん!もうやめなよ!そんなに自分傷つけることないよ」

蛮奇は自分の頭を戻しその場にへたりこみ大声で泣きだした。影狼は蛮奇の近くに寄り添い泣き止むまでずっとそこにいた。

 

 

「ありがとう影狼・・・もう大丈夫だから・・あとサーバル、ジャガー、カワウソありがとう・・・」

「どういたしまして!」

「ふふふ蛮奇、もう自分を痛めつけるようなことしちゃダメだぞ〜」

「ねえねえやり方教えてよ〜」

カワウソは相変わらず蛮奇の頭に興味津々でずっとやり方を聞いている、しかしジャガーにカワウソには多分できないぞといわれ少し落ち込んでいた。

「ところで小傘ちゃんも妖怪なの?」

サーバルが小傘に尋ねてきた、小傘は自分をどう説明しようか少し困った。この世界のフレンズ達にはどうやら道具の概念がないようだ、そこにあるものとして道具をスルーするのでまずそこから説明しなくてはならない。

「えっと、わちきは付喪神っていう種族なんだ」

「つくもがみ?なにそれ!なにそれ!」

サーバルが目をキラキラさせそうきいてきたとき、

「ほう、つくもがみというのかお前は・・・・」

と茂みの中から聞こえてきた・・・・

 

 

 

 




けものフレンズの世界と幻想郷が融合した時世界は真の平和と楽園を築くことができると思うんです。

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