今泉影狼は途方に暮れていた。ボスがロープウェイで行けば山頂まで楽だと言っていたのだが、肝心のそれがないのだ。
影狼はうすうす嫌な予感はしていた、小傘は気合だー!根性だー!と騒いでおり、サーバルはロープウェイのひもをつたって行けばいいと言っておりそれがますます影狼の頭をいたくした。
「ねえねえ!影狼ちゃん!この崖登って行けばいいんじゃないの?」
「出来なくはないと思うけど・・・・小傘は無理よね?」
「気合だー!根性だー!」
「強がらなくてもいいからはっきり言って」
「ごめんなさい、無理です、死んじゃいます」
小傘が無理そうなので他の方法を考えていると空から、おそらくフレンズであろう物体が飛んできていきなり歌いだした。
「わ〜たしは〜と〜き〜仲間を〜探し〜て〜る・・・・・・」
トキが歌い終わる頃には影狼とサーバルはノックアウトされていた。小傘だけ大喜びですごく楽しそうな表情で笑っていた。
「もう!いきなりなんなのよ!」
「はじめまして私はトキ、私の歌どうだった?」
「え、えっとすごくエキサイティングだったわ」
「ち、力強いね」
「すごーい!わちきあんな歌聞いたの初めて!みすちーとは違う意味で迫力あったよ!」
「うふふ、、ありがとうやっぱり誰かに聞いてもらうのはいいわね」
「なんだか2人楽しそうでよかった」
「え?アンコールかしら?」
「え!?」
「遠慮しとくわ、そうよね?サーバルちゃん」
「う、うん、そうだね!」
しばらくトキととりとめもない話をしてから自分達が山の頂上に行く手段がないことを言った、そうするとトキが1人ぐらいなら山頂に運べると言ったので小傘を運んでもらい影狼とサーバルは崖を登って行くことにした。
「じゃあ山頂で会おうね」
そういい小傘はトキに運ばれていった。途中ボスがトキの声が濁った声などと煽ったのでトキのモチベーションが急降下し、小傘も急降下しそうだったがなんとか山頂に辿りついた。
「ここが山頂かー、あ!なんか小屋があるよ」
「あそこで充電できるよ」
「じゃあ行こボス、トキさんも行こー」
「ええ」
小屋達が小屋の中に入るとフレンズが1人いた、それはアルパカのフレンズでここでカフェを経営しているらしが全くお客が来ないと嘆いている、しかしそれは仕方のないこと、こんな険しい山なのに登る手段といえば崖を自力で登るかトキのように飛ぶぐらいしかないのだから自ずと行くものは限られてくる。そして何と言っても場所がわかりにくかった。こんな状況だったからか小傘達が訪れたのですごく喜んでいた。
「ふわああぁ!いらっしゃぁい!よぉこそぉ↑ジャパリカフェへ〜!どうぞどうぞ!ゆっぐりしてってぇ!いやまっ↓てたよぉ!やっとお客さんが来てくれたゆぉ!嬉しいなあ!ねえなんにぃのんむぅ?色々あるよぉ、これね、紅茶って言うんだってぇハ↓カセにもらったんの!ここからお湯が出るからそれを使ってにぇ!」
「ねえねえここで充電できるって聞いたんだけど何か知らない?」
小傘がアルパカにそう聞くと明らにアルパカのテンションが下がり、
「なんだぁ〜お客さんじゃないのか〜、ぺっ!」
「うわああああごめんよお!」
「ところで充電ってなんのことぉ?」
「この電池っていうやつなんだけど・・」
小傘がアルパカに電池を見せるとそれらしいものをはめる場所が屋根の上にあるというのでついて行くとボスがこれだよといったので間違いなかった、そして下に降りると少し部屋が暗くなっており、充電が終わるまでお茶を作れなくなっていた。またアルパカは小傘達にこのカフェを開いた経緯とお客さんが全く来ないことを話し、なぜ来ないのかということを話すと小傘が、
「えっ!場所がわかりにくいからじゃない?」
と即答した、またトキも鳥系のフレンズでもない限り山の上なんて見えないといい小傘の意見を後押した。こうして小傘、アルパカ、トキによるジャパリカフェをもっとみんなに知ってもらう計画が始動した。
一方その頃サーバルと影狼は・・・・
「もお無理よおおおおおおお!」
「頑張って影狼ちゃん!多分後少しだよ!ほら見て!あそこに木の枝があるよ!あれに捕まって一気に登れば!」
「もーやだ!お家帰る!お家帰りたい!ゆかりお願い!もーギブ!」
「ファイト一発だよ!影狼ちゃん!」
2人の奮闘は続くのであった・・・・
ジャパリカフェ宣伝計画として手取り早くカフェの存在を知ってもらうにはまずアピールが必要だ、ということになりまず鳥系のフレンズにアプローチしてみることになった。そこで以前小傘が河童が作っていたヘリコプターなるものを思い出し、ヘリポートの絵を応用してみることを考えた。そして3人で草をむしりコップの形を表現してみることを思いつき、小傘が少し高いところに登って形を確認しながら作業を続けた、またボスに除草能力があったため途中から随分捗りサーバルと影狼が死にそうな顔で頂上に着く頃には完成していた。
「2人ともお疲れ様ー」
「し、死ぬかと思ったわ、体力をつけなくっちゃあなあ」
「でも、崖登り楽しかったよ!影狼ちゃん」
「私は2度とごめんだわ」
『まあまあ〜難しい話は置いといてぇ〜はいどうぞぉ〜どうぞぉ〜」
『あ!紅茶だ!レミリアがよく飲んでるねー」
「そうね、この香りはダージリンね〜」
「ほへ〜香りでお茶の種類わかるんだぁ〜」
「すごーーい!私、紅茶?なんて初めて飲んだよ!ねえねえ元はどんなのなの?」
そうサーバルが尋ねてきたのでアルパカが奥から紅茶の缶を持ってきた、そこにはくっきりとマジックペンでアールグレイと書かれていた。
「ねえ影狼・・・あれ・・・・」
「小傘・・・・・崖の上から飛び降りると気持ちいいかしら?」
「待ってーーーーーーーー!はやまらないで!」
影狼は顔を真っ赤にして下を向いて誰とも目を合わせなくなってしまった。
「あれー?影狼ちゃんなんで顔真っ赤なの?どこか具合悪いの?」
「サーバルちゃんほっといてあげて・・・影狼は今自分と戦ってるんだ」
「なんだかわかんないけどファイトだよ!」
サーバルが影狼を励ましているとボスがどこからともなく出てきてロープウェイの入り口まで来て欲しい、と言った。4人がボスについて行くとそこには修理されたであろう人力のゴンドラがあった。これで帰りは崖を下らなくてもよい、ただ乗る部分が小さいのでギリギリだった。3人はアルパカとトキにお礼を言って、狭いながらもなんとかゴンドラに乗り充電済みの電池を持って帰路の着いた。
しかしこの時3人は知らなかった、下でとんでもない自体になっていることに・・・・
いよいよ次の話から少しオリジナル展開が含まれてきます、ぜひ御付き合い下さい。