「おー!とは言ったものの、姫どうしよう?あなたその足じゃあ歩けないでしょ?いつもみたいに浮けないし・・・困ったわ・・・」
影狼は本気で悩んでいた、このままだと姫をかついでこの草原を移動することになってしまうからだ。
「しょうがないわね、あまり使いたくはなかったけどこうなったら奥の手を使うわ・・・はあ!」
そうわかさぎ姫が力むと尻尾の方が光だし、みるみるうちに人の足に変わっていった。
「ええ!なにそれ!なにそれ!すごーい!こんなのみたことないよ!」
「私もこんなの初めてだよ!姫!こんなことできたんだ・・・なんで今までしなかったんだ・・・」
蛮奇が呆れた様子で姫に聞いた。そして姫は困ったように、
「今まで隠しててごめんなさい・・でもこれは滅多にできないの、私が凄く困ったときだけ出来る奥義なの」
と姫が困ったように言うと、蛮奇が思い出したように、
「まるでどっかの爆弾魔みたいだな、絶望したときだけに発動するアレに似てる」
と呟くと、すかさず影狼が、
「ああ!それ私も知ってる!子鈴の貸本屋で見たわ!」
3人がはしゃいでいると、サーバルちゃんが小傘に、
「ねえねえ!小傘ちゃん!すごいよ!なんか足の形が変わったよー!」
「そうだね!わちきもあんなの初めて見たよ!」
「わたしたちもできるかな?」
小傘は少し考えて、
「できないと思うけど、サーバルちゃんはできなくても大丈夫だと思う」
「うーん、そっかあ!わかった!」
小傘はフレンズというのがなんなのかわからないがみんなサーバルちゃんみたいだといいなと期待した。
そうこうしてるうちに姫の行く準備ができたので5人は歩きはじめた。
「ガ〜イド、ガ〜イド、サバンナガ〜〜イド〜」
サーバルがご機嫌な様子で4人を案内していると影狼
「ところで聞き損ねてたけどサーバルちゃんここはどういうところなの?」
「ここはジャパリパークのさばんなちほーだよ!いろんなフレンズがここにいるんだー!ほらー!あそこあそこ!シマウマちゃんがいるよ!」
蛮奇と姫がよく目を凝らしたがまったく見えなかった。
「影狼、見えた?」
「ええ、見えたわよ、確かになんかいたわ」
「すごーい!影狼ちゃんは、目がいいわね〜」
一行がしばらく歩くと崖のような場所があり、サーバルと影狼は難なく降りることができたが他3人は苦戦しながら下に降りた、特に姫は二足歩行が慣れていないせいかひときわ苦戦していた。
「ふう、やっと降りれたわ〜」
「ん?なんかあそこに変なのいるよー」
そういうと小傘が近くにいた小さな青色の物体に近づいた。
「小傘ちゃん!それはセルリアンだよ!逃げて!」
「え?え?、う、うわ〜」
叫びながら小傘が蛮奇の方に逃げてきた。
「ちょ、ちょっと!なんでこっちくるんだよー!」
「ごめんよー!蛮奇ちゃん!」
「みゃみゃみゃみゃみゃみゃ!みゃ!」
サーバルが小傘と蛮奇を追っていたセルリアンの背後をとり、それについていた石のような物体を壊すとバラバラに砕けちった。
「ふう、なんなんだあいつは?」
「あれはセルリアン!とっても危険なんだよ!」
「うう、サーバルちゃんありがとう今度から気をつけるよ」
道のりは長かったがようやく水場についた。
「わーい!水だー!わちきも喉乾いたよー!
「おいしー!生き返るわ〜!やっぱり地上よりも水の中の方が快適よ!」
「えへへ、こんなによろこんでくれてうれしいよ!」
「影狼、ちょっときて」
蛮奇にいきなり呼ばれたので少しびっくりしたように影狼がこっちを向き近づいてきた。
「なに?蛮奇、どうしたの?」
「私達どうやったら帰れるんだ?」
「・・・・このパークのことを調べ終わったらかしら・・・・」
「まさかこのまま帰れないなんてことないよね?」
「たぶん・・・」
蛮奇の首筋に冷や汗が垂れた、八雲紫は私達に交流してほしい、調査してほしいと頼んできたが具体的な内容は一切言わなかった。
このパーク、見た所いろいろな地方があるようだ、一つの地方でこれだけ大きいとなると全てを調べるのにはかなりの時間がかかる。
「うぅ、どうしよう〜」
蛮奇は頭を抱えた。
「だあれ〜?」
その声と同時に大きな水柱がたった。
「うわああああああ」
「きゃああああああ」
水浴びをしていたカバが姿を現した。
「あらあらサーバルに・・・だれ?」
「ええっと、わちきは多々良小傘!こっちがわかさぎ姫で、あっちの2人が赤蛮奇と今泉影狼だよ!よろしくね!」
「ええ、よろしくね私はカバよ、それにしてもサーバル随分変な子達と友達になったわね〜」
「えへへ、このこたちとっーてもとおくからきたんだって!だからサバンナちほーをあんないしてあげてたんだ〜」
2人が話しているところに蛮奇がやってきて、
「なあ、あんたこのパークのことが全部分かるところ施設ってないか?」
「それなら図書館はどうかしら?たいていのことは分かると思うわよ」
カバがそう答えると蛮奇が、
「ねえサーバル、これから私達を図書館まで案内してくれない?」
蛮奇は手取り早くこの調査を終わらせて帰りたかった。
「いいよ〜でもさばんなちほーのでぐちまでだよ!」
「うーん、わかったよサーバルも今の縄張りから出たくはないよね、オッケー!そこまでよろしくね」
「うん!じゃっ!そろそろいこうかー!」
「うん、わちきは大丈夫だよ!姫は大丈夫?」
「ええ、もう大丈夫よ!うふふ、気持ちよかったわ〜」
「みんな大丈夫そうね、ごめんねサーバルちゃん影狼が無理言って」
「へーきだよ!たまにはこういうのもたのしーよ!じゃっ!しゅっぱーつ!」
「サーバル気をつけていくのよー!」
「うん!」
「水分はこまめにとるのよー!」
「はーい!」
「それから登り坂と下り坂は足をくじかないように気をつけ・・」
「大丈夫だよ!」
「カバさんってまるでサーバルちゃんのお母さんだね」
「うーん、ちょっとふくざつ〜」
「もうちょっとでゲートだよ!ここの平たいのが目印なんだ〜」
「平たいの?ああ看板か・・・」
「ええ!これ かんばん って言うの!?」
「そうだよ、あと横になんかあるな?」
そう蛮奇がいいプラスチックの入れ物から紙を出した。
「これは・・・」
「地図かしら?」
「そうみたい・・・」
「と、言うことは人もいるのだろうか?」
「さ、さあでもいたとしても私や姫はフレンズで誤魔化せるし、小傘はもともと人っぽいから大丈夫、蛮奇は・・・頭取らなかったら平気だと思うわよ」
2人がひそひそ話しをしているとサーバルが驚いた表情で、
「なにこれ!?ちほーの場所がわかるの!?今さばんなちほーでとなりがじゃんぐるちほーだから、今ここか!」
2人は顔を見合わせ、キョトンとした表情になっていた。
「もしかして今まで気づかなかったの?」
「うん!」
「・・・・・ま、まあ多分観光用のやつだから日常生活には必要ないよ・・・多分・・・」
蛮奇が、ここは頭がいくつあっても足りないと思っていた時、
「きゃあああああ」
「何!?今の悲鳴!」
「向こうはゲートの方だよ!行ってみよー!」
5人がゲートに駆けつけた時、そこには巨大なセルリアンがまるでバリケードのように立ちふさがっていた。
「大きいわね、蛮奇ちゃん、影狼ちゃんどうする?」
「戦うしかないでしょ、ただ・・・」
「私らここでスペルカード使えんのか?さっきも弾幕出たけど弱かったし」
「わちき行くよ!スペルカード発動!後光!からかさ驚きフラッシュ!・・・・・嘘・・・出ない」
「ど!どうするの!」
影狼が狼狽し始めた。
「だ、大丈夫だよ!普通の弾幕なら出るし、えい!・・・・出なくなってる・・・・・」
「わ、私達、食べられちゃうのかしら?蛮奇ちゃん」
妖怪4人組がどうしてオロオロしてるのかわからないサーバルだったが、そんなことよりこの巨大セルリアンをどうするかが問題だった。
「私に任せて!みゃみゃみゃみゃ!」
サーバルがセルリアンに向かって突撃して行ったが、弱点の石が見つからないせいか攻勢にでれないでいた。
「サーバルちゃん!わちきが囮になるからさっきみたいにやっつけて!」
小傘がそういいセルリアンの側面にまわりこみ
「おーい!こっち!こっちだよ!」
「小傘!」
「あいつ!無茶しやがって!私達も援護に行くよ!姫は念のためここで待機して!」
「ええ、わかったわ、蛮奇ちゃん、影狼ちゃん、気をつけて」
影狼と、蛮奇が走り出すと、セルリアンの腕が伸び2人を追いかけた。2人は弾幕がないと自分達はここまで無力なんだと感じていた。
「あっ!あった!みゃみゃみゃ!」
3人が囮になりセルリアンがサーバルに背後を見せたので弱点の石を発見できた、そしてサーバルが強烈な一撃をその急所に叩き込みセルリアンは砕け散った。
「ふう、大丈夫!小傘ちゃん達!」
「う、うん、なんとか・・・」
「ふう、やれやれね」
戦いを終えた時あたりはすっかり夜になっていた、そして出口の前に来た時、
「サーバル、世話になったねありがと」
「エヘヘ、大丈夫だよ!」
「サーバルちゃん、わちき達と一緒に来ない?」
「え?」
「そうね、サーバルちゃんとっても頼りになるわ」
「そ、そうかな〜」
「サーバルちゃんがよければ一緒にどう?」
「それじゃあ!いく!私もあなた達のこともっと知りたい!」
こうして妖怪とフレンズの奇妙な冒険が始まった。
草の根妖怪は個人的にとっても好きです。