双子は王宮にいる兵を倒し、最後には偽りの王を討ち取った。
「よくぞ我が弟を倒し、儂を救ってくれた。我が孫たちよ」
先王は憔悴しきった声で感謝を伝える。
「儂も、もう年だ。復権したとしてもよい治世は行えない。だから、どうか儂に代わってこの国を治めてはくれぬか?」
双子は王族の血を持ち、さらには軍神の血も流れているため、その資格は十分にある。
「いえ、私は―――私たちは王位を継ぐつもりはありません」
双子の兄が返答する。
「なぜじゃ? たしかに今は国が疲弊しておるが、そなたたちなら直ぐに持ち直すじゃろ」
「魅力がないから断るのではありません」
双子の弟が言う。
「私たちは夢を見たのです」
「永遠に続く繁栄の都を」
「これはきっと神からの啓示」
「私たちはそれを成さねばなりません」
「ですから、貴方が王位に留まって下さい」
双子は代わる代わる話す。
「分かった。そなたたちは自分の道を進むがよい」
「「ありがとうございます」」
双子は祖父に背を向け、宮殿を出る。
二人の後には双子を王と認めた貴族や、彼らの武勇を聞いた兵士達が従っていった。
そして、双子とその家臣たちは新たな地を目指して歩く。
歴史に残る国家を造り出すために
ピピピと鳴る電子音で目を覚ます。
「今度はなんだ?」
慎二が確認すると
『
「おい、ランサー!」
「どうかしたか?」
「よし、今日はいるな……
「分かった」
二人はアリーナに向かう。
「はは、今回も楽勝だったな」
慎二たちは二つ目の
新しいアリーナは
「お? あいつらも来てたのか」
目の前では白野とセイバーが
「どうする? 今度こそ仕掛けるか?」
「…………」
戦闘が終わり、白野とセイバーがこちらにやってくる。
「おい、きしな……むぐ」
慎二が白野に声をかけようとしたら、ロムルスが口を塞ぎ、道の端に寄った。
「あれ? 今、慎二の声がしたような……」
白野は慎二の横を通るが気づいていない。
「(皇帝特権?)」
慎二の思った通り、ロムルスの皇帝特権により二人の姿は消えていた。
「奏者よ、休んでいる暇はない。次の敵を狩るぞ」
「なあセイバー、少し……いや、かなりハードワークじゃないかな」
「今のままでは神祖さまに追いつけない。だから奏者よ、悪く思うが付き合ってほしい」
「分かった。無理はしないでね」
二人は慎二たちに気づかず立ち去る。
「ぷはぁ……どういうつもりだよ」
口を覆う手から解放された慎二はロムルスに訊ねる。
「セイバーの目にはまだ皇帝としての光が戻っていなかった。だからまだ会うことはできん」
「はぁ、意味わかんないよ! ったく、もういい帰るぞ」
「待て!」
「今度はなに?」
「このアリーナにいる敵をもう少し強くすることはできぬか?」
「まぁ、ちょっとくらいならできるけど、どうし……ははぁ、そうかお前も頭が回るようになったんだな」
「ん?」
「隠さなくていいよ。今、あいつらは無茶して敵と戦ってる。そんな時に強い敵が出てきたら、その敵に負けちゃうもんな。
そして、僕たちは手を汚さずに勝利する。いいね気に入ったよ」
慎二はアリーナにハッキングしてエネミーのレベルを上げる。
「よし! これでいい。じゃあ、帰ろうぜ」
「……ああ」
ロムルスはエネミーと戦うセイバーを見て、頷いた。
つづく