ローマが女が王になることを認めなかったからだ。
それどころか、ローマはブリタニアからあらゆるものを奪った。
領土を財産を、挙句の果てに娘たちの尊厳まで奪った。
許せない、赦せない、ユルセナイ
組み伏せられ、娘たちが凌辱される瞬間を見せつけられた時に、
如何なる手段を用いても、
「なんかへんなゆめ」
少し前からありすは自身の経験したことのない不思議な夢を見ていたのだが、今回は雰囲気が違っていた。
「いつもはあったかい、ゆめだったのに……さっきのはいやなかんじがした」
ありすは今まで感じたことがない悪感情に身を震わす。
「ありすー、起きた? 朝ごはん出来てるよ」
ブーディカはいつもと変わらない明るい声で呼びかける。
「はーい、いまいくー」
「(なにも変わってないよね?)」
ありすはベッドを出て、食卓につく。
「ありす。ごはん食べ終わったら、
ブーディカは不自然なほど明るい笑顔で語りかけた。
「……ブーディカ」
「…………」
そして、再びアリーナ内でネロとブーディカが出会う。
「余は、その……」
「この間はいきなりいなくなって、ごめんね」
ブーディカは初めて会った時と違い、明るく話しかける。
「ちょっとビックリしちゃってさ……でも、もう気持ちの整理はついたから」
ブーディカはネロに近づき、手を差し出す。
「そ、そうか。そなたが赦してくれるなら、これから良い戦いをしよう」
ネロはブーディカの手を取ろうとする。
「赦す?」
手を取る寸前、ブーディカは魔力で剣を現界させてネロの首を狙う。
「ッ!?」
ネロはその攻撃をなんとか避け、距離をとる。
「誰が赦すだって? 旦那の死をきっかけに国を侵略し、娘達を辱めたお前たちを赦すはずがないだろ!」
ブーディカの白い衣装が黒く染まり、その瞳の色が綺麗な碧からくすんだ金に変化する。
「
「何があった? 生前のそなたは……」
「お前が
ブーディカは剣を横に振るい、ネロの言葉を遮る。
「今日は挨拶だけにしておく……帰るよありす」
「えっ、うん」
二人はマイルームへ帰還する。
「今日は遊ばないの?」
「これは遊びじゃない! 戦争なんだよ。だから、敵とじゃれあうな」
ブーディカはありすを怒鳴る。
「ママ、こわいよ……」
「ッ! ごめんね」
ありすの怯えぶりを見て、一瞬正気に戻る。
「でも、この戦いが、終わるまで、だから」
頭の痛みを抑えながら、たどたどしく言葉を紡ぐ。
「そう、全てが、終わる、その時まで……」
つづく