東方始天神   作:永夜 報

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6話 天地開闢

『すみません神琉君』

 

「・・・・・・・」

 

 

『おーい神琉君?』

 

「・・・・・・・」

 

 

『おーい神琉く・・・死んでる・・!?』

 

「・・・・・・・ハッ!?し、死んでねぇぞ!?てか顔近けぇよ!!」

 

俺が気付いた時には既に天地の顔が目の前にあった。

 

 どうやら、彼女の脳内では俺は死んでいたらしい。

 

『・・・一応聞いておきましょう。何やってたんです?』

 

「いや、暇だから瞑想でもしてたんだよ。

もしかすると強くなれるかなって!」

 

 これで俺は瞑想により宇宙の波動の力を手にした!!

俺は宇宙の意思と一体となりそのまま光へと帰る・・・!

 

『・・・手にしてもいませんし、帰りませんから

現実に帰ってきてください』

 

 ノリ悪いなぁ。

 

 ま、いいか。

 

 

 なんか真剣な顔してるしな。

 

 

 モードをおふざけモードから真面目なモードに変えさせていただく。

これは衣玖さんの能力の派生、『空気を変える程度の能力』によるものである。

 

 

『いいですか、神琉君』

 

「なんだよ・・・・急に真剣になっちゃって」

 

 天地の目は今まで見たことのないくらい真剣みを帯びている。

 

 彼女の口から今まさに放たれようとしている言葉に、

柄にもなく体をこわばらせて・・・。

 

 

 

 

 

『地球が出来ます』

 

 

 

 へ?

 

 

 

『地球が出来ます』

 

 

 

 

 ・・・・・・

 

 

 おっしゃああああぁぁぁぁ!!

 

「ち、地球誕生ってマジか!?マジなのか!?」

 

『ま、マジです』

 

「やったぜ!これで俺の地球生活が始まって、んでもって東方キャラとも会えるんだろ!?」

 

『ま、まぁ。ですが、』

 

 

「うぉおおしゃああ!!最初はえーりんだよな!?

いろんな二次小説で読んだぞ!で次が諏訪の国譲りで・・・

やったぁぁ!マジでテンション上がってき」

 

『あの、神琉君?

お喜びのところ申し訳ございませんが、まだ生命体は生まれませんよ!』

 

「うおっしゃああぁぁ・・・・え?」

 

 え?

地球誕生って言っただろ?

 

『・・・・そもそも日本も生まれてないんですよ?

少なくとも貴方の知っている人たちが出てくるのはあと20億年以上かかります。

長い間何もしてなくてボケたんですか?』

 

「いや、そんなことはないと思うが」

 

 まさかもうボケたなんてことはないだろうが、

そういわれると何となく心配になってくる。

 

 そうじゃないか。

そもそも地球が誕生してすぐに生物が生まれるわけがない。

 

 ・・・・・と、なるとだ。

 

「まさか、俺ってもう人間じゃなかったりする?」

 

『・・・・・えらく、今更ですね。

貴方は人間じゃありませんよ、勿論。

かと言って安易に神様、という訳でもありません。』

 

 あれ?でも確かお前は・・・・。

 

「神様に転生するだとか、なんだとか言ってたよな?」

 

『あれは便宜上です。と、言うよりも後に神と呼ばれるようになります』

 

 ふーん。

・・・・ちょっと待て。一つ見逃せない発言があったぞ。

 

「後に?」

 

『はい。後に、です。

・・・・・・・気づきましたか』

 

 

 まさか、こいつ。

 

 

「お前、未来視ができるのか?

しかも不確定ではなく()()()()()()が?」

 

 

『ハイ。私には何が起ころうと変わらない未来の姿を見ることが出来ます。

なので、どう誰が動こうと未来は変わらないんです。

つまりこの能力にさほど意味はないんです。

・・・・なんでそんな人を殺せそうな目で見るのはよしてください』

 

 そうはいっても、結構うらやましい。

実用性ではなくそういう能力を持っている、ということがかっこいいのだ。

 

 

 そんなことより。

 

 

『いえ、未来視の話より先にしなくてはいけないことがありましてですね』

 

「?」

 

『いえ、地球上でこれから生活をしてもらうことになるんですが、

いくつかルールを守ってほしいんですよ』

 

「ルール?と言うとどんなものだ?」

 

 正直ルールを設定する理由がわからない。

 

『簡単です。

一つ、貴方が転生者であることを伝えないこと。

まあ、これは転生・召喚モノについてはお約束ですね』

 

 まあ、分かる。

原作知識とか持ち込まれたらたまらないだろう。

 

 他には何があるんだ?

 

『次です。

二つ、私の存在について語らない。

理由は私の力があまりにも強大すぎるからです。

恐怖の対象としても信仰の対象ともなりえます、私は。

そうなると私の力のバランスが崩れてしまいます』

 

 ほうほう。

で?まだあるだろ?

 

『うーん。非常に言いづらいのですが

ちょっとばかし手違いがございましてね』

 

 ほほう。

手違いってなんだ?

 

『・・・・まさか、貴方がそんなに詳しく日本神話を読み込んでいるとは思っていなかったんですよ』

 

 日本神話?

 

『はい。貴方のせいで本来の歴史とちょっと・・・いえかなりズレが生じてしまってですね』

 

 ほう。

 

『歴史の修復なんで結構時間がかかります』

 

 ほ。

 

『なので、歴史の修復作業に大きな負担をかける時間の巻き戻しと早送りはしないようにお願いします』

 

 その程度か。

なら、全然問題はないな。

 

 

『ルールは理解できました?』

 

「ああ。

俺が転生者であることを言わない、

お前のことをしゃべらない、

時間の早送りと巻き戻しはしない、

この三つだよな」

 

『はい。覚えてくれたようでよかったです。

それでは早速、地球を創りに行きましょう』

 

「おう!」

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・まてまて。

いつかこんなことがあったような気がするが。

 

 

「お前今なんて言った?」

 

 

 

『え?ですから地 球 を 創 ろ う と言ったんですよ』

 

 やっぱりか。

 

 予想はしていたがそっから創るのか。

 

 

『それでは神琉君。

地球誕生予定地へ転移をお願いします!!』

 

 

 

 

「ここが地球誕生予定地か。何もねえな」

 

『何かあったら地球が創れませんから。

さて、まずは何を創るでしょうか?神琉君!』

 

 唐突なクイズタイム!

 

「まずは太陽を創るんじゃないか?

太陽がないと地球は生命が生きられない星だったはずだ」

 

『正解です!商品はこちらとなります!』

 

 そういって天地は一枚の紙を掲げる。

 

 ん?紙?

 

『危ないですから、下がってくださいッ!!!』

 

 やっぱりあの威力のおかしなスペルカードか!

 

 

 

 

 

「陽生ッ!」

 

「『満霊天照之始法(まんれいあまてらすのしほう)』ッ!!!」

 

 

 結果からいうと太陽が完成した。

 

 

 

 次に彼女は水星や金星といった惑星を創り始めた、が長いんで割愛!

 

 

 

 そして最後に。

 

 

 

 

『久々ですよ。こんなに緊張したのは』

 

 

 地球を創るときになった。

 

「久々?どれぐらい時間がたっているんだ?最後に緊張した時から?

お前の久々、っていうのはすげえ長い時間なんだろう?」

 

『そうですね。たぶん私が最後に緊張したのは、10の68乗年以上を軽く超えると思いますよ』

 

 ほう、そりゃ世界を何周も何周もしていておかしくないな。

それがこいつの強さの理由か。

勝てる気がしないな。

 

 

『さあ!

だらだら引き延ばしても意味がないので!

さっさとやります!』

 

「おう!よろしく頼むぜ!」

 

『・・・・・正直ここで無詠唱なんてするとは思わなかったんですよね。

ではいきます!!』

 

 天地が息を吸う。吐く。

 

 

 

その魂の言葉とともに。

 

 

 地球が。生まれる。

 

 

「天地ッ!!!」

 

 

 

 

 

 世界が。

 

 

 

 始まりを刻む。

 

 

 

「開闢ッ!!!!!!」

 

 

 

 その言葉が刻まれた瞬間に、

 

 

 大きく、しかし美しい音が鳴り。

 

 

 全てを吹き飛ばすような強く、それでいて優しい風が吹き。

 

 

 荒々しくも、懐かしい大地が目の前にはあった。

 

 

 

 

 

 地球誕生。

 

 確かに俺の知っている地球とは全く違った。

俺の知っている地球はもっと蒼く、整っていたが。

 

 

 

 それでも分かる。

 

 

 ここが俺の住んでいた星なのだと。

地球なのだと。

 

 

 

『・・・・・なんかすごいですね。』

 

「・・・・・・・・・ああ。

今までは知らなかったが、ほんとに地球ってのはすごい星なんだな」

 

 

 ここが俺たちの星。

俺たちが生きる星。

 

 

 

 

 地球の歴史が、今刻まれ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 東国まであと45億と5000万年。

 

 

 

 

 

 

 日本神話の開始まで。

 

 あと42億年。

 

 

 

 

 

 




 遅れました。申し訳ございません。


 なかなかにはっちゃけた話ですみません。









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