東方始天神   作:永夜 報

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 遅れてすみませんでしたぁ!
ちょっとばかしリアルが忙しかったので。

 あ、UA4000突破ありがとうございます!
これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。

 タイトルでも微妙に察せそうですが『随』を買いました。
個人的には、『奉』に並ぶぐらいよかったですね。


 そんなことより、一昨日より『オールドモチーフの呪い』なる言葉が頭の中を反芻するのですが。助けてください。


16話 夜と夜と夜と昼の随で

 太陽がまぶしい。言うほど長い間潜っていたような気はしないが、目がチカチカする。

 

「くぅ!やっと戻ってきたぁあ!やっぱり地上が一番だな!!」

 

 俺の後に続いて隙間から出てきたスサノオが伸びをして言う。

なんだ、その旅行から帰ってきて「まあ、ホテルもいいけど家が一番だ」みたいなの。

 

 確かにそうだと思うけどな。

 

 そう、俺たちは今まで黄泉の国に潜っていて、今帰ってきたところなのだ。

ちなみに、黄泉の国じゃあスサノオの母さんをスサノオと切り捨ててきた・・・・・言葉だけだと鬼畜だな。

 

 俺はふと気になってスサノオに問うてみる。

 

「なあ、お前これからどうすんの?海原からは追放され、結局黄泉の国も行く気ないんだろ?

行く当て無いじゃん。どうやって生きていくつもりなんだ?」

 

 そう、スサノオは今、家無し、金無し、知り合い無しと、割と詰みだ。

原典じゃあ、高天原に行っていろいろやらかして、結局地上に追放だったが・・・・?

 

「俺は、高天原に行くよ。地上に行く前に姉ちゃんにあいさつと自慢をしてこなきゃな」

 

 なんだ、史実通りか。まあ、自慢できるかどうかは果てしなく謎だ。

自慢するって言ったって、『俺、ゾンビの母さん見てきたんだぜ』って?自慢になんねえよ。

 

 まあ、せっかく高天原に行くってんなら・・・。

 

「ほれ、餞別だ」

 

 そういって俺は、さっきと同じように剣を投げ渡す。

ただし、さっき貸した命霊之天剣ではなく、俺が作りたてほやほやの刀、鈍色之黄泉剣だ。

 

「なんだ、さっきのあの剣かと思ったのに」

 

 但しスサノオは不満そうだ。何を言ってるんだろう。その剣多分普通の神具よりも何倍も強いと思うんだがな。

まあ、確かに天剣よりは見た目もしょぼいし、弱そうだ。

 

「ま、そう言うなって。もらっときな、いつか役に立つかもしんねえしな」

 

「・・・・ありがとな」

 

 俺がもらっとけと、スサノオは一応お礼をしてくれた。

素直な孫が出来て俺は嬉しいぜ。・・・まだ爺ちゃんなつもりは無いけどな。

 

 

「そんじゃ行ってくるなぁ。またいつか会おうぜ、じいちゃん」

 

「おう!それまで元気で生きろよ!・・・っとちょっと待て、助言をしてやろう」

 

 スサノオが、天空に上ろうとしたが、俺は引き止める。

こんなパターンは、イザナミの時にもあったような気がするがまあいい。

 

「助言?一体何を言うつもりだ?」

 

 スサノオは疑問符を頭に浮かべて、首をかしげて問う。

 

「取り合えず、聞いててくれ。覚えてなくても、覚えててもどっちでも俺は構わないんだがな。

じゃあ行くぞ、まず・・・・迷惑をかけるのは程々に、周りをしっかり見ろ。そしてたとえ怒り狂ったとしても息を整えろ。暴虐が目の前に現れたなら、知で切り捨ててやれ。最後に・・・・いつかお前のもとに来る、『王』には力を分け与えてやれ。いいか?」

 

「・・・まあ、分かった」

 

 俺の助言は、全て神話の中でスサノオに関係することだ。このことをスサノオが実行したら、世界が大きく変わるのだが、別にいい。天地がどうにかしてくれるはずだ。

 

 スサノオは、半分理解、半分疑問のようだ。

 

「じゃあ、元気でなぁ!」

 

「・・・ああ」

 

 それで、結局スサノオは高天原へと昇って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん・・・どうすっかなぁ・・・・!やることが無い!」

 

 てなわけで、暇。

スサノオは、どっか行っちゃったし、ヘカーティアと永琳は居場所分からないし、またここらへんで寝転んで寝てようかな。

 

 て、言うことでお休み!

 

 

 

 

「とうさーん!助けてくださーい!?」

 

 

 

 ・・・・なんか聞き覚えのある声だ。具体的には、三貴神の二番目。

何だ?何をやったんだろう?そう思って、声のした方向へと飛んで行ってみると・・・。

 

 

 地べたに座り込んで、叫んでいる少女・・・失礼、少年がいた。

そう、『夜の最高神』ことツクヨミちゃんである。

 

 何やってんだ?いや、マジで。

 

「どうした、ツクヨミ?お前、夜を治めるんじゃなかったか?」

 

 なんで、そんな神様が葦原の中つ国にまで下りてきてるんだ?

 

「いやぁ、アマテラス姉さんと喧嘩して飛び出してきちゃったんですよ」

 

 飛び出してきちゃったんですよ、じゃねぇ!

何やってんだよ!?職務を放り投げて何してんだ!?

 

 おう、えへへ・・・。じゃねぇよ!?マジでさぁ!?

 

 あー、もう!手伝ってやるしかねえじゃんかよっ!

 

 

 

 

 

「まず!計画もなしに飛び出してくるんじゃねぇ!あとあと面倒くさくなるだろ!」

 

「申し訳ございません・・・」

 

 いま、俺の前にはツクヨミが正座している。そんで、説教タイムだ。仕方のないことだ。何も考えずにこの葦原の中つ国に降りてくる事自体、神様にあるまじきことなのだから・・・・え、俺?例外だよ。

 

「そんで!自分の仕事ほっぽらかして、何やってんだよっ!この地上で夜を治めるつもりだったら嗤うぞ!?

てか!今までどうやって夜を治めてたんだよっ!?」

 

「なんとなくで・・・・」

 

「なんとなくって何だよ!てか一人で治めてたのか?」

 

 もしツクヨミ一人で夜を統治していた・・・具体的には、夜の時間を設定して、ほとんどの星を動かして、なおかつ月の軌道も管理して、夜の全てを支配していたのだとしたらそりゃ、すげぇ。

 

「はあ、僕一人で治めていましたけど・・・」

 

 マジかよ。すげぇな。じゃなくて!

・・・・分かった。こいつあれだ、クラスで一人だけ問題解けてて、「え?なんでみんな解けないの?」とか言っちゃって敵を増やすようなタイプだ。

 

「・・・・まあ、いいや。でも、一人で夜を治めていたの大変じゃなかったか?誰かに手伝ってもらったりとかすればよかったのに」

 

「いえ、一人で十分間に合っていましたので・・・・」

 

 ・・・・。なんかイラっとくんな。

 

「・・・はぁ。人を増やして都市を建てるぞ。それで、夜をもっと効率的に治められるようにしろ。俺も手伝ってあげるからさ」

 

 何故だろう。無意識にため息が出てしまう。

 

「わ、分かりました!確か何人か手伝わせてくれって言ってる人もいたので彼らを連れてきます!」

 

 何だよ、手伝ってくれる奴いるじゃねぇか。

 

 

 

 

 

 

 

 さて。

 

 先ほどツクヨミに人手を増やす、と言ったのだが。

 

 正直なところ、伝手はたった一つしかない。

 

 そう、月の賢者様、八意 永琳だ。でも、消息不明でどこにいるかわからないんだよなぁ。

 

 他に、月関係で頼めそうな奴ら・・・・。

 

 よし、まず東方の『月』に関係する人々を思い出していこう。

 

 

 まず、ウサギ。これは月にいるだろうから論外。

次に、永琳。消息不明だから後回し。

 

 かぐや姫こと、蓬莱山 輝夜。今、この世界に生まれているかどうかは知らないが『蓬莱山家』ならあるかもしれない。一応考えておこう。

 

 綿月姉妹。どうなんだろう。確か永琳の遠縁の親戚だという記述を見たことがあるので、すでに誕生していてもおかしくはない。

 

 稀神 サグメ。この人は絶対にいる。だって元ネタは『天探女』だったはずだ。

いつか巡り合えるといいけど・・・・。

 

 他には・・・これで全部か?

なら、ちょっと探せばすぐ見つかりそうだな。良かった。

 

 俺は安心して、背後に立っていた女性に話しかける。

 

 

「久しぶりだな、永琳」

 

「あら、バレていたの?久しぶりね」

 

 

 俺が話しかけると、何もない空間から突然赤と青の服の少女が現れる。手には小瓶を持っている。どうやら自分で作った薬で姿を消していたようだ。

 

 

「・・・何やってんだ?」

 

「懐かしい顔を見たもんで、驚かしてみようと思ったのよ」

 

 そういって永琳は、別の瓶の中に入っている液体を飲む。すると永琳の姿はたちまち消えてしまった。

どうやら、能力を完全に使いこなせるようになったみたいだな。

 

 じゃあ。

 

「なあ、永琳。ちょっと頼みごとを聞いてはくれんか?」

 

 永琳は小首をかしげて、何かと聞いた。

 

「ちょっとばかり、手伝ってほしいことがあってな。一緒に夜の都を整えてはくれないか?そしてそのままツクヨミに仕えて右腕となってくれると嬉しい。どうだ、やってくれるか・・・・っと、答えを急ぐことはないぞっ・・・」

 

「やるわ。丁度ぶらぶらするのにも飽きてきてたのよ。いい頃合いだわ」

 

 

 即答だった。ならばお言葉に甘えて頼むことにしよう。

 

「ありがとな」

 

 感謝の気持ちを永琳に伝える。事実永琳が仕えてくれなかったら歴史・・・・というか、原作が崩壊するからな。すると永琳は、にっこり笑ってこう言った。

 

「この程度じゃ返しきれないのよ、貴方からもらった恩はね。貴方のおかげで、私は知識と、意識と、そして名前を得たの。それが無ければ今の私はいなかった。礼を言うのはこっちの方ね」

 

 そんな大したことしてないと思うけどなぁ。

そもそも、俺という『イレギュラー』が、この世界を混乱させてるんだがな。

 

 

 

 

 まあ、いいや。結局予定通りに進んでるっぽいし。

 

 

 

 

 

 




 ちょっと短いですがお許しください。

 次こそは、ちゃんと古代編に入れます。


 ♢たぶん。




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