東方始天神   作:永夜 報

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 かなり長いですんで、注意。

 タイトルはここ最近で一番お気に入りです。






15話 黄泉の唄~Izanami object

 

「俺も行く予定だったんだ。一緒に行かないか?」

 

「・・・・・へ?」

 

 スサノオはどうやら理解できなかったようだ。まあ、仕方ないだろう。

まさか、イザナギはダメと言ったのに、その上の父であるような俺はいいと言ったのだから。

 

 口をぽかんと開け、涙を流していた眼を見開き擦る、スサノオ。

こいつの性格は、全くわからない。冷静に心を読むとか、いきなり泣きわめくとか。

 

個人的には、暴虐な神様のイメージが一番強いがね。こいつ、原典でも性格が初期後期で変わってるしなぁ・・・。後で問いただしてみるか。

 

「・・・・どういうことだよ、じっちゃん?」

 

「そのまんま。最近、イザナミの様子見てなかったし、お前も黄泉の国行ってそこで暮らしたいんだろ?

だから俺が様子見るついでにお前を連れてってやろうかな・・・・・って」

 

  スサノオはこちらを探るような眼付きで見てくる。お前さっきまで泣いてただろうに。

一瞬で表情も視線も変えやがって。可愛くない孫だなぁ・・・・。

 

「・・・・じゃあ、連れて行ってくれよ。まだ会ったことのない母さんに会いたい。

それでツクヨミと、アマテラスに自慢してやるんだ!」

 

 堂々と言い放つ、スサノオに俺は苦笑する。自慢できるようなものではないだろうからだ。

腐敗した肉体、怨みに落ちた精神。そんな母を見てもスサノオは大丈夫だろうか・・・・?

 

 

 俺はそう思って目の前の少年を見る。

強き決意を込めた黒い目。一歩たりともひかぬという意思を窺えるその表情。

それは、今まさに俺たちが会いに行こうとしているイザナミの特徴と一致した。

 

 こいつなら・・・大丈夫だ。伊達に、三貴神の一柱じゃないな。

 

「そんじゃ、いくぞ。まずは黄泉の国への入口を探さなくては」

 

 イザナギが一番わかりやすい入り口を閉じてしまったので、別の場所から冥界へと入らなくてはいけない。まあ、イザナギが閉めたところから入ったっていいのだけども。

 

「分かった!じっちゃん!」

 

 スサノオは元気に返事をする。こういうところは、流石あの二人の子供だ。

 

 ・・・・というか、じっちゃんって言われると本格的にじいちゃんみたいだな。

俺はまだまだ『中学生ソウル』のはずなんだが・・・。

 

 

 

 

 割と彷徨ってやっと見つけた黄泉への入り口は、十センチも空いてりゃいいレベルの小さな穴だった。それでも禍々しい、近寄るだけで吐き気のする感覚はここが黄泉の国への入り口だということを強く主張している。勿論、誰も入れない。大きさ的にも、気分的にも。入れるのは小人ぐらいかな?大きさ的な意味だと。

 

 指を突っ込んでみる。なにかに引っ張られる感覚が自分の指先を襲う。たぶん、黄泉の国に引きずり込もうとしているのだろう。もっともっと、死者という自分の仲間を増やすために。

 

 まあ、あいにく俺は引きずり込まれないだけの力も、引きずり込まれたとしても帰ってこれるほどの能力も持っているがね。たぶん。

 

「・・・・じっちゃん、ここ入んの?」

 

 スサノオは穴に向かって指をさし、顔を引きつらせて聞いてくる。

入り口でさえこの瘴気だ。中になんて入りたくないだろう。当たり前だ。

 

 俺はスサノオの疑問に答えてやる。

 

「母さんに会いたいんじゃないのか?ここで行かなかったら・・・・・もう二度と会えないかも・・・・

 

「分かった分かった!!行くから行くから!・・・しかし・・・・黄泉の国っていったいどんなところなんだろう・・・・入り口でこれだと・・・・」

 

 スサノオがぶつぶつ言いながら黄泉の国へと入っていく。

俺もその後ろに続いて入ってみる。真っ暗な空間で体がグニャグニャと歪むような感覚。それなのに痛みや苦しみがないのが逆に不安を煽る。但し気分は悪くなる。そんな空間を数十秒体感したところでどこかに吐き出された。

ここは・・・・黄泉の国か。地上の夜よりも暗い世界。いるだけで命に危機が及ぶような空間。

 

 俺らが落ちてきたところは黄泉の国と現世をつなぐ場所だった。デカい岩が道をふさいでいることから、イザナギが逃げる時に使ったルートであることがよくわかる。

 

 スサノオは地面に倒れていたが、頭を振って立ち上がる。

そして周りを確認した後感想をつぶやく。

 

「ここが黄泉の国か・・・・。あんまり気分のいいとこじゃないな・・・住むには向かなそうだ」

 

「同意するぜ、スサノオ。まあ、ここまで来たならイザナミに会いに行くか」

 

 そうして俺たちは、黄泉の奥のほうへと歩き始めた。

 

 

 

「桃ノ木・・・・なんでこんなところに?」

 

「こりゃあ・・・・あれだ、『オオカムヅミ』だな。おめえの父さんの救世主みたいなもんだ。

これにお祈りとかしとけば、もしかしたら良い事あるかもしれないぜ」

 

「ふーん・・・・」

 

 俺たちは黄泉比良坂と呼ばれる坂をゆっくり登って行った。

しかし、地底の国なのに坂を上るって面白いな。完全に異空間なんだな。

 

 スサノオは桃ノ木に向かって礼をしている。律儀だなぁ・・・。

そういえばちょくちょく、『魔物』みたいなのを見かける。

 

 本当に、この黄泉の国は魔物と死霊の帝国なんだな・・・・。

 

「・・・・そういえばスサノオ。お前の性格って結局どれが本当なんだ?

泣き喚く性格と、今の性格が同じようには俺にはどうしても思えんぞ・・・・・」

 

 気になっていたことの一つを聞いてみる。

スサノオが答えてくれたことにどうやら、普通に感情の起伏が激しいだけなようだ。

 

 そんなことを駄弁りながら歩いていると、いつの間にか神殿についていた。

神殿というよりかは・・・・でっかい掘立小屋みたいな感じだ。

 

「なあ・・・本当にここ入るんだな!?本当なんだな!?」

 

 スサノオは、ビビってる。当たり前か。

神殿からは、死臭や瘴気が漂ってくる。近寄りたいやつはいないだろう。

 

 まあ、ここまで来たなら行くしかないんですが。

 

「本当だ。さあ、さっさと入るぞ」

 

「・・・・・ぐわあああ!!マジで言ってんのか!?」

 

 スサノオが頭を掻き毟って悶えるが、仕方ないだろう。

さっさと、覚悟を決めやがれ。

 

 俺は腐りかけた扉を押して開く、スサノオはその後ろをついてくる。

 

 

 

 

 

 神殿の中は暗く、人っ子一人いない・・・・ように見えた。

だが、この腐った気配と瘴気の揺れる様子は分かる。

どれだけ巧妙に隠されていようとも。スサノオは感知できなくても。俺は一応生命神だからな。

 

「いるんだろ?イザナミ」

 

「えええ!?母ちゃんいんの!?」

 

 スサノオは驚いて周りを見回す。が、周りには暗闇が見えるだけ。

しかし、神琉がそういってすぐ聞こえてくる声があった。

 

「・・・・さすがです、神琉様。気づかれていましたか」

 

 この世の・・・・この世じゃなかったか。まあいい。

この世のものとは思えないほどのおぞましい声が、聞こえた。その声は死そのものでもあった。

未だに姿を見せることはしないが、その声だけでイザナギ・・・・いや、俺たちもか。

俺たちに対するとんでもない憎悪が感じることが出来た。いや、感じざるを得なかった。

 

「・・・・馬鹿にしてんのか?気づかないわけないだろ」

 

「うふふふ・・・・。実に素敵です、神琉様。ずっとそばにいてほしいぐらいに・・・・!」

 

 声だけが聞こえ、それと会話を続ける。スサノオは震えている。無意識にでも感じているのだろう。

 

 

 少しずつ近づいてくる、邪悪な気配に。

 

 

 

「・・・・なにがしたい、イザナミ?俺には理解しがたいなぁ」

 

 イザナミは笑いを含んだ声で答える。

 

「なに、簡単ですよぉ・・・・イザナギとまた一緒に過ごせるように、たくさんの、イザナギの愛している人を殺すのですよぉ。殺して殺して殺して殺して殺して殺して・・・・うふふふ・・・・。

神琉様を殺せば来てくれるでしょうか・・・そこのガキも。愛しい私の夫・・・・」

 

 ガキ呼ばわりされた、スサノオ。しかし彼はそんなこと、もう気にも留めていない。

最初はただ近づいてくるだけだった邪気が徐々に強くなり、今はもはや神殿を揺らすほどの揺れまで伴っていたのだ。スサノオはもちろんそっちに気を取られる。

 

「なっ・・・・!何だよこの揺れぇ・・!?」

 

 スサノオの叫び。だが・・・・。

 

「スサノオ!叫ぶ暇があったら、神殿を出ろっ!崩れるぞ!」

 

 もはや、神殿は揺れるだけでは収まらず、完全に崩れ落ちようとしていた。

俺はスサノオの手をつかみ引っ張って、外へ飛び出る。

 

 外に飛び出した瞬間、神殿が音を立てて崩れ落ちた。

そして崩れた神殿の瓦礫から、飛び出してくる八体の邪神と十八体の獣たち。

 

 最後に完全に腐り、瘴気と殺意と狂気を交えた黄泉の女神、イザナミが登場した。

もはや生前の面影はほとんどなく、ゾンビと言っても差し支えないぐらいだ。

 

「・・・・母ちゃんか?」

 

 スサノオは呆然として聞く。ああ、そうだ。これが前の母親だぜ。

眼を見開きその姿を見るスサノオ。それと対照的に、狂気の笑みを浮かべこちらを見るイザナミ。

 

「・・・・ふふふっ。私が母親、ですか?・・・・と、なると・・・・あなたはスサノオですね。イザナギの子供の。・・・・・なら・・・・貴方を殺せば・・・・イザナギは来てくれるのかも!」

 

「・・・・大分堕ちたな、イザナミ。その性根を叩きなおしてやろうか?」

 

 イザナミのある意味ヤンデレ発言を、俺はぶった切ってやる。

てか、言ってることが怖すぎるんだよ、イザナミ。

原典でも、千人殺すとか言ってたしなぁ・・・・。

 

「ふふふふ・・・・いいです、神琉様。遊びをしましょう」

 

 イザナミは唐突に、不気味な提案をしてくる。

 

「遊び?こんな場所で?・・・何をするつもりだ?」

 

 気味の悪い笑いと、声でイザナミは囁く。

 

「・・・遊び。私のかわいい子供たちと遊んでくださいな」

 

「遊び、ねぇ・・・・遊ぶどころか意思も通じそうにないんだが」

 

 それらは人の形をかろうじて保っているが、目は血走り、口からは涎を垂らす、まるで意思など感じられない見た目だった。獣に至ってはその名の通り、『魔獣』と呼ぶにふさわしい見た目だった。

 

 そいつらと、遊ぶ。遊ぶのだ。

 

 

 

 ・・・まともな遊びじゃねえことは確かだなぁ?

 

 

 俺がそう考えたのを分かったかのように、イザナミがルールを説明する。

 

「決まりは簡単。私の子供たち相手に生き残れば勝ち、です。貴方達はこの黄泉の国から解き放たれます。

しかし・・・・・負けて死んでしまえば・・・・・永遠にここで過ごしてもらいましょう。死人として!」

 

 確かに簡単だ。勝利条件、生き延びること。シンプルで本当に最高だ。

 

 

 俺は隣に立つ少年を見る。脚は震え、目を見開き、冷や汗でびっしょりの。

仕方がない。ここで負けてしまえば死、だ。それも永遠の苦しみを背負った。

 

 たぶんスサノオは、黄泉の国なんて来るんじゃなかったとでも思っているのだろう。俺はスサノオに、話しかける。緊張を緩ませるために。

 

「なあ。スサノオ」

 

「何だよっ・・・・!じいちゃん!」

 

 スサノオは今、緊張の頂点に在った。声を発するだけでも強い精神力と体力が必要とされる。

勿論死の危機に立っているからだ。それでも絶対に弱音を吐こうとしないスサノオはマジすごい。

 

 てな、訳で。

そんな偉い子には・・・・・。

 

「スサノオ、これ持ってろ」

 

 俺はそう言ってあるものを投げ渡す。スサノオはそれを受け取る・・・・と、同時に驚く。

 

「なんだ、この剣!?重さが無い!?」

 

 俺が投げ渡したのは俺が昔に始力を使って精錬した、『命霊之天剣』。

それは、驚くほど『軽く』、驚くほど『切れ味のよく』、そして驚くほど『生命力』に満ち溢れていた。

 

 ・・・・・そーいえば。この剣、人に渡すなって天地が言ってたような気がする。まあいいか。

 

 

『良くないですよ!悪用でもされたらどうするんですか!』

 

 

 ・・・・・空耳かな?空耳に違いない!

 

 俺は、強そうな剣を手にして喜ぶスサノオに言葉をかける。

 

「その剣、お前なら使いこなせるだろう?目標は合計4体。そいつらを4体倒しとけ。あとは全部俺がやっとくから。ついでにイザナミもな」

 

「クスクス・・・・・そんな小僧に私の子供が4人も倒されるわけないでしょう?

そしていくら神琉様と言っても、22体の我が子と私相手にどこまで戦えますか?」

 

 イザナミの言ってることは割と正論だ。多分こいつら、並の神様よりかは強い。

てか、8体も集まれば三貴神と並ぶかもしれん。

 

 ぶっちゃけ、お手上げだろ。

 

 

 俺の力が、その程度だとイザナミが思っているんならな。

 

 

 俺は全力で、自分の持つすべての言語を込めて、イザナミを挑発する。

 

「慢心だな、イザナミ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()この俺に勝てると!?

死んでから随分と強く、偉くなったじゃねぇか!てめえのその腐った心と体なんぞ、俺の前じゃお前がどれだけ居たって無と同じだ!」

 

 俺はそこで息を吸って最後の挑発をする。

ちょっとしたセリフを借りて。

 

 

 

「手加減してやるから、全力でかかってこい。もう一遍ぐらい殺してやるよ」

 

 

 

「くッ・・・・!調子に乗ってェ・・・!やってやれ、魔獣ども!!邪神ども!!

ここでそいつを倒せば、今日の夕飯は久々の神の肉が喰えるぞ!?そいつを八つ裂きに、肉片にしてしまえ!!」

 

 イザナミがキレて、とうとう本性を現した。どうやらありゃ完全に別人になっちまったようだ。

 

 

 だが、俺はイザナミの言葉には耳を傾けず、スサノオに向かって語り掛ける。

 

「さっき言ったことを、覚えているか?魔獣を4体。それを倒せば後は終わりだ。俺が終わらせる。

だから、アドバイスだ。『やりたいように狩れ』。それだけだ。事実、その剣にはそれだけの・・・・・

いや。お前にはそれだけの力がある」

 

 スサノオに向かって一気に語り掛けると、スサノオは強くうなずいた。

 

「分かった、じいちゃん。でも、そんだけ大口叩いて死ぬんじゃないぜ?帰れなくなるからな」

 

 こんなときでも冗談を言うか。呑気だなぁ・・・・。

 

 スサノオは、魔獣の一体に切りかかっていく。

剣を一度振り下ろしただけで、魔獣の腹は切れ、黒い血のような物が噴射する。

 

「すげぇ!この剣、使いやすい!」

 

 スサノオは笑顔で魔獣の身体に切り傷を増やしていく。怖い。やっぱり暴虐な神様のイメージで間違ってなかった。

 

 見ている間に、なんともう一体の魔獣を殺してしまった。

これは剣のおかげもあるだろうが、そもそものスサノオの実力が高かったことだろう。スサノオは2体目へと切りかかっていく。

 

「見ている暇などありますか!行け、邪神ども!8体同時でだ!」

 

 8体同時に、邪神が切りかかってくる。そいつらは般若の表情を浮かべ、声にならない怒声を呻き、剣を振り回す。俺は、逃げ回ることしかできない。理由は剣を持っていないからだ。さっきスサノオに渡しちゃったからな。

 

 まあ、逃げ回ることも容易なのでこいつらを相手にするのは全く難しくない。

正直、スサノオが4体倒すまで逃げることも余裕だ。

 

 全く捕まらない俺を見て、イザナミは憤怒の表情を浮かべ、怨みの言葉を叫ぶ。

 

「早く捕まえろ、邪神ども!魔獣も加勢しろ!」

 

 数体の魔獣が、こちらによってくるが、俺を捕まえることなどできない。

と、ずっと逃げ回っているとスサノオが4体の魔獣を倒したようだ。正直早すぎる。

 

 

 

 てな、訳で。時間稼ぎはここまで。

 

 

「鈍刀『鈍色之黄泉剣』。ここからは本気だ」

 

 俺は始力で、わざと錆びた刀を創り出す。当然、イザナミは侮ってくる。

 

「なんですか?その程度の鈍刀が本気?逃げることしかできない神様なのですか?」

 

 イザナミの嘲笑。正直不愉快だ。いくら精神が崩壊してしまってるといっても、あの陽気なイザナミの顔で煽られると、怒りが浮かんでくる。

 

 だが、その感情は顔には出さず。代わりに俺はこんな言葉を口にして、嗤ってやる。

 

「鈍刀・・・・()()()()()()()()。こういうことだ」

 

 そういって俺は、物語中最大の糞チート、どっかの吸血鬼だとか、瀟洒なメイドさんとかが良く使ってるアレを発動させる。

 

 

 

「『世界(ザ・ワールド)』・・・てな」

 

 

 

 瞬間。

 

 

 すべてが制止する。人も、神も、無機物も、風も、そして・・・・時の流れさえ。

 

 今この世界上で動けるのは俺と、天地だけだろう。

 

 そうッ!!皆様ならお分かりだろう!!これは・・・・『時間停止』であるッ!!

 

 俺がやりたかったことのまず一つが・・・・ついに達成したッ!!

しかも時間制限はない。最高にハイである。実にすがすがしい気分だ。

 

 そして2つ目だ。

そう考えて、周りから見ると多分とても邪悪な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺は時間停止を解除する。

時間停止の空間の中で何をやっていたか。それはいたってシンプル、そして分かっている人もいるだろう。

 

 

 まずは・・・・。

 

「・・・・ガ?」

 

 残った魔獣、邪神を鈍刀で一掃した。

イザナミは突然倒れた子供たちに困惑を隠せないようだ。

 

「なっ・・・!何をした、始天輝神琉ゥウウウ!?」

 

 そして、2つ目。

聡明な皆様ならお分かりだろう。時間停止、ザワールド、とくれば・・・・。

 

「そんなこと聞いていいのかね?自分の目の前に集中しろよ」

 

「は・・・・?グハァアア!?」

 

 周りに気を取られていたイザナミは、自分の真正面から飛んでくる鋭い鉄に気づかなかった。

 

 そうッ!!

 

 

 時間停止と言えば、投げナイフであるッ!!!!

 

 

 そして真正面からだけではなく、様々な方向からも飛んでくるナイフ。

それらに次々と、串刺しにされてイザナミは既に針山状態だった。

 

「グフッ・・・・これは・・・・いった、い?」

 

 口から血のような何かを垂らしながら呻くイザナミ。

その姿にもはや、哀れみなど覚えない。

 

 だから。とどめを刺す。

 

 

「てめぇの敗因はたった一つだぜ、イザナミ」

 

 俺はもはや満身創痍のぼろ雑巾の、イザナミに指をさして宣言する。

そして、あっけにとられていたスサノオも近づいてきて言う。

 

「たったひとつの簡単(シンプル)な答えだ」

 

 分かってるねぇ、スサノオ。

まあ、このセリフは吸血鬼じゃないほうなんだがね。

 

 

 

 

「「てめぇは俺らを怒らせた・・・!!」」

 

 

 

 

 

 そういってイザナミを2つの刀で切り裂いた。

彼女は、断末魔の悲鳴を上げその場に消失していった・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、やっと終わったか。ならこんなところからさっさと出ようぜ。気分悪くなった」

 

「同意だぜ、じいちゃん。でもどうやって出るんだ?確か入り口は、石でふさがれてなかったか?」

 

「あ、そうそう。俺どこでも好きなところに転移できるの忘れてた」

 

「・・・・ふざけんなよ・・・?最初黄泉への入り口探すのにどれだけかかったと思ってんだ!?」

 

「ごめんごめん・・・・さっさと出ようぜ?」

 

「・・・・ああ。それじゃあな、黄泉の国。できれば2度と来たくないぜ」

 

 

 

 そうして二人は元の世界に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 最後のほうの、疾走感とネタ臭が半端じゃない。
最初のほうはシリアス気味だったのになぁ・・・。

 しかしこの話、全然東方キャラ出てこないですね。



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