第一目標を、評価バーに色を付けることにしました。
てなわけで、評価お願いします!!
「よっ・・・・と」
俺はふわりと立つように高天原へ降りる。
久しぶりの地上だ。
最後に永琳と別れてから、また二百年ぐらいたっただろうか。
あの後俺は、まずパンデモニウムに行った。
あの惑星、魔力を俺が使いやすくするとか言ってたような気がするが、あれを動かすにも魔力が必要だ。
その魔力を・・・充電?するために星で百年ぐらいとどまってた。
いやぁ・・・割と退屈だったね。
最近はいろんな人と話してたから、もっと退屈に感じたな。
何もすることがなかったから、天地に頼んで東方の新作借りたりしたなぁ・・・。
まあ、STGあんまり得意じゃないんだけどね・・・・。
そんでパンデモニックの充電が終わった後、久しぶりに我が愛娘、ヘカーティアに会いに行こうとしたんだ。
全然見つからなかったよ。あいつどこほっつきまわってんだ?
宇宙の果てあたりまで探しにいったんだがな・・・・。
いないってことは異世界かどっかにでも行ったか?
親としては心配な気持ちもあるが、あいつ強いし多分不死身だろうし、大丈夫かな?
で、あとはそのうちツクヨミとかが移住する月のコンディションも整えておいた。
多分あんまり必要ないとは思うけど。
久方ぶりの高天原は様子が全く変わっていなかった。
何もない、草原が永遠のように広がっている。
まあ、何にもないパンデモニウムや月よりはきれいで、目に優しい場所だ。
疲れたから寝ようかな・・・・。
「やれやれ・・・・神琉君いっつも寝てますねぇ・・・・」
「・・・みなかか」
「はい。みんなの最高神様こと、みなかですよ?」
俺が寝ようとして寝っ転がると、どこから湧いてきたのか、みなかがやってきた。
こいつも天地と同じで神出鬼没だ。ビックリはしないが心臓には悪い。やめてほしい。
「呑気ですねぇ・・・・割と下では大変だっていうのに・・・」
ん?下?
下界のほうの事か?
「ええ。国造りの最中に事故でイザナミが死んでしまいましてね。
怒りに怒ったイザナギが、その時に生まれた子供の首をこう・・・・」
みなかが首を斬るジェスチャーをする。
俺は顔をしかめる。くそ。助言はやっぱり意味がなかったか。
「それでカグツチの首を掻き切った後にイザナミを迎えに黄泉の国まで行ったのですが、
・・・・まあ、変わり果てたイザナミの姿を見て逃げ帰ってきたところです」
はあ・・・・・。
「・・・・下界降りてくるよ」
「・・・・気をつけてください」
俺が下界に降りると、夜明け前で雨が降っていた。
そして黄泉の国からの出口の前に佇むイザナギがいた。
「おい・・・・・イザナギ?」
イザナギは下を向いて拳を握り締めていた。
爪が食い込んで血が滴るほどに。
「・・・ど・・して・・・!・・・・・どう・・・して!!」
彼は泣いていた。
俺はその様子を見て声をかけることをためらう。
「どうしてッ!!彼女は死んでしまったんですかッ!!」
それは彼の心の底からの叫び。
共に長き間寄り添い、国を創り、正に一心同体だった二人。
「何故ッ!!僕たちは引き裂かれてしまったのですかッ!!
何が・・・・・。何が悪かったのですか!!
僕ですか!?彼女を拒んだ僕が悪いのですか!?
それとも彼女ですか!?彼女が死んだのが悪いのですか!?
我らの子供ですか!?彼女を殺したあの子供が悪かったのですか!?」
彼は、叫んだ。
己に降りかかる、愛する者との別れに、その理不尽に抗おうとして。
それでも・・・・過去は決して変わることはない。
「教えてください・・・・神琉様。
貴方はこのことを知っていたのでしょう!?僕たちの末路を!この哀れな結果を!
どうして・・・・・教えてくれなかったのですか!?」
彼の目。
もしその答えが『納得できぬもの』であれば、たとえお前であっても容赦しない。
そういうことを込めた目だ。
「・・・・・助言はした。言い訳にしかならないけどな」
そう、俺は助言はした。
かなり抽象的だったが、あれを実践すればこれを回避できたかもしれないのだ。
「・・・・・ッ!ならば、彼女を生き返らしてくださいッ!!」
彼は涙を流し叫ぶ。
彼の頬を伝うは血の涙。
その願いは、生命神である俺なら出来る。
しかしそれは決して叶えることはできない。
「・・・・運命は変えられない。変えてしまってはいけない・・・・・」
「ふざけるな・・・・ッ!」
唐突に俺の頬に痛みが走る。
それは、キレたイザナギが俺を殴ったからだ。
でも俺は・・・・それを否定することなどできない。
ただ地面に膝をつき謝罪することしかできない。
「・・・・・済まない。・・・・・・本当に」
未だ雨はやまない。
「お前の悪いところはすぐに激情してしまう所だ」
「先ほどはすいませんでした。頬を殴ったりなどして」
夜が明けて、雨が止んだ。
イザナギは先ほどのことをしきりに誤ってくるが別に気にしてはいない。痛かったけどな。
逆にあんなことを言われてキレないやつはいない。最愛の人を諦めろなどと。俺だってキレるだろう。まだ人を愛したことはないのだけど。
この後は確か・・・・禊で神様を大量生産、最後にあの有名な三貴神を生み出すんだっけか。
「・・・・身体洗ってこい。黄泉の穢れが大量にくっついてるぞ」
「・・・・はいっ」
先ほどの涙は消えて、よく見ると昔よりかは締った顔をしているイザナギ。
体を洗いに行かせる。
まあ、体を洗わせている間にいくつかやりたいことがあるのだ。
まず・・・・・俺はカグツチの殺されたところに転移してみる。
血がまき散らされて、かなり凄惨な現場だ。
どこの殺人・・・・殺神?現場だろうか。
そしてこの場所、ただの殺神現場でもない。
もはや肉体は、朽ちて骨も残っていない。骨や肉体、血は別の神様になったんだっけか。
そこに今残っているのは先ほども言った通り血痕と・・・・怨霊の気を放つ、紅い石だけだった。俺はそれを拾い上げる、が。
「熱ッ!!何だこの石!?」
まるで火のように熱かった。拾い上げた瞬間直ぐに落としてしまう。
神力や霊力を体に流しているわけでもない、ただの肉体ではやけどすることは必至だった。
「なんだよ、この石・・・・・って大体知ってんだけどな」
よく耳を澄ますと、石からは声が聞こえてきた。
それもおどろおどろしい恨みのこもった。
『グファ・・・・燃やしてやる・・・・許しを乞うても燃やしてやる・・・・!
生まれ落ちた火の神をを切りおとし罪・・・・!消して軽くなどないぞ・・・・!
いくら貴様が最高神だろうと関係がない・・・!黄泉の炎に巻いてやる・・・!』
殺されたカグツチの怨みの言葉が延々と繰り返される。
ずっと聞く気にはなれないから、その石を境界の中に放り込んでおく。
突然だが、皆様は古事記を読んだことがあるだろうか?
ある、という人はそのまま聞いてもらっていい。
ない、という人はあまり分からないかもしれないが、いつか読んだときに「ここか・・・・」とでも思っておいてくれ。
イザナミとイザナギの国造り。
それは、とても素晴らしい物だった。たくさんの神様を創り、始まりを始めた、正に偉業だ。
イザナミの最後を除いて。
そう、さっきまでにあったようにカグツチを産み、火に巻かれてイザナミは死んでしまう。
イザナギはキレてカグツチを切り殺す。そのままの勢いで黄泉の国に行く。そこでイザナミを連れ帰ろうとして、失敗し、イザナミに追いかけられる。逃げ切ったイザナギは二つの世界をつなぐ道を岩で閉じ、そこで二人は離縁をする。
俺は、この話が嫌いだった。
さっきのイザナギの疑問とも一緒だ。なぜ死ななくてはならなかったのか。
なぜ幸せになれなかったのか。それを考えることは多かった。
話がずれた。元に戻そう。
そう、殺されたカグツチの話だ。
カグツチの死体からは多くの神々が出来た。
剣から滴り落ちた血からもだ。
だが・・・・新しい神様を産めたからと言って。
生まれて、すぐ殺されたカグツチは喜んで死ぬだろうか?
もちろん、そのはずは無い。
殺したイザナギ、自分を産んだイザナミを強く恨んでいたに違いない。
それほど、燃やし殺したいほど。
だから怨霊・・・・いや、神様だと荒魂か?・・・になって生きていた。
この石を回収すると何かがあるわけでもないが、一応回収しておくことにする。
これで目標の一つ目は達成だ。
そして、二つ目・・・・・。
それをかなえるために元の場所に戻ると・・・。
「神琉様ッ!!見てください!!」
いつの間にか、イザナギが戻ってきていた。
ってことは・・・・。
「こんなにも貴い、子供たちが生まれてきてくれました!」
そういって、見せてきたのは女神二人に、男神二人。
そう、天照大御神、月読尊、須佐之男命の三柱、後世の三貴神である。
・・・・ツクヨミって女神なんだ。
元の世界じゃあ、男神の扱いだったような気がするが・・・・。
ま、あっちはどんな作品でも女体化はあるからな。逆があっても何ら不思議ではない。
「こんにちは!
アマテラスが元気に挨拶してくる。
うむ。元気がある子供が一番じゃ。この子は高天原を収めるほどの大物になるぞ・・・。
・・・・・って、まてまて・・・。
俺はイザナギの胸ぐらをつかんで問い詰める。
「おいッ!!アマテラスになんて吹き込んだんだッ!?」
「?・・・『神琉様は僕のお父さんみたいな人だ』って・・・・」
・・・・てめぇなぁ・・・。
「俺はまだッ!!若々しいからなッ!!精神的にも肉体的にもッ!」
「すいません・・・・」
俺がイザナギに怒りをぶつけていると、ツクヨミが話しかけてきた。
「おはようございます、
その言葉を聞いて俺はまずイザナギを殴った。全力とはいかないがそこそこの勢いで。
「痛いですよぉ・・・!」
「うるせぇ!まだ『おじいさま』は分かるが、なんで『父さん』なんだよッ!!」
「い・・いえ。ツクヨミは月の神様なので、月を創った神琉様を父、とするのがいいのかなと思いまして・・・」
やかましぃ!混乱するわぁ・・・!
そういえば、まだスサノオは一言も話していない。
声を聞いてみたいところではあるが・・・・。
「・・・・ちわ、じっちゃん」
お、声を聞けた。
しかし、ナイスタイミングだ。心でも読めんのかな?
「読めねぇよ・・・・」
読めてんじゃん!スサノオの性格が全く分からなくなったぞ!
「まあまあ・・・とりあえず三人に役割を振り分けさせてもらっても?」
ああ、ごめん。
イザナギがかしこまった様子で読み上げる。
「それでは・・・・オホン!
女神、天照大御神よ。主は高天原を治めよ!
「はいっ!」
オレンジ色の髪の毛に、赤の巫女服のような物を着た少女が元気よく答える。
続いて、月読尊が呼ばれる。
「次に男神、月読尊よ!主は夜の国を!」
「はいっ!」
蒼い髪を伸ばした腰のあたりまで伸ばした、少女が元気よく答える。
・・・ん?男神?
「「「・・・・ええ!!!???」」」
驚きの声がダブった。俺と、アマテラスと、スサノオだ。
後の二人は俺たちが驚いている理由がわからないようだ。
それもそのはず、ツクヨミの容姿はどう考えても女のものだったからだ。
ってことはだよ・・・・。
「男の娘・・・・ねぇ・・・・」
割とツクヨミと一緒に行くのは楽しそうだ。
「なんで驚いてるんだ?・・・まあいい。
最後に男神、須佐之男命よ!主は海原を治めよ!
これでいいかな・・・?」
「ほいほい、了解っと」
こうして三人が受け持つ国が決まり、日本神話は新たな世代へと受け継がれた!
「うわああああああん!母ちゃんに会いてぇよぉぉぉ!!寂しいよぉぉぉおお!!」
はずなのだが。
実は泣き虫の、スサノオに任せた海は荒れていた。
「こ、こら!スサノオ!そんなに泣くなよ!」
「うわあああああん!!母ちゃんの、住んでる、根の堅洲国に、いきてぇよぉ!ぐわあああん!!」
イザナギはキレかけていた。こいつのキレ症は全然治りそうにない。
「うるさぁああい!!そんなに行きたいなら勝手にしろぉぉ!!その代わりこの日本からは追放だぁあ!!」
と、いうわけで泣き喚いたスサノオは海を治める仕事から解雇されてしまいました。
日本神話じゃあ、ここから高天原に上がっていくのですが・・・・。
「・・・なぁ、スサノオよ。お前、母さんに会いたいんだっけか?」
そう。はた迷惑な神様こと神琉がこの世界にはいるのだ。
「うん・・・・グスッ・・・黄泉の国に行きたい・・・・びええええん!!」
神琉はそれを慌てて止める。
「おいおい、泣くなよ・・・まあ、奇遇だな。お前は幸運だぜ」
そして、ニヤリと笑ってこういう。
「俺も行く予定だったんだ。一緒に行かないか?」
ではまた今度。GWも終盤ですねぇ・・・