東方始天神   作:永夜 報

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 二日連続投稿とかいう泥沼・・・・。

 でも明日(今日)絶対投稿できないしなぁ・・・・。

 誤字脱字あるかもしれませんし、いつもながらの文章崩壊!

 そして、とうとうあの人が・・・・!


 どうぞ!!


13話 gravity of free will

 

 

「すいません・・・・失敗しちゃいました・・・・」

 

 行きは、元気いっぱいだったイザナミががっかりしながら帰ってきた。

その隣のイザナギも同様の表情だ。

 

「・・・・失敗しちゃったの?」

 

 みなかがそんなことを聞く。

俺は大筋の物語を知っているが、基本的には口出しをしないようにしたい。

 

「はい・・・一回目はしっかりとした子供では無く『ヒルコ』が。

二度目は固まっていない島である『淡島』が。ともに海に流してしまいました・・・・」

 

 そういえば、これリアルタイムで日本神話なんだよな。

そう考えると大河ドラマかなんかの中に入ってみたいでとてもわくわくする。

 

「うーん・・・・何があったのだろう。ちょっと占ってみようか・・・・。

おーい!タカギ!ムスビ!ちょっと来てみてくれ!」

 

「どうしました・・・?あっ!!」

 

「どうしたの?突然・・・・?あ」

 

 ここに歩いてきたのは、こっちも優男っぽい、インテリ系神様、高御産巣日神さんことタカギ。

そして、後ろからのんきに歩いてきた女神の神産巣日神ことムスビさんだった。

 

「おい・・・お前ら、さっき散々中二病だの言ってくれたらしいな・・・・?」

 

 個人的にうらみのある二人だがな。

 

「覚悟しろよ・・・?お灸据えてやるから・・・・」

 

「ひいっ!?ごめんなさいっ!!」

 

 ムスビはそう言って逃げていくが、タカギはそこで慌ててすっ転んでしまった。

くっくっく・・・・安易に天地のことを信じるからこんなことになるのだよ・・・・。

 

 取り合えず、頭に一発拳を落として、涙目になったタカギ。

それを放って、逃げたもう一柱を追わなくてはならない。

 

「おい、ムスビィ・・・!覚悟はいいな・・・?」

 

「ごめんなさいって言ってるじゃないの!?お願い殺さないで、いやほんとに!」

 

 そして追いかけっこが始まった。

 

 

「あのぉ・・・みんなやる気ある?」

 

 唯一、占いをやる気のあるみなかが問うが、答えてくれるものはいない。

イザナギ、イザナミは意気消沈してその場で座り込んでおり、タカギは頭を抱えて痛みに苦しんでいる。

後の二人は前述のとおり鬼ごっこの最中だ。

 

 みなかはそれを見てため息をつく。

そして胸元から骨と木の樹皮を取り出し、おもむろに火を焚き始めた。

 

 

 これは太占という占いで、骨のひびの入り方で何があったかを占うことが出来る。

少し時間が空いたので、二人の追いかけっこを見といてみる。

 

 捕まりそうで捕まらないムスビと追いかけ続ける神琉はどこまでも行きそうなぐらい走っている。

みなかはそれを見てまたため息をつく。

 

「ふう・・・・何やってんだか・・・・あ、結果出たよ」

 

 

 

 結果が出たというので、集まってみる。

そこにはひび割れた骨が置いてあった。

 

 

「うーん・・・・すっごくひびが入ってるねぇ・・・。

タカギ、何があったかわかる?」

 

 頭を痛めたタカギは、少し考え込んだ後何か分かった様子で座り込んだ二人にこう言った。

 

「なあ、君たち『儀式』をしたときどっちから声をかけたかい?

もしかしてイザナギからではなくイザナミから声をかけなかったかね?」

 

 そう問われた二人は、思い出すとそうだったことに気づく。

 

「そうです!僕が声をかけようとおもったら、先にイザナミが声をかけちゃうんですもの。

これでいいのかってなりましたねぇ・・・」

 

 うん、うん。史実どおり。

 

「それじゃあ、駄目に決まってるじゃない!

男は度胸、女は愛嬌よ?もっとイザナギちゃんはガッツリいかなきゃ!」

 

 結局俺から逃げ切ったムスビがそんなことを言う。

まあ、全然間違ってないのだが。

 

「なるほど・・・・」

 

「参考になりますね!」

 

 二人のこの小学生みたいな純粋な心。

尊敬したいね。

 

 イザナギが手をあげて質問する。

 

「じゃあ、どうすればいいですか?」

 

 小学生か。

喉まで出かかった言葉を、どうにかして抑え込んで黙る。

 

 その質問はみなかが答えた。

 

「もう一回、結婚式をやり直せばいいよ」

 

「はい!分かりました!」

 

 イザナミが元気に答える。

・・・・いや、本当に小学生か?

 

「それでは、もう一度行ってきますね!

次こそは素晴らしい国を作ってきますね!」

 

 そして二人はまた下界に降りようとする、が俺はそれをちょっと留めてこう言った。

 

「引き止めちゃってすまん。でもちょっと助言をしようかなって」

 

 そう、助言。

史実から外れるようなことは言いたくないし、変わらないかもしれないことだが。

 

「助言ですか?」

 

「そうだ。まず、イザナミ。お前は無理をしすぎるな。

そして、イザナギを信じろ。それが一番だ」

 

 たぶんイザナミには理解できなかっただろうが別にいいのだ。

そのまま、俺はイザナギに続ける。

 

「イザナギ。お前は激情するな。妻と子供を大切にしろ。

そして、怯えるな。前をみろ。いかなる時も、信じろ」

 

「・・・・はい」

 

 イザナギはよくわからないながらも返事をしたようだ。

 

「まあ、頑張ってくれ。

何かあったらすぐに頼ってくれや。はい、ドーン!」

 

「うわっ!ヒッ・・・!ギャアアア!!!」

 

 俺はイザナギを押して、下に落とす。

悲鳴ごと落下していってるな。

イザナミは自分から降りていった。

 

 下を見るともう一度神殿を回り始めている二人がいた。

 

 まあ、無事に着地できたみたいで良かった。

 

 

 さて、もう一回寝るか。

いや、先にムスビ殴るか。

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、俺はムスビ殴って寝た。

で、今起きた。

 

 あれから、百年ほどたったらしい。

 

 そんでさあ・・・・。

 

 

「貴方は第一神さまなのでしょう?

ならばあなたについていくが道理です。

貴方を私の主とします。私の名前は八意思金神です。主よ、ご命令を。」

 

 銀色の髪に、赤と青の服。

一度見たら忘れやしない、あの人。

 

 こりゃあ、一体どういうことだよ。

 

 なんで、あの八意永琳が!

 

 俺の部下になりかけてるんだよ!?

 

「おいおいおいおい・・・・!一体何がどうこじれてそうなったんだ?」

 

 まるで謎すぎる。

まずはその考えに至った経路を、聞きださなくては・・・。

 

「・・・・説明が必要ですか?

では説明いたします。

私はこれより18分前に誕生いたしました。

そして、自らの中に『知識』が入っていることを知りました」

 

 ほうほう・・・。

たしかオモイカネってのは知識の神様だったはずだからな。

 

「その知識の中には、己が知識の神であること、そして貴方様がここの最高神であることを知りました。

ならば、最高神に仕えるのが私の持つ知識では道理だろうと判断し、貴方様に下ることを決定しました。

・・・・ご満足でしょうか?」

 

「・・・・ああ。よーく分かったよ・・・・」

 

 なるほど・・・・。生まれたばっかりで勘違いしてしまったか・・・・。

正直なところ、俺はここの最高神なわけでもないし、もちろん俺に仕える必要はない。

 

 そのことを伝えると、露骨に彼女は失敗した・・・という表情を見せた。

しかし。神様にとって契約とは、正に力に等しかった。

 

 既に永琳自身が『仕える』と決めてしまったのだ。

もう仕える以外の道はない・・・・・訳でもなく。

 

 正直俺ぐらいの神様になると、そんな薄っぺらい『契約』など引き裂くことが出来る。

だが、それをする馬鹿はいない。理は『ありとあらゆるものを知っている神様』を手放すものなどいないからだ。

 

 俺だって原作知識がなかったらそうしていただろう。

でも、原作の中ではまずツクヨミ、そして蓬莱山輝夜に仕えているのだ、永琳は。

 

 まあ、前述の通りに俺が自分のことを放さないと思ったから永琳は絶望的な表情を浮かべているのだろう。

かなり、見損なわれているようだ。

 

「『契約』を引き裂く」

 

 そう俺が言った瞬間、永琳は俺から放たれた。

永琳は悪い予想を裏切られたようで、俺を驚きと猜疑の目で見てくる。

 

 まあ・・・・騙したわけでもないし、俺は悪くないのだがね。

どんだけ俺が下種な野郎だと思ってたんだか・・・・・。

 

「・・・・どういうこと?」

 

「・・・・気まぐれだ。さあ、さっさとどっかに行けよ」

 

 心のままを口に出す。

俺が永琳を解放したのは事実気まぐれだし、また、さっさとどっかに行ってこの事を忘れてほしいのも、心象そのままだ。

 

 てか、その口調だよ!

さっきから違和感がすごく強かったんだが、その口調のせいか。

やっぱり永琳は、その女医さん口調じゃないとな・・・・。

 

 ・・・・いや、どっか行けって言ったろ。何で動かないんだよ?

さっきから永琳は足を一歩たりとも動かさない。

 

「なあ、早くどっか行けって・・・・」

 

「・・・・興味が湧いたわ。貴方についていく、輝始天之琉神」

 

 

 ・・・・は!?

また、突然に・・・・。

 

「何を言おうとついていく。貴方と一緒ならばもっと知識を得られる。そんな気がする」

 

 彼女の黒い目が、俺を射抜く。

その視線を反射するように返して俺は答える。

 

「勝手にしろ・・・」

 

 俺は取り合えず歩きだしてみる。

永琳が生まれたってことは、他にもいろんな神様が生まれていたって不思議ではない。

 

 その後ろを彼女はついていく。

二人の足取りはいまだ未確定。

 

 

「そうだ・・・・!」

 

「どうした?輝始天之琉神」

 

 すっかり忘れていたが、言わなきゃいけないことがあった。

 

「その『輝始天之琉神』っていう名前あんまり使いたくないんだ。

出来れば、『始天輝 神琉』の下のほうで呼んでくれないか?」

 

「・・・・わかったわ、神琉。・・・・こういうことでしょ?」

 

「・・・ああ。ついでにだが・・・・」

 

「ついでに何よ?まだ何かあるの?」

 

 訝しげにこちらを見るその双眸。

その黒い瞳はまるで宝石のようだった。

 

「いや・・・・オモイカネってなんか堅苦しいじゃん。

だから新しい名前をあげようと思ってな・・・・」

 

「新しい、名前?」

 

「そ。お前は今日から・・・・『八意永琳』と名乗れ」

 

 そう。八意永琳。オモイカネの名を捨て、月に行き、地に帰り、永遠となる名前。

俺は彼女に枷をかけてしまった。でも・・・・。

 

「えいりん・・・・エイリン・・・・ふふっ、良い名前じゃない?」

 

 彼女が喜んでるなら、いいや。

 

 

 

 余談だが、永琳の『琳』にも『澄み切った玉』の意がある。

神琉の『琉』も同様だ。神琉君はそのことを知らないのですがね。

 

 

 

 と、言うわけで俺たちは二人で行動するようになった。

 

 と、いってもあんまり変わらず、たまに会話を交わすだけだった。

 

「私って、一応知識神なのよね?何で神琉のほうが物を知っているの?」

 

「経験の差だよ。お前もいつか分かるだろう」

 

 こんな会話だったり。

 

 

「永遠っていったい何なの?理解が及ばないわ」

 

「それが理解出来たら、俺を超えられるね」

 

 こんな会話だったり。

 

 

 二人の話はとてもよく弾んだ。

 

 二人は話した。太陽の元、星の元。そして、月の元で。

 

 

「あの月・・・・一応俺が作ったんだぜ」

 

「・・・・ふふっ。いくら神琉でもそれは冗談でしょう」

 

 永琳には信じてもらえてないが。

 

「いや、結構ほんとだぜ」

 

「ふーん・・・また一つ賢くなったわ」

 

 

 

 でも・・・・。

 

 

 

「なあ・・・これから別行動にしないか?」

 

「なんでまた?」

 

「いやぁあ・・・ちょっと遠いところを一人で見たくなったんだ」

 

 永琳は首をかしげてこう言う。

 

「いや、別にいいけど・・・・寿命も長いし。でも!約束しなさい!」

 

 約束?

 

「絶対帰ってきなさい。そしてまたいつか相まみえましょう」

 

「おう!それじゃあな!」

 

 もちろん・・・!そのために俺はこの世界に来たんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 





 はい!

 永琳登場!

 ヒロインっぽいですがたぶん違います。
てか、この小説にヒロインなるものはたぶんできません。

 ・・・・たぶん。

 それでは、次の話で。

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