東方始天神   作:永夜 報

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 1章開始でございます!


 どうぞ神代の時代を・・・・・。


 あ、いつも通りの文章崩壊ですよ。注意してくださいね。



第壱章 神代
12話 日本の永き物語


 ・・・・とても淡く。

 

 ずっと浸っていたいほどの淡く儚い、夢。

 

 長く、長く、世界という概念さえも壊すほどの長き夢。

 

 

 それでも、なお。

 

 

 

 彼は・・・・夢から覚めようとする。

 

 

 その夢の先に・・・・新たな『幻想』が待っていることを信じて・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは・・・どこだ?

 

 俺はそんな思いを抱いてここに立っていた。

 

 目を開けてみると、何かが目の中に飛び込んでくる。

目に痛みが走る感覚、反射的に閉じてしまう瞼。そして、どこか懐かしいその全て。

その何かを・・・俺は、思い出した。

 

 

 これは、日の光。

地球に降り注ぐ、太陽の恵みの光。

 

 そう、地球だ。

 

 俺は・・・大地に立っていた。

 

 

「・・・・お久しぶりだな、母なる大地さんよぉ」

 

 そんなことをつぶやいて俺はその場に座る。

およそ百億年ぶりぐらいの、大地、太陽、そして広がる平野に吹く心地よい風。

 

 その感覚をかみしめて、俺は目を開ける。

その目に映るのは、世界。

 

 

 

 

 

 と、多種多様な生物たち。

 

 見た覚えのある昆虫やらなんやらが大量に見えた。

 

 割と、あのグローい感じの奴らだ。

それがブーンブーンと飛んでやがる。一応虫は嫌いな部類の人間だった俺は顔を思いっきりしかめた。

 

 正直目視もしたくないので空に浮いて、雲の上にまで飛んでみる。

雲の上までくると、特に生物もいない。

 

 ましてやショッキングな見た目の古代生物など全くいなかったことに、俺は心底安心した。

 

 そういえばゴキブリってこの時代からいたんだよなぁ・・・・。

超古代Gちゃんなんて見た日には卒倒するぜ。

 

 そんなこんなで結構なスピードで飛んでいると・・・・・。

 

 

 

 ラピュ〇が見えた。

あの、空に浮く土の塊。

 

 

 えっ?えっ?

ここって東方の世界だよな?ジ〇リの世界観じゃ、ないよな?

 

 よく見ると、あの天空の城よりかは平べったく、広い。

よかった。何とは言わないが、引っかからなそうだ。

 

 しかし、あんなものが何で浮いてるんだあ?

 

 

 近づいて見てみる。

 

 ふーん・・・・・巨〇兵はいないからやっぱりあれじゃなさそうだな・・・。

周りを見ても薄っぺらい平原が広がっているだけで他には何もない。

 

 この島いったい何のために?いやそもそもどんな原理で浮いてるんだ?

 

 周りをふわふわ飛んでいても何もわからない。

埒が明かないので、その大地に降り立ってみることにした。

 

 ほーう、ふわふわぁーっと。

 

 そういえば、身体を動かすのが無駄にだるい気がする。

俺が宇宙空間やら境界やらで生きていたころには垂れ流しにしていた、力の類が抑えられたってことかな?

縛りプレーも、まあ楽じゃなさそうだ。

 

 

 

 そのまま、中に浮く大地に降り立った。

 

 

 すると・・・・・。

 

『第一神、確認。

 

・・・・・・読み込み開始 20%』

 

「ハァッ!!??」

 

 唐突に大地がしゃべり始めた!えええええ!?

 

 いいい、一体どういうことだよ!?

しかも、パーセントとか言ってやがる!こりゃ、天地の仕業か!?

 

『読み込み終了。

 

こんにちは、我が主様。

 

ここは神の生まれる所、高天原です。

 

第二神、第三神の情報を確認しました。

 

読み込みを開始しますか?』

 

 

 俺が驚いていると勝手にロードが終わった。

我が主様とか言ってる。ここまで来たらどうせ天地の仕業だろう。

 

『イェーイ、正かぁーい!

これはたぶん神琉君も知っている高天原です。神様が生まれ過ごすところですね。

取り合えず、結界張って伊弉諾、伊弉冉作っちゃってください』

 

 俺のつけてる、腕輪からそんな声がした。

ああ、天の腕輪か。こんなのつけてたことすっかり忘れてたな。

 

 結界・・・・ああ、こんなの浮かんでたら人間が出来たときびっくりするだろうな。

 

 そういうわけで、完全不干渉結界と完全保護の結界を張っておく。

まあ、幻想郷二重結界の超強化版みたいな感じだ。

 

 そんでもって・・・・。問題は・・・・。

 

『第二神、第三神の情報を確認しました。

 

読み込みを開始しますか?』

 

 

 これだ。

いや、仮にも超重要な神様二柱だ。

 

 作るとか、なんかそんな軽い感じじゃなくてもうすごい緊張する。

 

 てか、作るってどうやって作んの?

そもそも、読み込みとか、情報とかって何さ・・・・。

 

『読み込みを開始します。

 

第二神、伊弉諾 18%・・・・第三神、伊弉冉 14%』

 

 

『すいません、貴方が全く始めようとしないので先に始まっちゃいました』

 

 

「・・・・もう、天地お前が全部やれよ」

 

 

 クソっ!!俺の緊張を返せ!!

無駄だったじゃないか!!

 

 こんな感じで俺が憤っていると、伊弉諾、伊弉冉のロードが完了した。

 

 そのまま、この世界の粒子が集まっていき・・・・まずは男の体が形成された。

そのまま粒子が集まっていき服や髪の毛なども生成されていく。

 

 隣の女性体も同様だ。

 

 ・・・・・。

 

 もう百億年生きているとそういう感情も消えていってしまうが、まだまだピュアで居たいのだ、自分は。

 

 

 そんなことがあると、瞬く間にこの世界に二人の柱が生まれた。

イザナギ、イザナミ。二人が日本を産み、二人が大量の神を産む。

 

 日本神話の・・・・もっとも有名かつ初期の神様だ。

それが、今俺の前にいるんだ。ちょっとびっくりするわな。

 

 そう、イザナギ、イザナミは既に俺の前に立っている。

二人は・・・・なんだ、昔の服?あの神様が着ているような服・・・・ヤマトタケルみたいな?アレだ。

あれを着ている・・・・てか、俺もそんなの着ているがね。

 

 イザナギは、黒い短髪で正直に言って、ラノベの主人公かなんかと思う程の優男っぽさを醸し出している。

 

 イザナミは、反するように腰あたりまで伸ばした黒い長髪。元気いっぱいなヒロインみてーな感じだ。

 

 どうやら二人は俺の指示を仰ごうとしているようだ。

 

 

 ・・・・。

 

 

 指示!?俺がか!?

 

 ちょっちょっと待てって・・・!

 

 と・・・とにかくなんか言っとかなきゃ・・・!

 

 

「お ち つ け !」

 

「「・・・・・は?」」

 

 

 ああ。まさか神様との最初の会話がこんなテンパったものになるなんてな・・・・・。

 

 

 

「・・・・まあ、この鉾使って、国作ったって。

好きにしていいから。困ったら相談して。じゃな」

 

「いや、いや・・・・!

もうちょっと丁寧に教えてくださいよ・・・・」

 

 俺は取り合えず、二人を地上に下ろして国を創らせようとしているのだが、まだ早いらしい。

イザナギが困った様子で反論してくる。

 

「・・・・まあ、良いんじゃない?イザナギ。

まずはやってみようよ!」

 

 困った様子のイザナギとは反対に、イザナミはなぜかやる気満々だ。 

あの説明で、本当に分かったのだろうか?

 

「まあ、イザナミがそういうなら・・・・・」

 

 おいおい・・・・、それでいいのか?イザナギ?

完全にいいなりじゃあないか。まあ、東方世界なら女性のほうが強いだろうし、いいのかな?

 

「・・・・って、駄目ですよ!!

何をやるか全くわかんないんですから!?」

 

 うん。そうだろうね。

あれで納得されたら、将来がすごく心配になる。

しかも一応、てめーら最高神だからな?お前らのせいで日本人全てに影響が出るかもしれんのだぞ?

分かっとんのか?分かってないだろうな。てか、知らないだろうな。

 

 取り合えず、自分の覚えている範囲でやることを伝えてみる。

今度はどっちも理解してくれたようでよかった。

 

「まあ、頑張ってな。

さっきも言ったが、困ったら何でも聞きに来てくれ」

 

「はーい!神琉様!」

 

 伊弉冉が元気よく答える・・・・神琉様?

 

「・・・・様、いらんぞ?

俺、別に偉いわけでもないから・・・・・」

 

「はい!じゃあ、行ってきます!!」

 

 嬉しそうに声をあげ長い髪を揺らしながら飛び降りたイザナミ。

いや、話聞けよ。

 

「あっ!ちょっと待ってよ、イザナミ!置いてかないで!?」

 

 情けない声をあげて、後を追うように落ちていくイザナギ。

・・・・おい。この後の展開知ってるからわかるが、こりゃ声をかける順番を間違えても仕方ない。

完全に、イザナミが主導権を握ってるな。

 

 二人は落ちて落ちて落ちて・・・・・上空のあるところで止まった。

そう、日本が生まれるべきある場所だ。

 

 二人はそこで顔を見合わせた後・・・・俺がさっき作って、渡した矛を差し込んでいった。

 

 

 ・・・・史実通りっぽくてよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度はやることがなくなったので、高天原をうろちょろしてみる。

うん、なーんにもねえな。人も動物も、建物すらない。いつまでも広がっていく平原があるだけだ。

 

 何しよ・・・・・。

何にもすることのない俺は、その場で寝っ転がってみる。

 

 ・・・・このまま原作まで昼寝するのもいいかな?

そんな事を考えながら、俺は眠りの中に沈んでいった・・・・・。

 

 

 

「おーい、起きて、起きて。神琉君?」

 

 う・・・・誰だ・・・・?

 

 俺は聞いたことのない声で目を覚ました。

 

 上げた瞼の前には、イケメンがいた。

イケメン・・・・・誰だ?

 

「ボクはアレ・・・・『造化三神』って言ったら分かる?アレの一番上の天之御中主神だね。

気軽に『みなか』とでも呼んでくれ」

 

 あめのみなかぬしぃ!?

別天津神の!?至高の神様!?

 

 俺は飛び起きて、目にもとまらぬ速さで土下座する。

 

「サアセン、シッタぁぁぁぁああ!!」

 

「え・・・・・何が・・・・・?」

 

 みなかちゃんが、びっくりしてるが気にしてなんぞいられない!

 

「別天津神様に偉そうな口きいてスイヤセンしたぁぁああ!!!!」

 

 俺は、一応神代七世の人物なんだ!

日本神話において、『別天津神>>>>その他』なのは確定的に明らか!

 

 そう、俺はもう、世界最初の完全な土下座を披露して見せたのだ。

 

 

 たかが土下座。

 

 

 

 されど土下座。

 

 

 

 見よ!!今の時代を!

 

 日本の街を歩く外国人に日本の伝統芸能、DOGEZAを披露するとこう言ってくれるはずだ!

 

 ジャパニーズ、マジクレイジーね、と。

 

 そう!!!!日本の土下座は!!

 

 

 日本神話から始まっていたのだッ!!!!

 

 

 万国共通、最高級の謝罪を表し、ソレはある種の美しささえもあらわす、土下座。

 

 

 それを間近に喰らったみなかちゃんはッ!!

 

 

 目が潰れた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こともなく。

困ったように「頭をあげてください・・・・」と言った。

 

 

 

 

「あの・・・そんなに、我々との差はないですから。

むしろ貴方のほうがちょっと偉いぐらいですよ?」

 

 どうやらかなり俺は誤解をしていたらしく、別にそんなに別天津神と他のものの差はないようだった。

なら、別にいいんだが・・・・・。

 

「だって、貴方はもともとの歴史からちょっと外れて動いているのでしょう?

ならば、我々より上でも何の問題もありません」

 

 いや、そのりくつはおかしい。

てか、その外れてるってどうやって分かったんだよ!?

 

「『天地神』様に聞きました。

この世界の全てを管理して司るとても素晴らしい神様に」

 

 ・・・・何だよ、またあいつか・・・・。

 

 

 まあ、いいけどさ・・・・。

 

「そういや、他の別天津神は?」

 

「私に押し付けて、ビビって逃げて行っちゃいました。

『あの神様、すごく強いうえに自分勝手で、横暴で気まぐれかつ、中二病なんでしょ!?

天地神様が言ってたから間違いないよ!』って言ってね」

 

 みなかが、たはは、と頭を掻いて、言ってくる。

 

 おーし、天地ぜってー許さねえぞ!

次あったらぶん殴って、ひき肉にしてやる!

 

 そんなことをみなかと話していると、イザナギ、イザナミペアが戻ってきた。

かなり浮かない顔をしているので、国産みに失敗したのだろう。

 

 逃げていった他の別天津神を、集合させるついでに、殴ってやろうか。

 

 

 二人がここに戻ってくる。そう、次こそは本当に日本が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、日本の永き物語・・・・スタートだぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 使い古された表現だ。

 

 

 それでもこの言葉が当てはまるのだから、仕方ない。

 

 

 そう『昔々・・・・・』だ。

 

 

 この永遠の冒険談をこの定型文に当てはめてみる。

 

 

 昔々、あるところに、ある少年がいました・・・・と。

 

 

 

 『・・・昔々、真実を追い求めた少年は・・・・・』

 

 

 さあ、見つけてくださいよ・・・・。

 

 せっかくお膳立てしてあげたんですからね・・・・。

 

 

 真実を、ね。

 

 

 

 

 





久しぶりの本編だったな・・・・。




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