東方始天神   作:永夜 報

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 注意ッ!

 今話にはッ!以下の成分が含まれておりますッ!

 ・頭痛を起こす(かもしれない)中二病ッ!

 ・腹痛を起こす(かもしれない)視点変化ッ!

 ・腰痛を起こす(かもしれない)鬱・グロ描写(少なめ)ッ!

 ・正直この閑話あんまり必要じゃない


 以上を「ハッ!こいつの中二病なんて今更だぜッ!」とか
「ガキが書いた鬱・グロ描写なんぞ暇つぶしにもならんぞ!」という人は、

 ゆっくりしていってください。


 それではどうぞ!


虚飾の世界と灰色の自分

 

 

 

 いつからだろうか。

 

 自分の生き方に疑問を覚えたのは。

 

 

 いつからだろうか。

 

 現実に怯えず、求めず、希望を抱かなくなったのは。

 

 

 いつからだろうか。

 

 自分の表層も深層も、虚像にしてしまったのは。

 

 

 いつから・・・・・?

 

 その問は消して消えることなく、自分の冷たい心に響く。

 

 

 

 ・・・・・・・。

 

 

 ・・・・・・・。

 

 

 いつもだ。いつものようだ。いつもと同じだ。

 

 

「帰ろうぜ、『■■■』。今日は早く帰りたいって言ってなかったか?」

 

「うん、でもちょっと用事があるから先に校門で待っていてくれ」

 

「分かった、早く来いよ」

 

 

 場所、ここは学校。自分の所属するクラスの教室。

 

 人、自分は学生。先ほどまで自分と会話していたのは友人。クラスメートの中でも親しいやつだ。

 

 時間・・・・・・自分の腕時計を除いて確認してみる。2014年10月18日、午後4時03分。

帰宅前のひと時、といったところだろうか。

 

 目的、担任の先生に忘れ物を職員室に届けに行くこと。

先ほど教卓を確認すると先生のカバンが置いてあった。

 あの人はうっかりものだから忘れていてもおかしくはない。

 

 自分の名前、■■■■■■■■■■。

 

 よし、忘れてない。虚ろになっていない。

 

 

 

 

 

 時が移り変わる。

 

 

 自分は何のためにいる?人として一度は考えたことがあるだろう。

普通なら、『何かを為したいから』『満足するため』とか。

 

 考えるだろう。

 

 あるいは、感受性の豊かな人や心が病んでいる人は『意味などない』と答えるだろう。

野望を持ったり、求めるものは『金持ちになるため』『強くなるため』と答えるのであろう。

 

 

 

 さて。

 

 上の事を踏まえたうえで聞こう。

 

 

 自分は何のためにいるのだろう。

 

 心が病んでいるわけでも、感受性が豊かなわけでも、何かを追い求めているわけでも、野望を持つわけでも、

 

 普通でもない。

 

 由縁に答えが出せない。

 

 それは意味などない、ということではないのか?

 

 その答えでは満足できないのだ。意味がないならなぜ生きる?

 

 いなくなってしまったらいいのではないか?

 

 

 そんな思いに取りつかれて生きている。

 

 虚ろに。

 

 

 

 自分、『■■■■■■■■■■■』は、現実に興味を抱いてなどいない。

 

 理由は、分からない。

 

 現実に自分の心など一度足りとても開いたことはない。

 

 そもそも、現実に何かを見出したことはない。

 

 現実など、何も抱いていない灰色の世界である。

 

 自分など、灰色にさえ心を開けない虚飾である。

 

 

 ならば、そんな灰色など、虚飾など

 

 

 壊してしまえ・・・・!

 

 

 そう、自分は遠い過去にそう誓った。

 

 ぶち壊すって。

 

 いつの日か、自分を、真実を。

 

 

 見つけ出すと。

 

 

 でも。結局は。

 

 虚飾にまみれて生きている。

 

 

 いつの日か・・・・・。

 

 

 

 いつの日か・・・・・・!

 

 

 

 

 また時が隔てる。

 

 

 

 

 

 世界とは。

 

 不自然だ。あまりにも不自然すぎる。 

 

 なぜ、真実と虚構が入り混じるのだろうか?

 

 その二つは何があろうと対極に位置する。

 

 真実の裏は虚構であると、学校でも家庭でも教えることなどないのに。

 

 子供も大人も老人も。男も女も変わりなく。

 

 虚構と真実・・・・言い換えれば現実と幻想。

 

 なぜその二つに境界線がない?

 

 『嘘も方便』という言葉がある。

実は自分はあれを『真実も方便』だと思っている。

 

 違うか?この世界の一体どれだけが真実だ?

この世界に偽りのない、混じりっけない純粋な真実があるか?

 

 真実が仮にあったとして、それさえも気づき上げた虚実の上に立っている。

 

 

 真実こそ、嘘であり虚ろである。

 

 

 

 ならば。

 

 虚構・・・・幻想は一体どうなるのか?

真実の混じる虚構は噓ではなく、ソレは幻想なのだろう。

 

 幻想。

 

 虚実を否定し、いつか自分の心をさらけ出せる時が来て、心の底の感情を世界にさらせるならば。

 

 

 否。そんなときは来ない。

 

 真実(自分)など決して見つからず、虚構に浸るしかないのだから。

 

 この世界に生きる限りは。

 

 

 

 そう、あこがれたのだ。

虚実と現実の境界がある、創作の中に。

 

 あれは何時の事だっただろうか。

幼き頃、真実を見つけようと決めたあの時か?

 

 それとも、もう諦めようとしている今の自分か?

いや、たぶんあれは自分の虚ろが怖くなりかけて何かに縋れるものを探していたあの時。

 

 虚ろを埋めようとしたときに。

 

 

 もしかしたらこれかもしれない、と思ったのだ。

 

 場所、小学校の図書室。書架番号、913。左から数えて二番目の棚の前。

 

 人、その時自分を見失いかけていた、あの時の自分。

 

 時、昼の休み時間だっただろうか?詳しくはもう覚えていない。

 

 目的、目的なんてなかったような気がする。そもそもなかったから図書室に行ったのではなかったか?

 

 自分の名前、■。

 

 

 虚ろになりかけている。あの時も。

 

 

 虚構にまみれた、その本を。

 

 その本は『■■■■■』だったっけか。

 

 全く何が書いてあるかもわからない、文章も稚拙な変な本だったような気がする。

なぜか全く覚えていないのだ。その本を手に取ったということしか記憶にない。

 

 でもそれからだったか。虚構を追い求めていったのは。

なぜか真反対なはずなのに、一番近い答えを目指していた。

 

 

 そうして俺は真実ではなく虚構を追い求めた。

いつか、虚構に本当の真実を。

 

 見出せるようにと。

 

 

 

 そしてまた時がうつろい。

 

 

 

 ついに見つけた!

 

 虚構と現実の境界線が描かれた物語!

 

 やったやったやったやったやったやった!!

 

 ついに見つけたんだ!

 

 帰結であるかもしれない物語を!

 

 

 

 

 

 

 

 その物語の名は『東方project』といったそうな。

 

 

 

 

 

「これだこれだ!

博麗の巫女を起点とした物語!

西洋と東洋が混ざり、死と生が混じり、朝と夜が混じり、人と妖とが混じり、そしてッ!

 

現実と幻想!すなわち真実と虚構の境界線が!

 

描かれた物語を!」

 

 あの日、あの時。

見つけた幻想はどうやら道しるべになりそうだった。

 

 

 

 一線を画す境界線を。現実において幻想を追い求めた。

 

 

 宵闇に紛れ薄暗がりに溶けゆく幻想を探し。

 

 暁の太陽に照らされた光の幻想を夢に見て。

 

 妖の跋扈する丑三つ時を越えて。

 

 

 それでも未だ幻想でさえも見つからず。

 

 この世界に幻想と現実の境界など。

 

 とっくに消え去ってしまったのかと。

 

 

 心のどこかで諦めながら、ただ一つ縋る糸である『創作』を。

 

 

 貪り喰らうように消費し続け。

 

 

 現実と創作との違いを脳に押し込まれ、それでもなお何かに懇願するように『創作』を見つめ続けて。

 

 

 そしてとうとう自分が『現実』に生きることを知った彼は。

 

 

 

 ただ一つ、『幻想入り』を望むしかなかった。

 

 

 

 彼が目指したモノ(真実)とは逆さの幻想(虚像)に溺れた生活。

そんな中で彼は生きていた。生きてきたのだ。

 

 

 

 

 しかし、ある時。

 

 

 

 虚ろは終わりを告げる。

 

 

 

 

 場所、学校より■■■メートルほど■、自分の家の方向に向かった■■■。

 

 時、学校帰りのあの瞬間。201■年■月■日、午後■時■分。

 

 人、自分、自分と同じ学校に所属する生徒、■■■、■■■■■・・・・親子連れ。

 

 目的、帰宅すること。そして虚ろに生きないこ■。

 

 自分の名。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 かなり虚ろだ。仕方はないと思うが。

 

 

 

 その時すべてがスローモーションであった。

おそらく彼はアニメや漫画で(追い求めた幻想で)こんな表現は使いまわされていたと思っただろう。

 

 それでもその通りだったのだから仕方がない。

親子連れのもう片割れ――もちろん子供のほうだ――が何を思ったか道路に飛び出した。

まあ、それ自体は小さい子供にはよくあることで何一つとしておかしくない。いい行為と問われると決してそうではないが。

 

 さて、こんな言い方をするなら皆様にはよーくお分かりだろう。

まるで弾丸のように飛びだす大型トラック!あどけなく穢れを知れない子供の、

のど元に食らいつこうとする鉄の牙!目を見開き我が子の行方を追う母親ッ!

 

 絶体絶命のピンチ!子供の運命や、いかに!

 

 というわけだ。勿論このままでは子供の命など助かるはずがない。

 

 しかしそこに一筋の希望が!

 

 自らの命も顧みず子供を突き飛ばしトラックの前に踊り出でた勇敢なる少年!

その少年は自分の生命と引き換えに子供を救ったのでした。

 

 ああ、なんと美しい自己犠牲の精神か。めでたしめでたし。

 

 と、なるはずもなく。

それではご覧いただこう。

『彼』の人生、最後のワンシーンを。

 

 

 

 

 ああ、自分はなんて虚ろだったのだろう。

 

 どうして虚ろに生きてきたのだろう。

 

 神様はこの可愛らしき子供と虚ろに生きた自分とを天秤にかけてこの子供をとったというのか。

それなら神様はとても良い判断を下した。

 

 ならば神様。図々しいかもしれない。

しかしこの虚ろな願い、聞いてはくれないか。

 

 

 自分は何のためにいたのか。それに対する答えを聞かせていただけないか。

ただ満足したいだけなのだ。虚ろであった人生が無駄でなかったと聞きたいだけなのだ。

 

 

・・・・・いや、いいんだ。答えなど実は求めていないのだから。

 

 

 なら、頼む。次こそは。

 

 

 虚ろではなく。真っすぐに生きれるようにと。

 

 求める真実と幻想とが見つかるようにと。

 

 この人生のやり直しではなく新しい生き方を。

 

 

 下さい。

 

 

 

 そうだろ。虚ろな神様(糞野郎)

 

 

 Goodbye, this wonderful world full of falsehood.

 

 

 そうして、この世界から、一人の虚ろな少年が、消えていきましたとさ。

 

 

 本当にめでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『はぁ・・・・・・!』

 

 少女が一人で大きなため息をついた。

ここは、ありとあらゆるものが近寄れず、干渉できず、見ることさえできない絶対神の住まう場所。

 

 仮にビッククランチとでも呼ぼうか。

 

 そこでただ一人佇む少女。

勿論ただの少女ではなく、彼女自身は自らを天地と名乗っていた。

まあ、他の生命体から呼ばれることなどないのだが。

 

 そんな彼女は己の虚ろな目で、ビッククランチに空いた『全てを見る穴』を見下ろす。

その穴に移る光景は、先ほど少年が身をもって経験したその後の出来事。

 

 少年の身体はまるで軽いものかのように切り裂かれ、紅い血液をまき散らしている。

交差点は文字通り血の海と化していた。

助けられた子供は、何が起こったかわからないと言いたげに――いや、事実分からないのか。

 

 子供の母親は、先ほどよりも顔を真っ青にしておりその場にへたり込んでしまった。

周りを歩いていた人々も悲鳴を上げるわ、走って逃げだすわ、やりたい放題。

トラックの運転手は頭を抱え込みうわごとのように繰り返し何かをつぶやいている。

 

 まさに阿鼻叫喚の地獄絵図、とでも表現するのがふさわしい。

 

 それを見下ろす少女は。

 

『はぁ・・・・』

 

 もう一度、繰り返すようにため息をついた。

そして少年の『遺言(LastWord)』をもう一度思い出す。

 

『糞野郎ですか・・・・・・。

願いをかなえてもらおうなんてみじんも感じられませんね。

どんな歪んだ人間でも頼み事するときに、しかも神様に糞野郎なんて言いませんよ。

そのうち天罰が下りますね。・・・・あ、もう死んでるか』

 

 虚ろな少年の願いはどうやら神様にポイと捨てられるらしい。残念でしt

 

『さっきからあなた適当なことばっか言わないでほしいですね!

迷惑なんですよ?本当に』

 

 おっと、すいません。

でも、あなたの言い分じゃ願いをかなえようなんてみじんも感じられませんが?

 

『叶えますよ・・・・・。余りにもこのままじゃ可哀想じゃないですか。

・・・・・あなたにはそういう類の感情が無さそうですが』

 

 何と失敬な!あ、私は神の視点に戻りますね。

 

『勝手ですねぇ・・・・・ま、いいでしょう』

 

 彼女は仕切り直してこう言った。

 

『いいでしょう、虚ろな少年。貴方の願い叶えましょう。

まだ、時間はかかりそうですがね』

 

 いつの間にか冷静になった誰かが救急車、そして警察を呼んだようだ。

サイレンの音がこちら側にまで聞こえてくる。

 

『まず、貴方の問いですが・・・・・この虚ろに意味などありませんでした』

 

 彼の希望を真っ二つに切り裂くような彼女の言葉。

しかし彼女は追いうちのように続ける。

 

『意味などなかったのです。貴方が生きた14年間の虚ろには』

 

 死人に鞭打つような・・・事実その発言。

これをもし本人が聞いていたなら、泣くなり怒るなりしていたと思う。

 

 

『由縁に』

 

 だが、彼女は言う。

 

 

『貴方の願い、かなえて差し上げましょう。

少なくともこの世界よりかは、真実も幻想も見つけやすいところにある世界を貴方に渡しましょう』

 

 

 彼女は救急車に乗せられた彼を見て言う。

 

『虚ろなままではつまらないでしょう?

次こそは真実に生きてくださいね?』

 

 

 彼女は、再生の切符を彼に渡す。

そう彼女自身が決めた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは。

 

 

 

 

 幻想が始まる前の。

 

 

 

 おとぎ話が始まる前の。

 

 

 

 神話が始まる前の。

 

 

 

 地球が始まる前の。

 

 

 

 宇宙が始まる前の。

 

 

 

 世界が始まる前の。

 

 

 

 

 

 ほんの一幕である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 この閑話最初に言いましたが全然重要じゃないです。


 本編とほっっっとんど関係ないです。


 なので、あんまり脳みそに残さずにしといてください。


 あと前半眠い、中盤頭痛い、後半病み上がり、で執筆しているので
絶対訳分かんない部分あると思いますがいつも通りです。




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