インフィニット・ストラトス 黄金の不死鳥   作:PHENEX

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戦闘描写は苦手やねん…


episode07

───管制室

フェネクスが機体に青い線を描き、青い光を放ち始めた時、管制室に動揺が走った。

 

「なんだあれは!?」

 

「ど、どういうことでしょうか!?」

 

管制室にて、織斑千冬と山田真耶は同時に声を上げた。

 

「カタログにはそのような武装、一切書かれてないぞ…

桜月、あいつの機体は…」

 

「でも、なんだか綺麗な光ですね…」

 

「山田くん。呑気にそんなことを言っている場合ではないぞ…。」

 

そして、フェネクスをビットが取り囲み、レーザーを放った。

が、全て見えない何かに弾かれるようにあらぬ方向へと消えていった。

 

「な…オルコットの攻撃を全て弾いた…だと?」

 

一体どうなってるんだ、と織斑千冬は呟きは消えていった。

 

 

──────

 

「何故、全て弾かれているのですか!?」

 

確実に当たるはずのビット、“ブルーティアーズ”のレーザーは全て弾かれ、あらぬ方向へと消えていったことにより、オルコットは大きく動揺していた。

 

さらに、オルコットは動揺することになった。

 

「く、動け、フェネクス!」

 

線になっていた光が強くなり、フェネクスは文字通り、変身し始めた。

 

「何が起こってるんですの…?」

 

脚部、腕部、腰部、胴部、アームドアーマーDEの順に装甲が割れた。

否、内側に隠されていた青いサイコフレームを日の目の元に晒した。

 

頭部のマスクが回転、ツインアイのガンダムフェイスに切り替わり、

フェネクスを象徴する翼のような1本の角が左右に割れ、フェネクスはデストロイモードに移行した。

 

『変、身した…?』

 

唖然とした空気の中、観客席にいた1人の生徒がそういった。

 

「変身、ですって…

今まで、本気で戦っていなかったと…そういうことですのね…」

 

オルコットは憤慨していた。

本気を出していなかった。つまり自らを侮っているのだと。

 

「“ブルーティアーズ”ッ!!」

 

「そんなわけでは…くそ、フェネクス!」

 

フェネクスは手を“ブルーティアーズ”に向けて翳した。

 

主の意思のもと、忠実に動いていた“ブルーティアーズ”は一斉に動きを止めた。

 

「行け」

 

フェネクスは、手をオルコットに向けて、手の中の何かを潰すように握った。

瞬間、“ブルーティアーズ”は、銃口をオルコットに向け、レーザーを放ち、本体に突撃した。

 

「何故!?私が分からないんですの!?」

 

驚愕し、止まったままのオルコットにレーザーと“ブルーティアーズ”は容赦なくぶつかった。

 

2つめの“ブルーティアーズ”がぶつかると同時にオルコットは正気に戻り、後退した。

すぐにフェネクスのいた場所に“スターライト”を向けたが、既に金色の機体はいない。

 

「ッ!どこに…」

 

「上だ。」

 

「ッ!!」

 

上から声が聞こえると同時に、オルコットの機体は背後からのロックを知らせた。

 

「い、瞬時加速でもしていると言うのですか!」

 

「残念ながら、瞬時加速はまだ使えない。」

 

振り向き、“スターライト”の引き金を引く。

青い光の残光を残し、フェネクスは視界からまたしても消えた。

 

「くっ、またしても…あぁっ!」

 

オルコットの機体は背後からの攻撃に大きく揺れた。

フェネクスはオルコットの背後に回り込み、左腕のビームトンファーで袈裟斬りから右腕のビームトンファーを突き刺した。

 

「そんな…目が追い切れない…!?」

 

ハイパーセンサーの援助があるというのにも関わらず、追い切れない。

まるで残像のように青い光を残しフェネクス動く。

 

「これで、終わりだな」

 

今度は上から声がした。

オルコットが空を見上げる。

フェネクスは試合が始まって以来ずっと腰に付けていた“ビームマグナム”のグリップとトリガーを右腕で握り、フォアグリップを左手で握って、オルコットに対し安定した姿勢で銃口を向けていた。

 

「まだ!“スターライト”!」

 

まだ、オルコットは諦めることなく、その手に持った“スターライト”の銃口を向ける。

 

が、“ビームマグナム”特有の重い射撃音とともに赤黒いビームがブルーティアーズに直撃した。

 

「終わりだと、そう言ったはずだ。」

 

“スターライト”の銃口は光を放つことなく、消えた。

 

『し、試合終了!

3分42秒

勝者

桜月榛也!』

 

 

──────────

 

 

ISが解除され落ちていくオルコットを抱えると、オルコット側のピットへ向かう。

 

「…ありがとうございます。

正直、舐めてた私が恥ずかしくなりましたわ。

それと、何故私の“ブルーティアーズ”を操れたのですか?」

 

「それは機体の能力。詳細はそのうち公開されると思うから。」

 

ピットに辿り着き、オルコットを降ろすとすぐに自分のピットへ戻る。

オルコットが、後ろで軽く頭を下げたのが見えた。

 

「ふぅ…やはりというか、Gが半端じゃない…」

 

フェネクスはまだ、本気を出していなかった。

それでも15Gの圧力がかかっているため、かなりの疲れがある。

 

ピットに着地し、機体を解除する。

 

「なんだあの試合は!?」

 

と、開口一番に篠ノ之が怒り気味に言葉をかけてきた。

よく見ると後ろに織斑と妹の姿もある。

 

「人の武装を使うなんて卑怯だろ!?」

 

と、織斑。

しかしだ。公平にするという織斑教論の話を聞いていなかったのか?

それとも妹がまた勝手に許可を出したのか…

 

「この試合について本来であればお前らに文句を言われる筋合いはないはずだ。

なぜなら見てないはずだからな。

どうしてまだここにいる?俺は見たら出て行けと言ったはずだが。」

 

「そんなもの私が許可したに決まってるじゃない。

何故なら私は次期桜月家の当主なのだから!」

 

…………………………ははっ

 

「ハハハハッ!おかしな事を言う。次期当主?お前が?おかしな冗談はやめてくれ!腹が壊れてしまう!」

 

「じょ、冗談ですって!?ちゃんと親戚の叔母様から聞いたことです!」

 

「あぁ、あの女尊男卑推奨派の親戚か。まさか、あれに言われて信じていたのか?

ちゃんと父と母が言っていたじゃないか、俺に継がせると。

だからこそ、今まで研究所でこれから主になっていくであろうISについて学んでいたんだ。」

 

「な、私だって入学出来るように学びました!」

 

「まさかバレてないとでも?

お前が、桜月家の金を使ってIS学園に入学したのは既に掴んでいる。

ついでに金を受け取った教師は既にこの学園を追放されている。」

 

明らかに動揺をしている。

しかし、後ろの織斑たちには伝わっていないようだ。

 

「な、そんなの出鱈目よ!」

 

「そ、そうだ!奏がそんなことするはずがない!」

 

と、彼氏()が弁護する。

やはりというか織斑は鈍感だ。信じている人の言葉を疑わない。

 

「そんなふざけたこと言ってる暇があるのなら、あのような桜月家の恥とも言える行動を慎みなさい!」

 

と、言って去っていった。

織斑はこちらを睨みながら妹について行き、篠ノ之も織斑に続いて出ていった。

 

「ぐ、やっと休める…」

 

ピットにある椅子に座り、体の力を抜く。

全力でないとはいえ、かなりのGが掛かった。

それは確実に身体に大きな負担をかけていた。

 

ピットの入口が開き、織斑先生が入ってきた。

 

「…すまない桜月。公平と言ったはずなのに、織斑が試合を見てしまった。」

 

顔をうつ向け、申し訳なさそうに織斑先生はそう言った。

 

「いえ、勝手に妹が許可したみたいで…

こちらこそ申し訳無いです…」

 

「…では、お互い様ということでいいな。

それと、その機体。

こちらで解析してもいいか。」

 

「ええ。大丈夫ですよ。

一応、提出した資料どうりのスペックのはずですが…」

 

「しかし、あの変身は資料には含まれていなかったぞ?」

 

「恥を晒すようでいやなんですが、こっちの研究員たちもその変身する条件が全く不明なんです。恐らく、文字化けしている部分がその変身に関わっていると思うんですが。わかっていることと言えば、あのモードは[NT-D]というシステムということぐらいで…」

 

「そうか…分かった、ありがとう。

だが、念の為調べさせてもらうな。」

 

織斑先生に、待機形態である不死鳥のネックレスを渡す。

 

「ありがとう。

それと、織斑との対戦なんだが、解析に機体を借りるからまた明日に変更だ。」

 

 

「了解です。織斑とオルコットの試合は観戦してもいいですか?」

 

「そうだな。問題ないだろう。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

そして、織斑先生はピットを出ていった。

 

「…行くか。」

 

立ち上がり、ピットを出て男子更衣室に向かった。

 

 

────

 

着替えて男子更衣室から出たら簪さんが来ていた。

先程の試合を見ていたそうで、織斑の試合を一緒に見ないかと誘われた。

了承して観客席に向かう途中、無言だった簪さんが口を開いた。

 

「…あの変身、とてもかっこよかった。」

 

「そうか?ありがとう。」

 

「うん。まるでヒーローみたいな強さだった。」

 

ヒーロー、そう言った簪さんの表情ははキラキラと輝いていた。

 

「そうか。そう言われると少し照れくさいな。」

 

と言っても強いのは機体で、操作技術では無いんだがな。

 

その後は、どの場面が面白かったか、今日も一緒に行くかなどの話をした。

 




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