テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

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ストーンゴレム戦です。
戦闘描写が上手く書けぬ…。


第七話

 

 

 

「――――――――!!」

 

 

 

目前でその大きな腕を振り上げ、戦闘態勢に入る岩の巨人、『ストーンゴレム』。

思い切った事を言ってしまったが、その文字通り岩の肉体に対し、僕とファラの武器は木刀と拳。

うん、改めてどうしたもんか、コレ。

 

 

「衛司、向こうから来るよっ!」

 

 

「んっ……考えるよりも…まずは行くべきだよねっ!」

 

 

ファラの声に意識を前に戻すと既にストーンゴレムは腕を振り上げ此方へと向かっていた。

僕は右に、ファラは左にその場から走り出し、ストーンゴレムの攻撃をかわすとそのまま接近し、僕は木刀で、ファラは拳でストーンゴレムへと攻撃を開始する。

 

「これでっ、散沙雨ッ!!」

 

 

「ハアァアァアッ!!連牙弾っ!!」

 

 

ストーンゴレムに近付いたと同時に放たれる木刀による連続突きと拳による連続打ち。

ストーンゴレムは防御力と攻撃力が高く確かに強いが、その一撃一撃は遅く簡単に懐に入り込み、攻撃が可能である。

ストーンゴレムの弱点はそんな所である。

僕とファラの同時攻撃が効いたのかストーンゴレムは怯み、一旦体勢を崩す。

 

 

「よしっ!このまま……」

 

 

「まだ迂闊に近付いちゃ駄目だよ、衛司っ!」

 

 

「え……って、うぉぅっ!?」

 

 

追撃を仕掛けようとするとファラの声に立ち止まると、ストーンゴレムはその場から体勢を直ぐ様直し、体を回転させ両腕を振り回してくる。

思わずその場から後退すると、僕が居た場所の岩にその腕が当たり、その岩はいともたやすく粉砕される。

 

……何あれ、こわい。

 

 

「……流石はストーンゴレム…。名前の通り堅いなぁ…」

 

 

「うぅん……確かに思ってたより堅いね」

 

 

ストーンゴレムから距離を置き、苦笑いする僕と先程攻撃した手を軽く振るファラ。やっぱり拳でも痛いもんは痛いんだ。うん。

 

 

「――――――――!!」

 

 

当のストーンゴレムは叫ぶような姿を見せた後、両腕を振り回し、再度此方を睨み付けてくる。

くそ…やっぱり、ゴーレムタイプは手数もそうだけど一撃一撃で確実に決めていかないと駄目か…。

 

 

 

……それなら……

 

 

「……ファラ、一つの作戦というか、お願いがあるんですけど…」

 

 

「え、何。急に改まって……」

 

 

「僕が先攻を掛けてストーンゴレムの気を逸らすから、その合間でできる隙に協力な攻撃をアレに出来ない?」

 

 

「っ……それって!」

 

 

僕の提案に驚いた様子を見せるファラ。

それもそうだろう。僕の出した案は言うなれば『囮』。ただいつもと違うのは相手である魔物が普通の魔物に比べ一撃一撃の攻撃が非常に高いこと。一撃でも当たればそれこそさっき粉砕された岩と僕の身体が同じようになるんだろう。

 

だからこそ、ファラは驚いていた表情から一転、真剣に、怒っているような表情に変わる。

 

 

 

 

 

「衛司……そんな危ない役、衛司で大丈夫なの?」

 

 

「正直、僕の身体は先程の岩より脆いので、一撃で粉々になれる自信があります」

 

 

「っ…!それなら――」

 

 

「でも、考えたら一撃のダメージの大きさならファラの方が上だし、自慢じゃないけど僕は相手の攻撃から逃げる事なら一丁前だし……。それに――」

 

 

「それに……?」

 

 

「――僕は信じてるから。ファラならきっと上手くやってくれるって」

 

 

未だ真剣な表情のまま此方を見るファラにそう小さく笑って僕は答える。

ファラは先程とは少し違った驚いた表情を見せた後、小さく笑ってみせる。

 

 

「……分かった。そこまで言われたら、私だって頑張るよ。それに――」

 

 

「僕達ならイケるイケる、ってね」

 

 

「うん、その通りっ!言われた以上は……一撃で決めるよっ!」

 

 

そう言って構えを取る僕とファラ。それと同時にファラの周りの気圧がどこか変わっていくのを感じた。

なんとなく分かる。テイルズで一撃で仕留める方法。恐らく『アレ』だろう。

 

 

「それじゃ……行こうっ!」

 

 

言うと同時に僕は木刀を手にストーンゴレムへと走り出す。ストーンゴレムもそれを認識すると腕を大きく振り、此方に突き出してきた。

 

 

「ッ……魔神剣ッ!!」

 

 

突き出された腕に向け最近覚えたてたテイルズ定番である初級技、斬撃を飛ばす『魔神剣』を放ち、相殺して動きを止める。覚えた時は本当に感動した。

そして隙が出来た懐に、更に動きを止めるべく追撃を放つ!

 

 

「――双牙ァッ!!」

 

 

無防備な懐へと再度放たれる魔神剣の斬撃。結構効いたのかストーンゴレムの体が揺らぐ。

よし、今だ……!

 

 

「ファラッ!!」

 

 

「ナイスだよ、衛司っ!」

 

 

僕の呼び掛けに答え、僕の隣を素早く駆け抜けるファラ。その彼女の周りには様々な色の光が円を作って回っているのが見える。そう、『オーバーリミッツ』だ。

そして、その状態から放たれる強力な一撃はただ一つ。

 

「ハアァアァアッ!!」

 

 

体制の揺らいだままストーンゴレムの無防備な体へと叩き込まれるファラの連撃。

 

 

それは徐々に炎を纏っていき、ストーンゴレムの体を燃やしていく。

そしてファラ自身が炎を纏い、上空へと舞い上がり、最後の一撃をストーンゴレムへと叩き込む!

 

 

「火龍炎舞ッ!!」

 

 

龍のような炎を纏った強力な蹴りを最後に叩き込まれ、炎上していくストーンゴレム。その様子に僕や忘れていたが今まで後ろで見守っていたメリア達も目を奪われた。

 

 

「よし、一丁あがりっ!」

 

 

此方を向いてグッと親指を立て笑顔を見せるファラ。思わずつられて笑顔を作ってしまう。

 

 

 

 

 

 

――だが、まだ終わってなかった。

 

 

「――ッ!!ファラッ!!」

 

 

炎上しているストーンゴレムとは別に、その背後から現れた新たな影。恐らく、ストーンゴレムは元々『二体』いたのだ。

 

 

「え……――――」

 

 

僕の声に後ろを振り向くファラ。そしてようやく気付いたのか体を動かそうとするが、気付くのが遅かったのか対応が間に合わない。

このままじゃ……。

 

 

「ッ……やらせてたまるか…」

 

最悪な光景が脳裏を過ぎる。思わず走り出す。知らない内に体の勢いが上がっていく。

 

 

「――やらせて……」

 

 

ファラに向け徐々に振り下ろされていく岩の腕。ファラは腕を交差させ少しでもダメージを減らそうとする。

間に合わないだろう。だけど僕はまだ駆ける。

 

絶対に助ける為に!

 

 

「たまるかアァァァァッ!」

 

 

声を上げたと同時に僕の周りに様々の色の光の円が現れる。

これは……『オーバーリミッツ』?

足の勢いが上がっていくのを感じ、そのまま先程のファラよりも早く駆け抜け、ファラのストーンゴレムの前まで走り、ストーンゴレムの攻撃を木刀で防ぐ。

 

 

「――!?……衛司っ!?」

 

 

「うおぉおぉぉぉ!瞬迅剣ッ!!」

 

 

一度ファラの無事を横目で確認した後、オーバーリミッツで上昇した身体の勢いのまま強力な突きをストーンゴレムの腹へと放ち、ストーンゴレムを突き放す。

ストーンゴレムはその勢いで距離が離れるが、僕は上昇した足の勢いで再度一気に距離を詰める!

一度だけ船の模擬戦で味わったある人物の秘奥義。通常の僕の身体能力ならどう考えても不可能だけどオーバーリミッツで覚醒した今ならきっとできる筈だ!!

 

 

「閃け、鮮烈なる刃ッ!」

 

 

まずは一撃。それを直撃させるとストーンゴレムは動きを止める。

 

 

「無辺の闇を鋭く切り裂きッ!」

 

 

そのまま連続してストーンゴレムの体に一撃、一撃と確実に攻撃を与えていく。

 

 

「仇なす者を微塵に砕かんッ!!」

 

 

更に一撃、一撃と連続で攻撃を与えていく。

 

ストーンゴレムはそのダメージの為か、石で構築された体が徐々に崩れ落ちていく。

 

 

「見様見真似の――漸毅ォ狼影陣ッ!!」

 

 

そして最後に放つ強力な一撃。それが直撃すると同時に、ストーンゴレムは確実に崩れ落ち、ただの岩の山と化した。

 

 

「――ハァ……ハァ……」

 

 

ストーンゴレムを倒したと分かった瞬間、先程の漸毅狼影陣とオーバーリミッツの反動が体に襲いかかってきた。

うわ、今立つのもやっとだ……。

 

 

「――――衛司……?」

 

 

ゆっくりと視線をファラやメリア達に向けて無事を確認する。

うん……大丈夫そうだ。

 

ファラ達が無事と分かった瞬間……僕の意識は完全に黒くなった。

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

「――ん……此処は…」

 

 

「――ぁ、衛司!目が覚めたんだ…」

 

 

目を覚ますと意外に見慣れたバンエルティア号の医務室で、目の前には安心した表情のファラが居た。

どうやら、現在僕は医務室のベッドで寝かされているらしい。

 

 

「あれ……確か…そうだ、ジョアンさんは?」

 

 

「はいはい、落ち着いて。ちゃんと説明するから」

 

 

僕の言葉に、ファラは溜め息を吐きながらも説明を始めた。

あの後、僕はオーバーリミッツと技の反動により気絶していたらしい。

ジョアンさんの護衛は無事に完遂した。そして問題はその後だ。あのブラウニー坑道の奥地でジョアンさんが生きたい事を願うと、例の『赤い煙』が現れ、ジョアンさんの病気を完治させたらしいのだ。

結局その後、その場所に赤い煙は出なかったらしい。

 

で、その後、気絶していた僕はファラにおぶらされてこの医務室まで運ばれたらしい。

赤い煙……結局謎のままだけど、一体なんなんだろう。

 

 

「全く……あの後本当に大変だったんだよ?メリアやマルタは勿論心配してたし、ジョアンさんも自分せいだ、とか考えてたんだから」

 

 

「ははは……面目ありません」

 

ムッとした表情のまま怒っている様子を見せるファラ。うん、今回は本当に申し訳なく思っている。

 

 

オーバーリミッツと技の反動は結構大きかったのか体が上手く動かないのが現状である。

 

 

「――……でも、ありがとう」

 

 

「え……?」

 

 

「衛司が居なかったら私、今頃どうなってたか分からないもん」

 

そういって俯いてしまうファラ。その様子はどこか元気が無さそうに見えた。

僕はとりあえず、いまだあまり動けないがゆっくりと右手を伸ばして……

 

 

「――ぇ?」

 

 

そっと、ファラの頭を撫でた。此方側で覚えた僕なりの『元気の無い相手にするべき行動』の一つである。

 

 

「衛司……?」

 

 

「――僕はあくまで当然の事をしたまで。ファラも大切な仲間の一人だからさ。だから、わざわざそんなに深く思い込まないでよ。何があろうと、僕達は仲間なんだから」

 

 

「………うん」

 

 

ゆっくりとファラの頭を撫でながらそう笑って言うと、ファラも頷いた後、小さく笑い返してきた。

うん、良かった。

 

 

「……ぁ、私、皆に衛司の目が覚めた事言ってくるね。皆、心配してたから」

 

 

「あ、うん。ありがとう」

 

 

そう言ってゆっくりとファラの頭を撫でていた手を離す。

 

「―――衛司」

 

 

「………ん?」

 

 

「――ありがとう」

 

 

「…どう致しまして」

 

医務室の扉の前でファラが振り返り笑って言うと、僕も笑ってそう言葉を返す。

部屋を出て行く時のファラの表情は…先程より明らかに変わっていた。

 

 

 

 




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