テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

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なんとか早く完成する事が出来たので投稿+
ただ今回は結構頭の中のイメージと勢いで書き上げたのでかなり文章おかしいかもしれません;;
後、ラスト目前という事もあって今回はかなり無理やり展開、独自設定や解釈が飛びまくってたりするとおもうので、そこの所できればご了承下さい;;

とりあえず一言言うとすれば……いつから今話が最終回となると錯覚していた?←

良ければ感想、ご意見、評価等宜しくお願いします+





第七十五話

「──! ……今さっきの光は一体……」

 

──衛司達がカオスに浄化の一撃を振り下ろして少しした頃。衛司達が戦っていた建物の少し離れた位置から、建物の天井を突き破って伸び、真っ直ぐと振り下ろされた膨大な光を見ていたヴェイグは静かに言葉を出した。

ヴェイグの身体はつい先程まで激闘を繰り広げていたのか、それを物語るかのようにボロボロであった。

 

「ク……ククっ……どうやら……全部……終わってしまった……みたいだねぇ……」

 

建物を見ていたヴェイグに向け、小さく笑い、途切れながらそう言葉を出す、ヴェイグと激闘を繰り広げていた男──サレ。

そのサレの姿はヴェイグ以上にボロボロで、片目の結晶化は消え、最早立っているのも無理なのか、その体を近くの岩へと背中から預けるようにもたれかかって腰掛け、ヴェイグと向き合っていた。

 

「ク……クク……結局……僕はまた君達に勝てる事は……出来なかったのか……畜生……なんで……なんでなんだよ……っ!」

 

ヴェイグを見て途切れながらも声を上げてそう言ったサレ。そのサレに、ヴェイグは一度ゆっくりと息を吐き、真っ直ぐとサレを見て口を開いた。

 

「……サレ……お前はどうして、そこまでラザリスに仕えていた? 別の存在とはいえ……お前の嫌いな『ヒト』の姿をしたラザリスを……」

 

「っ! それ……は……」

 

ヴェイグの出したその言葉に、サレの口が止まった。

ヴェイグは衛司から聞いたサレの過去と『ヒト』嫌いに、その時から考えていた。

『何故サレはそこまでヒトの姿をしたラザリスに従うのか』、と。

自分と同様に子供の頃、異能の力で迫害を受けたサレ。その時、仲間と呼べる存在がいて救われた自分と、そんな存在が居なくて救われなかったサレ。

言わば自分の、『もしも』の結末ともいえるサレ。そんなサレがどうして……自分が嫌う『ヒト』の姿をしたラザリスにそこまで従ったのかヴェイグは気になったのだ。

だが……それは今、サレと戦って分かっていた。

サレがラザリスにそこまで忠誠を誓う理由……それは……

 

「……始めは逆に利用してやる……つもりだったさ……。それこそ……彼女が強力な力を手にした途端、それを横から奪い去るぐらいの気持ちで……ね。だけどさ……彼女は……僕を……始めて『ヒト』として見てくれた。『利用できる存在』でも……『化け物』としてもなく……この僕を……僕として……」

 

「あぁ……だからお前は……ラザリスを……『好き』になってたんだろう……自分の知らない間に、な……」

 

静かに、淡々と言葉を出したサレに、ヴェイグは小さく頷きつつそう言葉を出した。

ヴェイグのその一言に、サレはどこか悟ったような表情を浮かべて静かに口を開いた。

 

「ク……クク……そうか……これが……。……本当……僕は……気付くのが……遅過ぎた……なぁ……」

 

「……サレ……」

 

自嘲するかのように、そう言って静かに笑うサレ。そのサレの姿に、ヴェイグはしばらくサレを見るとゆっくりと手をサレへと差し伸べた。

差し伸べられた手をサレは見ると、そのままゆっくりとヴェイグを見上げた。

 

「……一体……なんの……つもりだい……?」

 

「遅くなんてない……人はいつだって変わることが出来る……今のお前のように……。手をとれ、サレ……きっとこれからだってお前は……」

 

「クク……本当……お人好しだねぇ……君は……。……だけど残念ながら……『遅過ぎ』たんだよ……」

 

「何を言って……っ!」

 

ヴェイグの言葉に、サレは小さく笑った後ヴェイグの手を払いのけるように手を振り、静かにそう言葉を出した。

サレのその言葉にヴェイグは言葉を出そうとした時、それに気付いた。

 

──サレの身体が、足から徐々に徐々にと光の粒子になるかのように消え始めていた。

 

「まぁ……当然の結果……だろうね……。元々身体に合わない物を……無理やり身体に取り込ませていた訳だし……。……今はそれも君達に浄化されて……その分の反動が来たんだろうねぇ……」

 

「サレ……」

 

「おっと……同情なら……いらないよ……。こんな結果だけど……僕は彼女と出会う事が出来たんだ……。今までの行いが悪かろうがなんだろうが……後悔も、反省もない……ね……」

 

クスクスと、まるで楽しげにそう言いながら身体が消えていくサレ。しばらくそのままの状態で、サレは下半身まで姿が消えるとゆっくりとヴェイグを見上げながら口を開いた。

 

「……君達のいう、『ヒトの変わって行ける世界』……それが実現出来るか、否か……あの世で楽しみにみさせてもらうとするよ……」

 

「……あぁ……そうしてろ。お前が高笑い出来ないように……必ず実現してみせてやる」

 

「ク……クク……なかなか……言うじゃないか……。……あぁ……ラザリス……出来ればもう少しだけ……君と……世界を……」

 

ヴェイグの返答にクスクスと笑うだけ笑い、サレはゆっくりと消えていく手を伸ばしながらそう静かに言葉を出した直後……完全に身体を光の粒子へと変えて消え失せた。

その場にただ一人残されたヴェイグはしばらくそのまま、サレが存在していた場所を見つめ、静かに口を開いた。

 

「サレ……もしも……俺や皆がもっと早くお前に会っていれば……お前は……」

 

そこまで言って、ヴェイグは口を止めた。サレは先程、自分の行動に後悔はないと言っていた。此処で今、その『もしも』の話をすると……サレのラザリスに対する想いも否定するように感じたからだ。

 

「……俺達は必ず、ヒト達を……世界を変えてみせる。……だから……今度は『平和な世界』で会おう……」

 

独り言のように、だがどこか誰かに言うかのように静かにそう言葉を出したヴェイグ。

その言葉に答える者は居らず……ただただ静かに、風が通り過ぎていくだけであった。

 

 

 

─────────────────────

 

 

──強烈な浄化の光による一撃。その影響による光が徐々に落ち着いていき、視界に映ったのは……浄化の一撃の威力を表すように結晶化が全て消えた室内と、その中心で倒れているラザリスの姿であった。

 

「……成功……したのか……?」

 

「あぁ……どうやらそのようだ……」

 

周りの状態を見回しながら誰かが出した言葉に、ニアタもしばらく周りを見回した後そう静かに答えた。

ニアタのその言葉を聞いたメリアは倒れているラザリスをジッと見た後、僕の方を真っ直ぐで見て来た。

……なんとなく、彼女の言いたい事が分かった気がして僕はメリアに対して小さく頷くと、倒れているラザリスへと駆け寄り、ラザリスのそばに腰掛けそっとラザリスの頭を自分の膝へとのせ、所謂膝枕の状態にした。

 

「っ……ディ……センダー……?」

 

「……うん……此処にいるよ……」

 

膝にのせた頭をメリアがそっと撫でているとラザリスがゆっくりと目を開いて静かに口を開いた。少し離れていても分かるその虚ろな瞳に、メリアは今すぐ近くにいると伝えるようにラザリスの頭を撫で続けた。

ラザリスは虚ろな瞳でメリアを捉えるとゆっくりと口を開いた。

 

「……ディセンダー……ボクは……間違って……いたの……かな……」

 

「……ジルディアの世界を想う気持ちは少なからず間違ってはなかった……。だけど……やり方は間違ってたと思う……」

 

「……そう……なんだ……。……もう、ボクの世界の声が……聞こえ……ないんだ……。……ボクは……どうすれば……」 

 

虚ろな瞳のまま静かに、淡々と、どこか悲しそうにそう言葉を出していくラザリス。メリアはそっとラザリスの頭を撫でた後一度僕達の方を見、その後真っ直ぐとラザリスを見つめて静かに言葉を出した。

 

「……大丈夫だよ……今は、少し眠たいだけ……。きっと、次に目が覚めた時にはまた聞こえるよ……。……だから……次に目が覚めた時は一緒に考えよう……? どう世界を皆の望むものに変えていけるか……今度は『敵同士』じゃなくて……『友達』として……」

 

「っ……ディ……センダー……」

 

「ううん……私の名前は『メリア』だよ……ラザリス……」

 

「……メ……リア……メリア……っ! ……あり……がとう……」

 

「……うん……おやすみ……ラザリス……」

 

メリアの言葉に静かにそう言って涙を零すラザリス。そして、ラザリスは最後のメリアの言葉を聞くとその瞳をゆっくりと閉じ、それに合わせるようにラザリスの身体は消え……ジルディアのドクメントの塊となってメリアの両手へと無くなっていった。

 

「……衛司……皆……」

 

「分かってるよ……行くんでしょ……?」

 

ドクメントが自分の中へと消え、メリアはその場から立ち上がると僕達の方へと振り返って言葉を出し、僕はそれに彼女の後ろに見える『生命の場』を見てそう言った。

メリアは……これから伝承通り……世界樹の中に戻るのだろう。

 

「ん……ちょっと、世界を創ってくる……」

 

「メリア……」

 

「大丈夫……きっとまた会える……。……お別れなんかじゃ……ないよ……」

 

「うん……頑張って、自分の望む世界を創っておいで」

 

カノンノの表情を見て、メリアは首を横に振った後、小さく笑って僕達に向けてそう言葉を出した。

僕はその言葉に小さく頷くと、真っ直ぐとメリアを見ながらそう言葉を送った。

メリアは僕の言葉を聞いて小さく頷き、僕達に背を向けて生命の場の方へと歩き出した……と、思った瞬間……突如僕達の方へと再び振り返って、そのまま僕の方へと駆け出した。

 

「えっ……メリ── んっ…!?」

 

突然のメリアの行動に何事かと思った時……メリアが走りながら一瞬で一気に跳び、そのまま飛び込むかのように……僕と唇を重ねてきた。

突然の事で僕や周りの皆は驚いた表情を浮かべるが……僕はメリアの想いがなんとなく分かった気がして……そっとメリアを抱きしめてそれを受け止めた。

しばらくそのまま唇を重ね続けると、メリアはそっと唇は離してゆっくりと僕から離れて小さく……だけど、今まで僕が見て来た中で一番の笑顔で言葉を出した。

 

「ん……しばらく会えない分の『衛司成分』の補給……ありがとう……」

 

「『衛司成分』て……メリア……頑張っておいで」

 

「ん……皆も……衛司も……『また』会おう……」

 

小さく笑ったまま僕の言葉にそう返して生命の場へと歩いていくメリア。

ゆっくりとした足取りで生命の場の前まで歩くと、メリアは僕達の方へと振り返り再び小さく笑った後……生命の場に飲み込まれていくかのように、光となって消えていった。

 

『また』会おう、か……。

 

「……さて、我々も戻るとしよう。ラザリスが居なくなった今、この浸食されたエラン・ヴィタールがいつまで形を残しているか分からないからな……」

 

「うん……そうだね。衛司、帰ろ──」

 

「ごめん、カノンノ……僕は……帰れないや」

 

僕の出したその一言に、カノンノが『え……』と声を出した。

僕は分かる……分かってしまっている。僕の身体が……もう『限界』だという事が……。

 

「衛司……そうか……君は……もう……」

 

「そんな……まだ……まだ何か方法がある筈だよっ! とにかく船に戻って皆に話せば……」

 

「カノンノ……もう、無理だよ。足が……もう『動かせない』んだ……」

 

「っ……!」

 

ニアタが僕のドクメントを見て分かったかのように出した言葉に、カノンノは小さく首を横に振って声を上げるが……それは僕の出した言葉で、僕の足を見た事によって彼女で口が止まった。

ドクメントの『完全破損』による現象なのか……僕の足がゆっくりと、確実に光の粒子になるように消えていた。また、その現象は止まることをしらないと言わんばかりに足から上へと向けて身体が消えていっていた。

もう頭痛は完全になくなり……ただ足から徐々に徐々にと感覚が無くなっていくのが今の僕には伝わっていた。

僕はゆっくりと首を少し動かして此処まで僕の身体を支えてくれたヴォルトとウンディーネを見て、静かに言葉を出した。

 

「ヴォルト、ウンディーネ……今まで僕の身体を支えてくれてありがとう。二人のおかげで……僕は此処まで来れる事ができたよ」

 

「っ……主……っ!」

 

「……泣くでない、ヴォルト。今まで仕えた者が……主様との別れぐらいは……不安を持たせぬように泣いては……ならんのだ……っ」

 

僕の言葉に顔を両手で覆いながら泣きそうな声を漏らすヴォルトと、真っ直ぐと僕を見ながらそう言ってはいるが僅かに瞳から涙の見えるウンディーネ。その二人の姿に、改めて此処まで……僕は彼女達に想われていたんだ、と思わされた。 

 

「っ……こんなの……ひどいよ……やっと……全部終わったのに……これからなのに……っ! 皆で笑って生きて帰るって……約束したのに……!」

 

「カノンノ……」

 

「いつも……いつも……『大丈夫』って嘘ついて……嘘つき……衛司の嘘つき……っ! ……だから……これも嘘だって……言ってよぉ……」

 

始めは強く……だけど徐々に涙をこぼしながら力弱くそう声を出していくカノンノ。

薄々分かっているんだ、彼女にも……打つ手が無いことが……。

もう下半身の感覚が無くなり、上半身も消え始めている僕の身体。そんな状態になりながらも、僕は真っ直ぐと目の前で泣き崩れる彼女を見ながら口を開く。

 

「カノンノ……僕はこの世界に来れてよかった。来たばかりは何も出来なかった僕が……友達が、仲間が出来て……世界を救う事が出来て……そして……君に出会えた」

 

「衛……司……」

 

「僕も皆と……君ともっと一緒にいたかった。これは嘘じゃなくて……本当の、僕の想いなんだ。……ちょっと悪いけど……後でメリアにも伝えて欲しいな」

 

「そんなの……そんなの衛司からちゃんと……伝えてよ……私は……私は……っ」

 

僕の言葉に泣きながらも僕を見てそう声を出すカノンノ。もう上半身の感覚も消えていく中、ゆっくりと視線を動かすと、ニアタはよく分からなかったけど……ヴォルトはカノンノと同じように涙を流し、ウンディーネももう耐える事が出来なかったのかうっすらと涙をこぼしていた。

あぁ……本当に僕は此処まで……よく想われていたんだなぁ……。

 

「……カノンノ……皆……もう、本当にお別れみたいだ……」

 

「っ……やだ……やだやだやだ……っ! 居なくならないで……消えないでよ……衛司……っ!」

 

「皆……今まで……ありがとう……。それと……カノンノ……」

 

「っ……やだ……衛司……っ!!」

 

完全に消えかかる僕の身体。その僕が出していく言葉に、カノンノは僕に触れようとその場を走り、僕へ向けてと必死に手を伸ばす。

だが……。

 

「……ありがとう……僕を愛してくれて。僕も君の事を……愛してるよ……ごめんね……──」

 

「っ!! 衛司……衛、司……えいじぃ……っ! いや……いやあぁあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

僕はその言葉を最後に……完全に『ルミナシア』から消え去り、カノンノの手は衛司に触れることなく何もなくなった空間を掴むだけだった。

 

大切なものを無くした少女の悲鳴に応えるものはおらず……ただ静かに……持ち主を無くした星晶剣と持ち手部分のみの木刀が、『カラン』という音を出して地面に落ちるだけであった──。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

「──……此処は……?」

 

──身体の感覚が消え、完全に消滅してこれからどうなるのかと思っていると、不意に身体に感覚がある事を感じてゆっくりと目を開けると、僕は何もない……真っ白な空間に立っていた。

ゆっくりと周りを見回して見ても右も白、左も白……全てが真っ白で今、自分がちゃんと立っているかも分からない程であった。

ただこの場所……前に僕が元の世界かルミナシアを選ばされたあの黒い空間と似ているような気がした。

 

「此処は……一体……」

 

「此処は『世界』と『世界』を繋ぐ中間地点。言わば……『世界の間』と呼ぶ場所だ」

 

不意に、僕の背後であろう位置から声が聞こえ振り返ると……そこには一人の人らしきものが立っていた。全身をこの空間同様に真っ白なローブで覆い、顔を隠している所かその声は男性にも女性にも聞こえ、その人らしき人が本当に人なのかすら分からなかった。

 

「あなたは……一体……」

 

「これは失礼。……私は『オリジン』。精霊達の王にして、『世界』を司る大精霊だ」

 

「『世界』の大精霊……オリジン……」

 

オリジン……その名前は今までの『テイルズ』シリーズでも聞いた事があったけど……『世界』を司るって……。

僕の思いを知ってか知らずかオリジンは静かに言葉を出した。

 

「まずは『ルミナシア』を救ってくれた事に礼を言おう。さて……何故君が此処にいるか、分かるかな……?」

 

「……僕が『ルミナシア』に来たこと……それに僕がこの後どうなってしまうか……ですか?」

 

「あぁ……君は文字通り完全な『イレギュラー』であったよ。何故君が『ルミナシア』に流れついたのか……私にもよくは分からない程に。さて……君の今後についてだが……私は君に『選択』を与えなければいけない」

 

「『選択』……?」

 

オリジンの言葉に僕は首を傾げると、オリジンはゆっくりと右手を上へと向けた。その瞬間、真っ白な世界に二つの『門』が現れた。

二つとも違いがあり……片方は中心に大きな樹の絵が描かれたボロボロで壊れてしまいそうな門。もう片方は中心に地球らしき絵が描かれた損傷の無い門。

僕が一体何なのかとその門を見ていると、オリジンが静かに言葉を出した。

 

「その門は君の今後を決める門だ。片方は君が元いた世界……もう片方は君が今まで過ごした世界『ルミナシア』だ。君には……このどちらか片方を選んでもらう事になる」

 

「選べって……どうして……」

 

「……条件がつくからさ。君が元の世界を選べば……君は元の世界に戻れるが『ルミナシア』にいた時の記憶は『全て』消えてしまう。……反対に君が『ルミナシア』を選べば君はルミナシアの世界に戻れるが……君は残り少ない命でルミナシアで過ごす事になる」

 

「な……っ!?」

 

オリジンの出した選択に思わず僕は声を上げてしまった。オリジンの出した選択……それは『ルミナシアでの思い出を全て消して『元の世界』に戻る』か、『残り少ない命でルミナシアに戻る』かというものであった。

 

「一体……なんでそんな条件で……っ!」

 

「コレは仕方ないとしか言いようがない。さっきもいったが君がこの世界に来ることはイレギュラーだったのだ。それが元の世界に戻るというのなら……その『イレギュラー』な記憶は元々『無かった』事として君は元の世界に戻る事になるのだ。そして……ルミナシアの方では知っての通り、君は完全にドクメントが崩壊してしまった。……もしまたルミナシアに戻るというなら、今はある程度君のドクメントを修復してあげるが……それも応急処置のようなもの。言わば残り数日の命、という事になるのだよ。そして……もし君がこの数日で死んでしまった場合……君は此処に来ることなく……そのまま元の世界に戻されるだろう……ルミナシアでの記憶を無くして、ね……」

 

「そんな……」

 

「……さぁ、どうするかな衛司君。全てを無くして『元の世界』で平和に生きるか……残り少ない命で『ルミナシア』を選ぶか……」

 

僕を真っ直ぐと見ながらそう、残酷な選択を迫ってくるオリジン。

カノンノ達との記憶を無くして『元の世界』を選ぶか……『元の世界』にも戻れるが残り数日という短い命で『ルミナシア』を選ぶか。

そんなの……そんなの……。

 

僕は悩む……悩んで悩んで悩んで……悩んだ結果……僕は──『選んだ』。

 

「……オリジン……僕は……決めたよ」

 

「ふむ……では聞かせてもらおうか……君の『選択』を」

 

「……僕の『答え』は……──」

 

真っ直ぐと、ただ真っ直ぐとオリジンを見ながら僕は自分の『答え』をオリジンへと伝えた。

 

僕の選んだ答え……それは……──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






次回──最終回



『そして……僕達の伝説』



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