テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

76 / 81
遅くなりましたが、一応出来たので投稿です;

今回は少し短いです。
……本当はこの一話で戦闘終わらせるつもりだったけど、予想以上に筆が進まず、下手したらもう一、二ヶ月掛かりかねないと思ったからこの部分までで切った、というのはお兄さんとの秘密だぞ←




第七十三話

 

 

 

──それは、明らかに見て歪なものだと分かった。

一見するとまるで開ききった花のようなもの……そのどこか綺麗に感じれた花とは真逆にその花から生えたかのように一体化している結晶で造られたかのような大きな人型の上半身の姿をした何か。

その両腕から伸びる全てを引き裂く為にあるかのような爪も異様だが……一番異様に見えたのは、その人型の上半身の胸元部分にまるで『取り込まれている』かのように身体の上半身のみの姿を見せるラザリスの存在であった。

 

「何……あれ……」

 

「……ラザリスの創造を『否定』する意志と、ジルディアの民達の創造を『肯定』する意志……その二つが混ざり合い……『混沌』へと変わってしまったようだ」

 

『混沌』……確かにその言葉は今目前にいるそれに合っているものだった。花の下半身、人型の上半身……それに異形のような爪に取り込まれているラザリス。その本来合うことの無いような異様の姿は……まさに混沌《カオス》であった。

 

『イラ……ナイ……』

 

「ラザリス……?」

 

不意に、ラザリスの口がゆっくりと動き声が出た事に僕達は視線をラザリスへと向けるが……その声と様子に違和感を感じた。

そう例えるなら……あれは『ラザリスであってラザリスではない』、という感じの……。

 

『イラナイ……創造……民……世界……イラナイ……全部全部ゼンブ……イラナインダアァアァァァッ!!』

 

『『っ……うわあぁああぁぁ!?』』』

 

突如……ラザリスの声がまるでノイズが混ざったような声になり、そのまま叫んだと同時に衝撃波が出された。僕達は突然のそれに対処する事が出来ず、その衝撃波を受けて吹き飛ばされ……それぞれが後方の壁まで飛ばされた。

 

「ぐっ……かは……何だ……今の……っ」

 

「あれは……『混沌』の力が暴走している。ラザリス自身が『混沌』の力を制御しきれずにいるのだ……! このままではラザリスは完全に力に飲み込まれ、ルミナシアもジルディアも関係無く、全て破壊するまで止まらんぞっ!」

 

「! そんな……っ」

 

『ウウゥゥ……アアァアァァァァッ!!』

 

僕達の目前で依然と悲鳴のような雄叫びを上げるラザリス……いや、混沌《カオス》と呼ぶべきだろうか。確かにニアタの言うとおり……あんな大きな力をラザリスが制御しきれるとは思えない。このままだと本当に……世界は破壊されてしまう。

 

「……倒すしか……ないか……!」

 

「倒すって……衛司、でもアナタ……身体は……!」

 

「契約開放は発動して今三分……残り二分でどうにかしてみせるよっ! ヴォルトっ!」

 

「(! ……は、はい!)」

 

星晶剣を構え直す僕にカノンノが一度止めるようにそう声を上げるが、僕は言葉を返しながらヴォルトに頼んで星晶剣の刀身に雷を纏わせる。

正直……今も微かに頭に痛みが走っているが、あのカオスを倒すには出来る限り契約開放の残り時間内に一気に決めるしかないっ!

 

「雷魔神剣っ!」

 

『イラナイイラナイィィィィッ!』

 

カオスに向け、声と共に星晶剣を奮って雷を纏った斬撃を飛ばす。跳ばされた雷の斬撃は真っ直ぐとカオスに向かうが、それはカオスの鋭い爪の一振りでかき消されてしまう。

だけど、それくらいなら予想の内だ。

 

「続けて……雷破竜撃っ!」

 

『ウゥウゥゥゥッ!』

 

雷魔神剣がかき消されると分かった瞬間、僕は星晶剣を一度鞘へと納め、気合いと共に引き抜いて雷で作られた竜を放つ。

カオスはそれを再び爪を一振りしてかき消そうとするが、先程とは威力の違う一撃に僅かに動きが止まる。

 

「今だ……行くよっ!」

 

「……衛司、手伝う……!」

 

「私も……フラッシュティアっ!」

 

カオスの動きが止まったその一瞬の隙を狙い、僕は星晶剣を構えてカオスに向けて一気に駆け出す。その僕を援護するようにメリアが無数の苦無を、カノンノが即座に詠唱を終えた光の陣による衝撃魔法をカオスへと放った。

 

『グゥ……グゥウゥウゥゥゥッ!!』

 

「一気に決める……はあぁあぁぁぁぁっ!」

 

止まっている内に放たれた苦無の嵐と光の衝撃波をカオスは対処仕切れず、声を上げて怯む。僕はその間にカオスを攻撃できる間合いに入った瞬間、手にした星晶剣を力の限りで奮い、連続でカオスに斬り掛かる。攻撃する中で意識を集中させていくと、攻撃した位置が徐々に徐々にと雷の鎖『ライトニング・チェーン』で拘束されていく。

ライトニング・チェーンを展開していくと同時に身体に痛みが走る。恐らく残りの開放時間は一分……だけど、このまま一気に決めればいいだけだっ!

 

「拘束、完了……っ……!雷……神……一……閃……!ライトニング──」

 

雷の鎖でカオスを拘束し、そのカオスに向けて僕は星晶剣を手に斬り掛かる。この一撃で確実に止める。その想いと共に放とうとした雷の一閃である『ライトニングノヴァ』は……。

 

『ウゥウゥゥゥ……アアァアァァァァッ!!』

 

「なっ……ぐあぁあぁあぁぁぁっ!?」

 

確実に止める筈であった一撃は、拘束していた雷の鎖を文字通り、力ずくで振り切ったカオスの両腕に止められ、そのままその両腕で僕の身体を捉えた。

完全に拘束していた筈の鎖を外されたと分かり、驚愕していた僕はそれに反応が遅れ、カオスの両腕に捕まってしまった。

カオスのその僕を握りつぶそうとするかのように力を込めてくる両腕と、それによって身体に僅かに食い込んでくる鋭い爪に僕は思わず悲鳴を上げた。

 

「衛司……っ!!」

 

「衛司を……離せぇっ!」

 

僕が捕らえられた事に、後方にいたカノンノとメリアが声を上げてそれぞれ武器をもってカオスへと走り出す。だが……

 

『イラナイイラナイイラナイイラナイィィィィッ!!』

 

「きゃぁぁっ!」

 

「く……ぅう……っ!」

 

接近するカノンノとメリアを、カオスはラザリスの顔を二人へと向け、ラザリスの結晶化している瞳から熱線を放出させ、二人の接近を止めさせた。

くそっ……このままじゃ……っ!

 

「(! 主……契約開放が解けます!今すぐドクメントの補助に……っ!!)」

 

「く……ぁ……っ!? が、あぁあぁぁぁぁぁあぁぁっ!!」

 

「!? 衛司……っ!!」

 

ヴォルトの声が聞こえたと思った瞬間、僕とヴォルトの契約開放が途切れ……それは起こった。

今まで感じたこと無いほどの強烈な頭痛。それが身体に食い込んでくる爪と握りつぶそうとしているカオスの両腕の力に合わせて僕に激痛を走らせた。

どうしようもないほどの初めてといえるほどの強烈な痛みに僕は思わず今まで出したことの無いほどの悲鳴を上げる。

 

「が、あぁ、ぐあぁあぁあぁぁぁ!!」

 

「(そんな……ドクメント破損率……九十五パーセントっ!? このままでは主は……衛司は……っ!)」

 

「(ッ……後は任せたぞ、ヴォルトっ!)──ずえぇえぇぇぇぇいっ!」

 

襲い来る激痛と頭痛に悲鳴を上げる中、不意に僕の中でそんなやり取りが聞こえた瞬間、僕の中から人型のウンディーネが現れ、カオスに向けて手にした大剣を振り下ろした。

 

『ギッ!? ギアァアァァァァァァッ!!』

 

「ふっ……主様、大丈夫か?」

 

「……ぐ……っ……ウン、ディーネ……」

 

突然、僕の中から現れた事と、両腕で僕を捉えている事で対応が出来なかったカオスは、ウンディーネの振り下ろした大剣を受け、ラザリスの取り込まれている部分を避けた胸元の位置を切り裂かれた。

それが通じたのかカオスは悲鳴と共に僕を両腕から落とし、ウンディーネはカオスから退くと同時に落ちる僕を受け止めてカノンノ達の場所まで戻った。

 

「衛司っ! そんな……ドクメントが……此処まで……っ!」

 

「ぐ……ぁぅ……」

 

「カノンノ、すまないがすぐに回復を頼む。ドクメントの方は今ヴォルトが補助している。少しでも主様の身体を回復しなければ……更にドクメントの破損が深くなる」

 

「わ、分かった……っ!」

 

カノンノ達の前に下ろされながら、激痛からは解放されたが未だに続く強い激痛に声を漏らす僕。

その僕の身体の状態……そしてドクメントを見たであろうカノンノが言葉を漏らすと、カノンノに向けウンディーネがそう言ってカオスへと向き直った。

 

『ギギィ……イラナイ……イラナイイラナイイラナイィィィィッ!!』

 

「……っ……何……?」

 

「っ! 皆、下がれっ! あれは危険だ……っ!!」

 

ウンディーネから受けた胸元の傷を抑え、カオスはしばらく沈黙していたが、突如不気味な大声を上げだした。突然のそれにメリアとウンディーネが警戒していると、後ろにいたニアタがカオスの様子を見てそう声を上げた。

 

『イラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイッ! ダカラダカラダカラダカラダカラ……ッ!!』

 

「っ!! 皆、退けっ!!」

 

「いかん……間に合わんっ!」

 

「……く……衛司だけでも……っ!」

 

「衛司っ!!」

 

「(……っ!)」

 

悲鳴のように高い声を上げ続けていくカオス。それに合わせるかのようにカオスの花のような足下から巨大な魔法陣が浮かび上がっていき、それはこの部屋の地面を埋め尽くすほど大きくなり、それに気付いたウンディーネが声を上げ、皆がその場から後退しようとするが、それは間に合うことは出来ず……──

 

 

『滅ビロ……『世界終焉のレクイエム』』

 

──強力な閃光が……僕達を包んだ。 

 

 

 

 





──以上、第七十三話、如何だったでしょうか?
……うん、こんなに待たせてこの結果で本当に申し訳ない←

最近地の文も少なくなってきた気がするから気をつけないとなー……。


【暴走する『混沌』】
という感じで、暴走する『混沌』、如何だったですかね。
姿は原作の奴にちょっと色々混ぜた感じですが……当初はコレに結晶化した翼生やそうとも考えてました←

元々原作でも悲鳴上げた後の変身だったので、『正直コイツ自我あんの?』と思って考えた結果、暴走させてみました。
正直、世界一つとその分の民の意志をラザリスが一人で制御仕切れるとは思ってもいませんしね←

やっぱりラスボスはラスボスらしく『破壊』に徹してもらおうぜっ!←←

因みに完全な補足ですが、取り込まれているラザリスの姿は某最終幻想八作目の魔女に取り込まれてるヒロインの姿をイメージしてもらえればよいと思います←←←


【衛司のドクメント】
衛司の寿命がマッハでヤバい(物理)
という訳で、衛司君の限界がガチでヤバい状態に進んでってます。
実際ドクメントがヤバくなるとどうなるのか分からないので、此処では強烈な頭痛にしてみましたが……これラストバトル大丈夫か?←


【『世界終焉のレクイエム』】
カオスの秘奥義。まぁぶっちゃけて言えば技はそのまんまカオスラザリスの『世界創造のメルト』なんですが←
原作でこの『世界創造のメルト』にとっちめられたのは良い思い出です←←



次回は混沌戦後半……決着戦となります。
果たして衛司達は無事なのか、混沌を倒す事が出来るのか……。

あ、後次回から多分最終回までこの後書き補足はお休みにしたいと思います。

 
皆様、良ければ感想、ご意見、そして評価等宜しくお願いします+


ではまた、次回+



P.S.テイルズ人気投票、遂に結果発表されましたね+
とりあえず……ルドガー、第一位おめでとうっ!
ルドガー(と稀にヴィクトル←)に投票していた一人として今回の結果は滅茶苦茶嬉しかったです+
……まぁ、投票結果を見て一番衝撃を受けたのは、殿堂入りして今回の人気投票から外された筈なのに五位に存在していた某仮面ストーカーさんですが←←



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。