テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

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皆様、新年明けましておめでとうございます+


なんとか完成できたので投稿です+


今回は軽く難産だった←
書いてて書いてる本人が何書いてるか分かんなくなった現実である←

今回は色々と文が変かもしれませんので、あしからずです;;

新年初の投稿がこんなんでいいのかな…←




第六十五話

 

 

 

 

 

──それは一つの小さな村で生まれた一人の少年から始まった。

 

少年が生まれた時、その両親は初めて生まれた一人の子供に嬉しさの感情を表していた。

 

『この子はきっと良い子に育つ』

 

そんなありがちな言葉を出しながら…その両親と子供は平和に暮らしていた。

 

だが…それはほんの小さな出来事で崩壊した。

 

 

 

────────────────────

 

 

「…ほんの…小さな出来事…?」

 

 

──僕達の目の前で結晶の岩に腰掛け語るサレの言葉に、メリアがそう声を出した。そのメリアの声を聞いてサレはクスリと笑って口を開いた。

 

 

「そう、ほんの小さな出来事…それはその子供が幼いながらに…『風を操る力』を持っていた事が判明した事さ」

 

 

「…どうして…そんな事で…?」

 

 

「なに、そう難しい事じゃないさ。…君ならよくわかるんじゃないかな、リタ・モルディオ?」

 

 

メリアの問いにサレはクスリと笑ったままそう答えるとその視線をリタへと向けた。

サレの言葉とその視線を追うようにリタを見ると、リタはなんとも言えなさそうな表情で溜め息を漏らし、口を開いた。

 

 

「…まぁ、ある程度想像はつくわ。今までなんの変哲も無かった子供が、突然自分達が持っていないような『異能』を持っていたら…それは、その子供に対する見方が変わってくるでしょうね」

 

 

「そう…そして案の定…その子供の両親はまるで手のひらを返すかのように、その子供への見方を変えたのさ」

 

 

リタの言葉の後を続けるようにサレはそう言うと、視線を僕達に戻して再び語り出した。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

子供の両親は子供の持つ力を知ると、手のひらを返すようにその子供への対応を変えた。

今まで可愛がっていた子供を…まるで別の物を扱うように見、扱い、区別し…そして捨てた。

 

村が元々小さい事もあり…その子供の『異能』の噂が広まるのは遅くはなかった。それでも子供が村にいられたのは…少なくともまだ『ヒト』としてみられてたからだろうね。

 

 

…そして子供は必死であった。まだ幼いが為、何故自分が捨てられたか、拒絶されたか理解できてはいなかった子供は、なんとかまた誰かに見てもらえるように、誰かに手を差し伸べられてもらえるようにと子供は必死に崩れた建物の下敷きになった村人を助けたり、魔物に襲われかけた子供を助けたりした…。

だが…村人達はその子供に手を差し伸べることはなかった。

 

そしてある日…子供に転機が訪れた。

それは焦った様子で村に戻ってきた村人の一言を聞いた時であった。

 

 

『この村に魔物の群れが迫って来ている』

 

 

ただでさえ小さな村で、魔物に対抗出来る大人も少ないのだ。そんな村に魔物の群れが襲ってくれば村が確実に崩壊することは幼い子供でもわかる事であった。

しかし…それと同時に子供は思った。

 

 

『自分が『力』を使って魔物を撃退したら、きっと今度こそ皆は自分を見てくれる!手を差し伸べてくれる!』

 

 

幼い子供なりに考えたそれに、子供はその考えを信じて一人、魔物の群れに闘いを挑んだ。

幾ら風を操る『異能』を持っていても所詮は子供…魔物の群れとの闘いは明らかに苦戦であった。

それでも子供は『きっと皆が自分を見てくれる』と信じて魔物の群れと傷つきながらも、返り血を浴びながらも闘い続け…そして子供はなんとか魔物の群れを撃退することに成功した。

 

 

『これでやっと皆に見てもらえる!僕は救われるんだっ!』

 

 

子供は負った傷や浴びた返り血も気にせず村へと走った。やっと認めてもらえる、また両親と笑って暮らせる家に戻れる。そんな想いを胸と頭いっぱいに描いて。

…だが…戻った村でその子供が魔物の群れを撃退しは話を聞いた村人から出た言葉は……──

 

 

 

『──く、くるな…っ!この…化け物めぇっ!』

 

 

 

…村人の言葉はある意味…間違ってはいなかっただろうね。村人が適わないだろう魔物の群れをたった一人の子供が返り血と傷だらけで笑って『自分が倒した』というんだから。

だが、その一言で子供は理解した。

 

 

『ああ、そうか。…僕は『ヒト』じゃなくて『化け物』と見られていて、そして…僕がヒトを信じ続けた結果が…『こんなもの』だったんだ』

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

「──…そこから先に起こった事は子供は覚えていない。次に意識が戻った時に見たのはヒトも、物も…全てが消え失せた村の跡だった。…そしてその後…子供は成長し、騎士となり…そしてヒトを、世界を捨てたのさ」

 

 

結晶の岩に腰掛けたまま、思い出すような表情でそう語りを終えたその時の子供であっただろうサレ。

そんなサレの過去を聞いた僕達は少なからずとも思わされる所があった。

その僕達の表情を見たサレはクスリと笑うと座っていた岩から立ち上がり静かに口を開いた。

 

 

「僕が言いたいことはそういう事さ。どうせ人を信じた所で裏切られるのが結果…。そんなくだらないヒトだらけの世界なら…捨てた方がいいだろう?」

 

 

「…っ!でも人は変わっていける!少なくとも…私たちはそれを見てきたよっ!」

 

 

「でも、それはあくまで『君が見た結果』だろう?」

 

 

「っ!」

 

 

サレの言葉にカノンノは真っ直ぐとサレを見て言い返すが、サレはそれを切り捨てるようにそう言った。

 

 

「そう…人が変わったかどうか決めるのは『君達』じゃない。『その人自身』さ。そして本当に変わったかどうかなんて…誰かに分かる訳じゃない。それに…僕は予想してあげるよ…人は『絶対に変われない』。今はまだ『変わる』だのなんだのと言ってるけど…どうせそれも今のうち…この世界が平和になればまた人はきっと同じ事を繰り返すさ」

 

 

そう淡々と静かにサレは言っていくと、ゆっくりと此方に右手を差し出してクスリと笑った。

 

 

「今からでも遅くない。衛司君…此方に来ないかい?」

 

 

「何をっ!?」

 

 

「さっきの話を聞いて分かっただろう?ヒトを平然と『化け物』と呼び、差別し、捨てる…信じた所で裏切るようなヒトの蔓延る世界なんて、救う価値はないだろう?君だって一度ジルディアの力を手にしたならあの素晴らしさが分かるはずだ。こんな世界救うより…ジルディアに来て力を手にした方が十分いいだろう?」

 

 

僕に右手を差し出したままそう静かに告げるサレ。

幼い頃に捨てられ、それでも救われる為にヒトを信じた結果、裏切られた『結果』を持つサレの言葉は…確かに否定できない物を感じた。

…だけど…。

 

 

「衛司…」

 

 

「…衛司…」

 

「…………」

 

 

サレと僕を交互に見て、不安げな表情を浮かべるカノンノとメリア。そしてただ静かに僕を見つめるリタ。僕はそれを見て小さく頷いた後、サレに向けて口を開いた。

 

 

「……残念ですけど…その手を取る事はできません」

 

 

「ほう…何故だい?」

 

 

「…確かに…アナタの言うとおり、本当に人が変わったかどうかなんて僕達には分からないし…アナタの過去にあった人達のような人も少なからずともいると思う。…だけど…」

 

 

サレの問いに僕は少し俯きながらも応えつつ、再び今此処にいるカノンノとメリア、それにリタを見た後真っ直ぐとサレを見て言葉を続ける。

 

 

「…だけど…此方にいるカノンノやリタ達のような人達がいるのだって確かなんだ。だから…少しでも『人は変われる』っていう想いが皆にあるなら…僕はそれを信じて、この世界を救いたいんだ」

 

 

「へぇ…例えその先に裏切りがあって、その裏切りの刃が君や君の大切な物に突きつけられても、かい?」

 

 

「…うん。裏切られる時があるかもしれない…僕達の力に偏見をもたれる時もくるかもしれない…。だけど、その先に『変われる』って想いがあると、僕は絶対に信じる。何度も裏切られるなら信頼を得られるまでその人に手を伸ばし続ける。大切な人が傷つけられるなら、それを守ってその人と話をする。ただ…それだけだよ」

 

 

目の前で不適に口元を吊り上げるサレに、僕は真っ直ぐとサレを見たままそう言葉を出す。

サレの言っている『現実』から考えれば…確かに僕達が抱いてる想いはただの『理想』かもしれない。

けど…それでも僕はその『理想』を『現実』に変えていけると信じているんだ。

ただサレの言うとおり『見た結果』だけだけど…それでも僕が見たジョアンさんや暁の従者の人達、ウリズン帝国の人達は『変わって』みせたのだから。

 

僕のその言葉を聞いて、不安げであったカノンノとメリアは大きく頷き、静かに見ていたリタは小さく笑い改めて武器をサレに向けて構えなおした。

 

 

「…そうかい。残念だよ…君とは本当に…相容れないようだからねぇっ!」

 

 

「…えぇ…本当に…そうですねっ!」

 

 

僕の返答とカノンノ達の行動にサレは一度クスリと笑って俯いた後顔を上げると、再び笑みを狂気のモノに変えて高らかに叫び、僕はそれに皆と同じように星晶剣を構え直す。

 

 

「もうラザリスの命令も関係無い…君は、君達は必要無いっ!此処で…殺してやるっ!」

 

 

狂気の笑みのまま、だがまるで忌々しいモノを見るような目でサレはそう叫ぶと、再びサレは様々な色の輪《オーバーリミッツ》を発動させ、その背後に五つの暴風を出現させた。

 

 

「…それはお断りします。僕達は殺されない…絶対アナタを此処で倒して…皆が『変わっていける』世界を救うんだっ!」

 

 

 

サレの出現させた五つの暴風に、皆の表情が僅かに曇るが僕はサレに向けてそう叫び、背中に背負っていた鞘を腰に持ち替え、その鞘に構えていた星晶剣を納刀させて低く構え、サレ同様にオーバーリミッツを発動する。

 

 

───『理想』を信じる者と、『現実』を知る者の闘いに決着は迫る。

 

 

 

 







──以上、第六十五話、如何だったでしょうか?

…うん、なんか今話は色々ぐだぐだですみません←



【サレの過去】
自分がヒトを『信じた』結果、自分を否定されたサレ。小さい頃にこんな事あればあんなんになるんじゃないかな、という私の考えです。
人間って…汚い…っ!←


【理想と現実】
衛司達の言う『ヒトは変わっていける』という理想と、サレの味わった『裏切られた』現実。
どちらも実際にあった事であり、否定する事はできない。
結局ヒトが変われるかどうか、というのは本当に『その人の意思次第』という難しい問題ですよね(何←


次回は遂に本当に衛司対サレの決着となります。
果たして、サレの暴風に勝利する事はできるのかっ!?

皆様良ければ感想やご意見、そして評価等宜しくお願いします+

ではまた、次回+


P.S.
アニメ版『デビルサバイバー2』を正月休みに全話見ましたが…セプテントリオンの難易度がルナティック過ぎて絶望感が笑えない←
とりあえずクリッキーの早期離脱とイオちゃん離脱は私は絶対に許さない←←

……誰か転生物で『悪魔召喚アプリ』と『死に顔動画』の力(?)を持ったオリ主とか書いてくれないかなー…(じーっ←



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