テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

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低評価を頂くとなかなか心をえぐる物がある、と気付いた今日この頃。
この低評価をバネに今後はより上手く話を書けるよう頑張りたいと思います;;

今回はヒロイン回です+
上手く書けてるか不安だなー…。




第五十二話

 

 

 

――イフリートとの闘いを終え、オルタータ火山からアドリビトムに戻ると、既にラングリースに行っていたカノンノ達が戻ってきていた。

 

 

カノンノ達はそこで、様々な世界の記憶…そして、その果てで原初の世界樹となった、原初のカノンノに出会ってきたらしい。

そして、その原初のカノンノから…ジルディアとルミナシアが、理は違えど、根源を同じくした兄弟であった話を聞いた。

世界樹による、ジルディアの封印も、元々は共存できるまでルミナシアの理を変えていくと決めた、世界樹の意志によるものだったらしい。

 

星晶は封印するものである一方、ジルディアの為の『ゆりかご』でもあったらしいのだ。

 

遠い未来の話になろうとも、助け合っていける様に…共に創造していく為に、と。

 

だが…ルミナシアとジルディアの理にはまだ大きな隔たりがあるらしく…いずれにしろ、今はラザリスとジルディアを封印しなければならないらしい。

 

 

 

 

 

なんとなく、で話は分かったけど…ラザリス…生まれたばかりで、兵器として扱われ、ルミナシアを酷く拒絶している彼女を再び封印しなければならないのは…少し、不安である。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「――カノンノ…大丈夫かな…」

 

 

 

――カノンノの自室へと向かう廊下を歩き、落とさないように手にしたおぼんに乗る食事を見ながら、僕はそう呟いた。

なぜ僕がこんな事をしているかというと…カノンノが寝たきりの状態であるからだ。

 

ラングリースから戻ってきた時は大丈夫そうだったのだが、なんでもそれから食事を取った後すぐに寝込んでしまい、そのまま今まで目覚めなかったのだ。

その時、僕はアンジュにイフリートの事や、謎の男の事を報告していた為居られなかったのだが…なんでも原因は、ラングリースで高濃度のマナを浴びすぎたせいらしい。

 

 

それで今、ようやく目を覚ましたらしく、カノンノを見ていたアニーから、カノンノに何か食事を持っていくように頼まれたのだ。

 

……因みに、カノンノと同室であったメリアは、カノンノが寝込んでいる間、僕の部屋に泊まっていた。

 

 

……いや、うん…先に言っとくけど、別に何もないからね?

 

 

 

 

――まぁ、兎に角。

 

カノンノが起きたという事で、僕も心配だったので食事を渡しにいくのと同時にお見舞いに行こうと思っていた。

 

今はメリアも依頼で居ないし…久しぶりに二人でできる範囲で話をしよう、と。

 

 

 

 

 

 

 

「――っと……カノンノ、まだ起きてるかな…?」

 

 

考えていると、気付けばカノンノの部屋の前につき僕はそう思うと、確かめる為に扉をノックする。

 

 

「――ぁ…誰…かな?」

 

 

「えっと…カノンノ。僕だけど…入って大丈夫?」

 

 

「衛司…?う、うん…大丈夫だよ」

 

 

扉越しから聞こえたカノンノの声に、僕は確認するように問うと、カノンノは僕と分かったのか少し戸惑いがちにそう答えてきた。

カノンノの返答を聞き、扉を開けて部屋に入ると…カノンノはベッドから上半身だけを起こして此方を見て、心配をさせない為か小さく笑っていた。

 

 

 

 

「…おはよう、かな?ご飯持ってきたんだけど…」

 

 

「おはよう、だね…。うん、ありがとう」

 

 

 

此方を見ていたカノンノにそう言って持ってきた食事を見せると、カノンノは小さく笑ったまま頷いた。

それを見ると、僕はベッドまで近付いて食事をベッドの隣にある机に置き、僕はベッドの近くにある椅子に座った。

 

 

「…体調は大丈夫…?」

 

 

「…うん。…一応、かな…。まだちょっと…クラッてする時があるけど…」

 

 

「…高濃度のマナを浴びすぎたんだよね…あんまり、無理しないでよ」

 

 

僕の問いに、カノンノは右手で自分の額を抑え少し俯いてそう答えてきた。

その様子に僕はそう言うと、手を伸ばしてそっと、カノンノの頭を撫でた。

 

 

「…うん…ありがとう。…ニアタが言うには…高濃度のマナを浴びすぎて…肉体と意識に…ズレが出来てるんだって」

 

 

「肉体と意識にズレって…それって本当に大丈夫なの…っ!?」

 

 

 

頭を撫でられ、カノンノは少し安心した表情を浮かべるとそうゆっくりと説明してき、僕はその説明に思わず声を上げてしまう。

 

 

 

 

 

肉体と意識にズレって…かなり危ないんじゃないのっ!?

 

 

「だ、大丈夫…だよ。もう大分眠ってたし…もう、大丈…夫…っ」

 

 

「……カノンノ…?」

 

 

僕の反応に、カノンノは少し苦笑を浮かべてそう言っていく。…だけど、何故か途中で言葉が途切れだし、どこか目が虚ろになりだし、僕は不思議に思ってカノンノを呼ぶ。

 

 

「…だ、大丈夫……また…ちょっとズレが起きただけ……え…?」

 

 

 

「……どう…したの……?」

 

 

 

途切れ途切れながらも、そうゆっくりと言っていくカノンノが、不意に僕を見た瞬間、虚ろながらもどこか呆然とした表情を浮かべて声を出し、僕はその様子に思わず首を傾げる。

 

 

僕に何かついているのだろうか?

…そう、思っていた時だった。

 

 

「…え……え……?な、なに…これ…?嘘…嘘嘘…どうして…どうして…っ!?」

 

 

「カ、カノンノっ!?どうしたの、急に…っ!?」

 

 

突然、カノンノが僕の方に向けて手を伸ばし、僕に触れるか触れないかの位置で、混乱した表情で、まるで何かを確かめるかのように手を閉じたり開いたりする。

僕はカノンノの行動に驚くも、カノンノを落ち着かせようと手を伸ばして彼女を抱き寄せ、優しく頭を撫でる。

 

カノンノは僕の行動に一度身体を震わせたが、頭を撫でていくと徐々に落ち着いてきているのが分かった。

 

 

「……衛、司…あ…あり、がとう…」

 

 

「…いいよ、気にしなくて。…それにしても…どうしたの、急に…」

 

 

 

大分落ち着いてきたのかゆっくりと呼吸を整えながら、途切れ途切れにそう言ってきたカノンノに、僕は優しく頭を撫でながら小さく頷いた後、そう問う。

カノンノは僕の問いに再び一度身体を震わせると、ゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

 

「…あのね、衛司…私が今まだ…身体と意識にズレがあるって…言ったよね…?…私…そのせいかな…今ね…他の人や物の…ドクメントが見えるの…」

 

 

 

「…っ!」

 

 

 

途切れながらも出したカノンノの言葉に、僕は思わず驚きと…『まさか』、という表情をしてしまう。

他の人や物のドクメントが見える…それは、つまり…。

 

そして、そう考えている僕にカノンノはゆっくりと手を伸ばし、再び触れるか触れないかの位置…きっと、彼女には見えているであろう、僕のドクメントがある位置で手を握ったり離したりすると…ゆっくりと、そして…僕に問い詰めるかのように、言葉を出した。

 

 

 

「衛司…どうして…衛司のドクメントはこんなに…ボロボロなの…?衛司は――『生きているの』…?」

 

 

 

「っ!…ごめん…本当に…ごめん…」

 

 

カノンノの出した、僕にとっては突き刺さるような言葉。その言葉に僕はカノンノを離し、ただ俯いて…そう、謝るしか出来なかった。

 

 

 

――…一番、気付かれたくなかった人に…気付かれてしまった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

――僕はカノンノに、僕の身体の事…そして、この世界にくる原因となった事故の事を離した。

 

ただ、彼女の顔を見ることを出来ず…俯いたまま。

 

 

「…そう……だったんだ…」

 

 

話を終えて俯いたままでいるとそう、カノンノの静かな声が聞こえた。

 

 

「……顔…上げてくれないかな…?」

 

 

「…………」

 

 

静かな声でそう言ってきたカノンノに、僕はゆっくりと顔を上げる。

顔を上げると…カノンノは明らかに、怒っている表情をしていた。

 

 

 

「……どうして…この事を、話してくれなかったの…?」

 

 

 

「…それは……怖かったんだ。一度は確かに、信じてもらえた…受け入れてくれた。だけど…もし、僕が本当は…もう、『死んでる』人間だったって言ったら…また…皆やカノンノに…拒絶されるかもって――「バカっ!」――っ!」

 

 

 

カノンノの問いに僕は上手く目を合わせられず、そう言わなかった理由を言っていくと、その最後に、カノンノの怒った声と、乾いた音…頬に痛みがした。

 

叩かれたのだ…カノンノに。

 

 

 

 

 

 

「衛司のバカ…バカバカバカっ!本当にバカっ!!私達が…私が、本当に衛司を拒絶するなんて思ってるのっ!?」

 

 

「カノンノ……」

 

 

「あの時、皆が言った『衛司を拒絶しない』って言葉を信じられないのっ!?私達は…私は…衛司が居なくなるなんて嫌だよっ!」

 

 

真っ直ぐと僕を見て、怒りながら…そして、瞳から涙を流しながらそう言葉を出していくカノンノ。

その姿に、様子に…僕は何も言えなくなる。

 

 

「それに、『自分は死んでる人間』なんて…そんな事、言わないでよっ!私の知ってる衛司は…私の大好きな衛司は…今だってちゃんと『生きてる』でしょっ!」

 

 

「っ……!」

 

 

「衛司…皆を…私を…信じてよ。…自分で『自分は死んでる』なんて…言わないでよ。私…そんな衛司…見たくないよ」

 

 

「……ごめん……っ」

 

 

怒りながら、泣きながら僕を真っ直ぐと見てそう言うカノンノ。

そのカノンノの言葉に、僕は涙を流して…そう、謝罪の言葉を出した。

 

カノンノはそんな僕に手を伸ばし、その手で僕の頬に触れると、真っ直ぐと僕を見たまま口を開いた。

 

 

「…衛司…この事…ちゃんとメリアや皆に話して上げてね。きっと…皆、アナタを受け入れてくれるから」

 

 

 

「…うん…ごめん…」

 

 

 

「……いいよ。……それにね、衛司…。もし…皆が受け入れてくれなかったとしても……――」

 

 

「え……――」

 

 

 

カノンノの言葉に頷いていると、そうカノンノが言い僕を真っ直ぐと見たまま顔を近付け……僕の唇に口付けをした。

 

 

 

 

突然の事に驚く僕に、カノンノは少しして触れていた唇を離すと、頬を赤く染めて言葉を出した。

 

 

「――…もし、皆が衛司を受け入れてくれなかったとしても……私はずっと…ずっとずっと、衛司を受け入れてあげるから」

 

 

 

 

「っ……ごめん……あり、がとう……っ!」

 

 

 

「…いいんだよ。衛司が私を支えてくれたみたいに…私も…衛司を支えたいから…」

 

 

「…ありがとう…ありがとう…っ!」

 

 

 

カノンノの言葉に、僕は再び涙が溢れ出す。そんな僕に、カノンノは僕を慰めるように、僕を抱き締めて優しく頭を撫でてそう言った。

いつもカノンノやメリアに、僕がやっていた事だけど……二人もきっと、こんな気持ちだったんだろう。

 

 

カノンノの優しさと想いに……僕は抱き締められたまま、涙を流したまま、心から感謝の言葉を出していた…。

 

 

 

 

 




以上、第五十二話、如何だったでしょうか?

…内容的に結構不安が残る;




【衛司と同室のメリア】
別に深い意味も深い事もありません←←

精々同じベッドで寝た、とかそれぐらいです←

ウチの衛司はヘタレなんだよっ!←←


【衛司のドクメントを知ったカノンノ】
『にじファン』時代から声もあった衛司君のドクメントを知ってしまったカノンノの反応は、こんな感じになりました。

大切な存在である人の命がこんな事になっている、と突然知ってしまったらやっぱりこんな感じになってしまうのかなー…と考えたらこうなりました。

自信はない←←


【泣く衛司と泣くカノンノ】
色々書いてて迷った所←
やっぱりシリアスって書いてると迷って迷って、迷いまくってしまいます;;

衛司君を慰めるカノンノと、衛司君とカノンノのキスは前々から書こうと思ってたらこの所で書いてしまったけど……いまいち上手く書けたか不安です;;



皆様、感想やご意見…そして評価等、良ければ宜しくお願いします+


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