テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

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今回は暴走イフリート戦です+
戦闘描写ってやっぱり難しいなぁ…。

あ、後気付けばこの作品のお気に入り件数が200を越えてました+
皆様、このような作品を登録して頂き本当にありがとうございます+

期待に応えられるよう、今後も頑張っていきたいです+


第五十一話

 

 

 

 

 

『――グゥウゥゥ…ウォオォォォォっ!!』

 

 

 

「――うわっ、と!!」

 

 

「――わ、わわっ!?」

 

 

 

――僕達が武器を構えたと同時に、僕達に向けてイフリートは炎弾を飛ばしてきた。

僕達が武器を持った事で、僕達を敵だと認識したのだろう。

 

僕達はその場を散ってそれを回避する。

 

 

 

『ウゥウゥゥ…オォオォォォっ!』

 

 

「くっ……魔神剣っ!」

 

 

「僕も…魔神拳っ!」

 

 

避けた僕達を見て雄叫びをあげるイフリート。僕は星晶剣を構え直すと斬撃を飛ばし、ジュードもそれに合わせて拳撃を飛ばす。

 

 

『グルルゥゥ…ガアァアァァっ!!』

 

 

だがそれに対し、イフリートは雄叫びを上げながら息を吸い込み、

その息を大きな炎と共に吐き出して斬撃と拳撃を相殺する。

 

 

「っ…雷よ…ライトニング・ボムっ!」

 

 

『グゥウゥゥっ!!』

 

 

攻撃を相殺されたのを見ると僕はすぐさま右手をイフリートに向け、ライトニング・ボムを放つ。

炎を吐いた直後のイフリートにはその対応が遅れ、ライトニング・ボムが直撃する。

 

 

「…よし、当たったっ!」

 

 

「今なら…行くよ、レイアっ!」

 

 

「うん、ジュードっ!」

 

 

 

 

ライトニング・ボムを受け怯んだイフリートに僕が言うと、ジュードとレイアが頷き、怯んだままのイフリートに向けて走り出す。

 

 

『ウゥウウゥゥ…オォオォォォっ!』

 

 

イフリートに向けて走るジュードとレイア。だが、イフリートはそれに気づくと雄叫びを上げ迫る二人に向けて右腕を振り上げる。

 

 

「そうはさせないわよ…フォトンっ!」

 

 

『グゥウゥゥっ!?』

 

 

今にも二人を殴ろうと振り上げられたイフリートの右腕。それに対して先程まで詠唱をしていたロッタがそう声を上げると、振り上げられた右腕に向け光を収束、爆発させる。

イフリートはその攻撃に怯み、振り上げていた右腕を止める。

その隙にジュードとレイアはイフリートに接近し、ジュードは拳を、レイアは棍を構える。

 

 

「これで…僕が三発っ!」

 

 

「私も三発っ!」

 

 

「「これぞ、六散華っ!!」」

 

 

 

 

『グォアアァアァっ!?』

 

 

怯み、無防備となったイフリートに向けて放たれるジュードとレイアの舞うような六連撃。

その六連撃を受け、イフリートは声を上げて吹き飛んでいく。

 

 

「へっへーん、どうだ!私とジュードの力はっ!」

 

 

「全く…まだ終わってないんだから調子のらない。でしょ、衛司?」

 

 

「うん…多分…まだ元に戻せる程弱ってない…と、思う」

 

 

 

 

 

 

吹き飛んだイフリートを見て声をあげるレイアに溜め息混じりにロッタは言うとそのまま僕に問い、僕は納めたままの木刀を一度見てそう答える。イフリートを戻すには以前のヴォルトの時のように、この木刀の力が必要だとは思うんだけど……以前のように光り出す様子は無い。

多分、まだイフリートを戻せる程弱ってはいないんだろう。

 

 

 

 

 

 

『…ゥゥゥ…オォオォォォっ!』

 

 

そんな僕達の疑問に答えるかのように雄叫びを上げながら吹き飛んだ場所から再起するイフリート。

僕達はそれを見て再び武器を構える。

 

 

「…全く…本当、大精霊って厄介ね…」

 

 

「早く彼を戻したいけどこれじゃあ…また来るよっ!」

 

 

『グゥウゥゥ…ルオォオォオォォっ!!』

 

 

武器である杖を構えたままそう呟くロッタに僕はそう言っていると、イフリートは雄叫びを上げながら再び炎弾を放ってきた。

 

僕達はそれに対してその場を散り、炎弾を避ける。その時だった…。

 

 

「――っ!ロッタっ!!」

 

 

「え…きゃぁっ!!」

 

 

皆が散り散りに炎弾を避けた瞬間、イフリートは始めから標的を決めていたかのように…避けたロッタに向けて右腕を振り下ろした。

ロッタは慌てて杖を前に出して盾のようにするが、避けた直後という事もあり防ぎきる事が出来ず飛ばされ、壁に背中をぶつける。

 

「ロッタ!!」

 

 

「クッ…今すぐ回復に…っ!?」

 

 

『グルルゥゥ…ウォオォォっ!!』

 

 

壁にぶつけられたロッタを見て声を上げるレイアと、それ駆け寄ろうとするジュード。

そんなロッタに向け、イフリートは更に追撃するかのように息を大きく吸い込む。

 

っ…そうはさせるかっ!!

 

 

 

「っ…星晶剣、僕のマナをっ!!」

 

 

『(――主っ!?)』

 

 

イフリートが息を吸い込んだのを見た瞬間、僕は倒れたロッタの前に守るように立ち、星晶剣を構え、星晶剣に自身のマナを送る。

ヴォルトの声が聞こえると同時に身体にマナを吸われる感覚が走るが、それを気にせずマナを星晶剣へと送らせ星晶剣を巨大化させる。

 

 

『グォオォォォォっ!!』

 

 

「っ…防ぎきって…星晶剣っ!」

 

 

イフリートから放たれる炎の僕はそれを巨大化させた星晶剣で防ぐ。

 

 

「うっ…くっ…!」

 

 

火の大精霊、イフリートの炎の息吹。星晶剣で防いでいるとはいえかなりの熱さが星晶剣を通して伝わってくる。だけど…ここで防ぎきらないとロッタが…っ!

 

 

「ぅっ…アン、タ…星晶剣《ソレ》使ったら…アンタの…身体が…っ」

 

 

炎を防いだままの僕に、後ろから途切れ途切れにそう、ロッタの声が聞こえた。

皆は僕のドクメントの状態は知らない。だが、皆と比べて僕の体力が低い方である事は皆が知っている。そんな僕の無理な星晶剣の変形《マナの使用》。

…いつもツンツンしてるのに、こういう時は本当、僕の事を心配してくれるな、ロッタは。

 

正直、かなりキツかったりする。

だけど…。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…これくらい…ロッタを…守れるなら…どうってこと、ないっ!」

 

 

「っ!」

 

 

ロッタの言葉に答えるように、僕はそうハッキリ言う。

そう…確かにかなりキツいけど…大切な仲間を守れるなら…どうってことない!

 

 

「魔神拳っ!」

 

 

「兎迅衝っ!」

 

 

『グゥウゥゥっ!!』

 

 

 

炎を防ぐ中、不意に防いで見えない向こう側からジュードとレイアの声が聞こえた後、イフリートの声と何かがぶつかる音が聞こえ、炎が止む。

 

恐らくジュードとレイアがイフリートを攻撃して、イフリートの炎を止めたんだろう。

 

 

僕が星晶剣を戻すと案の定、向こう側からジュードとレイアが駆け寄ってきた。

 

「…大丈夫!?衛司、ロッタっ!?」

 

 

「…っ…うん、なんとか…それより、ロッタを…」

 

 

「衛司もだよっ!任せてっ!」

 

僕とロッタを見て言ってきたジュードに僕はなんとか頷いて先にロッタの回復を頼む。

僕のその言葉にレイアは首を横に振ってそう言った後、ジュードと顔を合わせる。

 

 

「――回復の光よ…」

 

 

「――加護の風を此処に…」

 

 

「「エイドオールっ!!」」

 

 

 

ジュードとレイアが両手を前に突き出しそう唱えると、二人を中心に暖かく、そしてどこか安らぐ風が僕達の周りを吹き抜ける。

その風が僕達を包んでいくと同時に、先程まで防いでいて身体に感じていた熱やマナの消費…それに倒れているロッタの傷が回復していく。

 

 

…よし、これなら…っ!

 

 

 

 

『グゥウゥゥ…オォオォォォっ!!』

 

 

 

「…やっぱり、まだそう簡単には倒れてくれないんだね」

 

 

回復し、立ち上がる僕達と同じように、イフリートは再び雄叫びを上げながら立ち上がり、それを見たジュードは呟く。

 

ジュード達が回復してくれたとはいえ、さっきのマナ消費は結構大きい。

…どうすれば…。

 

 

「―…ねぇ、衛司…。アンタの星晶剣…マナを吸収して、威力や形が変わるのよね…?」

 

 

「ロッタ…?確かに…そうだけど…」

 

 

考えていると不意に、後ろで杖を支えして立ち上がるロッタからそう聞かれ、僕は少し首を傾げて答える。

 

「そう。…なら…今から私が今残ってる魔力全部込めたマナをアンタに送るわ。それを星晶剣で吸収して…アイツに叩きつけなさい」

 

 

「えっ…!?そんな事したらロッタは…」

 

 

 

ロッタの出した提案に、僕達全員が驚く。

回復したとはいえ負傷しており、それで残りの魔力を込めたマナを渡す。

そんな事したらロッタの魔力はつき、本当に無防備となる。いや、それ以前に身体が…

 

 

「…安心しなさい。私はアンタと違ってそこまでやわじゃないわよ。…それに…『私を守る』って言ったんだから、魔力尽きてる私を、ちゃんと守ってくれるんでしょ?」

 

 

「それは……分かった」

 

 

ロッタの言葉に僕は迷いながらも、頷いてそう答える。

彼女の身体が心配だけど…此処まで言われたら、彼女の意思を止める事は出来ないだろう。

それに…彼女に遠回しなりに信頼されてるんだから…此処はちゃんと守ってみせる。

 

ジュードとレイアも迷いを見せるけど、ロッタの意思が分かったのか小さく頷く。

 

 

 

「よし…それじゃ、ジュードとレイアは私が衛司にマナを渡すまでのイフリートの足止めをお願い」

 

 

「分かった。二人とも…あんまり、無理しないでね」

 

 

「うん。皆、一緒に帰るんだよっ!」

 

 

ロッタの言葉にジュードとレイアは頷きながらそう言うと、武器を構えてイフリートに向けて走り出し、イフリートもそれに対応するように迎え撃つ。

 

 

 

 

「…衛司…チャンスは一回よ。ちゃんと、これで決めなさいよね」

 

 

「うん…分かってる。…これで…絶対に決めるっ!」

 

 

 

「なら…行くわよっ!…我が力、我が魔力を…今此処に…」

 

 

ロッタの言葉にしっかりと頷いて答えて星晶剣を持つと、ロッタも頷いて杖を構えて詠唱を始める。

ロッタが詠唱をしていくと、徐々に構えた杖の先に光が集まり出す。

 

 

「…っ…我が力よ…我が生命力よ…今此処に集いて…かの者に与えるべき力を…っ!」

 

 

 

詠唱をしながら僅かにロッタの表情が変わる。魔力とマナの消費の疲労…彼女には今、それが来ているのだろう。

だがそれでも、彼女は詠唱を止めず続け、杖に光を集めていく。

 

そして…杖に集まる光が大きくなった所で詠唱は終わり、ロッタが僕を見て口を開く。

 

 

 

「…行くわよ、衛司っ!しっかり…受けとんなさいっ!」

 

 

 

 

ロッタはそう言うと、杖に集まった光を僕の方に向けて杖を奮い、飛ばしてきた。

 

僕はロッタに一度頷き、星晶剣を飛んでくる光に向け、吸収させる。

 

 

 

「っ…う…おぉおぉぉぉっ!」

 

 

ロッタの渡してきた膨大な魔力とマナ。それを星晶剣で受け取った瞬間、かなりの重みが星晶剣に入ってくる。

っ…だけど…これぐらいっ!

 

 

「っ…変われ…星晶剣っ!」

 

 

重みを増した星晶剣をなんとか空に掲げるように振り上げ、僕は声を上げる。

そしてそれに反応するかのように、星晶剣は光を帯び、その刃を大きく、長く変えてゆく。

 

 

その変化に気付き、前で戦っていたジュードとレイア、それに暴走するイフリートが此方を見て驚きの表情を浮かべる。

 

だけど…まだまだっ!

 

 

「っ…伸びろ…伸びろ…伸びろ、伸びろ、伸びろぉおぉっ!」

 

確実に一撃でイフリートを止める攻撃。それを与える為に、光を纏う星晶剣を更に、更に大きくさせる。

そして…その大きさは遂に、このフロアの範囲ギリギリまでとなった。

これなら…行けるっ!

 

 

ジュードとレイアはそれに分かったのか、お互いに頷いた後すぐさまその場を後退する。

 

残ったのは…その星晶剣の質量に呆然とするイフリートだけだ。

 

 

 

「これで…終わりだ…っ!――星晶、閃光斬っ!!」

 

 

 

『グ…ォオ…オォオォォォォオっ!?』

 

 

 

二人が星晶剣の斜線上から放れたのを確認し、僕はイフリートに向け、光を纏い、巨大化した星晶剣を振り落とす。

その質量に、呆然としていたイフリートは逃げる事も、防ぎきる事も出来ず……その光の一閃に雄叫びと共に包み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

『――ぬぅ…そうだったのか…。礼を言う、人間』

 

 

 

「ぁー…いえ、お気になさらず」

 

 

 

――あの後、イフリートを無事、元に戻す事が出来た。

結構ジルディアの浸食が進んでて不安だったけど…なんとか成功し、今、こうしてお礼をされていた。

イフリートが正気に戻った事で火山の温度も落ち着きだした。やはり、原因はイフリートの暴走だったらしい。

 

因みにジュードとレイアは今、後ろの方でロッタの回復をしている。

あの一撃の後、ロッタは魔力切れとマナの消費で座り込んでしまった。

意識はあるし、様子も安定してるから大丈夫、らしい。

 

 

「――それにしても…イフリート。まだキバは残っているとしても、此処のジルディアの浸食はディセンダーが一時的とはいえ治した筈です。…何故、浸食が…?」

 

 

『――ぬ…?ヴォルトか…人間に使役されたとは聞いていたが、まさかこの小僧だったとは。…その事なのだが……数日程、前だったか。…一人の男が此処に来て、な』

 

 

 

不意に僕の身体からヴォルトが現れ、イフリートに問うと、イフリートはヴォルトを見て少し驚いた表情を浮かべた後、思い出すような仕草を見せた後そう言い出した。

 

一人の…男…?

 

 

『身体から結晶を生やした目つきの悪い妙な男だったな…。我は少々警戒して見ていたのだが……あの男、どうやら我が居る事が分かっていたようでな…。戦ったのは覚えているのだが…それ以降の記憶は無い』

 

 

「多分その時に、ジルディアの浸食を受けたのかな…。だけど…身体から結晶を生やした目つきの悪い妙な男…?」

 

 

「……ラザリス、では無さそうですね、主」

 

 

イフリートの話を聞きながらラザリスの事を思い出すも、イフリートの出した特徴に少し悩む。

確か…ラザリスはそこまで目つきは悪くなかったと思うし…それに多分だけど、ラザリスは女の子だと思う。多分だけど。

 

 

…でも、それなら一体誰が…?

 

 

『――すまぬがこれ以上は我からはなんとも言えぬ。本当に、申し訳ない』

 

 

「いえ、気にしないで下さい。…それにしても…イフリートはこれからどうするんですか…?」

 

 

『…今回の事があって、また同じ事が起こらんとは言い切れんからな…事が落ち着くまで此処にはおれんだろう。…本来であれば我もヴォルト同様、お前に使役されて礼を返したいが…どうやらお前の身体は『特別』のようだからな。…しばらくはどこかに姿を消すとしよう』

 

 

僕の問いに、少し僕をじっと見た後イフリートはそう答えた。

…どうやら彼には僕の身体の事が分かったらしい。

 

その部分を後ろの三人に聞こえないように言ったのがその証拠だろう。

 

 

「…ありがとう、イフリート」

 

『――礼をすべきは我なのだが、な。…この礼はいつか必ず、どこかで返すとしよう。…ではな、良き…人間達よ』

 

 

 

僕の言葉にイフリートは少し驚いた表情を見せた後、どこか照れくさそうな仕草を見せてそう言うと、イフリートは少し小さい赤い光へと姿を変え、火山から空へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「――…全く…どうして、私がこんな…」

 

 

「…そういわないでよ。…まだ身体、上手く動かせないんでしょ?」

 

 

――火山の帰り道、僕は何故か顔を真っ赤にしたロッタを背中におぶって帰っていた。

…どうしてか、といわれると…ジュード達がある程度ロッタを回復させてくれたみたいだけど、まだ上手く歩ける程回復してはいないらしい。

それでどうやって帰るか考えているとレイアが…

 

 

『じゃあさ、衛司がロッタを背負って帰ればいいんじゃないかな?』

 

 

…と、提案したからだ。

始めはロッタは顔を真っ赤にして嫌がってたけど、レイアと何か話した後、渋々僕に背負われて帰る事に頷いた。

代わりに星晶剣はロッタに背負ってもらってるけど。

因みに、その提案であるレイアは何か機嫌良さそうにジュードと一緒に前を歩いている。

 

…やっぱり幼なじみだから仲良いんだね、あの二人。

 

 

 

 

「…ねぇ、衛司」

 

 

「ん…何、ロッタ?」

 

 

「…アンタ…まだ何か私達に隠してる事あったりする?」

 

 

「え…っ!?」

 

 

不意にロッタから呼ばれ、振り返らずに何か聞き返すと、唐突に聞かれた言葉に思わず驚いてしまう。

 

 

「…その様子だと…やっぱり何か隠してるのね」

 

 

「…えっと…どうして…?」

 

 

「…アンタ…時々研究室に出入りしてる時あるでしょ?そん時のアンタの顔…結構暗かったからね」

 

 

僕の反応に、後ろで呆れた様子でそう言われたのが分かった。

僕が恐る恐る問うと、ロッタは少しそう返してきた。

研究室…僕のドクメントの様子を見てもらう時の、か…。

 

 

「…よく見てるね、僕の事」

 

「た、偶々よ、偶々っ!…別に、アンタが話したくないなら話さなくていいよ。…どがつくほど正直者でお人好しのアンタがまだ隠してるって事は、アンタがよっぽど言いたくないって事でしょうからね。……ただ」

 

 

「…っ…ロッタ…!?」

 

 

僕の言葉に少し焦った反応をした後、そう淡々と言っていくロッタ。そして言っていく中、背負われる為に首に回していた腕を、締めない程度に強く抱きついてき、僕は少し驚く。

 

 

「…ただ、アンタは一人じゃない。…それに…アンタは『守る』だけじゃなくて…皆に『守られて』もいい存在なんだから。…そこんとこ、ちゃんと分かっときなさい」

 

 

「……うん」

 

 

 

抱きついた腕の力を緩めず、そう言って僕の肩に自分の顔を乗せるロッタ。

僕はロッタのその言葉と、抱きついた為密着した背中から伝わる彼女の暖かさを感じながら…ゆっくりと頷いて応えた。

 

 

 

 

「――…ねぇ、衛司」

 

 

「――…ん…何、ロッタ?」

 

 

「…このジルディアとの騒動が終わったら、改めてアンタに言いたい事があるんだけど…その時はちゃんと、私の前に居なさいよね」

 

 

「…?うん…分かった」

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「――力の調子はどうだい?」

 

 

――暗い闇のような中、ラザリスは目前に立つ、自分と同じように身体から結晶を生やしたサレにそう問い掛けた。

 

「――フフッ…最高だよ。試しに大精霊に挑んでみたけど…まさか大精霊をあそこまで変えられるなんて…中々良い気分さ」

 

 

ラザリスの問いにサレは口元を吊り上げるとそう言い、ラザリスを見た。

 

 

「そうかい。…それなら、君にはもうしばらくしたら僕の代わりに動いてもらおうかな。僕はあのディセンダー達との来たるべき闘いの為の準備をしないといけないから」

 

 

「了解したよ。君と、ジルディアの望みとあらば…」

 

 

 

サレの返答にクスリとラザリスは笑みを浮かべてそう言うと、サレは一度と頷いた後、ラザリスの前に片膝をつき、頭を下げた。

 

 

まるで…忠誠を誓う騎士のように…。

 

 

 

 

 

 




以上、第五十一話、如何だったでしょうか?

お兄さん、自信無いや←



【VSイフリート】

書いてて本当に色々迷わされた←
やっぱり戦闘描写って難しいです;;

ジュレイの戦闘描写は特に難しく、上手く書けずに本当に申し訳ありません;

リンク技の描写悩むわー…←←


【協力秘奥義『星晶閃光斬』】

テイルズと言えば『協力秘奥義』、という訳でやってみました+
…まぁ上手く書けなかったけど←←

因みに読みは『セイショウセンコウザン』です。

イメージ的にはユーリの『天翔光翼剣』の少し小さめのバージョンです+

【イフリート】
色々考えた結果、彼は使役しない事にしました。
まぁ衛司のあの身体で二体も使役したら…ねぇ?←

ただ、彼は後々もう一度登場する予定です←


【衛司とロッタ】
自分でも書いてて分かんなくなってきた←

ロッタがツンデレてない件←
でもまぁ書きたい事書けたんで後悔はない←

そしてロッタさんが見事に告白フラグを建てました←←


【ラザリスとサレ様】
着々と裏でなんかやってる安定の二人です←

サレ様は完全にラザリス側に堕ちてます。
サレ様の忠誠の姿とか…正直自分でも書いてて想像つかない件←←


皆様、感想、ご意見等良ければ宜しくお願いします+

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