テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

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ケイプレックス戦です。
かなり戦闘描写がおかしいかもしれません;;


第四話

 

 

 

『GYAOOOOOOOOOOOOOO!!』

 

 

目前で吼える青い巨躯の恐竜『ケイプレックス』。その姿はまさに今、『蹂躙』という言葉が似合うであろう。

 

 

 

「――…ねぇ、ロッタ、ヴォイト。あれ……勝てたりする?」

 

 

「はははっ……ブラザー、中々面白い事いうじゃねぇか」

 

 

「……珍しく同感ね、ヴォイト。はっきり言うわ………今じゃ『無理』よ」

 

 

木刀、剣、杖。僕達は武器を手に持つもロッタとヴォイトの言葉と同時に、此方に近寄ってくるケイプレックスに後退りしてしまう。

 

 

「……おいおい、かなり絶体絶命だな、今」

 

 

「馬鹿言ってる場合?さっさと逃げないとマジでヤバいわ……」

 

「逃げるっつっても唯一の逃げ道は奴さんが塞いでんだぜっ!?」

 

 

ヴォイトの言うとおり、僕達が来た道は今ケイプレックスが立ちふさがっている。

背後は枯れ果てた草木と大地で作られた行き止まり。正に、背水の陣だった。

 

 

「……一瞬でも隙作って逃げるか、怯ませて倒して逃げるか、なんとか頑張って倒すか、かしら?」

 

 

「おいおい、どれも簡単に言ってできる事じゃねぇーよ!!」

 

 

ロッタとヴォイト一見落ち着いているように見えるけどその表情とは裏腹に現状に混乱しているように口論になりそうになる。

 

 

何か方法を……ケイプレックスを一瞬でも怯ませて、逃げ切る方法………そうだっ!

 

 

 

「ねぇ、ロッタ!『フォトン』を結構大きめの威力で唱えたりできる!?」

 

 

「え…あ、一応、詠唱が普通よりは掛かるけど…そんなんでアイツが倒せる訳なんて……」

 

 

「ううん、唱えれるならそれでいいんだ!詠唱までの時間は僕とヴォイトが作る。フォトンを唱えた後にも考えがある。だけど……上手くいくかは――」

 

 

「いや、俺はいいぜブラザー。それしか方法はねぇんだろ?」

 

 

「……そうね、どっちにしろ死ぬかもしれないなら…やった方がマシよ」

 

 

僕の言葉に決心したように杖と剣を構えるロッタとヴォイト。

二人共……。

 

 

「……よし、それじゃ……行こうっ!!」

 

 

僕の声と同時に、僕とヴォイトが武器を手にケイプレックスへと走り出し、ロッタは詠唱を開始した。

 

 

 

 

「「うおぉおぉおぉぉぉっ!!」」

 

 

 

『GYAOOOOOOOOOOOO!!』

 

 

僕とヴォイトの接近に対し、ケイプレックスは吠え、尻尾で凪いでくる。

僕はそれを下に、ヴォイトは上に避けると、ケイプレックスに向け武器を奮わせる!!

 

 

「虎牙破斬っ!!」

 

 

「裂空斬っ!!」

 

 

僕が下から切り上げ、切り落とし、ヴォイトが跳んだまま回転し、ケイプレックスへと攻撃を直撃させる―――が……

 

 

 

 

 

―――ガキンッ!!

 

 

 

確かに決まったそれは、ケイプレックスの肉を裂くことは愚か、皮膚を傷付ける事は無かった。

 

 

「くそっ!分かり切ってたけど、やっぱり木刀じゃ無理あるか!!」

 

 

「チィッ!!ブラザー、避けろっ!!」

 

 

自分の武器にぼやき、ヴォイトの声にその場から退くと、ケイプレックスの爪が奮われ、僕が居た場所に大きな爪痕が残る。

 

 

「っ……流石ケイプレックス…まさか武器が効かないなんて……」

 

 

「ブラザー…こんなんで本当に大丈夫なのかよ…っ!」

 

 

「少なくとも…今はロッタの詠唱待ちだ、よっ!!」

 

 

ヴォイトと言葉を少し交わせた直後、今度は叩き落とすかのように振り落とされてきた尻尾を左右ずつに別れて避ける。

 

「傷一つ付かないなら……ヴォイト、脚を狙おう!!」

 

 

「脚ぃっ!?」

 

 

「いくら傷が付かなくても少しくらいダメージがある筈だよ!それなら、脚を一点集中で止めるんだっ!!」

 

 

「なるほど……OKだ、ブラザーっ!!」

 

 

二人で駆け出し、奮われる尻尾や爪をなんとか避けながら攻撃箇所を目指す。

狙うは……右脚!!

 

 

「いっけェッ!散沙雨ッ!!」

 

 

「うおぉおぉおぉぉぉっ!秋沙雨ッ!!」

 

 

手数で勝負、と言わんばかりに右脚の一点に向け、僕とヴォイトの連続突きが放たれる。

 

そして……

 

 

 

『GYAOOOO!?』

 

 

短い悲鳴の後、ケイプレックスは右脚から崩れる。だけど、これだけじゃ、すぐ戻る。

 

 

「ロッタァッ!!」

 

 

「ナイスタイミングよ、アンタ達ッ!!くらいなさい…フォトン!!」

 

 

僕の声に、ちょうど詠唱を終えたロッタの声が続く。放たれた光の魔法、フォトンは大きな円を作り、爆発し、眩い光を作る。

 

 

『GYA!?』

 

 

そう、僕の狙いはこれだ。あくまで威力大のフォトンは攻撃に使うのではなく、目眩ましのものだ。ケイプレックスが怯んでいる内に、先にロッタを逃げ道へと走らせる。

そしてこのフォトンも一つの保険のような物。僕とヴォイトはロッタが逃げてる内に走り出し、怯んでいるケイプレックスへの距離を零にする。

 

 

 

そして、僕は木刀を全力で前へと突き出し、ヴォイトは右腕に力を溜め込み、それをケイプレックスへと全力で放つ!

 

 

 

「はぁあぁあぁぁぁっ!瞬迅剣ッ!!」

 

 

「獅子ッ戦吼!!」

 

 

青い巨躯へと直撃する全力を込めた、突きと獅子型の気の塊。

ケイプレックスは悲鳴と共に吹き飛ぶと、近くの木へとぶつかり倒れる。

 

 

「ハァ…ハァ……ヴォイト、今のうちにッ!!」

 

 

 

「おうッ!逃げるぞっ!!」

 

 

ケイプレックスの様子を確認した後、来た道(逃げ道)へと向けて走り出す。

ケイプレックスは倒した訳じゃない。と、言うかあれで倒れる訳ないだろう。

 

今はケイプレックスがのびてる内に逃げるのが最優先であった。

 

 

 

 

 

―――――コンフェイト大森林入り口

 

 

「ハァ…ハァ……なんとか、逃げ切ったわね……」

 

 

「ハァ……ハァ……うん。ここまでくれば…ハァ…もう大丈夫だよね……」

 

 

「ゼェ……ゼェ……しばらくはもう来たくねぇぞ……」

 

 

入り口の前に三人でその場に座り込み、肩で息をしながらそう言い合う。

 

 

正直今回は本当に危なかった。ヴォイトの言うとおり本当にしばらくはコンフェイト大森林への依頼は受けたくない気分だ。

 

「ハァ……それにしてもケイプレックスって……本当ならもっと森の奥にいる筈なのに」

 

「……やっぱり、あの採取後になんかあるのかな」

 

 

「さぁな…。兎に角、あんなんが居た以上、長居は無用だぜ。さっさと船に戻って、アンジュに報告しようぜ?」

 

 

「ん、そうだね……」

 

 

とりあえず、僕達はコンフェイト大森林を後にし、船に戻る事にした。

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

「――そう、そんな事があったの」

 

 

あの後、僕はコンフェイト大森林で事をアンジュに説明した。ロッタとヴォイトは疲れたので休むから報告は任せたとの事。

あれ、これってパシりじゃない…?

 

 

「草木の急な変化に、最奥にいる筈のケイプレックスの出現……ね。とりあえず、しばらくはコンフェイト大森林の依頼は避けて、落ち着いてきたら再調査に行く必要がありそうね」

 

 

「そうだね……。うわぁ…次行くときは新しいトラウマ出来そう……。……そう言えばなんかあったの?」

 

 

「あら、よくわかったわね」

 

 

「うん。帰ってきた時やけにロックスさん忙しそうな半分、なんか楽しそうに今日のご飯の献立考えてたから」

 

 

最近分かった事の一つ。ロックスさんが上機嫌の場合、アドリビトムで何か良いことがあったと思うこと。

 

例であげるなら僕が師匠達との練習で技を覚えた事が嬉しくて話したら、ロックスさん上機嫌で、その日のメニューがシチュー(僕の大好物/教えた事は…無かった筈)を作ってくれた時とか。

 

 

「それで、結局何があったの?」

 

 

「えぇ、あなた達がコンフェイト大森林に行く少し前に、メリアとヴェイグ達がヘーゼル村に配給の依頼に行ってたの。その時に偶々、ガルバンゾ国のお姫様とその護衛の方がウリズン帝国の兵士に襲われてて、それを保護したのよ。それで、此方で暫く保護する兼、アドリビトムで働いてもらう事になったの」

 

 

さも楽しそうに説明するアンジュ。彼女で言う『此方で居るならそれなりに働いてもらう』だろう。

黒いなー…。

 

 

「あら、今何か失礼な事を思わなかった?」

 

「イエ、ナンデモアリマセン、サー。それで、そのガルバンゾ国のお姫様と護衛って――」

 

 

「――ぁ、はじめまして!」

 

 

言葉を言いかけた時、声を聞いてそちらを見ると―――

 

 

 

「アナタもギルドの方――ですよね?」

 

 

「何て言うか……あんまり期待出来なそうな顔してるわね」

 

 

「そう言ってやんなっつーの。まぁ、面倒事に巻き込まれて世話になる身だ。これから宜しくな」

 

 

ガルバンゾ国のお姫様とその護衛こと、『ヴェスペリア』のエステル、リタ・モルディオ、せしてユーリ・ローウェルがそこに、楽しげな表情を浮かべていた…。

 

 

 

 

 




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