テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─そして、僕の伝説─   作:夕影

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今回はオリジナル話です+
未参戦作品、及びキャラクターが登場します+


第二十四話

 

 

「――…おーい、まだつかねぇのか…?」

 

 

「……うっさいヴォイト。聞く体力があるならさっさと歩く」

 

 

「……ははっ…」

 

 

――コンフェイト大森林のとある道を歩きながらそう言葉を出したヴォイトに、僕の隣を歩くロッタは溜め息を一つ吐いてそう返すのを見て、僕は思わず苦笑いを浮かべた。

 

まぁ、ヴォイトがそう聞いてくるのはしょうがないか……かれこれ二時間は歩いてんだし。

 

 

何故、今僕達がそれ程時間を掛けてまで歩いているかは、この先にあるとある村から依頼が来たからだ。

普通ならバンエルティア号でその村まで送ってくれるんだけど……どうもその村は周りを木々に囲まれてるらしく、バンエルティア号での着陸が無理らしく、コンフェイト大森林の入り口から入っていかないと行けないらしい。

 

そして、アンジュから渡された地図通り道を歩いて約二時間、現れた魔物との戦闘以外はずっと歩きっぱなしなのでそろそろ本気で足がきつい状態なのだ。

……早くついてくれないかなー…。

 

 

「――ぁー……?おい、アレじゃねぇのか…?」

 

 

 

 

「ん……あ、多分そうだよ」

 

 

ヴォイトの声に、ヴォイトが指差した先を見ると先に村のようなのが見え、手に持っていた地図を確認すると僕は頷いた。

 

 

「――あそこが、……『リーゼ村』か」

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

「――いやいや…わざわざ忙しい中、こんな所にまで申し訳ありません」

 

 

「――いえいえ、僕達も依頼を受けた以上、ちゃんとこなすのが仕事ですし。それが売りのアドリビトムですから」

 

 

「……アンジュ譲りの営業スマイルかつ、売り台詞ね(ヒソヒソ)」

 

 

「……ブラザーの将来が気になるぜ(ヒソヒソ)」

 

 

外野五月蝿い。

――あの後、僕達がリーゼ村に着くと、リーゼ村の村長が出てきて話を聞くため村長の家で今話をしている。

 

 

「……えっと、それで依頼とは…?」

 

 

「はい…。実はこの村の先にとある洞窟があるのですが……近頃のその洞窟の様子がおかしくて……」

 

 

「洞窟の様子が……?」

 

 

「はい……元々は魔物もすんでいない筈だった洞窟だったのですが……最近では魔物も出始めて……この村にいる手練れの者や、村で雇っている傭兵で対処しているのですが流石に洞窟の奥まで様子を見に行った事はなくて……」

 

 

 

「洞窟で突然、魔物が……」

 

 

村長の話を聞いていく中、僕はそう呟いて考える。今まで何にもなかった洞窟から魔物が突然現れた……正直、異例すぎる。

 

 

 

 

 

「……ねぇ、まさかとは思うけど……これも赤い煙が関係してたりするんじゃないかしら…?」

 

 

「……有り得ない、とは言い切れないね……」

 

 

考えていると、不意にそうロッタがヒソヒソ声で話しかけてきた。確かに、考え得る中ではそれが今では一番思い当たるだろう。

 

 

「――……分かりました。その洞窟の調査と、出来る限りの魔物の討伐、引き受けました」

 

 

「……ぁ、ありがとうございます!此方もある程度の人員を準備しますので、宜しくお願いしますっ!!」

 

 

「いえいえ、これもこの村の為ですから。受けた以上は、ちゃんと成果を出しますよ」

 

 

僕の言葉に、村長さんはどこか嬉しげにそう言って頭を下げてきたので、僕はそう答え小さく笑ってみせた。

 

 

「……衛司のあの受け答え方に、終わりの営業スマイル……絶対にアンジュから教わってるわね(ヒソヒソ)」

 

 

 

「……やっぱりブラザーの行き先が怖いぜ(ヒソヒソ)」

 

 

 

――だから外野、五月蝿い。

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

――村長さんに教えられた通りに村の奥に抜け道を歩くと、しばらくして先に洞窟が見え、その入り口の前に男性が二人、女性が一人の三人程の姿が見えた。

あの人達が村長さんが言っていた回せる人員だろうか…?

 

男性の内一人は、僕と同じか少し下程の背の少年。もう一人はその少年よりも背は高く、なんとも大人っぽい感じの人。

そして女性の方は、少し高めでなんというか…凛とした感じで、背の高い方の男性とはまた別の感じの大人っぽさが感じられた。

 

 

向こうも此方に気付いたのか、少年が此方に頭を下げてきた。

 

 

 

「アドリビトムの方達です…よね?村長から話は聞いています。僕はジュード、ジュード・マティスです」

 

 

 

「――私はミラ。ミラ=マクスウェルだ。訳あってジュードの世話になっている。自分で言うのはなんだが、腕には自信があるぞ」

 

 

「――俺はアルヴィンだ。この村で雇われてる、一応フリーの傭兵だ。ま、宜しく頼むぜ」

 

 

そう少年、ジュードから順に、女性のミラ、もう片方の男性のアルヴィンが自己紹介をしてきた。

 

 

「ジュードさんにミラさんにアルヴィンさん…ですね。僕はアドリビトムから来た乾衛司です。姓が乾で、名前の方が衛司。それでこっちはロッタとヴォイトです」

 

 

「……自己紹介くらい自分でできるわよ」

 

 

僕が三人にそう自己紹介していきロッタとヴォイトの方を見ると、ロッタは呆れたような様子でそう呟き、ヴォイトは特に気にする事無く笑ってた。

 

 

 

 

―その後、結局皆、『さん』付け呼びは無しにして洞窟に入る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「――それしても改めて言うけど、ジュード達って強いね…」

 

 

「そ、そうかな……?」

 

 

洞窟の魔物と戦いながら奥へと進むと中、僕は隣を歩くジュードにそう言うと、ジュードは少し頬を掻いてそう答えた。

 

この三人、正直かなり強い。

ジュードは拳を主とした戦い方でセネルとは違い、どちらかと言うとファラ寄りな戦い方をする。また、見た目とは裏腹に拳の一撃一撃が重いのか、魔物をダウンさせる事が多い。

 

ミラはと言うと、また珍しい戦い方を見せてくれた。武器である剣の腕もさながら、魔法を詠唱無しで剣技として利用して戦う。一体どうやってんだろう…。

 

アルヴィンはフリーの傭兵というだけあってやはり強い。戦い方は剣と銃を交互に使う『海賊』のような戦い方だが、違うのは剣の大きさ。大剣と言うようなサイズの剣を片手で軽々と奮い、銃を扱うかなりパワータイプ+テクニックタイプな戦い方である。

 

「――それで、今大分進んだ訳だが…アドリビトムの方々はこの洞窟の魔物についてなんか分かった?」

 

 

三人の様々な戦い方等の話をしながら歩いていると不意に、アルヴィンが周りを少し見回しながらそう聞いてきた。

 

 

この洞窟の魔物……そう言えばさっきから戦ってた魔物って『ウィンドスピリット』や『アーススピリット』と言った小さな精霊が何かの干渉を受けて変化した魔物ばっかりだったっけ。……もし僕の考えがあっているなら……

 

 

「……一応、あくまで僕の考えだけど……少し分かってきた」

 

 

「ほぅ…。それは気になるな」

 

 

僕の返答に周りの皆が少し驚いた様子を見せ、その中で最初に表情を戻したミラがそう、興味深そうに言葉を出した。

 

 

「うん…。まぁ、うちのギルド関係の事もあるから詳しくは話せないんだけど……多分此処に最初、魔物が居なかったのは小さな精霊達が過ごしていてそれこそ、村の人達は気付かなかった程神聖に近い領域だったんだと思う。…だけど今、この『ルミナシア』でちょっとした変化が始まって、それに小さな精霊達が干渉して、魔物に変わったんだと……僕は思う」

 

 

「……へぇー。…優等生君はさっきの説明、どう思う?」

 

 

「…もし衛司の言ってる変化っていうのが本当なら…有り得ない訳じゃないかも」

 

 

僕の説明を聞いてアルヴィンはそう、ジュードに再確認するように聞くとジュードは僕の説明の事を考え、そう答えた。ミラは少し首を傾げていたが、ロッタとヴォイトは『この変化=赤い煙(ラザリス)関係』と知っているので、理解したのか小さく頷いていた。

 

 

 

「まぁ、まだ深くは分からないから……とりあえず奥に進んでみよう」

 

 

僕の言葉に皆は頷くと更に奥へと向け、歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

「――……此処が奥、か……あれ……?」

 

 

しばらく歩いた後、漸く最奥部であろう広い場所に着き僕はゆっくりと周りを見回すと、ふと視線が止まった。

 

 

「……?どうした、ブラザー…?」

 

「……人…しかも、女の子が居る」

 

 

「……え……?」

 

 

僕の返答に周りが驚き、僕の視線の先を見た。

そこには、黒の髪をした見た目九歳程の小さな少女が此方を見るように立っていた。少女の頬には小さな、雷を模したような模様がしてあるのが特徴的である。

 

 

「……あんな子…僕の記憶では村では見たことないよ…?」

 

 

「……いずれにしても、此処にいるのは危険だし…声を掛けてみる」

 

 

僕は少女に向けて歩き出すと、念の為警戒しながら少女と少し間を開けて前へと立つ。

 

 

「……えっと……どうしたの……?此処は――『どうして――』…え?」

 

「――どうして皆、私の場所を荒らすの。私は……私は…っ!!」

 

 

「――ッ!!衛司、離れろっ!!」

 

 

僕が声を掛けたと同時に、少女はどこか荒く声を上げ出し、後ろから聞こえたミラの言葉にすぐさまその場を後退すると、先程まで僕が立っていた場所に雷撃が落ちた。

これは……っ!?

 

 

「あの子は一体……?」

 

 

「恐らく……精霊だろう」

 

 

「分かるの、ミラっ!?」

 

 

「…いや…詳しくは分からないが…何故か私の意志がそう言っている気がする」

 

 

「んな事言ってる場合じゃねぇ……なんか来るぞっ!!」

 

 

ミラの言葉に、ジュードは驚いた様子でそう問うが、ミラはそう曖昧に答えると、アルヴィンが声を上げた。

 

 

「――私は……私はァァァァ……ッ!!」

 

 

「……やっぱり…そう言うことか…っ!」

 

 

少女が声高くそう言うと、大きな雷撃が少女に落ち、次に少女の姿が見えると、僕はそう声を出した。

 

 

周りを紫色の円のようなもので包まれた少女――精霊『ヴォルト』の周りに、『赤い煙』が纏われていた――。

 

 

 






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