すみません、リッチーまで書けませんでした!
カズマ視点の方が多くなりました。途切れる所が見つからなくて。
カズマside
「………おお、見違えたではないか」
「カズマがちゃんとした冒険者にみえるのです」
なら、今まで俺は冒険者ではなく何に見えていたのか聞きたい。
俺の今の格好はこちらの世界の服の上から革製の胸当てと金属製のこて、同じように金属製のすねあてを装備している。シロナの格好は地面まで届きそうな白いコートでその中に金属製の胸当てを装備して、腰には長めの片手剣だ。
「今のままだとファンタジー感ぶち壊しだ」などのアクアから苦情を受けたので、他にもこちらの世界の服を数着買っておいた。
魔法系のスキルを使用する際には、片手をあけておいた方がいいと言われた。シロナがいるが魔法を覚えてみたので、俺も魔法剣士みたいなスタイルでいこうと思う。
クリスとのスティールで貰ったお金は大分減ったが、シロナが持っているお金を半分くれると言ってくれたのでシロナとのもあわせると、一ヶ月は食べる分は残している。
そして装備を調え、魔法やスキルを覚えると、クエストに行きたくなるもので、その事を皆に伝えるとダクネスが頷いた。
「じゃあ、ジャイアントトードが繁殖期に入っていて街の近場で多く出没しているのでそれを………」
「「カエルはやめよう!」」
ダクネスが言っている途中でアクアとめぐみんが拒絶した。何も言わないが、良く見るとシロナも少し顔が青くなっている。
そういうことか……。
だかあの事を知らないダクネスは不思議なようで。
「んっ? 何故だ? カエルは刃物が通り易いし、攻撃も舌を使った補食しかしてこない。倒したカエルも食用で売れるから稼ぎもいい。金属を装備してなければ食われたりするらしいが、今のカズマとシロナは装備しているので狙われないと思うぞ。アクアとめぐみんはしっかり私が盾になろう!」
今の説明を聞いてホッとしたシロナが。
「……えっとね。この私を含めた三人はカエルに食べられた事があるから、私はそこまでひどくないけど、アクアとめぐみんは特にトラウマになっているだよ。頭からパックリいって、粘液まみれになったから。だから、この二人のために今日は違うクエストに……」
「……粘液まみれ!頭からパックリ……」
「おい。お前今ちょっと興奮してないだろうな」
「してない」
ダクネスは赤い顔でもじもじ答えるが、俺は凄く不安になった。シロナもやはり不安そうにダクネスを見ていた。
こいつ、目を離したら一人でカエルを食われにいかないだろうな。
「じゃあ、カエルは除くとして、このパーティーで初めてのクエストだ。楽に倒せるのがいいな」
俺の意見にアクアを除く三人が掲示板に手頃なクエストを探しに行った。
だか、アクアは俺を小バカにしたように。
「これだから内向的なヒキニートは……。そりゃあ、カズマだけ最弱職だから慎重になるのもわかるけど、私達のパーティーは私を含めた上級職ばかり集まったのよ? それに、特典を持っているシロナだっているのよ? なら、もっと高い難易度のクエストに行ってガンガンお金を稼いで、どんどんレベルを上げて、早く魔王を討伐するの! という訳だから、一番難しいクエストにいきましょう!」
………やはりバカだ。
「はあ………お前あまり言いたくないけど……。まだほとんど訳に立ってないよな?」
「!?」
アクアが俺の言葉にビクリと反応する。
だか、それに構わず。
「本来なら俺は、シロナみたいな強力な職業や装備、能力を貰って、ここでの生活は困らないはずだったんだ。今はシロナのお陰で大分楽になっている。だが、俺は無償で神様から特典を貰える身で、能力ではなくお前を選んだ訳だが、お前がその能力や装備並みに役立っているのかと問いたい。どうなんだ? 最初は自信満々だった割に、ほとんど役に立たない元なんとかさん?」
「うっ……。も、元じゃなく、一応今も女神です……」
アクアがシュンとなりながら答えるが、それに声を張り上げ。
「女神!? 女神ってあれだろ!? 勇者が一人前になるまで時間稼ぎをするやつだろ!! 今回キャベツ狩りでお前がやった事は何だ!?最終的にはキャベツをたくさん捕まえてたみたいだが、キャベツに翻弄されて泣いてただけだろ? それで女神!? そんなんで女神を名乗っていいのか!? この宴会芸しか取り柄のない穀潰しがぁ!」
「わ、わああああーっ!」
テーブルに突っ伏して泣き出したアクアを見ながら、小バカにされた事に対する逆襲が完了し、満足する。
「……カズマ、あまりアクアを苛めてはいけませんよ?」
そう言ってシロナが戻ってきた。
「あれっ? シロナ、クエストはどうしたんだ?」
「私が行ってもモンスターの事とか分からないから二人に任せてきた」
そう言って掲示板にいる二人に視線を向けた。
そう言って少しシロナと会話するとアクアがキッと顔を上げ。
「わ、私だってこの世界にきてから、シロナを連れてきたり、回復魔法とか、一応役に立っているわ! なによ、このままちんたらやってたら、いつ魔王討伐できるかわかってんの!? 何かいい考えがあるなら言ってみなさいよ!」
涙目の上目遣いで、お金を睨んでくるアクア。
「ふっ……プロゲーマーとして修行を重ねてきたこの俺に、何の策もないと思っていたのか?」
「プロゲーマーだったの?」
「プロ!?」
「………言ってみただけだ。気にしないでくれ。俺は他の日本人みたいなチート能力なんてない。たが日本で培った知識がある。そこで俺でも簡単に作れる、この世界にない日本の物を売り出せばどうかって思ってな。俺はステータスは低いが幸運が高い。だから、無理をして冒険者稼業をやるだけでなく、商売やったり他の手段を考えておこうと思う。金さえあればキャベツみたいに、経験値稼ぎだって楽にできるだろ?」
「なるほどね」
シロナがアクアの隣で俺の案に感心している。
本当にこの姿をアクアに見習わせたい。
俺のパーティーにはチート持ちのシロナがいるし、魔王討伐は一応少しは視野に入れてはいるが、正直無理だと思ってきている。
「と、いう訳でお前も何が手軽に稼げる商売でも考えろ! あと、お前の最後の取り柄の回復魔法をとっとと教えろよ!」
「嫌よ!嫌嫌っ!回復魔法だけはいやよぉ! 私の存在意義をうばないでよ! 私がいるんだから良いじゃない! シロナも何か言ってやってよ!」
そう言ってシロナに言うが、シロナは苦笑いを浮かべながら。
「えっと、でも私はカズマの言うことも分かる……」
「わああああーっ!」
シロナにも庇って貰えず再びテーブルに突っ伏し泣き始めた。
と、そんな俺たちの元にめぐみんとダクネスが帰ってきた。
「………何をやっているんですか?………カズマは結構えげつない口撃力がありますし、遠慮なく本音をぶちまけると大概の女性は泣きますよ? シロナも何かフォローしてあげてください」
「うむ。ストレスが貯まっているなら……アクア代わりに私に遠慮なく罵ってくれ。……クルセイダーたるもの、誰かの身代わりになるのなら本望だ!」
アクアが周りから目立っているのを自覚したのか、こちらをチラッチラッと見てくるのがイラッとくる。
「こいつのことは気にしなくていい」
俺はチラッとダクネスを見た。
キャベツ狩りで鎧が傷み、今は修理に出しているらしい。鎧を着けていない格好は騎士ではなく剣士に見える。
ダクネスはめぐみんが隣にいるからか、はっきり言うとエロい体付きが目立っていた。
これだけ美人で身体もいいとなると、性格も多少目を瞑っても………。
「………ん? 今、私のことを『エロい身体しやがってこのメス豚が!』っと思ったか?」
「思ってねえ」
アクア、めぐみん、そして一つ置いて最後にシロナを見る。
シロナは不思議そうな顔をしていた。
………やはり顔がいくら良くても、性格が大事だ。
「おい、今私の方を見て思ったことを聞こうじゃないか!」
「意味はないさ。ただ、俺がロリコンじゃなくて良かったと思っているだけだ」
「ほう、紅魔族は売られた喧嘩は買う種族です。さあ、表にいこうじゃないか!」
めぐみんが俺の服の袖を引っ張り、外に行こうとする。
「ええと、どうせクエストに行くならアクアのレベルが上がるのにしない?」
シロナがそんな事を言ってきた。
「有るのか? そんな都合の良いクエスト」
「分からないけど……多分有ると思う」
シロナがそう言ってダクネスの方を見る。
「ん? プリーストのレベル上げならアンデット族だな。やつらは、神の力が全て逆に動く。だから回復魔法を受けると身体が崩れるのだ」
ああ、何かゲームで聞いた事ある。
でも、この駄女神のレベルを上げても……。
そこで俺はシロナの狙いがわかった。
そうか! レベルが上がると様々なステータスが上がる。つまり、このテーブルで泣き真似をしているアクアのレベルが上がるとこいつに足りない知力が上がって戦力アップだ! シロナ、ナイス!
「なるぼど、悪くないな」
「あっでも、問題があってダクネスの鎧が今ないことなんだけど……」
シロナが不安そうにダクネスの方に見ると。
「うむ、その事なら問題ない。鎧なしでもアダマンタイトより硬い自信がある。それに鎧無しの方が攻撃を食らった時気持ち良いしな」
………。
「おい、今気持ち良いって言ったか」
「………言ってない」
「いや、いったよね?」
シロナも言うが。
「言ってない。……それより、後はアクアにその気があるかたが……」
俺は静かにしているアクアに手を伸ばして、肩を叩こうとして………気が付いた。
「…………すかー……」
泣き疲れ眠っていた。
子供かこいつは!
シロナは微笑んでいた。
白奈side
「ちょっとカズマ、その肉は私が目をつけていたのよ! ほら、こっちの野菜が焼けているんだからこっちを食べなさいよ!」
「俺、キャベツ狩りからどうも野菜が嫌いなんだよ、焼いている最中に跳び跳ねたりしないか心配になるから」
うん、分かるよ。何で新鮮な野菜をフォークで刺そうとすると野菜が避けるのかな?
私達は今、街から外れた丘の上にいる。
私達が受けたクエストは共同墓地に湧くアンデットモンスターの討伐。
言い忘れていたけど、この世界の埋葬方法はそのまま土に埋めるだけの土葬らしい。
そして、私達はその墓場の近くで夜を待つべくキャンプ中だ。鉄板を敷き、バーベキューをしながら夜を待つ。
凄くのんびりしているけど、今回引き受けたクエストはゾンビメーカーというモンスターの討伐。
ゾンビメーカーとはゾンビを操る悪霊の一種で、自分は質の良い死体に乗り移り、手下の代わりに数体のゾンビを操るそうだ。
これならアクアのレベルも上がるし、鎧の無いダクネスもあまり危険がないと思う。本人は残念がりそうだけど……。
私はあまり多く食べる方ではないので、すぐにお腹がいっぱいになりさっきからコーヒーを飲んでいる。
コーヒーはマグカップにコーヒーの粉を入れて初級魔法の『クリエイト・ウォーター』で水を入れ、『ティンダー』という火の魔法で温める。
この方法はカズマから教えて貰った。この方法は思いつかなかったよ。これを教えて貰った時は凄く感心した。カズマもお腹がいっぱいになったのか、私と同じようにコーヒーを飲んでいる。
そんなカズマを見てめぐみんが複雑そうに自分のコップを差し出した。
「すみません、私にもお水ください。って言うかカズマは私より魔法を使いこなしてますね。初級魔法はほとんど誰も使わないものなんですが、カズマとシロナの使っている所を見てると何か便利そうです」
カズマはそう言われめぐみんのコップにクリエイト・ウォーターで水をいれた。
「いや、元々こういう風に使うものじゃないのか? 初級魔法って」
カズマは当たり前の顔をして言うが、私だったらそんな風に使う何て思いつかないよ。
「あ、そうそう。『クリエイト・アース』! これって何に使う魔法なんだ?」
「あっ、それ私も気になった。これって何に使うの?」
風魔法とかは直ぐにわかったけど、この土魔法だけが分からなかった。
私とカズマはそう言ってサラサラした土をめぐみんに見せた。
「………えっと、その魔法で作った土は、畑などに使うと良い作物が育つそうです。……それだけです」
めぐみんの説明を聞き、アクアが吹き出し。
「何、カズマさん。畑でも作るんですか! 初級魔法で土も作れて、水も出せる。天職じゃないですか! プークスクス!」
私はふと思いついた案をカズマに言った。
「……カズマ、風」
そう言われるとカズマは土の載った手の平をアクアに向け。
「ああ、『ウインドブレス』!」
「ぎゃー!目、目があああっ!」
突風で飛ばされた土がアクアの顔に直撃し、目に砂埃が入り、女神が地面で転がり回っている。
「なるほど、こうやって初級魔法は使うんだね!」
「なるほど、こうやって使う魔法か!」
「違います! 違いますよ!、普通はこんな使い方はしません! ていうか、何で二人は初級魔法をこんなに器用に使いこなしているんですか!」
アクアは目から土が取れるまでしばらく転がり回っていた。
次回こそはリッチーのあの人が出ます。
シロナは風魔法に関してはかなり使いこなしますね。
これからも頑張って書いていきます!
8/19 少し訂正しました。