この異世界転生者に祝福を!   作:白城

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 こんにちは白城です!

 今回でパーティー交換は終了です!

 あと……UAが20000を越えました! ありがとうございます! これからも頑張って書いていきます!


第二十話 『この元のパーティーリーダーに報復を』

    カズマside

 

 ゴブリンの群れが討伐された帰り道。

 

 「………くっくっ、あ、あんな魔法の使い方聞いた事ねえよ! 何で初級魔法が活躍してんだよ!」

 

 「ほんとだよー! あたし、学校じゃあ初級魔法なんて覚えるだけ無駄だって教わったのに! ふふっ、ふふふっ、そ、それが何あれ!」

 

 「うひゃひゃひゃ、や、やべえ、こんな楽なゴブリン狩りなんて初めてだぜ!」

 

 俺達は山道を街に向かってゆっくりと帰りながら、先程の戦闘を振り返っていた。

 口々に先程の戦闘の話題で盛り上がる、いまだにテンションが下がらない三人に。

 

 「おい、戦闘が終わったんだから荷物よこせよ。最弱職の冒険者は荷物持ちが基本なんだろ?」

 

 口元をにやけさせた俺の軽い皮肉に。

 

 「ちょっ、悪かった、いや本当に悪かったよカズマ、謝るよ! これからは冒険者だからってバカにしねえ!」

 

 「ご、ごめんねカズマ!」

 

 「おいカズマ、荷物よこせ! MVPなんだから、お前の荷物も持ってやるよ!」

 

 突然慌てた三人に、シロナは少し笑いながら、

 

 「……カズマ、それ冗談でしょ」

 

 その言葉で冗談だと気付いた三人も笑い出す。

 それにつられて俺達も笑い。

 

 ああ、いいなあ。冒険者やってる!

 

 「ったく何でシロナがカズマの荷物を持たなかったのか、そして何で上級職ばかりのパーティーでリーダーなんてやってるのかが、良く分かったよ」

 

 テイラーは、そんな事を言いながら俺達に笑いかけた。

 俺、いや、自分達はなぜあのパーティーで問題児の子守りをしなければいけないのかが未だに分からないのだが、テイラーには良く分かったらしい。

 今度、是非教えて貰おう。

 俺達は山を降り、街へと広がる草原地帯に足を踏み入れる。

 

 ……………あ。

 

 そして、思い出した。

 もっと注意を払わなければいけない存在がいた事に。

 

 「あれ? 何かが、凄い勢いでこっちに向かってきてないか?」

 

 流石はアーチャー、視力が飛び抜けて良いのだろう。

 それに最初に気付いたのはキースだった。

 続いて俺も、敵感知によりそいつに気付いた。

 そしてシロナも。

 夕暮れの草原地帯のど真ん中にいる俺達に向け、駆けてくる一匹の黒い獣に。

 

 「「初心者殺し!」」

 

 俺達二人の叫びを合図に、一斉に街に向かって駆け出した!

 

 

 

 

 「はあっ………、はあっ…………! くそっ! 最後の最後でこれかよ!」

 

 キースが粗い息で毒づく。

 

 「はあっ、はあっ………やばいよー、追い付かれちゃうよー!」

 

 それに答えるように、涙目のリーンが息を切らせて呟いた。

 やはり魔法使いのシロナとリーンは体力が少ないんだろう。シロナもかなり息を切らせている。

 初心者殺しは、俺達のすぐ後ろまで迫ってきていた。

 街まではまだ距離がある。このままでは逃げ切れないだろう。

 ここは俺の元のパーティーで一番頼りになるシロナ頼りだ。

 

 「はあっ………シロナ……! あのモンスターの足止め出来ないか!?」

 

 「はあっ、はあっ、はあっ……え…あ、足止め? ちょっと待って……」

 

 するとシロナは二秒程考え、そして走りながら初心者殺しの方に右手の手の平を向け、息切れしらながらその魔法を唱えた。

 

 「ボ、『ボトムレス・スワンプ』!」

 

 それと同時に、初心者殺しと俺達の間に大きな沼が現れた。

 突然現れたその沼に初心者殺しは反応できずそこにはまり込み、足を取られて沈んでいく。

 更にシロナは魔法を唱える。

 

 「『ウインドブレス』!」

 

 すると顔に沼の泥水がかけられ、目に入ったのか初心者殺しは暴れるのを止めた。

 だが、そのまま足を取られらがらもこちらに威嚇した。

 

 「ちょっ!? えっ? ええっ!?」

 

 俺達の会話を聞いていなく、未だに理解できていないテイラー達に。

 

 「こ、これで少しは、時間を稼げるはず……!」

 

 俺は叫んだ。

 

 「おい、今の内だ! ずらかれえええっ!!」

 

 

 

    シロナside

 

 街まではまだ少しある。

 だが、もう初心者殺しの気配は感じられない。

 狡猾なモンスターだと言っていたので、恐らく街の近くにまでは追ってこないのかもしれない。

 

 「ま、撒いたか?」

 

 テイラーが、粗い息を吐きながら呟いた。

 

 「はあっ……。はあっ……。ま、撒いたみたい?」

 

 リーンが足を止め、何度も後ろを振り返りながら言う。

 

 「………ふっ……。ふふっ……。ふへへへっ……」

 

 キースが押さえられないといった様な、込み上げてくる感じの笑い声を上げる。

 どうしたんだろう。まさか、恐怖でおかしくなってしまったのだろうか?

 

 だが、キースの笑いにつられた様に。

 

 「くっ……くっ、くっくっくっ……!」

 

 「あはっ……。あははははっ……。あははははははっ!」

 

 強敵から逃げ切れた事に、いつの間にか私を含め、その場の皆は笑っていた。

 

 「ねえ、さっきのあれ何! 最初のは上級魔法だけど最後に何やったのさ! あははははっ!」

 

 リーンが笑いながら言ってくる。

 

 「初級魔法、初級魔法だよ! 流石に連戦で魔力残りが少なかったから初級魔法使ったんだよ!」

 

 「今度はシロナかよ! うひゃひゃひゃひゃ! は、腹いてえっ!」

 

 「この二人凄いよー! カズマの機転もそうだけど、シロナも凄いよー! この二人一体どんな知力してんのさ! ちょっと二人とも、一回冒険者ガード見せてよ!」

 

 私達は言われるがままに、リーンにカードを差し出した。

 

 「うわっ、高っ!? 何この知力と魔力!? カズマは…………あ、あれっ? 知力は普通だね。他のステータスも……って、高っ!? この人幸運、超高いっ!!」

 

 リーンの言葉に二人もどれどれとカードを覗く。

 この時、リーンは私に気遣ってか私のカードはスルリと隠し、ガズマのカードだけを見せた。

 

 「うおっ、なんじゃこりゃ!」

 

 「お、おい、今回こんなに都合良くクエストが上手くいったのは、カズマの幸運のお陰じゃねえか? お前ら、拝んどけ拝んどけ! ご利益があるかもしれねけーぞ!」

 

 いや、幸運は関係あるのかな?

 運が良いのなら、あの三人が集まってこないと思うけど……。

 

 だが、テイラーの言葉に、三人がカズマに手を合わせて拝みだした。

 カズマは慌てた様に。

 

 「や、止めろよお前ら、拝むなよ……。そんな事よりもコーヒーでもどうだ? 綺麗な水も出せるし、火だって使えるぞ?」

 

 カズマは三人に笑いかけながら、マグカップを取り出した。

 

 

 

 冒険者ギルドの前についた頃には、時刻はもう夜半を回っていた。

 討伐の報酬を受けとる以外にも初心者殺しが出たことを報告しないといけないらしい。

 だが、テイラーが「ゴブリンの群れは全部倒したから、初心者殺しは新しいゴブリンの群れを探して人里を離れるだろうな」と言っていた。

 

 「つ、着いたあああああっ! 今日は、なんか大冒険した気分!」

 

 まあ、確かになんかいつもより、冒険した気分だね。

 

 カズマはリーンの言葉を聞きながら、私達は笑いながらドアを開け………。

 

 「…………ぐすっ……ぐすっ……」

 

 そして、現実から目を剃らすかの様にドアをそっと閉めた。

 

 あれっ? なんか聞こえた様な………。

 

 「………カズマ、もう一回開けてみようよ。私も一緒に開けるから」

 

 今度は私とカズマでドアの取手を掴み、頷き、ゆっくりともう一度ドアを開け……。

 

 「ぐすっ……。ふぐっ……。ひっ、ひぐう……っ。あっ……、ガ、カジュマああああっ……ジロ゙ナああああっ……」

 

 泣きじゃくっているアクアを見て、私達はもう一度そっとドアを閉めた。

 

 「おいっ!「うおっ!」「きゃっ!」 気持ちは心底よーーく分かるが、ドアを二度も閉めないでくれよっ!」

 

 閉められたドアを開け、半泣きでカズマと食ってかかってきたのは今朝にガズマに絡んでいたあの男だった。

 

 確か……名前はダストだったかな?

 

 アクア達の今日の新しいリーダーだ。

 それは酷い惨状だった。

 ダストは背中にめぐみんを背負い、アクアは、白目をむいて気絶したダクネスを背負って泣いていた。

 良く見てみると、アクアの頭に大きな歯形を残し、涎か何か知らないが、湿っぽかった。

 

 「………えっとなに………これ」

 「………えっとなにこれ。いや、大体わかる。何があったのかは大体わかるから聞きたくない!」

 

 「聞いてくれよ! 聞いてくれよっ!! 俺が悪かったから頼むから二人とも聞いてくださいっ! いや、街を出て、まず各自がどんなスキルを使えるのかきいてみたんだ。で、この子が爆裂魔法使えるって言うから、すげーって誉めたんだよ」

 

 それは間違いだよ。そうやって誉めると多分……。

 

 「そしたらよ! 我が力を見せてやろうとか言い出して、全魔力を込めた爆裂魔法とやらを、何もない草原に意味をなく打っ放しやがってよ!」

 

 ほら、やっぱりそうなった!

 

 半泣きで訴えてくるダストの言葉を、ガズマは耳を塞いで聞こえないふりをした。

 

 「おい、聞いてくれって! そしたら、初心者殺しだよっ! 爆音の轟音を聞き付けたのか初心者殺しがきたんだよ! だけど、肝心の魔法使いはぶっ倒れてるわ、逃げようって言ってんのにクルセイダーは鎧も着てない癖に突っ込んでいくわ、それで挙げ句の果てにこのアークプリーストは回復魔法早くかけてくれっていったのに………」

 

 ……………。

 

 「おい皆! 初心者殺しの報告はこいつがしてくれたみたいだし、まずはのんびり飯でも食おうぜ。新しいパーティー結成に乾杯しようぜ!」

 

 「「「おおおおおおおっ!!」」」

 

 ガズマの言葉に、テイラーとキース、リーンの三人が喜びの声を上げてくれた。

 

 「いや、待ってくれ! 待ってください! 謝るから! 土下座でも何でもするから、俺を元のパーティーに戻して返してくれぇっ!!」

 

 本気で泣くダストに、ガズマは同情した様な顔をしダストの肩に手を乗せると。

 

 「これから新しいパーティーで頑張ってくれ」

 

 「俺が悪かったからっ!! 今朝の事は謝るから許してくださいっ!!!」




 次回は………キールのダンジョンかウィズの店だと思います。

 これからも読みやすく、面白く書けるように頑張っていきます!!

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