この異世界転生者に祝福を!   作:白城

23 / 32
 こんにちは白城です!

 お久し振り………なのかな? 
 また、約一週間ぶりの投稿です。

 今回は題名通りです!


第十八話 『この素晴らしい仲間と交換を』

    カズマside

 

 俺が冬将軍に殺された数日後の事。

 

 「おい、もう一度言ってみろ」

 

 俺は怒りを何とか抑えながら、静まり返るギルド何でその男に問い返した。

 先日、二度目の死を迎えた俺は、数日の休養を捕って心と体のケアを図り。

 本日、まだ激しい運動を禁止されている俺は、簡単な荷物持ちのクエストか他に良い仕事でも無いかと、ギルドの掲示板を探していたんだが………。

 

 「あ? 何度だって言ってやるよ。荷物持ちの仕事だと? お前、その上級職が揃ったパーティーにいながら、もう少しマシな仕事に挑戦できないのよ? 大方お前がパーティーの足を引っ張ってるんだろ? なあ、最弱職さんよ?」

 

 そう言って、同じテーブルにいたほかの仲間と笑い合う戦士風の男。

 我慢。ここは我慢だ。

 俺は大人の対応ができる男だ。普段のアクアの冷やかしに比べたら、こんな酔っぱらいの挑発など取るに足らないものだ。 

 まあ、この男の言うことも一理ある。

 確かに、確かに俺の仲間は上級職だけで、シロナを除く三名は癖のある連中はがりだ。

 もっと上手い立ち回りが出来れば、安定していい稼ぎも出来るかも知れない。

 それに、確かに俺は、冒険者と言う最弱職に就いている。

 今の俺には、言い返す事など何も無かった。

 たが、無言でいる事を、この男は俺が萎縮して何も言えないでいると受け取ったらしい。

 

 「おいおい、何か言い返せよ最弱職。ったく、いい女を四人も引き連れて、ハーレム気取りかよ。しかも、全員上級職ときてやがる。さぞかし毎日、このお姉ちゃん達相手に良い思いしてんだろうなぁ?」

 

 それを受けギルド内に爆笑が巻き起こる。

 しかし、以前の俺達の活躍を知る者には、その言葉に顔を顰め、注意する奴もいた。

 

 「カズマ、気にする事ないよ。カズマの苦労は私が一番よく知ってるから」

 

 「ああ、ありがとうなシロナ」

 

 シロナが、男や回りに聞こえないくらいの声で俺に言ってくる。

 シロナは俺が誰よりもこのパーティーで苦労し頑張ってくれている事が分かってくれているんだろう。

 俺はこんな人達がいてくれるだけで我慢できる。耐えられる。

 そんな、我慢を続ける俺に、めぐみんやダクネス、アクアが止めに入った。

 

 「カズマ、相手にしてはいけません。私なら、何を言われても気にしませんよ」

 

 「そうだカズマ。そんな酔っぱらいの言う事など捨て置けばいい」

 

 「そうよ。あの男、私達を引き連れてるカズマに妬いてんのよ。私は全く気にしないから、ほっときなさいな」

 

 そうだ。目の前の男は漫画なんかでよくいる、典型的な三下だ。

 歯を食い縛り何とか耐えようとしたが、男の最後の一言だけには耐えられなかった。

 

 「上級職におんぶにだっこで楽しみやがって。苦労知らずで羨ましいぜ! おい、俺と代わってくれよ兄ちゃんよ?」

 

 「大喜びで代わってやるよおおおおおおおおおっ!!」

 

 俺は大声で絶叫していた。

 冒険者ギルドの中が静まり返る。

 

 「………えっ?」

 

 俺に絡んでいた戦士風の男が、ジョッキ片手にマヌケな声を出す。

 

 「聞こえなかったのか!? 代わってやるよって言ったんだ! おいお前、さっきから黙って聞いてりゃ舐めた事ばかり抜かしやがって! ああ、そうだ、確かに俺は最弱職だ! そして、シロナだけはいい女だな! それは認める。………だがなあ、お前! その後なんつった!」

 

 「え………ちょっとカズマ?」

 「カ……カズマ?」

 

 突然キレた俺に、驚くシロナとおろおろしながら声をかけるアクア。

 そして、いきなり激怒した俺に若干引きながらも男が早口で言ってきた。

 

 「そ、その後? そ、そのいい女四人もつれてハーレム気取りかって……」

 

 俺は思いきりテーブルを拳を叩きつけた。

 その音にギルド内の皆がビクリとする。

 

 「いい女! ハーレム!! ハーレムってか‼? おいお前ハーレムの意味知ってて言ってんのか! いい女が一人いるだけでそれがハーレムって言うのか!? おいお前、その顔にくっついているのは目玉じゃなくて目玉焼きかビー玉なんかなのか? 俺のパーティーのどこがハーレムなんだよ、なあ! 残念な事に俺の濁った目ん玉じゃどれだけ探してもいい女なんて一人しかみつからなねえよ! お前いいビー玉つけてんな、俺の濁った目玉と取り替えてくれよ!!」

 

 「………えっ?」

 「「「あ、あれっ?」」」

 

 俺の言葉に四人が、それぞれ自分の事を指差しながら小さい声で呟いた。

 

 「なあおい、教えてくれよ! いい女? どこだよ! どこにいるってんだよコラッ! てめーこの俺が羨ましいって言ったな! ああ? 言ったなおいっ!」

 

 男の胸ぐらを掴みいきり立つ俺に、背後からおすおずと声がかけられる。

 

 「あ………あのう……」

 

 恐る恐ると言うように右手を挙げて、壊れた信号機の三人を代表するかの様なアクアのか細い声。

 だが、俺はそれを無視してなお続ける。

 

 「しかも、その後なんつった? 上級職におんぶにだっこで楽しみやがって!? 苦労知らずだあああああ!?」

 

 「そ、その、ごめん……。俺もよってた勢いで言い過ぎた……。で、でもあれだ! 隣の芝生は青く見えるっていくがな、お前さんは確かに恵まれている境遇なんだよ! 代わってくれるって言ったな? なら、一日。一日だけ代わってくれよ冒険者さんよ? おい、お前らもいいか!?」

 

 「ちょっと待て、シロナだけは一緒に連れて行くぞ」

 

 「………え? ちょっと待って、カズマそれじゃあっ!?」

 

 「シロナ。ちょっとこっち来い」

 

 俺はシロナを自分を方に来いと手招きをする。

 そして、俺達以外に聞こえないように顔を近づける。

 

 「カズマ、聞きたいんだけど、その………わ、私がいい女? それと代わるって本気?」

 

 そんな動揺しているシロナに俺は。

 

 「それは今は気にするな。「えっ? う、うん」 あと交換の件はマジだ。これにはしっかり考えがあるんだ。なあ、シロナ。あのパーティーから俺達が外れた状態でクエストに行ったらどうなると思う?」

 

 と、軽い口調で問いかけた。

 

 「えっ? それはもちろん大惨事になるんじゃ……」

 

 「ああ、そうだな。だが、俺達人間には学習能力と言うものがある。そして、俺達が外れた状態で大惨事になったらあいつらはどう思うか……」

 

 「………ちょっと詳しく聞かせて」

 

 俺の話に興味を持ったのかシロナが。

 

 「つまり、あいつらに俺達の苦労を分からせて、スキルの事とかを直して貰うんだよ。そうすれば俺達のパーティーは一気に戦力アップだろ?」

 

 「な、なるほど」

 

 と、真剣な顔で納得する。

 だが、利点はそれだけではない。

 

 「それと、シロナもあいつには結構イライラしてただろ?」

 

 「う、うん」

 

 シロナがコクりと頷く。

 

 「これはあの男に仕返しする事もできるかもしれない」

 

 「確かにそうだね。と言うか、カズマ……それが本当の目的じゃない?」

 

 「まあ、そうだな。さて、話を戻すがシロナも付いてきてくれないか?」

 

 シロナはしばらく悩む様な仕草をするがやがて……。

 

 「うん、良いよ」

 

 「よし、悪いんだけど俺の仲間のシロナも連れていっていいか?」

 

 「お、俺は別にいいけどよ……。今日のクエストはゴブリン狩りで、上級職が連いてくるなら大歓迎だ」

 

 「あたしもいいよ? でも、ダスト。あんた居心地が良いからもうこっちのパーティーに帰ってこないとか言い出さないでよ?」

 

 「俺も構わんぞ。ひょっ子一人と上級職の二人なら大丈夫だろ。と言うか、差引きプラスになる。その代わり良い土産話を期待してるぞ?」

 

 絡んできた男と同じテーブルにいた、そいつの仲間達は口々と言った。

 

 「ねえカズマ。その、勝手に話が進んでるけど私達の意見は通らないの?」

 

 「通らない。おい、俺の名はカズマ。今日一日って話だが、どうぞよろしく!」

 

 「私も今日はよろしくお願いします!」

 

 「「「う、うん………」」」

 

 絡んできた男の三人は戸惑い気味に返事をした。

 

 

 

    白奈side

 

 剣の盾を携えた重そうな装甲鎧を既婚だ男が、カズマを値踏みする様に眺めまわしながら言った。

 

 「俺の名前はテイラー。片手剣が得物の《クルセイダー》だ。このパーティーのリーダーみたいなもんさ。成り行きとはいえ、今日一日は俺達のパーティーメンバーになったんだ。リーダーの言うことはちゃんと聞いてもらうぞ。そして、あんたは上級職なんだよな? あっちではリーダーだったかもしれないが、ここではあんたも言うことを聞いてもらうけど、それでも良いか?」

 

 なるほど。この人がリーダーか。特殊な性癖も無さそうだし、便りにさせて貰おう。

 

 「勿論良いよ。と言うか、あっちではカズマがリーダーだったからそんなに変わるものじゃないしね」

 

 その言葉にテイラーが驚いた表情を浮かべた。

 

 「何? あの上級職ばかりのパーティーで、上級職のあんたじゃなく冒険者がリーダーやってたって言うのか?」

 

 「うん、そうだよね。カズマ」

 

 「そーだよ」

 

 当たり前の様に頷くカズマに、その私達のパーティーの事を知らない三人が絶句した。

 続いて、青いマントを羽織り、まだどこか幼さを残したおんなの子。

 

 「あたしはリーン。みての通りの《ウィザード》よ。魔法は中級魔法まで使えるわ。まあ、よろしくね、コブリンぐらい楽勝よ。上級職のあなたがいるから大丈夫だと思うけど、あたしが守ってあげるわ、駆け出し君!」

 

 その子が、俺を年下の後輩みたいに扱いながらにこりと笑った。

 

 なるほど。普通の魔法使いなら心強いね。突然、爆裂魔法をどこかに撃ちたいとか言い出す魔法使いが可笑しいんだ。

 これで、カズマも安全だね。

 

 「俺はキース。《アーチャー》だ。狙撃には自信がある。ま、よろしく頼むぜ?」

 

 言いながら笑いかける、弓を背負った軽薄そうな男。

 

 「ええと、私はシロナ。シロナって呼んでくれて良いよ。クラスは………《魔剣士》。一応上級職だけど、レベルが高くないから余り期待しないでね。今日はよろしくお願いします」

 

 「じゃあ、改めてよろしく。俺はカズマ。クラスは冒険者。………えっと、俺も得意な事とか言った方が良い?」

 

 カズマの言葉に三人が吹き出した。

 「いや、別にいい。と言うか、荷物持ちの仕事を探していたんだろう? カズマは俺達の荷物持ちでもやってくれ。心配するな、ちゃんとクエストの報酬は五等分きてやるよ」

 

 「あの、カズマはっ……!?」

 

 私はこの言葉に何か言おうとしたが、カズマが私の唇に人差し指をあて。

 

 「シロナ、おまえは何も言わなくて良いんだ。俺は死んでからまだ日が浅い。それに、俺はそんな事どうでも良いだ。ここは遠慮なく甘えることにする」

 

 「そ、そう? カズマが良いならそれで良いけど……」

 

 ーーと、その時。クエストが張り出されている掲示板の方から聞き慣れた声がした。

 

 「ええー、ゴブリン討伐ー? 何で町の近くにそんなのが湧いてるの? もうちょっとこう、ドカンと稼げる大物にしない? 一日とはいえ他所でレンタルされるカズマとシロナに、私達が日頃どれだけ有り難い存在なのか見せつけないといけないの。特にカズマには!」

 

 カズマに絡んだあの男に、アクアが難癖つけているらしい。

 

 アクアはどうやってゴブリンを討伐するつもりなのだろうか。やめさせてあげたい所だけど、これは私達がこれから楽になる為に必要な事なんだよね。ここは我満我満。

 

 「い、いや、あんたらが実力があるのは分かるが、俺の実力が追い付かねえよ。アークプリーストにアークウィザードにクルセイダー。これだけ揃ってればどんな相手でも楽勝だろうけどよ、まあ、今回は無難なところでで頼むよ。………ところであんた、武器も鎧も持っていないが、まさかその格好で行く気なのか?」

 

 「大丈夫だ。硬さには自信があるし、武器を持っていてもどうせ当たらん」

 

 「あ、当たらん…………? ん、ま、まあいいか……」

 

 ダクネスとそんなやり取りをしているあいつは、今回゙ばと言うことは、次も組むつもりなのかな?

 まあ、いいかな。

 

 カズマをチラッと見るが、心配する素振りをまったくしない。流石カズマだ。

 そんな向こうの事をちょっと気にしながら、テイラーが立ち上がった。

 

 「本来、冬のこの時期は仕事をしないんだがな。ゴブリン討伐なんて、美味しい転がってきた。と言う訳で、今日は山道に住み着いたゴブリンの討伐だ。今から出れば深夜には帰れるだろう。それじゃ新入り、早速行こうか」




 なんか今回はカズマ視点がおおかった気がします。頑張ってバランス良く書きたいです。

 次回はどんな冒険にするか必死に考え中です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。