ovaの話ですが書いてみました。アニメと被らないようにする為に亀更新なると思いますが、少しずつ更新していきます!
カズマ視点だけですが、しっかり白奈視点も次からはいれるので、今回はすみません!
番外編 『この素晴らしいチョーカーに祝福を!』
俺達は現在、ウィズの家に向かっている途中だ。ウィズと知り合ってからはたまにウィズの店に遊びに行くのだ。だが………。
「おい、アクア。お前は黙っていろよ」
「うん、アクアは本当に問題は起こさないでね。それだけで良いんだから」
俺達が念を押すようにアクアに言うと……。
「わ、分かってるわよ! 二人とも毎回ウィズの店に行くときに、私にそれ言うの止めてよね! 私がいつも問題起こしているみたいじゃない!」
みたいって言うか、実際そうなんだが……。そろそろ学習しても良いんじゃないか。ほら、シロナがジト目で見てるだろ。
カランカランカラン。
「ようっ! ウィズ、遊びに来たぞ」
「ウィズー、いつもお疲れ」
「あ、カズマさんにシロナさん! それに皆さんも、いらっしゃいませ」
「うむ、じゃまをするぞ」
「何でアンデットの店なんかに……」
隣でアクアが愚痴を言っているが毎回の事に比べたら小さい事だ。
「ん?……………あ」
棚の裏に誰かが隠れている。めぐみんと同じ紅い瞳。ここからめぐみんと同じ種族なのが分かるだろう。
まあ、隠れてきれてないんだが。見つけてほしんだろうか?
「…………」
「あ~~、フン!」
「今見たよね! 何で無視するの!?」
「あ~、これはこれは、我が自称ライバル、ゆんゆんではないですか」
「自称って言わないで! ちゃんとライバルだから!」
「あれっ? ゆんゆん? この店に来てたんだ」
シロナは今気付いたようで声をかけた。
彼女はゆんゆん。紅魔族の一人で、最近知り合った少女だ。めぐみんを見るたびに勝負を仕掛けてくるんだが………。
「う、うん。偶然、たまたま、本当にたまたまいただけだから! ………それはそうと、さあ、めぐみん! 勝負よ! 今度こそ決着をつけてやるんだから!」
「決着もなにも殆どが私の勝ちじゃないですか?」
そう、全部の勝負で負けており、そのたびに何か巻き上げられている。そろそろ止めた方が自分の為にも良いと思うんだが。
「うっ! それを言わないで! 今度こそ勝ってやるんだから! ………あっ! すみません。お店の迷惑にならないように外でやりますので」
「いえいえ、気にしないでください。そう言えば、ゆんゆんさんが、この店に来はじめたのってカズマさんのパーティーがたまに遊びに来るって聞いてからですし……」
「はあああああああ! きょ、今日はこれください! このカッコいいチョーカー!」
ゆんゆんがウィズの声を遮る様に声をあげる。
………まさか、めぐみんに偶然会えるまで毎日ここに通いつめていたのか。
ああ、隣のシロナも俺と同じような顔をしている。
シロナはゆんゆんにゆっくり近づき、肩にポンっと手を置き。
「……ええと、ゆんゆん? 遠慮しないで、いつでも普通に私達の屋敷に遊びに来れていいんだよ? 歓迎するからさ」
「えっ? いいの? だってその…………何も持っていかないと、「社交辞令って知っている?」見たいな感じで迷惑そうにしないですか?」
「いやいや、しないから! 大丈夫だから!」
「相変わらずめんどくさい子ですね! 来たいなら来れば良いじゃないですか! それで、勝負するんですか!? しないんですか!? どっち何ですか!」
めぐみんがゆんゆんの襟をつかみ、ブンブンふっている。
「止めて、めぐみん! 待って! ………ふう、こんなに沢山の人と話せる機会なんて今まで無かったから勝負をするのは皆としばらく会話をしてからで…………っ」
「何ですか、その曖昧な答えは! これだからボッチは!」
「めぐみん、やめてあげて! ゆんゆんが苦しそうだから!」
「ね~、私お茶欲しいんですけど。ついでにお菓子も欲しいんですけど~」
「は、はい。アクア様! ただ今お持ちしますね!」
「ちょ、ちょっとカズマも止めるの手伝って!」
「だ、大丈夫か、二人とも!?」
「ちょっと~、日がくれちゃうんですけど~」
「すみません、アクア様!」
相変わらず、騒がしいな。
まともなシロナは止めるのに必死だし、はあ、せっかく転生して異世界に来たんだ。俺の夢の1つくらい叶って欲しいもんだ。
ん? これは………。
「ええと、何々。『当店で珍しく売れている、願いが叶うチョーカーです。』珍しくって書くのはどうかと思うが……。お値段は強気の十万エリス……か」
「ちょっと~、このお茶ぬるいんですけど~。これだから体温の低いアンデットは」
「すみません! みすません! アクア様!」
「すまない、この獣に群がられるポーションとは………」
お前は毎回毎回お茶をいれる時、お湯に浄化するだろうがと突っこみたい。まだ普通にお茶が出てくるウィズの方が良いと思う。
何も悪くないのにアクアに謝るウィズ。うん、可哀相だ。
あのドMなダクネスは
「カズマ。珍しく良い商品でも見つけたの?」
そんな事を考えているとシロナが騒ぎの中から戻って来た。
「シロナ、あいつらはいいのか?」
「はあ、もう私一人で押さえるのは無理。……それで、その商品は?」
「願いが叶うチョーカーって言うんだけど」
「願いが叶う? 装備すると幸運度が上がるアイテムなのかな?」
「シロナもそう思うか?」
「うん。カズマ、試しに一回つけてみてよ。試着くらいなら良いと思うし」
ウィズの事だ。試着くらいなら大丈夫だろう。怒られたとしても謝れば良いだけの話だ。
「ああ、わかった」
カチンッ
「か、カズマさんっ!?」
「「んっ?」」
ウィズから慌てた様な声が店に響いた。
「そ、そそそ、それ着けちゃたんですか!?」
「ああ、願いが叶うチョーカーなんだけどお試しで着けちゃ駄目だったのか?」
「もし、そうならごめんなさい!」
「い、いえそう言う訳ではなく。そ、それは願いが叶うまで外れない上に、日をおうごとに徐々に閉まっていく、魔道具でして……!」
「呪いのアイテムかよ!」
「そ、そんな!? 嘘でしょ!?」
「それは本当なのかっ!」
約一名は何やら興奮しているが無視だ。
「ち、違います! 女性に人気のアイテムなんです。死ぬ気になれば絶対に絶対に痩せられるって言う……」
自力で叶えんのかよ。……バカにしてんのか!?
「で、カズマはいったい何をお願いしたの?」
アクアがそんな事を聞いてくる。
「それが……特に願った訳じゃないんだよ」
「まずいですよ、カズマさん! このままだとゆっくりチョーカーが閉まって4日後に……」
「俺はこんなふざけたダイエットアイテムで死ぬっていうのか!?」
「………本当にごめんねカズマ。完全に私のせいだね。私がそれをカズマに付けて見てよなんて軽々しく言ったせいで……」
「いいえ、シロナさんのせいじゃないです。元はと言えば、そのチョーカーを落とした私せいでカズマさんが……」
「いえ、ゆんゆんにつかみかかった私のせいでもありますよ」
「いや、ウィズが私達に気を取られていなければ………すまない、カズマ」
「いえ、一番悪いのは私です! こんな危険な商品を店に並べていたのが悪いんですから………」
………あれっ? なんか、俺が確実に死ぬ流れになってないか?
「カズマさん!」
「おお?」
「なんとしてでも私がチョーカーを外して見せますから、安心してください」
「私が原因なんだから精一杯協力するよ!」
「私も協力します!」
「紅魔族随一の知力をもってしてなんとしてでも外してみせます!」
「私も尽力しよう!」
………おい、約一名は足りないぞ。
「おい、アクア」
「な、なによ。今回私は関係ないでしょ! ………でも一応言っておくわ、ごめんね! 死んだら、リザレクション掛けてあげるから」
…………。
「今度死んだら、もう生き返らないでやろっかな~」
「は!? 何言ってるよ、私と魔王討伐する件はどうなるのよ!?」
アクアが焦りながら言ってくる。知ったことか。魔王討伐なんて無理に決まってる。
「あと、俺が死んだら。膨らんだ借金。全部、お前のもんだから。そこら辺分かってるよな?」
「ああああああああ! わ、分かったわよ! 協力すればいいんでしょ!? こうなったらカズマのチョーカーが外れるまで皆で何でもしてやろうじゃないの!」
「ふっ………今、何でもって言ったな?」
「えっ?」
この言葉の意味に気づいたのはシロナだけだった………。