この異世界転生者に祝福を!   作:白城

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 こんにちは白城です。 

 投稿が遅くなってしまいすみません!


エピローグ 『この幹部討伐後に借金を』

    カズマside

 

 「ねえ、カズマ。昨日の事なんだけど、私の言いたい事わかるよね?」

 

 ベルディア討伐の翌日の事。

 俺はシロナと二人でギルドに歩いている途中にそんな事を言われた。

 

 「……勿論それくらい分かってるよ。セクハラの件だろ? 本当に悪かったって、だからお願いだから許してくれよ」

 

 前日の事とは俺がシロナにした行動だろう。

 シロナに俺の言葉に目を見開き凄く驚いた表情をした。どうしたのだろう。

 

 「んっ? どうしたんだ? そんな驚いた顔して」

 

 「……い、いや。カズマの事だからとぼけるとか誤魔化すとかすると思っていたから。そんなに素直に謝れられるとその……反応に……」

 

 ああ、そんな事か。

 

 「いや、アクアとかならしたかもしれないが、シロナ見たいな女の子には普通に誠実だぞ俺は」

 

 「アクアとかならしたんだ。まあ、うん。しっかり言わなかった私も悪かったんだしお互い様って事でもう忘れるよ。……………それでカズマ。気になっていたんだけど……魔王討伐……するの?」

 

 シロナがそんな事をきいてきた。俺はその質問に。

 

 「…………逆に聞くが……すると思うか?」

 

 「うん、思わないね」

 

 そう、俺達転生者に課せられたのは魔王軍だ。

 たがそうなると、つまり今回戦ったようなベルディアみたいな強敵を、これからも相手にしていかなくてはならない。

 魔王討伐を成し遂げ、願い事を一つ叶えてもらうか。

 それとも討伐を諦めて、この世界に安らぎの空間を探すか。

 勿論答えは決まってる。

 最弱職に就いている俺だか、今回みたいに、あんなに都合良く倒せる訳がない。チート持ちだったシロナでさえ本当に少しの時間稼ぎしかできなかったのだ。幹部でさえ無理なのに、その先の魔王討伐なんて無理だ。

 

 「……これからはのんびり暮らしていきたい」

 

 「気が合うなシロナ。俺も同感だ」

 

 「ねえ、カズマ。前も言ってたけど日本の知恵を生かして商売しようよ。そうすればカズマって幸運高いんでしょ? ならきっと成功するよ」

 

 「ああ、たまに刺激を求めて簡単なクエストいくとかな」

 

 「うん、そんな感じで……」

 

 そんな、今後の事を言い合いながら俺達は冒険者ギルドの入り口に手をかけた。

 

 

 

    白奈side

 

 ドアを開けると酒の匂いが鼻をついた。それに続いて人の熱気がギルド入り口から外へと流れて出している。

 どうやら魔王軍幹部を打ち取った記念に昼間から宴会を開いているらしい。

 

 「あっ! ようやく来たわねカズマにシロナ、遅かったじゃないの! もう皆出来上がってるわよ!」

 

 ギルドに足を踏み入れた私達に、アクアが上機嫌で笑いかけてきた。

 

 「ほらカズマにシロナ、早く報酬貰ってきなさいよ! もう、ギルドにいる皆は貰ってるわよ! 勿論私も! 報酬のお金は使っちゃったけどね!」

 

 何が嬉しいのか分からないけど、報酬の入った袋を見せつけて、たはー!、と頭をぽりぽりとかきながら、アクアがカズマの肩に腕をかける。

 

 ………ああ、本当に出来上がってる。

 

 カズマは顔が引きっている。

 

 「毎回思うだけど。この世界の飲酒って何歳からとかあるのかな?」

 

 「止めろシロナ。この世界の事に一々突っ込んでいたらきりがないぞ」

 

 見れば、ギルド内の冒険者達も、殆どがフラフラしていて歩くのも大変そうになっている。

 酔っ払い達は放っておき、私達はカウンターに向かった。

 そこには既に、ダクネスとめぐみんの姿があった。

 

 「きたか二人とも。ほら、お前達も報酬を受け取ってこい」

 

 「ちょっと聞いて下さい、二人とも! ダクネスが私にはまだお酒が早いと、ケチな事を……」

 

 「お、おい待て、ケチとは何だ! そう言う事ではなく……」

 

 二人がワイワイやっているので、私達は受付のお姉さんの前に立つ。

 ………なぜか、見慣れたお姉さんが、カズマを見て微妙な顔をした。

 

 「ああ、ええとその………サトウカズマさん、ですね? お待ちしておりました」

 

 私は受付のお姉さんの態度に違和感を覚える。どうやらカズマも同じらしい。

 

 ……? アクアなら分かるけどカズマが何かしたのかな? いや、カズマの反応からして心当たりがないみたいだけど…。

 

 「あの……まずはそちらの三人の報酬です」

 

 お姉さんは、そう言って小さな袋を私のダクネス、めぐみんに手渡した。

 

 「あ、ありがとうございます。……あのカズマの分は?」

 

 「………あの……ですね。実は、カズマさんのパーティーには特別報酬がてでいます」

 

 「えっ!?」

 

 ……!?

 

 「え、なんで俺達だけが?」

 

 本当に分からない。何か活躍したかな?

 

 「おいおい、なに言ってんだMVP! お前らがいなきゃ、デュラハンなんて倒せなかったんだからな!」

 

 「そうだそ! 全部お前達のお陰だ!」

 「ありがとう! カズマ!」

 

 この世界に来てから苦労続きだったので、その言葉に涙が出そうになる。同じく苦労人のカズマも涙目になっていた。

 カズマが私達、四人の代表として特別報酬を受けとる事に。

 受付のお姉さんがコホンと咳払いをして、そして……

 

 「えー、カズマさんのパーティーには、魔王軍幹部のベルディア討伐の報酬として、ここに三億エリスを与えます!」

 

 「「「「「さっ!?」」」」」

 

 三億っ!?

 

 私達は、思わず絶句した。

 それを聞いた冒険者達もさっきの騒ぎが嘘のように、シンと静まり返る。

 そして……。

 

 「おいおいなんだよ、三億って! 奢れよカズマー!」

 「うひょー、カズマ様奢ってー!」

 

 それを聞いたカズマはそれに反応して……!

 

 「……ちょっと集合」

 

 カズマの言葉に私達は回りに聞こえないように顔を近づける

 

 「お前らに一つ言っておく事がある。これはシロナと言い合った事なんだが……こんな大金が手に入ったんだ。俺は今後、冒険の回数を減らしてのんびり暮らしていくからな!」

 

 カズマの言葉に皆が賛成……っ!

 

 「おい待てっ! 強敵と戦えなくなるのはとても困るぞ!「困りません!」」

 

 「私も困りますよ! 私はカズマに付いていき、魔王を倒して最強の魔法使いの称号を得るのです!「得ません!」」

 

 「ちょっとカズマはともかくシロナまでヒキニートになるつもりなの!?「ニートじゃないから! 学生だから!」「なりませんっ!」」

 

 するはずも無かった。

 騒ぐ三人の言葉を掻き消して、どんどん盛り上がっていくギルド内。

 そんな中に、申し訳なさそうな表情を浮かべる受付のお姉さんが、カズマに一枚の紙を手渡した。

 

 この世界の小切手かな?

 

 「い゙っ!?」

 

 ……ああ、カズマの反応からしてどうやら良い事では無さそうだ。

 

 カズマは涙目でゆっくりとその紙を私に見せるようにした。

 そこにはゼロが沢山並んでいた。

 酔っ払ったアクアが上機嫌でカズマの紙を見た。

 

 「ええと、ですね。今回カズマさん一行の……その、アクアさんの召喚した大量の水により、町の入り口付近の家々が一部流され、さらに正門が損壊し、そして洪水被害がてでおりまして……。……まあ、魔王軍幹部を倒した功績もあるし、全額弁証とは言わないから、一部だけでも払ってくれと……」

 

 ………これで……一部。なら全額ならどんな金額か………いや、想像しないほうが良いかな。

 

 受付のお姉さんはそう告げると、そそくさと奥に引っ込んで行く。

 

 そのカズマの手にある紙を見てまずめぐみんが逃げたした。

 続いて、逃げようとするアクアの襟首を素早くカズマが掴み、前に立ちふさがるように私が立つ。

 

 「おい待て」

 「……ちょっと待ってアクア、どこに行くつもりなの?」

 

 「ええと、その…………そ、そうよ! お酒飲み過ぎちゃって酔ったから、外の空気でも吸おうかなーて」

 

 「顔から見るにもう酔いは覚めてし、足取りもしっかりしてるよな」

 

 私達の雰囲気で請求額を察した冒険者達が、そっと目を剃らした。

 そして請求を見ていたダクネスが、カズマの肩にポンと手を置き……。

 

 「報酬三億エリス。……そして請求額が三億四千万エリスか。カズマ。明日は、金になる強敵相手のクエストに行こう」

 

 ダクネスはそんな事を言いながら、心底嬉しそうに良い笑顔で笑った。

 

 「計算すると………借金……四千万エリス……か」

 

 たが、それとは逆に私はどんどん借金の金額に青ざめていく。

 

 ………何で嬉しそうにしているんだろう。いや、強敵と戦いたいからか。この理不尽な世界で暮らす? この問題児三人と一緒に?

 

 私は上を見上げると、そっと本物の女神にお願いした。

 

 この望まぬ理不尽な世界から脱出できますようにっ!

 

 




 実は投稿が遅くなっているのはリアルが忙しいからと、裏でSAOを書いているからもあります。

 今回で一章は終わりです!

 取り合えず言っておきます! 
 ここまで読んでくれてありがとうございます!

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