この異世界転生者に祝福を!   作:白城

17 / 32
 こんにちは白城です! 

 今回は……あっ、魔法使いに爆裂を撃つんじゃありませんよ? すみません題名が思い付かなかったんです。

 相変わらず進むのが遅いです。

 


第十三話 『この魔法使いに爆裂を』

    白奈side

 

 「なぜ城に来ないのだ! この、人でなしどもがああああああっ!!」

 

 「えっ?」

 

 目の前にいるカズマがそんな素っ頓狂な声をあげた。

 

 「ええっと………。逆に何で行かないといけないんだよ? あと人でなし? 人でなしって何の事だ。 もう爆裂魔法を撃ち込んでもいないのに……」

 

 カズマの言った事がもっともな意見だ。デュラハンに怒られてから私とカズマはあれから一度もあの城にはいっていない。

 だが、カズマの言葉に怒ったデュラハンが思わず左手に抱えていた物を叩きつけ……ようとして、それが自分の頭である事に気づき、慌てて空中にあった頭を脇に抱え直すと。

 

 「撃ち込んでもいない? 撃ち込んでもいないだと!? そこの頭のおかしい紅魔の娘があれからも毎日毎日欠かさず撃ち込んでもおるわ!」

 

 「「えっ!?」」

 

 …………。

 

 デュラハンの言葉を聞いてカズマがすぐ隣りにいためぐみんを見る。

 するとめぐみんが、ふいっと目を剃らした。

 

 「お前かあああああっ!!」

 

 「ひたたたたた、ち、違うのです。聞いてください! ……今までならその辺の荒野に爆裂魔法を撃つだけで満足してたんですが……その……城への爆裂魔法の魅力を覚えて以来、大きくて固いモノじゃないと我慢できない体に…………!」

 

 「もじもじしながら言うな!」

 

 そこで私は気づいた。

 

 「ちょっと待ってカズマ。めぐみんは爆裂魔法を撃った後は動けない。つまり、一緒に行った共犯者が……」

 

 私の言葉を聞いてアクアがふいっと目を剃らす。私とカズマはそれを見逃さない。

 

 「お前かあああああああああああ!」

 

 「いたたたたたーっ! だ、だって、あのデュラハンのせいでろくなクエストしか請けられないから腹いせがしたかったのよ!」

 

 そんな事知らないよ! それで私達を巻き込まないで欲しい!

 

 逃げようとするアクアの頬を引っ張っていると、デュラハンが言葉を続けた。

 

 「この俺が真に頭にきているのは爆裂魔法の件だけでは無い。貴様らには仲間を助けようとする気は無いのか!? 俺はモンスターになる前は、これでも真っ当な騎士のつもりだった。その俺から言わせて見れば、仲間を身を挺して庇ったあの女剣士、あの騎士の鏡の様なあいつを見捨てるなと俺から見れば考えられん!」

 

 騎士の鏡なんて照れちゃうな。あっ! そう言う事か。

 

 デュラハンの言葉に私は納得した。カズマも仲間の皆も気付いたようだ。

 

 今、私の位置はデュラハンから見るとカズマにちょうど被り見えていない。私の身長じたいが低いからすっぽりと隠れるのだ。……あれっ? 自分で言っとおいてなんか涙が……。

 

 「おい、シロナ。一回前に出ろ……。」

 

 カズマに言われようやくデュラハンから見える位置に来るとデュラハンと目が合った。

 

 「う、うん。………こ、こんちにはデュラハンさん…」

 

 私が申し訳なさそうに片手を上げて挨拶をすると………。

 

 「……………えっ? あ、あれーーーーーーーーーっ!?」

 

 それを見たデュラハンが素っ頓狂な声を上げた。

 

 「えっ? 何で? 生きてる? どうして?」

 

 デュラハンから疑問文が続けられた。おそらく私からは兜のせいで表情は見えないがその言葉にあった表情をしているんだろう。

 

 「え、なになに? もしかしてあれからずっと私達を待ち続けたたの? 帰った後にあっさり呪いを解かれちゃったとも知・ら・ず・に? プークスクス! うけるんですけど! ちょーうけるんですけど!!」

 

 「ちょっとアクア。あまり挑発は……」

 

 私が一応そう言うが、アクアは心底楽しそうに腹を抱えて笑っている。

 相変わらず表情は見えないが、プルプルと肩を震わせている様子から、おそらく激怒しているんだろう。

 しかし、デュラハンには悪いけど、アクアのお陰で呪いを解いてしまったからには、わざわざ罠が張り巡らせていると分かりきっている城に行く必用がない。

 

 「……おい、貴様。俺がその気になれば、この街にいる全員を皆殺しにする事だってできるのだぞ! その辺ちゃんと分かっているのか!」

 

 アクアの挑発に流石に限界がきたのか、デュラハンが不穏な空気を滲ませる。

 

 「黙りないアンデット! 前は取り逃がしちゃったけど、今回は逃がさないわ! 消えて無くなりなさい『ターンアンデット』!」

 

 アクアが突き出した手のひらから、白い光が放たれる。

 だが、流石は魔王軍幹部だ。アクアが魔法を放つのを見ても、まるでそんな物を食らっても平気だと言わんばかりに、それを避けようとしない。

 

 「残念だったな。この俺や俺様率いるアンデットナイト達は、魔王様の加護により神聖魔法に対して強い抵抗があるのだ。貴様らのような駆けだし冒険者の魔法などきかぎやああああああー!!」

 

 魔法を受けたデュラハンは、体のあちこちから黒い煙を立ち上らせ、身を震わせてふらつきながらも、持ち堪えた。

 それを見てアクアが叫ぶ。

 

 「ちょ、ちょっと変よカズマ! 効いてないわ!」

 

 ……いや、ぎやーって言ってたし、結構効いていたと思うんだけど。

 

 「く、クククク……。せ、説明は最後まで聞くものだ。聞け愚か者、我が名はベルディア。さっきも言ったが魔王様からの特別な加護を受けたこの鎧と、そして自身の力により、そこら辺のプリーストのターンアンデットなど効かぬわ!……効かぬ……はずなのだが……。なあ、お前本当に駆け出しか? 駆け出しの集まる場所(ところ)なのだろうこの街は?」

 

 そう言いながら、デュラハンはアクアを見ている自身の首を傾けた。

 あれがデュラハンの首を傾げる仕草なのだろうか。

 

 「ま、まあいい。わざわざ俺が相手をしてやるまでもない。……アンデットナイト! この俺をコケにした連中に地獄を見せてやれ!」

 

 「あっ! きっとあいつ、アクアの攻撃が意外と効いてビビったんだぜ!」

 

 「ちちち、違うわ! 最初からボスが戦ってどうする! 魔王軍幹部ともあろうものがそんなヘタレの訳ないだろう! まずは雑魚を倒してから……」

 

 「『セイクリット・ターンアンデット』!」

 

 「あっ? ひやあああああああ!…………め、目があ、目があああああ」

 

 何か言いかけていたベルディアがアクアの魔法をかけられ悲鳴を上げた。

 ベルディアの足下には白い魔方陣が浮かび上がり、天に向かって突き上げる様な光が立ち上がっていた。

 後のやつは……あのジブリのムス〇見たいな事を言ってる。

 ベルディアはさっき同じく鎧のあちこちから黒い煙を吐き出して、体についた火でも消すかのように、地面をゴロゴロ転げ回っている。

 

 「ど、とうしようカズマ! やっぱりあいつ、私の魔法がちっとも効かないの!」

 

 ………いやいや、ひやーって言っていたし、もの凄く効いてると思うだけど。

 

 「もういい! おい、お前ら……!」

 

 ベルディアは、まだあちこちから黒い煙を吐き出しながら、ゆっくりと自分の首を持ち上げ……。

 

 「街の連中を。……皆殺しにせよ!」

 

 

 アンデットナイト。

 

 それは、ゾンビの上位互換モンスターだったはずだ。

 ボロボロとはいえ、鎧をしっかり装備したそのモンスターは私達、駆け出し冒険者にとって十分な脅威になるだろう。

 

 「おわーっ! プリースト、プリーストを呼べー!」

 「きゃあー、誰か教会に行って、聖水ありったけ持ってきてえええ!」

 

 回りのあちこちから、そんな切羽詰まった声が響く中、アンデットが街中に浸入して………! …あれっ?

 

 「「「ん?」」」

 「クハハハハ、さあ、お前達の絶望の叫びを俺に……んっ?」

 

 皆から思わず疑問の声が漏れた。

 

 「えっ? わ、わああああーっ! 何で私ばっかり狙われるの!? 私、女神なのに! 日頃の行いも良いはずなのに!」

 

 ……アクアの女神に関してはともかく、日頃の行いは良いのかな? 

 と言うか、迷えるアンデット達は本能的に女神に救いを求めるのだろうか。

 

 その時、カズマが何かを思い付いたのか。

 

 「おい、めぐみん、あのアンデットナイト達に爆裂魔法を撃ち込めないか!?」

 

 成る程! その手があった!

 

 「ええっ! ああもまとまりがないと、撃ち漏らしてしまいますが……!」

 

 まとまりがない……。はっ! それなら!

 

 「めぐみん! まとまれば良いんだよね!?」

 

 「えっ? ええあれより四割ほど小さくなれば……」

 

 「良い考えがあるのか、シロナ!」

 

 「うん、ここは私に任せて! 『ウインドカーテン』!」

 

 アンデットナイトの回りに風の幕が作られる。

 今のは中級魔法で本来はこのような使い方ではないんだが、私が大量に魔力を注ぎこんでいるお陰でどんどんアンデットナイトの大群が縮まっていく。

 

 「おお、スゲー!」

 「めぐみん! これなら出きる!?」

 

 私の言葉にめぐみんが杖を構え、私とは違う紅い瞳を輝かせた。

 

 「ええ、出来ます、出来ますとも! 感謝、深く感謝しますよシロナ! ……我が名はめぐみん! 紅魔族随一の天才にして爆裂魔法を操るもの! 食らうが良い! 『エクスプロージョン』ーーーーーッッ!」

 

 めぐみんの必殺の一撃、爆裂魔法が私のまとめたアンデットナイトの群れに炸裂した! 

 街の正門の目の前に大きなクレーターを作り上げた爆裂魔法は、アンデットナイトを一体残さず消し飛ばした。

 誰もがその爆裂魔法の威力にシンと静まり返る中。

 

 「クックックッ……。我が必殺の爆裂魔法を目の当たりにして誰も声も上げれない様ですね……。はああ……気持ち良かったです……」

 

 そんなめぐみんの声が隣から聞こえて来た。

 

 「うう……シロナ酷いよお……凄く引き込まれそうになったんですけどお………」

 

 一番アンデットナイトの近くにいたアクアは泣きながら私達の方に歩いて来た。

 

 「うっ、ごめんアクア。でも大丈夫だったでしょ? しっかり調節したし」

 

 加減はしたけど、どうやらアクアもかなり辛かったらしい。

 

 「うおおおおおお! やるじゃねーか、あの頭のおかしいの!」

 「ああ、名前と頭がおかしいだけでやるときやるじゃねえか!」

 「あの紅魔族の二人がやったぞ!」

 

 「………取り敢えずめぐみんはここに倒れてたら踏まれるだろうから運ぶぞ」

 

 「はい、お願い致します。………それと、すみませんがあの人達の顔、覚えておいてくれませんか」

 

 「もう魔力は使い果たしてるんだろうが。今日は………」

 

 そう言ってカズマはめぐみんを私達の足下から運んで行った。それにしても……。

 

 ……取り敢えずあの頭のおかしい種族と一緒にしないで欲しいな。

 

 

 

 

    カズマside

 

 「もう魔力は使い果たしてるんだろうが。今日は大仕事したんだから、休んでな。……お疲れさん」

 

 めぐみんを俺がおんぶして運んでいる途中で。

 俺の言葉にめぐみんが安心した様につがみついてくる。

 

 ………あれっ、しがみついてるんだよな? 胸はってくっつけてるんだよな? だけど感じて当然の感触がな………ああ、ロリッ子だししょうがないか。

 

 「紅魔族はとても知力が高いのです。……カズマの考えてる事、当てて見ましょうか」

 

 「………ふっ、めぐみんみたいな美少女にしがみつかれて幸せだなーっと思っているだけだよ?」

 

 「ほうほう、それはどうもありがとう。お返しとしてもっとしがみついてあげましょう」

 

 俺の嘘半分の言葉に、めぐみんがだんだんしがみつく力を強くしていく。

 

 「……お、おい。止めろ! 苦しい! 冒険者達の足元において来るぞ!」

 

 街の入り口では、ベルディアが、そんな俺達とシロナを交互に見ていた。

 正確には、俺の背中のめぐみんとシロナを。

 やがて、ベルディアは肩を震え始めた。

 

 自分の僕であるアンデットナイト達が全滅されられ、怒っているんだろうか。

 ………いや、あれは。

 

  

 「クハハハハ! 面白い! 面白いぞ! まさか駆け出し冒険者の街で、本当に配下を全滅させられるとは思わなかった! よし、それでは約束通り!」

 

 ……おい、マジか。ちょっと待て!

 

 「この俺自ら、相手をしてやろう!」

 

 

 街の入り口にいたベルディアがら大剣を構えて、冒険者達、シロナの方に駆け出した!

 




 すみません、ベルディア戦を最途中まで書いているとと7000文字までいってしまって

 あっ、これ長すぎる!

 と思ったので半分にしました。

 次回でしっかりベルディア戦は終わりたいと思います!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。