この異世界転生者に祝福を!   作:白城

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 こんにちは白城です!

 少しずつ慣れて来ました。
 でも、もっと読みやすくできる様に頑張っていきます!

 あとお気に入り100件越えました。
 ありがとうございます!

 記念日すべき第十話です!


第十話 『この汚れた湖に女神を』

    カズマside

 

 デュラハンの襲撃から何事もなく一週間が過ぎたある日。

 

 「クエストに行きましょう! きつくても良いからクエストを請けましょう!」

 

 

 「「えーー……」」

 

 アクアの突然の言葉に俺とめぐみんが同時に不満の声を漏らす。

 俺達は別に金に困っている訳ではない。アクアを除いてだが……。

 魔王軍幹部の影響で高難易度クエストしかない今、わざわざクエストを請けようと思う人は少ないだろう。

 

 「ねえ、お願いよー! バイトでコロッケが売れ残ると店長が怒るの! ねえ、お願いっ! 私、今回は全力で頑張るからーっ!」

 

 アクアはそう言って俺に泣きつく。

 

 ………惨めだ。この自称女神。

 

 「…はあ、しょうがねえな。じゃあなんか、良さげなクエストでも見つけてこいよ。悪くなかったら付いていってやるから」

 

 「わかったわ!」

 

 俺の言葉に、アクアが嬉々として掲示板に駆け出す。

 

 「……さてっと、シロナ。クエスト、シロナも見てきてくれないか? アクアに任せておくと、とんでもないクエスト持ってきそうだから」

 

 「えっ? わ、分かった!」

 

 そう言ってシロナも掲示板に急いで向かった。

 

 「…………カズマ、考えましたね。確かに私もアクアに任せておくのは、危険だと思っていました」

 

 「ああ、短い付き合いだが、なんだか、私もそう思っていた所だ。まあ、シロナに任せて置けば問題ないだろう」

 

 そう言って俺を含む皆がシロナが向かった掲示板の方に視線を向けた……。

 

 

 

 

    白奈side

 

 私はカズマに言われた通り、アクアの向かった掲示板に向かった。

 

 ……とんでもなく難しいの選ばなきゃいいけど。

 

 そんなに期待を込めながら。

 

 クエストの張り出されている掲示板に着くと、何やらアクアが難しく顔で請け負うクエストを吟味していた。

 

 ……おおっ! アクア、こんな顔も出来たんだ……。

 

 私はアクアの邪魔をしないように後ろをこっそり立つ。

 アクアは背後に立っている私に気づかず、真剣な顔もでクエストを睨んでいた。

 やがて、一枚のクエストの紙を掲示板から剥がし、手に取った。

 

 「……よし!」

 

 「いや、待って! 全然良しじゃないから! 何受けようとしてるの!?」

 

 私は依頼書を持っているアクア急いで押さえる。

 何故ならアクアの選んだクエストは………。 

 『ーーーマンティコアとグリフォンの討伐ーーーマンティコアとグリフォンが縄張り争いしている場所があります。このままだと、大変危険なので、二匹まとめて討伐をお願いします。報酬五十万エリス』

 

 ………あっ、危なかった! カズマの言う通りだったよ。危うくとんでもないクエストを受けさせられる所だった…! 

 

 「な、何よシロナ!」

 

 「いや、何よじゃないから! 本当に何受けようとしてるの!?」

 

 「マンティコアとグリフォンの討伐だけど?」

 

 アクアはこの危険なモンスターをどう倒すのか考えているのだろうか? いや、絶対そこまで考えてない!

 

 「アクアはどうやってこのモンスターを倒すつもりなの?」

 

 「ええと、それは………っ! 一体ずつシロナとめぐみんが魔法を食らわせれば一撃じゃないの!」

 

 ほら、やっぱり考えてなかったよ! それに……。

 

 「めぐみんの爆裂魔法なら確かに一撃で倒せると思うけど、私の今のレベルの魔法だと多分一撃じゃ倒せないと思うよ?」

 

 「え? そ、それならしょうがないわねー……あっ! これよこれ! これならどう!?」

 

 ……はあ、カズマが苦労する理由が良く分かるよ。………ええと何々?

 

 言われて、アクアが指差す依頼書を見る。

 

 『ーー湖の浄化ーー街の水源の一つの、湖の水質が悪くなり、ブルータルアリゲリーターが住み着き始めましたので、水の浄化をお願いします。湖の浄化をすればモンスターは勝手にいなくなるので、モンスターの討伐はしなくても良い。報酬は三十万エリス 注意……浄化魔法を習得しているプリーストのみ』

 

 「………湖の浄化なんてどうやってやるの? アクアって浄化魔法使えたんだっけ?」

 

 私の疑問にアクアが自信満満に笑う。

 

 「シロナ。私、何を司る女神だと思う? 名前や外見のイメージで言って見てよ!」

 

 ………アクアのイメージか……。

 

 まず一番最初に頭に浮かんだのが、宴会芸して楽しんでいるアクアの姿。

 

 「ええと………え、宴会の神様?」

 

 「違うわよ! 確かに宴会芸は好きだけど、この美しい水色の髪と瞳を見なさいよ! 水よ! み・ず! 水の女神よ!?」

 

 な、なるほど!

 

 「ご、こめんねアクア! ええと、じゃあ、取り合えずそれを持ってカズマの所に行ってみよ?」 

 

 そう言って私はアクアに誤り、アクアと一緒にカズマ達がいるテーブルに向かった。

 

 

 

 

    カズマside 

 

 しばらく待っているとシロナとアクアが戻ってきた。

 

 「おーいアクアー、良いはあったかー?」

 

 シロナも戻ってきたと言う事は大丈夫そうなクエストでも見つかったんだろう。やっぱりシロナに任せて正解だった。

 まあ、見たいた限り予想通りアクアがやばいクエストを最初選んでいた見たいたけど。

 

 「カズマ見なさいよ!」

 

 そう言ってアクアはクエストの依頼書を見せてくる。

 

 「ええと、何々? ………湖の浄化? お前湖の浄化なんて出来るのか?」

 

 「カズマなら私が何を司る女神か分かるでしょ!?」

 

 「宴会芸の神様だろ?」

 

 「ちっがうわよ!? 何でカズマもシロナと同じ事言うのよ! 水! 水の女神よ!」

 

 水の浄化だけで三十万か、確かに美味しいな。

 討伐しなくてもいいって所が良い。シロナが許可した理由が分かる。

 

 「じゃあ、それ請けろよ。て言うか、浄化だけなら一人でもいいんじゃないか? それなら独り占めできるだろ?」

 

 「あの、カズマ。その、多分アクアは……」

 

 シロナがアクアの方をチラチラ見ながら言ってくる。

 

 ………?

 

 「え、ええーと、その………、多分、湖を浄化してる間モンスターが邪魔してくるから、守って欲しいんですけど……」

 

 ……そう言う事か。

 しかし、ブルータルアリゲリーターって、名前から察するにワニ系のモンスターだろ?

 凄く危険そうなんだが……。

 

 「アクア、因みに浄化ってどのくらいで終わるんだ? 三十分くらい?」

 

 「………半日くらい?」

 

 「えっ‼?」

 「長えよ!」

 

 シロナもここまで長いとは予想外だったようだ。それはそうだろう。いくら長くても三十分くらいと考えるだろう。

 名前からして危険なモンスター相手に半日も防衛なんてしてられるか!

 

 俺は張り紙を元に戻そうと……。

 

 「ああっ!? お願い、お願いよおおっ! もう他にはろくなクエストが無いの! お願い協力してよカズマさーん!」

 

 掲示板に張り紙を戻そうとする俺に、すがり付いて泣きつくアクア。

 

 「そもそも、湖の浄化ってどうやってやるんだ!?」

 

 「……へ? 水の浄化なら、私が水に触れて浄化魔法でもかけ続ければ出来るし、私くらいの女神になると触れているだけで浄化できるけど……」

 

 ふむ、なるほど。水を触れてないといけないのか。

 

 「なあ、アクア。多分、安全に浄化できる方々があるんだが、お前、やってみるか?」

 

 

 

 

 街からすがり付く離れた所にある大きな湖。

 

 「………ね、ねえ、本当にやるの?」

 

 隣から聞こえてくる不安気なアクアの声。

 

 「俺の考えた隙のない作戦のどこが不安なんだ?」

 

 「大丈夫だよ、アクア。本当に何かあったら助けにすぐ行くから」

 

 「うん、それはいいんだけどね………私、今から売られて行く稀少モンスターの気分なんですけど……」

 

 作戦はこうだ。

 オリに入れたアクアを湖まで運び、そのまま湖に投入する。そして安全な檻の中から湖の浄化をする。

 アクアは浄化魔法を使わなくてもアクア自身が湖に浸かっているだけで浄化効果があるそうなので、流石は腐っても女神だ。

 アクアの入ったオリは俺とダクネスの二人がかりで湖に運んだ。

 因みにこのオリは鋼鉄製でギルドに常備されている物を借りてきた物だ。モンスターの捕獲依頼などで使われる物らしい。

 湖端っこに、アクアをちょっと浸かる程度にオリを置いとくのだ。別に使えない女神を湖を放置する訳ではない。

 これなら依頼書にあったブルータルアリゲリータとかと言うモンスターに襲われてもアクアには攻撃がととかず安全に湖の浄化ができると言う考えだ。

 檻には万一の事を考え、頑丈な鎖を付けておいた。

 緊急時には、借りてきた馬に、鎖で檻を引っ張らせ逃げる予定だ。

 後は湖の浄化まで俺達は離れた場所で見守るだけだ。

 

 「私、だしを取られている紅茶のティーバッグの気分なんですけど……」

 

 そんな事をアクアはぽつりと呟いた……。

 

 

 

 

    白奈side

 

 カズマの作戦で浄化を始めてから、二時間が経過した。

 依頼書にあったモンスターが襲ってくる気配はまだない。

 だけど………。

 

 「鉄格子が三百十二本、鉄格子が三百十三本、鉄格子が…………」

 

 「………カズマ、なんか、後ろ姿が可哀相なんだけど……」

 

 「そうは言ってもな~、……おーいアクア! 浄化はどんなもんだ? 湖に浸かりっぱなしは冷えるだろー。トイレ、行きたくなったら言えよ。檻からだしてやるからー!」

 

 「浄化の方は順調よ~。あと、トイレはいいわよー。アークプリーストはトイレなんて行かないし!」

 

 「ほらな」

 

 「う、うん。そうだね」

 

 「大丈夫そうですね。因みに紅魔族もトイレなんて行きませんよ」

 

 「お前らは昔のアイドルか!」

 

 ……なら、食べたり飲んだりしている物は、いったいどこに消えているんだろう。ブラックホール?

 

 「わ、私もくるせいだーだからトイレは……うう……」

 

 「ダクネスまで、二人に対抗しないで」

 

 「ああ、トイレ行かないって言う二人には、今度、日帰りで終わらないクエスト受けて、本当にトイレ行かないのか確かめてやる」

 

 「や、止めてください! 紅魔族はトイレなんて行きませんよ! でも、謝るので止めてください」

 

 「おお、流石私のみこんだ男だ」

 

 ………それにしても。

 

 「ワニ、来ませんね。このまま何事もなく終わればいいんですけど」

 

 「や、止めて。そんなフラグの様な事を言わないで! ずっと我慢してたのに!」

 

 それをきっかけにするように、湖から地球のワニと比べてもそんなに変わらない大きさのワニが出てきた。

 

 「ね、ねえ! カズマ! なんか来た! なんかいっぱい来た!」

 

 だが、ここは異世界。

 この世界のワニは集団で行動するらしい。

 

 

 

    カズマside

 

 ーーー浄化を始めてさらに二時間経過ーーー

 

 「『ピュリフィケーション』! 『ピュリフィケーション』! 『ピュリフィケーション』!」

 

 アクアは自身に備わっている浄化能力はだけでなく、浄化魔法までも一心不乱に使っている。

 隣にいるシロナはさっきから不安そうにアクアを見ていた。

 それもその筈。

 アクアが入っている檻をワニが囲み、ガシガシとかじっている。

 

 「アクアー。ギブアップならそう言えよー。そしたら、檻を鎖ごと引っ張って逃げるからー!」

 

 「嫌よ! ここで諦めたら報酬がもらえないじゃない! 『ピュリフィケーション』! ひいいいいっ!! 今オリから鳴っちゃいけない音が鳴った!!」

 

 「アクア本当に大丈夫かな……?」

 

 「楽しそうだな…………もう辛抱たまらん! 私も行ってくる!」

 

 「「えっ?」」

 

 ダクネスが嬉々として、アクアの方に向かっていった。

 

 「ちょ、ちょっと待てダクネス! 行くな! お前まで行くな!」

 「お願いダクネス! 君まで行かないで!」

 

 俺とシロナが必死に押さえる。

 やっぱりこいつの力は物凄い!

 

 「前も思ってたけど、ダクネス力強すぎ! どんな筋肉してるの!?」

 

 「っ!!?」

 

 シロナは悪意なき言葉なんだろう。ダクネスの力が一気に弱くなった……。

 

 

 

 ーーー浄化を始めてさらに四時間が経過ーーー

 

 湖の浄化は無事に終わった。

 と、言うか一時間程前からアクアの浄化魔法は聞こえてこなくなった。

 

 「おーい、アクア。大丈夫か?」

 「アクア。本当に大丈夫?」

 

 俺達は檻に近づき、檻の中のアクアの様子を窺った。

 

 「……ぐす……ひっく……」

 

 「はあ」

 

 泣くくらいならリタイアすれば良いのに……。

 

 「ほら、浄化が終わったんなら、街に戻るぞ。……皆と話あったんだが、俺達は報酬いらないからさ。報酬三十万全部、お前の物だ」

 

 「そ、そうだよアクア! 全部アクアの物だよ!」

 

 「そうです。全部、アクアの物です!」

 

 体育座りになったアクアの肩がピクリと動く。

 ……だが、アクアが檻からでる気配はない。

 

 「おーい、アクアー」

 

 「…………」

 

 「アクア? もう外にはブルータルアリゲータはもういなから、もう大丈夫だよ」

 

 シロナが優しく声を掛ける。

 

 「……連れてって」

 

 ………?

 

 「え?」

 

 「……檻の外は恐いから、このまま街に連れてって」

 

 ……どうやら、今回のクエストでアクアにまた、トラウマを植え付けてしまった様だ。

 

 【湖の浄化】

 クエスト達成!




 次回はミツルギ? 

 どうしようシロナいるし……。

 現在、原作の2巻のサキュバスのお風呂編を書くかどうか悩んでいます!

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