この異世界転生者に祝福を!   作:白城

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 皆さんこんにちは白城です!

 遅れてすみません!
 これからもなるべく原作沿いでいきます!

 この作品ではカズマの仲間に優秀なシロナがいるのでどうすれば原作沿いになるかいつも考えています!

 今回はタイトル通り爆裂魔法のあの話です!


第八話 『この素晴らしい爆裂魔法に祝福を』

    白奈side

 

 「カズマ、カズマ! 「はい、カズマです」 早速討伐クエストにいきましょう! それも、沢山の雑魚モンスターが出るやつです! 新しく杖を新調した事によって強化された爆裂魔法の威力を試すのです!」

 

 めぐみんが突然そんな事を言い出した。

 

 ……まあ、装備が新しくなって試したい気持ちは分かるよ。

 

 「まあ俺もゾンビメーカーのクエストで、覚えたスキルを試す機会がなかったからな。安全なクエストでも行くか」

 

 「そうだね、強力なモンスターの討伐だとまた試せなそうだもんね」

 

 「いや、何を言ってる! ここは強力なモンスターを狙うべきだ。一撃が重く気持ちいい、そんなモンスターを………想像しただけで武者震いがっ!」

 

 一体何を想像したの!? いや、いい! 聞きたくない!

 

 「いいえ、ここはお金になるクエストにいきましょう! ツケを払ってお金がないから今日のご飯代もないの!」

 

 ……はあ、何故こんなにもまとまりがないんだろう?

 

 カズマも私と同じ様な顔をしていた。

 

 「まあ、決めるのは掲示板のクエストを見てからにしようぜ」

 

 カズマの意見に、全員頷き掲示板に移動する。

 

 「………あれっ? 依頼が殆ど無いじゃないか」

 

 ……本当だ。

 

 いつもは隙間が無いくらい大量に貼られている依頼の紙が今は数枚しか貼られていなかった。

 

 「カズマ! これだ、これにしよう! ブラックファングと呼ばれる巨体熊の討ば………」

 

 「却下! 何だよこれ! 高難易度のクエストしか残ってないぞ!」

 

 残されているクエストのどれもが、今の私達がやるとかなり危険なものばかり。

 

 確かに何でだろう。………そう言えばカズマが何か言っていたような……あっ!

 

 「ねえ、カズマ。カズマが言ってた魔王軍の幹部が原因じゃない?」

 

 私達の声を聞き、私達のもとにギルドの職員がやって来た。

 

 「………はい、シロナさん言う通りです。申し訳ありませんが、実はつい先日、魔王の幹部らしき者が、街の近くの小城に住み着きまして………。その魔王の幹部の影響か、周辺の弱いモンスターが隠れてしまい、仕事が激減しているんです。来月には騎士団が派遣されるそうなので、それまではここに残っている高難易度のクエストしか……」

 

 凄く申し訳なさそうなギルドの職員の言葉に、現在文無しのアクアが悲鳴を上げた。

 

 「なんでよおおおおおっ!」

 

 流石にこれには私もアクアに同情した………。

 

 

 

 

    カズマside

 

 「何でこのタイミングで引っ越してくるのよ! 魔王の幹部だかなんだか知らないけどアンデットなら見てなさいよ! 私が絶対浄化してあげるから!」

 

 俺としてはそんな危険なモンスターに絶対関わりたくないのだが……。

 

 俺の目の前でアクアが涙目で愚痴りながらバイトの紙をみていた。

 他の冒険者も俺達と同じようで、いつもより多くの人がやってられるかと言わんばかりに酒などを飲んだくれている。

 魔王軍の幹部はいったい何故この駆けだし冒険者が集まる街の近くに何故引っ越してきたのかと疑問はある。

 この街にいる冒険者などの実力など俺達とそれほど変わらない。シロナなら少しの時間稼ぎくらいできるかもしれないが、まだレベルが低い今、俺達より少し強いくらいだ。

 魔王軍の幹部なんてゲームのラストの方で出てくるものだ。そんな相手にカエルで苦戦した俺達が戦っても負けるどころか、全滅するのが目に見えている。

 

 

 

 

 

 「つまり、国の首都から強い冒険者がくる来月までは、楽な仕事は受けられないってこと?」

 

 「そう言う事になりますね。…………と、なるとしばらくは二人のどちらかが私の日課に付き合って貰う事になりそうですが………」

 

 シロナがめぐみんに確認のため質問している。

 俺は今、シロナとめぐみんと共に街の外に出ていた。

 本当は俺とめぐみんだけで行こうとしたのだか、シロナが「暇だからついて行きたい」と言い、断る理由もないため、三人で街の外に出る事になった。

 街の外は魔王の幹部の影響で弱いモンスターがいない。

 俺達は、クエストが請けられず、爆裂魔法が撃てないで悶々としているめぐみんに付き合い散歩をしていた。

 こいつは、一日一爆裂を日課にしているらしい。

 

 まあ、異世界転生したのに色々あり街の周辺を知らなかったため、散歩できるのは嬉しい………。

 だが、もしかして俺達のどちらかは毎日この日課に付き合わされるのだろうか?

 

 めぐみんに「面倒くさい、一人でいけ!」と言って突き放したのだが、「なら、いったい誰が動けなくなった私をおぶって帰るのですか? 撃ったら動けなくなるんですよ?」と開き直られた。

 

 「な、なあ、もうこの辺でいいだろ。適当に撃って帰ろうぜ」

 

 「確かに少し離れた所に来たね。撃つならこの辺でいいんじゃないの?」

 

 街から少し離れた所で、俺とシロナはめぐみんに撃つようにうながす。

 だが、めぐみんは首を振り。

 

 「駄目なのです! もっと街から離れた所に行かないとまた、守衛さんに叱られます!」

 

 んっ? ちょっとまて。

 

 「おい、今俺の聞き間違いじゃなきゃ"また"って言ったか?」

 

 「……まさかだと思うけど、爆裂魔法の音がうるさいとか迷惑とかで叱られた事があるの?」

 

 俺とシロナの言葉にめぐみんがコクリと頷く。

 

 はああ、全くしょうがない。丸腰で少し不安だか、モンスターが出てきても一応武装してきてるシロナもいるし大丈夫だろう。シロナも俺と同じような顔してるな………。

 

 たまには遠出してみる事にした。

 

 

 

 「あれは…………何でしょうか? 廃城?」

 

 遠く離れた丘の上にぽつんと佇む古い城。

 

 「薄気味悪いなあ………。お化けでも住んでそうな………」

 

 俺の呟きに、

 

 「あれにしましょう! あの城なら盛大に破壊しても誰も住んでないでしょうし、大丈夫でしょう!」

 

 そう言って爆裂魔法の準備をするめぐみん。

 

 「…………あれって………いや、気のせいか」

 

 シロナだけが廃城を見て不安そうな顔していたが、めぐみんはそれに気づかず爆裂魔法の詠唱が風に乗った……。

 

 

 「『エクスプロージョン』!」

 

 「おお! やっぱり威力は凄いな。だけど……」

 

 バタッ

 

 魔力切れで倒れる事がなければな………。

 

 「どうですか? 我が必殺の爆裂魔法は?」

 

 「そうだな………。あまり分からないが良い方だと思うよ」

 

 「そうですか、ならよかった……ですっ!」

 

 倒れながら感謝するめぐみん。それを見守るシロナ。そんなのんびりした空気の中。

 

 ……カサカサッ

 

 俺達の結構後ろで草が擦れる音がした。

 

 「……ねえ、めぐみん。あれって何?」

 

 シロナが不安そうにめぐみんに聞いている。

 

 「はい? どれの事ですか? この辺のモンスターはいない筈ですが………ええと………ああ、あれは一撃ぐ……ま………です……ね」

 

 ああっ、もうめぐみんの反応で分かった! あれはヤバイやつだ。

 

 「シロナ! あいつがまだ気づいてないうちに倒す事できるか!?」

 

 「わ、わかった! 出来ると思う! ええと、森が近くにあって火属性魔法はつかえないから……『セイクリット・ウインドブレス』!」

 

 その瞬間木々を倒し尽くす暴風が一撃熊と呼ばれる敵に向かった………。

 

 「………で、めぐみん。今回はシロナのお蔭で大丈夫だったがあれは何だったんだ?」

 

 「……あれは、一撃熊と呼ばれる強力なモンスターです。本来この近くにはいない筈なのですが………」

 

 「はあ、やっぱりヤバイモンスターだったのか……」

 

 「うう、やっぱり全力の魔法はまだ撃つんじゃないかも……」

 

 シロナは魔力の殆どを使ったのかふらふらしている。

 

 「ねえ、流石に毎回これは辛いんだけど……良くめぐみんはこうなっても爆裂魔法使おうと思うね」

 

 「私は爆裂魔法が……好きなのです! あと、今回が特別なだけですよ、シロナ………こんな事滅多にないと思いますから大丈夫です………多分」

 

 最後の一言で不安になった。本当にそうであって欲しい。これはシロナも思っている事だろう。

 

 

 

 

 …………こうして、俺とめぐみん、シロナの新しい日課は始まった。

 文無しのアクアは毎日アルバイトに励んでいる。

 ダクネスは、実家で筋トレをしてくると言っていた。

 

 俺は筋トレよりも両手剣の命中率を上げろと言いたい。

 

 シロナは保険のため俺達に付いて来て貰っている。

 そして、特にやる事がないめぐみんは、廃城の近くに毎日通い、爆裂魔法を撃ち続けた。

 それは、寒い氷雨(ひさめ)の降る夕方。

 「『エクスプロージョン』!」

 それは、暖かい食後の昼下がり。

 「『…………ロージョン』!」

 それは、朝日がさす早朝の散歩のついでに!

 「『………………ジョン』!」

 どんな日でもめぐみんは、毎日毎日廃城に向かい爆裂魔法を撃ち続けた……。

 そんなめぐみんの傍で爆裂魔法を見続けていた俺はその日の爆裂魔法の出来が……分かるようになっていた……。

 

 

 

 「「………」」

 

 「『エクスプロージョン』!」

 

 「おっ、今日のはいい感じだな。爆裂魔法の衝撃が骨身にズンと震動するかの如く響き、それでいて肌を撫でるかのように空気の震動が遅れてやってくる。ナイス、爆裂!」

 

 「ナイス爆裂!」

 

 「…………ねえ、毎回思ってるんだけど、カズマとめぐみんのそれってなんなの? そして、カズマは爆裂ソムリエでも目指しているの?」

 

 「いやいや、爆裂魔法は面白そうだから将来スキルポイントに余裕ができたら覚えてみようかなと、考えてるだけだよ」

 

 「ふふ、カズマも爆裂魔法の良さがわかって来ましたね。いい心掛けです」

 

 そんな事言い合いながら笑い合う。

 今日の爆裂毎日は何点だとか、ここは悪かったが、ここは良かったなど語りながら。

 

 「ん~? やっぱりあの城………うん、気のせいだよねっ!」

 

 

 

 

 

    白奈side

 

 私達は日課の爆裂散歩を続けて、約一週間が立った、ある日の朝。

 

 『緊急! 緊急! 全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、街の正門に集まってくださいっっ!』

 

 街中にお馴染みの大音量のアナウンスが響きわたる。

 そのアナウンスを聞いて、私達もしっかりと武装し、街の正門に向かった……。

 

 ああ、嫌な予感がする……。

 

 そんな事を私は考えながら………。

 

 

 

 街の正門には冒険者が集まる中、そこにいた私達は、凄まじい威圧感を放つ目の前にいるモンスターを前に、呆然と立ち尽くした。

 

 「あ、あれはっ!?」

 

 カズマも分かったようだ。そこにいたモンスターは………っ!

 

 

 デュラハン。

 

 それはゲームの中では人に死の宣告をし、絶望を与える首なし騎士だった。

 アンデットになり、生前より強力な肉体と特殊能力を手に入れた最上位のアンデットモンスター。

 

 正門前に黒色の首なし馬の上に乗っている、漆黒の鎧を着た首なし騎士は、左脇に自分の首を抱え、街中の冒険者が見ている中、フルフェイスの兜で覆われた自分の首を前に出した。

 

 「お、俺はつい先日、この街の近くの城に引っ越して来た、魔王軍幹部の者だが……」

 

 そして、デュラハンの首がプルプルと震えだし………!

 

 「おおお俺の城に、毎日毎日毎日毎日っ!! お、俺の城に爆裂魔法を欠かさず撃ち込んでく、あああ頭のおかしい大馬鹿は誰だああああ!!!」

 

 魔王軍の幹部はそれはもう誰が見てもわかる程、お怒りだった………。

 

 

 




 次回はデュラハンとめぐみんの会話などだと思います。

 これからも頑張って書いていきます!

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