今回は冒険はしないです(いつもですが……)。
面白く書けたか心配です。
アドバイスや感想があったらお願いします!
白奈side
「なあ、シロナ。なんかこの街の近くにある丘にある城に魔王軍の幹部がいるらしいけど、この話知ってるか?」
「えっ、何それ? 知らないよ?」
私が一人で冒険者カードを見て自分のスキルを確認してるとカズマが私に質問してきた。
カズマがギルドで知らない男性冒険者の話を聞いていたけどそんなことを聞いていたのか。
「て言うかカズマ。他のパーティーメンバーのアクアとかにも言わなくていいの?」
「あぁ~、平気だろ。なんか言ったら面倒になる気がするし……」
あはは、カズマはこのパーティーで苦労しそうだなあ……。
「まあ、話を戻すが、この街の近くにある廃城近づかない方が良いな。魔王軍の幹部っていうほどなんだからヤバイモンスターなんだろ。ドラゴンとかな。俺達が相手にしたら死ぬことになる事間違いないな。だからしばらく、その廃城の近くでのクエストは受けないようにするよ」
確かにゲームとかだと情報収集は大事だね。
「うん、わかった。情報収集ありがとうね、カズマ」
「お、おう」
私はカズマにお礼を言って、カズマと一緒に自分達のパーティーのテーブルに向かった……。
「……どうしたの? 何でそんな目で私達を見てるの?」
私達がテーブルに近づくと私達以外のパーティーメンバー、アクアとめぐみんとダクネスが、テーブルの上に置いてあるコップに入った野菜スティックをポリポリかじりながら、私達を見ていた。
あれ、私なんかしたかな?
そんな事を考えていると出てきたのは予想とは違うものだった。
「別に~? 二人が違うパーティーに行かないか心配なんてしてないし」
アクアが不安そうな目で私達をチラチラ見てくる。
………?
隣にいるカズマも不思議そうな顔をしながら。
「……何言ってんだ? 情報収集は冒険の基本だろうが」
カズマはそう言ってテーブルに座り、野菜ステッィクに手を伸ばす。私も同じ様にカズマの反対に座り野菜スティックに手を伸ばした。
ヒョイッ。
やはり野菜スティックが私達の手から逃れるように動く。
はあ、やっぱりめんどくさい。
「何やってんのよ二人とも」
アクアがテーブルをバンと叩き、一瞬動かなくなった野菜スティックを一本つまんで口に運ぶ。
「……むう、楽しそうでしたね。カズマは他のパーティーのメンバーと随分親しげでしたね?」
めぐみんは拳を握りテーブルをドンッと叩き、一瞬動かなくなった野菜スティックをつまみ、口に運んだ。
「何だこの新感覚は? 二人が他所で会話をしている姿を見ると、胸がもやもやするが、その反面新たな快感が……。は! もしや、これが噂の寝取られ……」
……何言ってるの!?
変な事を言っているこの変態が、指でピンッとコップを弾き、野菜スティックを指で摘まんだ。
「どうしたんだお前ら、こういう場所での情報収集は基本だろうが?」
そう言いながらカズマはテーブルをパンッと叩き、野菜スティックを掴み……。
ヒョイッ。
「…………うおおりやあああああ!」
「カズマ落ち着いて! 気持ちは分かるけど落ち着いて!」
「や、やめてええ! 私の野菜スティックに何すんの! た、食べ物を粗末にしちゃいけないって習わなかったの!?」
カズマは野菜スティックの掴み損ねた手で、野菜スティックの入ったコップを壁に叩きつけようと腕を振りかぶるが、私が急いでカズマを止める。
「野菜ごときに舐められてたまるか! ていうか今更だが、何で野菜が逃げるんだよ! ちゃんと仕留めたやつを出せよ!」
うん、その気持ちは凄く分かるよ。
「あんた、何言ってんの。魚も野菜も新鮮の方が美味しいでじょ? 活き作りって知らないの?」
私が知ってる活き作りじゃない!
あっそうだ!
「『ウインドブレス』!」
私は野菜スティックを
よし! これなら野菜ステッィクが逃げない!
「カズマ、はいこれ」
私は先程手に取った野菜スティックを数本カズマに渡す。
「ありがとう、そういう使い方があるのか。まあ、野菜のことはこれで良いとして。……お前らに聞きたい事がある。俺はレベルが上がったらどんなスキルを覚えようかと思ってな。ハッキリ言うとバランスが悪いこのパーティーを今シロナが支えている感じだ。これはシロナの負担が大きすぎる。だから自由の利く俺がそれを軽減する感じでいきたいんだが……。確認するが、お前らスキルってどんな感じなんだ?」
そう言ってカズマが尋ねる。確かに今、皆のフォローは私だけでは正直言って辛い。その事に考慮してだろう。
「私は魔法剣士の上級職って言われてるくらいだから《初級魔法》から《上級魔法》まで魔法と、この職業だけの魔法、それと《片手剣》だね」
「うん、シロナは普通に優秀だな。で、問題はその
そう言ってカズマはダクネスの方を向く。
「ん? 私は《物理耐性》と《魔法耐性》、そして各種の《状態異常耐性》で占めているな。後はデコイという囮になるスキルくらいだ」
やっぱり肝心のスキルがない……。
「……やっぱりシロナも前に言ってたけど、《両手剣》スキルとか覚えて、剣の命中率を上げる気は無いのか?」
「無い。だが私は体力と筋力ある。攻撃が簡単あたり無傷で倒してしまう。それでは駄目だ。かといって、わざと攻撃を外して攻撃を受けるというとも違うのだ。なんというか、前も言った事があると思うが、私が必死で剣を振るうが全く当たらず、力およばず圧倒されるというのが気持ちいい…」
「もうお前は黙ってろ!」
「んんっ! 自分で言っておいてなんという仕打ち…」
私の隣でハアハア言ってるダクネスはもうめんどくさいので放置する。
そしてカズマは次にめぐみんの方に見る。
「私は勿論、爆裂系スキルです。《爆裂魔法》に《爆裂魔法威力上昇》、そして《高速詠唱》などです。最高の爆裂魔法を放つためのスキル振りです」
……もともとオーバーキルみたいな爆裂魔法の威力を上げて意味あるのかな?
「……どう考えても、シロナみたいに中級魔法スキルとかを覚える気は・・・」
「無いです」
はあ、やっぱり駄目か…。
「えっと、私は……」
「お前はいい」
「ええっ!? そんな!?」
自分のスキルを言おうとしたアクアをカズマが黙らせる。
まあ、予想はつくけど支援魔法や回復魔法は覚えてると思うけど、多分宴会芸スキルの方が多いでしょ。
「はああ、私入るパーティー間違えたかなぁ。移籍をした方が…」
「何でこうも、まとまりが無いんだ、このパーティーは……。本当に移籍した方が…」
「「「!?」」」
私達の小さな声に、三人がビクッとした。
カズマside
緊急クエストのキャベツ狩りから数日が経過した。
あの時収穫したキャベツが売り出され、冒険者にはその報酬が支払われたわけだか……。
「カズマ、見てくれ。キャベツ狩りの報酬が思ったより良かったから、修理に出していた鎧に少し強化してみた。……どう思う」
報酬を受け取ろうとする冒険者でギルド内は混雑しており、ダクネスが強化された鎧を見せてきた。
俺はそんなもんより両手剣スキルを取れっ!と言いたい所だが……。
「な~んか、成金のボンボンが着けてる鎧みたい」
「私だって素直に誉められたい時とだってあるのたが、ハア…ハア……カズマはどんな時でも容赦ないな」
ダクネスは最初は珍しくへこんだ顔で言っていたが、後半から少し顔を赤くしながら言ってくる。
はあ、この変態は…。
「そんな事より、お前を越えそうなそこの変態をどうにかしろよ」
「ハア…ハア……この魔力溢れるマナタイト製のこの色艶……。ハア……ハアァ………ッ!」
めぐみんが俺の目の前で新調した杖に頬擦りをしていた。
マタナイトという希少金属は、杖に混ぜると魔法の威力が上がるらしい。
キャベツ狩りの高額な報酬で杖を強化し、朝からずっとこの調子だ。
今でもオーバーキル気味な爆裂魔法を強化した意味があるのか? とか、それよりも便利な魔法を習得するべきなんじゃないのか? など言いたい事は様々あるが今のめぐみんに関わりたくないので放っておく。
「それで、シロナは報酬を何に使ったんだ?」
俺は唯一まともなシロナに聞いた。
「ええと、私は使う物が思いつかなかったから、まだ使ってないよ」
流石はまともなシロナだ。良く考えている。
俺もすでに換金が終わりホクホクだ。
「何でよおおおおお!?」
ギルドにアクアの声が響き渡る。
あぁ……嫌だなあ………。
ギルドのカウンターでは、アクアが揉めていた。
なにやらギルド職員にいちゃもんをつけている。
「何で五万ぽっちなのよ!? いくら捕まえたとおもってんの!?」
……あいつ、自分が捕まえたのがほとんどレタスなの忘れてないよな?
「そ、それが。非常に言いにくいのですが……」
「何よ!」
「アクアさんの捕まえたのはほとんどレタスでして……」
「………何でレタスが混じってるのよー!」
「いや、私に言われても……っ」
はあ、あのやり取りを聞くにやはり忘れていたらしい。
アクアがこれ以外無理だと判断したのかこちらに笑顔で近づいてきた。シロナはそれにあわせて俺から離れて行く。
……嫌だなあ。
「カーズーマさーん! 今回の報酬おいくら万円?」
「百万ちょい」
「「「ひゃっ!」」」
アクアとめぐみんとダクネスが絶句する。
そう、俺は突発的に出たクエストで小金持ちになりました。俺の収穫したキャベツはたくさん経験値が入った物が多かったようだ。これも幸運度の差というものだろうか。
「え、ええと。カズマ様ー! あなたってその……そこはかとなく良い感じよね!」
「誉める所が無いなら無理するな。言っておくが、この金は使い道を決めてるから、分けんぞ」
俺はアクアの言いそうな事を先に言っておく。
その言葉にアクアの笑顔が凍りつき。
「………カズマさあああん! 私、このクエストの方が相当な額になるって踏んで、もってるお金全部使っちゃったんですけど! ていうか、大金が入ると見込んでギルドに十万近いツケまであるんですけど!」
涙目になって縋り付くこの自称女神を引き剥がす。
何でこいつは後先考えないのだろう。
すでに周りの仲間がアクアをみる目が可哀相な子を見る目になっている。シロナが会話に入ってこないあたり巻き込まれたくないのだろう。正しい判断だ。
「うるさい、この駄女神! そもそも今回の報酬を個人にしたのお前だろ! と言うか、この金でいい加減馬小屋生活を脱出するんだよ!」
普通、冒険者は家を持たない。
冒険者は仕事などで、あちこち飛び回るとこが多いからだ。
俺は一応魔王討伐はシロナがいるので少しは視野に入れてはいるが、ほとんど無理だと思っている。
なんせ俺は最弱職の冒険者だ。
紅魔族や他の連中に比べればステータスだって断然劣る。幸運値が高いただの一般人のようなもんだ。
だから、ここはこの金に使って宿屋か、小さな物件でも手に入ればと思ったのだ。
アクアの顔がさらに泣きそうな顔になりすがり付く。
「お願い。お金貸して、ツケ払う分だけでいいからぁ! そりゃカズマだって男の子だし、たまに夜中隣でごそごそしてる知ってるから、プライベートな空間が欲しいのはわかるけど…っ!」
「ようし分かった! 五万でも十万でも安いもんだ! 分かったから黙ろうか!」
シロナだけ不思議そうな顔していたので、そっち方面の知識がなくて助かった…! 流石にシロナにも引いた目で見られるのはへこむ。
「ありがとうカズマ! やっぱり仲間は良いものね!」
そう言ってアクアは笑顔でお金を持ってカウンターの方に走って行った。
シロナがアクアが離れていったのを確認した後、こっそり俺の方に来て。
「ええと、カズマはいこれ。私、結構報酬貰ったけど使い道決まって無かったし、いつものお礼ってことで」
そう言って五十万程入った袋を渡してくる。
ああ、美少女で優しいなんて、そんな子がこの世にいたんだな! もはやシロナが天使、いや女神だ……。
これによって、カズマは馬小屋生活を脱出した。
原作とは違い馬小屋生活を脱出しました!
まだあまり強くありませんがチート持ちのシロナがいますので。
因みシロナはカズマより少し多い百二十万くらい稼ぎました。カズマは幸運度で、シロナは量で、みたいな感じですね。シロナの幸運値は人並みなので。
次回も冒険がないかもしれないです。
少し更新が遅れるかもしれないですが、頑張ってかいていきます!