少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 本編に戻りましたが……今回はテンプレ回です。でも!!そのテンプレが寿司屋の中で起こるので!!多少は面白くなっているはず!!

 ……私には文才がない&自己満足小説なので期待しないでください。

 


 


極東戦役:極東編
宣戦会議ってこんなに混沌としてるのか……


宣戦会議(バンディーレ)に集いし組織、機関、結社の大使達よ」

夜の人口浮島・空き地島の‘‘寿司 多聞丸’’にある司会者席で、甲冑姿のジャンヌが異形の集団に語り掛ける。

 ……なんというか、宴会の幹事みたいだな。

俺は不謹慎にもそう思ってしまった。

「まずはイ・ウー研鑽派残党(ダイオ・ノマド)のジャンヌ・ダルクが、敬意を持って奉迎する」

その声は、喉奥に刃を秘めている様な感じがする。ジャンヌの口調は歓迎するものでは到底ない。そして、それに対抗するかのように、此処に集う者たちの殺気がピリピリと伝わってくるが……

 ……ここ、寿司屋なんだよなぁ。

場の空気と場所がチグハグすぎる。

 ……この場をちょっといじればドリフのコントにもなりそうだ。

俺は思わず頬がほころんだ。俺の場違いな表情に数人がギロリとみる。

 ……ごめんなさい。表情を元に戻します。

俺は顔の表情を無表情にした。

 

 さて、正体不明の武装集団に遭遇した場合、敵の総戦力を把握する必要がある。しかし、今は気配だけで考えなければいけない。また、誰が敵で、誰が味方か分からない。

 ……この大人数で辻さん、加藤大佐、山口少将を守りきらなければならないのか。

ジャンヌ、キンジ、レキ、カナ、GⅢ、から襲撃されないとは思うが……念には念を、俺は全員に襲撃された時の対処法を頭に浮かべる。

 ……あれ?詰んだ?

「初顔の者もいるので、序言しておこう。かつて我々は諸国の闇に自分達を秘しつつ、各々の武術・知略を伝承し……求める物を巡り、奪い合ってきた。イ・ウーの隆盛と共にその争いは休止されたが……イ・ウーの崩壊と共に、今また、砲火を開こうとしている」

 ……なるほど、辻さんが説明したとおりか。

すると、さっき俺のために神様に祈ってくれた、ナイスバディなシスターさんが席を立った。

「……皆さん。あの戦乱の時代に戻らない道はないのですか」

温和そうで、何処か艶のある甘い声。そして、一同の中で最も穏やかな、青く、潤んだ瞳。一般人が見れば、彼女のことを天使と見間違えるに違いない。……が、ここでは違う。ここはあらかじめ決められていた、宣戦布告をする場所だ。そんなところで組織の代表が平和を唱えるのは余りにおかしい。

 俺は何か裏があると思いながら彼女を見た。

「バチカンはイ・ウーを必要悪として許容しておりました。高い戦力を有するイ・ウーが、どの勢力と同盟するか最後まで沈黙を守り続けた事で、誰もが‘‘イ・ウーの加勢を得た敵’’を恐れて、お互い手出しが出来ず……結果として、長きに渡る休戦を実現できたのです。その尊い平和を、保ちたいとは思いませんか」

シスターは手を合わせて、十字架を握りしめている。

 ……確かに、平和は尊いものだ。だけれど抑止力が無くなっちまったら平和なんてすぐ崩れるんだぞ。

「私はバチカンが戦乱を望まぬ事を伝えに、此処へ参ったのです。平和の経験に学び、皆さんの英知を以て平和を成し、無益な争いを避けることは……。」

「……出来るワケねぇだろ、メーヤ。この偽善者が。」

シスター(メーヤさん?)の話をカツェがぶった切った。

「おめぇら、ちっとも休戦してなかったろーが。デュッセドルフじゃアタシの使い魔を襲いやがったクセに。平和だァ?どの口でほざきやがる。」

カツェは苛立たし気にシスター(メーヤ?)を睨む。

「黙りなさい、カツェ=グラッセ。この汚らわしい不快害虫。」

豹変した口調で、眉を吊り上げシスター(メーヤ?)は罵った。

 ……あぁ、彼女も安定の十字教狂信者だったのか。

「お前たち魔性の者共は別です。存在そのものが地上の害悪。殲滅し、絶滅させるのに何の躊躇いもありません。生存させておく理由が旧約、新約、外典を含めて聖書のどこにも見当たりません。しかるべき祭日で、聖火で黒焼きにし、(しかばね)を八つに折り、ソレを別々の川に流す予定を立ててやっているのですから!!!ありがとうと言いなさい。ありがとうと。ほら!!言いなさい!!!ありがとう!!ありがとうと!!!」

さっきとは打って変わり、カツェの首を締め上げながらシスター(メーヤ?)は叫ぶ。

  ギロリ!!

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 ……空気が一気に重くなった!?

俺は思わず振り向くと……そこには山口少将が仏陀スマイルで彼女たちを見ていた。

「お客さん……喧嘩すんなら外行ってくれませんか?」

「「……はい。」」

二人はおとなしく席に着いた。

「……とりあえず、うちはバチカンとの戦争は待ちに待ってた絶好の機会だ。このチャンスは逃せねぇ。……ヒルダはどうだ?」

カツェは背中から大きな翼を生やしたゴスロリ女に話しかけた。

「……そうねぇ、私も戦争は大好きよ。いい血が飲み放題になるし。」

翼を生やした蝙蝠女の犬歯は緋色の金属でコーティングがされていて、かなり牙が突き出ていた。

 ……吸血鬼のコスプレ?まさかこんな典型的な吸血鬼はいないだろう。

「ヒルダ……一度首を落としてやったのに、あなたもしぶとい女ですね」

シスター(メーヤ?)さんは鋭くカツェと蝙蝠女を睨みつけていた。

 ……‘‘隣人を愛せ’’ってキリストは言ったはずなんだがなぁ。……まさか!これがカト〇ック的な愛し方!?殺し愛が当たり前なのか!?

カット。

「……首を落とした位で、ドラキュリアが死ぬとでも?バチカンは相変わらずおめでたいわね。お父様が話して下さった何百年も昔の様子と、何も変わらない。」

ほほほっ、と赤いマニキュアをした指を口にあてがい、縦ロールの金髪ツインテールを揺らして笑う蝙蝠女

 ……うそぉ。こんな典型的な吸血鬼がいたよ。

でもブラドほどの威圧感もないし、ラスボス感もない。

 ……ブラド以下の実力しかないのか?

「和平、と仰りましたが……メーヤさん?」

呑気な感じの声を挟んできたのは、色鮮やかな中国の民族衣装を着たスマートな男だ。丸眼鏡の奥に、糸みたいに細い目をニコニコさせている。

 ……これまた典型的な中国人が出てきたな。

「それは、非現実的というものでしょう。元々我々には長江(チャンジャン)のように長きにわたり、黄河(ホアンホー)のように入り組んだ因縁や同盟の(よし)みがあったのですから。ねぇ?」

糸目の男は顔を上げて、カウンターの端っこに座るレキを見た。

 レキは黙って、狙撃銃を抱えながら寿司を食っていた。

「……私も、出来れば戦いたくはない。」

 ……字ずらだけ見ればかっこいいんだけど、頬に米粒がついてるぞ。レキさんや。

ジャンヌが碧い瞳で一同を見回しつつ、言った。

「しかし、いつかこの時が来る事は前から分かっていた事だ。シャーロックの薨去(こうきょ)と共にイ・ウーが崩壊し、我々が再び戦乱に落ちることはな。だからこの宣戦会議(バンディーレ)の開催も、彼の存命中から取り決めされていた。大使たちよ。我々は戦いを避けられない。‘‘我々は、そういう風に出来ているのだ’’。」

抑止力であったイ・ウーが崩壊したら……残った他の組織はその目的や欲望で動き出すのは目に見えてわかる。

 ……面倒なことになったもんだな。 

「では、古の作法に則り、まず三つの協定を復唱する。86年前の宣戦会議ではフランス語だったそうだが、今回は私が日本語に翻訳したことを容赦頂きたい。

第一項。いつ何時、誰が誰に挑戦する事も許される。戦いは決闘に準ずるものとするが、不意打ち、闇討ち、密偵、奇術の使用、侮辱は許される。

第二項。際限無き殺戮を避けるため、決闘に値せぬ雑兵の戦用を禁ずる。これは、第一項よりも優先される。」

組織同士での戦闘はするが、総力戦はしないという事か。こいつは有難い。間違って民間人を殺したら目も当てられないからな。

「第三項。戦いは主に‘‘師団(ディーン)’’と‘‘眷属(グレナダ)’’の双方の連盟に分かれて行う。この往古の盟名は、歴代の戦士たちを敬う故、永代、改めぬものとする。それぞれの組織がどちらかの連盟に属するかは、この場での宣言によって定めるが……黙秘・無所属も許される。宣言後の鞍替えは禁じないが、誇り高き各位によりそれに応じた扱いをされることを心得よ。

続けて連盟の宣言を募るが……まず、私たちイ・ウー研鑽派残党(ダイオ・ノマド)は‘‘師団(ディーン)’’となることを宣言させてもらう。バチカンの聖女・メーヤは‘‘師団(ディーン)’’。魔女連隊のカツェ=グラッセ、それとドラキュリア・ヒルダは‘‘眷属(グレナダ)’’。よもや鞍替えは無いな?」

ルールを語り終えたジャンヌが、問題児(笑)3人組を指名した。

「嗚呼……。神様、再び剣を取る私をお赦しください……。」

スッと十字を切ったメーヤは、

「はい。バチカンは元より、この汚らわしい眷属共を討つ‘‘師団(ディーン)’’。殲滅師団(レギオ・ディーン)の始祖です」

白いレースの長手袋をした手で、カツェと蝙蝠女を指さした。

「ああ。アタシも当然‘‘眷属(グレナダ)’’だ。メーヤと仲間なんかになれるもんかよ」

 ……うわぉ。やっぱりカツェはシスター(メーヤ?)さんと犬猿の仲か。

「聞くまでもないでしょう、ジャンヌ。私は生まれながらにして闇の眷属……‘‘眷属(グレナダ)’’よ。玉藻、あなたもそうでしょう?」

 ……こっちはこっちでキャラづくり大変そうだな。

蝙蝠女がそういうと、さっきからお稲荷さんをムシャムシャ食べている狐耳と尻尾のついた小学生ほどの少女が顔を上げた。

 ……ん?玉藻?

「すまんのう、ヒルダ。儂は今回、‘‘師団(ディーン)’’じゃ。未だ仄聞(そくぶん)のみじゃが、今日の星伽は基督教会と盟約があるそうじゃからの。パトラ、お前もこっちゃこい。」

 ……まさかの、流行りのロリ婆という物か?

すると、デカい水晶玉を油と酢で汚れた指でクルクル回していたパトラは、

「タマモ。かつて先祖が教わった諸々の事、妾は感謝しておるがのぅ。イ・ウー研鑽派(ダイオ)’’の優等生共には私怨もある。今回、イ・ウー主戦派(イグナテイス)は‘‘眷属(グレナダ)’’ぢゃ」

アヒル口でそう返した。

  ツルッ!!バリン!!

 ……やっぱり、そんな手で水晶玉なんていじってるから。

水晶玉が床に落ちて割れてしまった。

「「「「「「ッ!!!」」」」」

また空気が重くなった。

「お客さん……ごみの処理は自分でお願いします。」

「……………ハイ。」

パトラは山口少将の威圧に負けたようで、涙目になりながら渡されたホウキとチリトリで水晶玉の破片をかき集める。

 

 

「あー……お前はどうするのぢゃ、カナ。」

パトラが水晶の破片をかき集め、山口少将にホウキとチリトリを返した後、テーブル席の正面にいるカナさん(キンイチさん)に尋ねた。

「創世記41章11――『同じ夜に私達はそれぞれ夢を見たが、そのどちらにも意味が隠されていた』――私は個人でここに来たけれど……そうね。‘‘無所属’‘とさせてもらうわ。」

 ……最悪の場合は襲われる可能性があるのか。

俺は3人を逃がす策を必死で考える。

「そうか……それが道理ぢぁろうなぁ……。」

パトラはシュンとしょぼくれてしまった。

「ジャンヌ。リバティー・メイソンは‘‘無所属’‘だ。暫く様子を見させてもらおう。」

寿司を箸で上品に食べるトレンチコートの男装少女は、それを言ったっきり何も言わない。

 

「……LOO……」

今度は体育座りをしていた人型ロボットがしゃべった。立ち上がったら3mはあろうかという鋼鉄の二足歩行戦車のようなソイツは、ボディのあちこちから照準器、アンテナ、榴弾砲、発煙弾発射器、その他諸々をジャキジャキ突き出していた。

「LOO…LOO………LOO……」

 ……うん、何言ってるか全くわかんねぇ。

「……LOO(ルゥー)よ。お前がアメリカから来ることは知っていたが、私はお前をよく知らない。意思疎通の方法が分からないままであれば、どちらの連盟につくかは‘‘黙秘’‘したものと見なすが……いいな?」

全く物怖じしないジャンヌにビシッと言われたLOO(?)は、

「……LOO……」

そう言って頷いた。

 ……なんとなくだが、中に人が入ってるな。浪漫あるじゃねぇか、アメ公も。

 

「……‘‘眷属(グレナダ)’’、なる!」

いきなり元気な声を張り上げたのは、トラジマ模様の毛皮を着た、俺にある意味とどめを刺した鬼幼女だった。幼女は叫んだあと、足元に置いていた大斧を持ち上げ、そのバカでかい斧の派手な羽飾りをつけた石突きで地面に突くと、足元に微震が起きた。

  ギロリ!!!

「「「「「ッ!?」」」」」

また山口少将か!?

「お客さん……地面を揺らすのはやめてもらいますか?」

「……あい。」

鬼幼女は斧を持って店外へ出ていき、戻ってきたときには斧を持っていなかった。

 ……外に斧を置いたんだろうな。

「……ハビ…‘‘眷属(グレナダ)’’。」

鬼幼女はそう言った後、チビチビと寿司をかじっていた。

 

 

 

 

 

 

「遠山。‘‘バスカービル’’はどちらに付くのだ。」

ジャンヌに話を振られたキンジは慌て始めた。

 ……キンジは‘‘バスカービル’’代表として来てたのか。

「な、何だ。何で俺に振るんだよ、ジャンヌ。」

「お前はシャーロックを倒した張本人だろう」

ジャンヌが間髪入れずに行った。

「そ、それならイブキだって!」

 ……バッカ野郎!!俺に振るんじゃねぇ!!

俺は腕でバッテンを作って、キンジにアピールする。

「遠山、貴様にどんな理由があろうとも、抑止力であったイ・ウーを壊滅させ、戦争の口火を切ったのだ。」

「ッ!!」

キンジは気づいたのだろう。己がしでかしたことを、そして……その大きさを。

「貴様は‘‘やった’’のだ。ならばその責任を取れ。……男だろう?」

「クソッ……クソッ!!……なんで、なんでこんなことに。」

  ダン!!

キンジは拳をカウンターに叩きつけた。

「……遠山キンジ、村田イブキ、お前たちは‘‘師団(ディーン)’’、それしか有り得ないわ。お前たちは‘‘眷属(グレナダ)’’の偉大なる古豪、ドラキュラ・ブラド――私のお父様の、仇なのだから。」

 ……へぇ~。あのブラドの娘なのか。

「……それでは、ウルスは‘‘師団(ディーン)’’に付く事を代理宣言させて貰います。私は既に‘‘バスカービル’’の一員ですが……同じ‘‘師団(ディーン)’’になるのですから問題ないでしょう。私が大使代理になる事は、既にウルスの許諾を受けています」

レキが寿司を食べる手をいったん休め、いった。すると、糸目の中華男がニヤリと笑った。

「藍幇の大使、諸葛静幻が宣言しましょう。私たちは‘‘眷属(グレナダ)’’。ウルスのレキには、先日ビジネスを阻害された借りがありますからね。」

糸目の中華男が言った後、辻さんが勢いよく立った。

「希信達!!‘‘日本陸海空軍’’は今回合併し!!‘‘日本軍’’として‘‘師団(ディーン)’’につくことを!!この希信が宣言する!!」

その言葉に、山口少将と加藤大佐が頷く。

 ……ザワザワザワ。

すると、大使たちがざわめき始めた。何か予想外なことが起きたのだろうか。

「まだ宣言していないのは、そちらの方々だが……早く言って欲しいな。」

加藤大佐が笑みを浮かべて言った。

 

 すると、ピエロのような恰好をしたGⅢが、聞いていた携帯音楽プレイヤーを地面にイヤホンごと捨てた。

「……チッ。美しくねェ」

GⅢの顔は、どこかの戦闘民族がやる戦化粧のようなフェイスペインティングに彩られている。

「ケッ……バカバカしい。強ぇヤツが集まるかと思って来てみりゃ、何だこりゃ。要は使いっ走りの集いってワケかよ。どいつもこいつも取るに足らねぇ。使い走りってわけか。」

「なぁ、一応俺の義理の弟なんだろ。お願いだからそんなこと言わないでくれ……。中二病こじらせた痛い奴が義弟なんて俺は耐えられねぇぞ。」

俺は思わずそう言ってしまった。すると、GⅢは顔を真っ赤にした。

「ふ、ふざけるな!!誰がテメェの義弟になったんだ!!」

「だって、戸籍上GⅣ(かなめ)は俺の妹だぞ。そうなら、お前は義弟だろうに。」

「こ、この野郎!!」

GⅢが拳を振り上げて俺に近づいた瞬間

ギロリ!!!

「「「「「ッ!?」」」」」

我らが山口少将が威圧をかけた。

「お客さん……喧嘩は外でやれと何回も言っていますが?」

「……。」

GⅢは渋々自分の席に戻った。

「GⅢ、ここにいるのは大使だ。戦闘力で選ばれていない。お前の求める物がいないのは認めるが……このままでは‘‘無所属’’になるぞ。」

ジャンヌが仲裁するように言った。

「なぁ、これ以上義兄(兄ちゃん)にストレスを与えないでくれよ……頼むから。」

するとGⅢ、は猫背になり、

「……‘‘無所属’’だ。……お願いだからフォースつながりで喋るのはやめてくれ。」

疲れ切ったサラリーマンのような声を発し、ビールを(あお)った。

 

 

 

「これで全員済んだみたいね。そうよね、ジャンヌ?」

蝙蝠女がしゃべった。

「……確かにその通りだ。最後に、この宣戦会議(バンディーレ)の地域名を元に名付ける慣習に従い、極東戦役(Far East Warfare)……FEWと呼ぶことを定める。各位の参加に感謝と、武運の祈りを……。」

ジャンヌが閉めに入ったようだ。

「……じゃあ、いいのね?」

蝙蝠女がジャンヌに聞いてきた

「…………もう、か?」

「いいでしょう、別に。もう始まったんだもの」

「待て。今夜は……ここではお前は戦わないと言ってなかったか?」

「そうねぇ。ここはあまりいい舞台ではないわ。でも……気が変わったの。せっかくだし、ちょっと遊んでいきましょうよ。」

  ギロリ!!!

「「「「「ッ!?」」」」」

またも山口少将が威圧をかけた。

「お客さん……喧嘩は外でやれと‘‘何回も’’言っておりますが?」

すると、蝙蝠女は涙目になった。

「……でも、血を見なかった宣戦会議(バンディーレ)は過去になかったと……。」

「お客さん……喧嘩は外でやれと‘‘何回も’’言っておりますが?」

「……ハイ。じゃぁ、戦いたい者は店外に来て頂戴。」

蝙蝠女は涙目になりながら店を出ていった。

「……ありがとうございました。またのお越しを。」

山口少将はそう言って蝙蝠女を見送った。

 ……うん、山口少将は適任だったな。

俺はこの抜擢(ばってき)に感心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「軍を辞めた後は、寿司屋にでもなるか。」

俺は山口少将のつぶやきをしっかりと聞き取れた。

 ……少将が寿司屋開いたら、店主が怖すぎて誰も近寄らないだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、山口少将が店じまい(とどこお)りなく終わり、3人が帰るころには全員空き地島から帰っていたので、俺の仕事は全くと言っていいほどなかった。

 




 さて、辻さんの発言にほかの大使が驚いている理由は、
『前回、日本陸軍と日本海軍は別々の陣営で、凄惨な骨肉の争いをしたこと。‘‘師団(ディーン)’’と‘‘眷属(グレナダ)’’ですごい功績を残したこと。』
によるものです。





 Next Ibuki's HINT!! 「酒飲み」

 

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