今回は久しぶり(?)に船坂っぷりがガンガン出てきます。
俺と理子は蝦夷テレビの5人組を急いで大広間から脱出させた。
「って安浦さん!?なんでパンツ一丁なの!?」
大広間に来たときは全員浴衣だったのに、なんで今は浴衣を着てないんだよ!!
「いや、脱いじゃったから……。」
「それは分かりますよ!!」
だから、なんで脱いだかを聞いてんだよ!……ショウガナイ。俺は‘‘四次元倉庫’’から防弾制服を出した。
「安浦さん!!これ着てください!!」
「いやぁ……悪いねぇ……。」
大広間から廊下に出て少しのところに女将さんが電話を持って呆然としていた。
「女将さん!!頭を下げて!!」
「は、はい!!」
女将さんは我に返ったのか急いでしゃがんだ。
「女将さんと藤崎さん達の安全は俺達が保証します。女将さん警察に連絡してください。」
「はい!!」
女将さんは元気よく返事をすると高速で電話をいじりだした。
「おい、あれかい!?村田君に会うと毎回ドンパチがあるのかい!?」
和泉さんが俺にぼやいた。
「今の状況で軽口言えるなら大丈夫ですね。拳銃貸すんで周辺の警戒お願いします。」
「き、きみぃ!!僕がそんなことできると思っているのかい!?ぼかぁね、同級生から…‥」
「冗談ですから!!」
和泉さんをこのまま話させていたら長くなりそうだったので無理やり切った。
「理子、狙撃兵だけだと思うか?」
「……それはないと思う。」
裏理子で返答してきた。
「イブキ!!理子!!」
キンジとレキが部屋から出てきた。
「ってお前たち!!浴衣着てんのか!?」
あ……。やっべそうだった。
「私は中にちゃんと着てる。」
「え!?マジかよ!?」
俺なんて浴衣以外はパンツだけだぞ!?防弾制服も安浦さんに貸しちゃったし。
「連絡しました!!」
女将さんが言った。
「キンジ、俺と理子はまず民間人を避難させる。そっちは何とか犯人を引きつけといてくれ。」
俺はそう言いながら、嫌な予感がしたところに拳銃を撃った。落ちてきたのは……黒の艶消し塗料が塗られた
「い、和泉君……。今回の旅は波乱万丈だねぇ。」
「波乱万丈どころじゃないよ!!文字通り絶体絶命だよ!!」
藤崎さんと和泉さんが何かしゃべってるが無視しよう。……音野さんはビデオ回してるし。あんたが一番すごいよ。
「分かった。」
キンジが言った。
「民間人を警察に保護させたら援軍に行く。……ついでに狙撃の方向から、敵狙撃兵は比叡山の山頂近くで撃ってる。気をつけろよ。」
「あぁ!!」
「皆さんは俺と金髪の子についてきてください!!」
俺達は玄関までたどり着いた。俺はあたりを見ると……ラジコンが3台
ダンダンダンダンダン!!
多少の無駄撃ちがあったが、ラジコンを全て落とすことができた。
「藤崎さん、車借りますよ。」
「どうぞ。」
俺は藤崎さんから鍵を借りると外に出た。
……撃ってこない。俺は急いでワンボックスカーのカギを開け、大きい方のドアを開けた。
「大丈夫です!!皆さん、走れ!!」
「僕が先だ僕が先だ!!」
「……!!」
和泉さんと鈴藤さんは我先にと走り出す。
「ちょ、二人とも待ってよ!!」
「クソッ!!ハゲでうどん好きはダメなのかよ!!」
「キャァアアア!!」
……なんだか、絶体絶命で危険な時なのに、蝦夷テレビの人達見てるとまるでコントだな。俺は不謹慎にもそう思ってしまった。
……ッ!!
俺はいきなり危険を感じ、後ろを振り向くと同時に銃剣を振るう。
ガァン!!
俺の銃剣が弾を引き裂いたようだ。……チクショウ狙ってきている。
俺は全員乗ったことを確認すると同時に車に急いで乗り、発進させた。
「え~ただいま我々は旅館で襲撃を受けたため、必死で逃げております。」
「鈴藤さん!!あんた今この状態でよく実況できるな!!」
俺は思わずツッコミを入れてしまった。
「マスター、これはどうせお蔵入りだよ。ワザワザ無理してやる必要ないんだよ?」
和泉さんも鈴藤さんに言った。
「いやね、これやらないと我を忘れそうで怖いの。さっきまでジッとしてたら、妻と娘が脳裏に浮かんできて……。」
鈴藤さんの目には涙が……。
「マスター……でもさ、こんな銃声の中で音拾えるかい?」
「分かんない。」
音野さんが言った。
「ほんと緊張感ないなぁ!!」
俺はまたツッコミを入れた。
「アッハッハッハ!!」
藤崎さんの大きな笑い声も、幾らか元気がない。
「イブイブ!!漫才やってないで運転して!!」
理子様がお怒りのようだ。
「落としても落としても湧いてくるよ!!」
理子がラジコンヘリを落としているが、わんさか出てくる。
ダダダダダダダ!!
ッち!!窓ガラスが割れた。
「じゃぁ一気に抜けるぞ!!何かに捕まれ!!」
「イブイブ!!ここには比叡山ドライブウェイしかないよ!?」
「誰がほかの道で行くと言った!?」
バキッ!!!
俺は思いっきりハンドルを切り、ガードレールを突き破った。
「抜けると言ったんだ!!」
ガタガタガタガタ!!!
俺達の車は道なき道を走りだした!!
「いやぁ~今のセリフかっこいいですなぁ~!!」
藤崎さんが和泉さんに言った。
「聞いたかい!?今のセリフ!!……‘‘誰がほかの道で行くと言った!?抜けると言ったんだ!!’’。まさに主人公が言うセリフだねぇ。僕も一回はこういうセリフを言ってみたいよぉ。」
和泉さんもしゃべりだした。
「村田君が主人公ならヒロインは峰ちゃんで、我々は主人公の愉快な仲間たちですな!!」
「となると藤崎君は一番先に死ぬね。‘‘うどん取ってくる’’って言ったまま帰ってこなくて、僕と村田君が助けに行くか行かないかで口論に……」
「そんなに元気なら運転代わってくれませんか!?」
俺は思わずまたツッコミを入れた。
「「ゴメンナサイ……。」」
「「「「……ップ」」」」
なお、TV放映時には襲撃シーンなどはカットされたものの、DVD版には襲撃シーンをいれられることになるとは、この時誰も想像しなかったのである。
犬(山犬?なんで今の時代に)を大量に轢きながら(動物愛護協会の方ゴメンナサイ)道なき道を突き進むと川沿いの道に出た。そして、そのまま一気に山を下りると、交番が見えた。俺は車を交番の前でドリフトさせながら止めた。
「終点、交番前、交番前でございます!!お忘れ物のないようにお願いします!!」
「……忘れ物しかないよ。」
安浦さんがぼやいた。
「衣服の着忘れなんて前代未聞ですから。」
俺は思わず言った。
その後、交番の人たちが急いで出てきたので民間人6人を保護してもらい、俺と理子は再び比叡山へ車を出した。
「理子、あのラジコンはお前と手口が似てるんだが……。」
「あぁ、おそらくツァオ・ツァオの犯行だろう。」
裏理子か……。
「ツァオ・ツァオ?……ココか!?……中国人の小っちゃい子だっけ?」
「そうだ。」
あの子、気前よく酒をくれた子(嘘ではない)だったな。
「理子、そいつならどこを警戒する?」
「ここなら……道は絶対警戒だ。それに山にも警戒装置か何かはあるだろう。」
「面倒な……ならここならどうだ?」
俺はある移動手段を言った。
「そんなのバレるに決まってるよ!!」
今、表理子に戻った。……そんなに驚くことか?
「理子、確かにこれは使うが、乗り物は使わない。足で移動だ。」
「……確かに今日は新月だからバレないかも。」
「それじゃ行くぞ!!」
俺はボロボロになった車を飛ばした。
俺達は今、空にいた。
「ハァハァ……い、イブイブ、やっぱり無理だよぉ……。」
「理子だって賛成しただろ?がんばれって!後、バレるから静かに。」
比叡山の頂上付近に陣取る敵にどうやって近づくか。頂上へ向かう道も獣道も山にも警戒装置がある。ならどうする……?
答えは比叡山には頂上に向かう公共交通機関のケーブルカーとロープウェイを使う。しかし、勝手にそれらを動かしたらすぐにバレる。ならどうするか……。徒歩で線路を歩き、ロープウェイのワイヤーを綱渡りするしかないよね(なお、使う叡山ケーブルはケーブルカーで日本最大の高低差がある)。今夜は新月なので月明りでバレることもない。
……うん。おそらく、最も愚かな選択だと俺は思う。もし俺が敵なら思いついても外すからな。ケーブルカーはまだしも、ロープウェイを綱渡りで渡る馬鹿なんて普通いない。カット
時を少し戻す。蝦夷テレビ一行と女将を交番に届けた後、俺達は叡山ケーブルのケーブル八瀬駅に車を止め、線路に出た。
「……靴履いてなかった。」
今の装備、浴衣、帯、パンツの三点セットのみ……。
「理子のは貸せないよ?」
「……わかってるよ。」
靴なんて‘‘四次元倉庫’’にも入れてねぇよ!!俺は諦めて、三八式歩兵銃を出し、艶消し黒で塗られた
俺は銃剣をつけた三八式を持ちながら、高低差日本一のケーブルカーの線路を歩いて上り、ケーブル比叡駅に着いた。……足が痛ぇ。
ケーブル比叡駅に到着すると、近くにある叡山ロープウェイ・ロープウェイ比叡駅に行く。三八式のスリングベルトを肩にかけ、ロープウェイのワイヤーにしがみついてさらに上を目指す。
そして今、やっとロープウェイの3分の2まで来たところだ。……理子、俺だって文句の一言二言ぐらい言いたいんだよ。確かに俺が提案したけどさ、これ以外何があるんだよ。道もダメ、獣道も、山にも警戒装置があるなら、公共交通機関を歩くしかないだろ?しかも俺は裸足に浴衣だぞ?いくら9月でまだ暑いとは言え、この格好は寒いんだぞ?寒いのに素手素足でワイヤーにしがみついて登るんだぞ。痛いってもんじゃねぇよ。
「なんだって俺がこんな目に……。」
「イブイブ、バレるよ!あとあそこ見て。」
もう少しロープウェイを上った場所の真下に、大量の機材の近くに少女が狙撃銃をもって何か狙っている。
「あれがココだよ。」
……ここは世界遺産の比叡山。文化財保護のためには、銃をあまり使いたくない。……白兵戦しかないな。
「……真上まで登って、そこから一気に奇襲しよう。」
「い、イブイブ!?この高さで落ちたら死んじゃうよ!?この支柱から降りようよ!?」
「大丈夫だって、なんなら理子抱えて降りようか?」
「……わかったよ。」
なんか理子は真っ赤になりながらも覚悟を決めた顔をした。
「何顔真っ赤にしてんだよ。」
「う、うるさい!」
俺達は必死になって再びワイヤーを登り、ココの真上に着いた。俺は何とかして理子を抱えると、命綱替わりの手錠(ベルトとワイヤーを手錠でつないでいた。)を外して下に落下した。
「うわぁあああああああ!!」
理子うるさい。
着地すると同時にココが俺達に気づいた。
「ど、どこから来たネ!?」
「空からだ!!」
俺はそう言って三八式を持ち、突撃して銃剣をココへ突く。
ギィイイン!!
俺の銃剣をココが狙撃銃で防いだ。その瞬間……
パァアアアア!!
突然、探照灯が照射されたかのように俺とココの間が光りだした。せ、閃光弾か!?
「イピカイエー・マザーファッカー!!」
目は見えなくても、ある程度の気配でわかる!!!俺はココを銃床で殴った。殴ったと同時に……
ギィイイイイイイイイン!!!
今度はココと俺の間に音響弾が……
「チクショウ!!なんだって俺がこんな目に!!!」
俺はそう言いながら、気合でその爆音に耐えつつココのマウントポジションを取って殴りつけた。
……あれ?前回会った時は格闘戦に白兵戦はある程度できると思っていたのだが、こんなに弱いのか?疑問に思いながらもココを殴り続けた。
「うがぁあああああ!!!」
理子が、女の子が言ってはいけない様な声で叫んでいるが無視しよう。
目と耳が回復すると、そこには気絶しボコボコにされたココがいた。
「ハァ…ハァ…ハァ……時計が壊れてねぇ!!……午前3時34分、えっと……殺人未遂の容疑で現行犯逮捕だ!」
よく見るとココの股がビチョビチョに濡れている……。彼女の尊厳のためにこれ以上は言及しないでおこう。
ハァ……なんだって裸足と半裸で比叡山を登山し、ワイヤーにしがみつき、挙句の果てには閃光と爆音でボロボロになんなきゃなんねぇんだよ!!
俺はそう思いながらココの襟首を掴んで引きずりながら、耳を塞いでゴロゴロ転がっている理子のもとに行った。
「おい、理子……大丈夫かぁ?」
「む、無理ぃいい……。」
俺は理子が回復するまで背をさすってあげた。
数分後、理子も回復したようだ。
「イブイブ……ありがとね。」
理子は真っ赤になりながらお礼を言った。
「まぁ……相棒だそうだし……。」
なんだかこっちも恥ずかしくなってきたぞ。そう思った矢先
バラバラバラバラ……
ん?ヘリの音?なんで比叡山の山頂近くでヘリの音が聞こえるんだ?
バラバラバラバラバラ……
次第に音が大きくなってゆく……。近づいてきてるようだ。
「なぁ、理子。」
「な、なに?」
「今、メチャクチャ嫌な予感がするんだけど……。」
俺の第六感が危険を伝えている。……十中八九、このヘリのことに関してだろう。
「あ、やっぱり?理子もそう思うんだぁ…。」
「お互い似たもの同士だな。」
「「アハハハハハ……」」
バラバラバラバラバラ……!!!
すると、俺達を何かが
「
理子がそう叫んだが……そんな優しいもんじゃねぇぞ!?
「違う!!
HS部隊にいた時、アメリカの特殊部隊と共同で任務を遂行していた時に教えてもらったことがある。
俺は気絶しているココを小脇に理子と一緒に逃げ出した!!
ドドドドドドドドド!!!
敵が30㎜チェーンガンを撃ち出した。
「何だってこんな裸足で山の中走り回らなきゃならねぇんだ!!」
「イブイブの消える技は使えないの!?」
「あれは人間の脳を騙して消えてるように見せかけるだけだ!!赤外線装置なんかから逃げられるはずねぇだろ!?」
ババババババババババババ!!!
チクショウ!!ガトリング機銃まで撃ち始めたぞ!?俺達は転がるように森林へ逃げ続けた。
途中で襲ってきた犬達を倒しながら一気に山を下っていく。
ババババババババババババ!!!
「ウッ!」
俺が弾をもらったようだ。その時、目の前に洞窟が見えた。
「いったんあそこに避難するぞ!!!」
「わかったよ!!」
バシュシュシュシュシュ!!
ウソだろ!?敵は無誘導ロケット弾を斉射し始めた。
「逃げこめ!!」
俺は理子も抱えて洞窟へ飛び込んだ。
ズドドドドドドーーーン!!!
「「うわぁあああああああ!!!」」
俺は大量の鉄片を浴びながらも、何とか洞窟へ入った。
「イブイブ!!大丈夫!?」
「大丈夫なように見えるかぁ!?」
……まぁ、アドレナリンのせいか、痛みはあまり感じないが。俺は三八式を‘‘四次元倉庫’’へしまい、今度は25ミリ機銃を出した。
「理子、ちょっと落としてくる。」
俺はそう言いながら、弾倉に曳光弾と平賀さん製の
「イブイブ!?囮になる気!?」
「そんなわけあるか!!」
俺はそう言って弾倉を銃に差し込んだ。……いつの間にか、帯も無くなってるよ。もはや文字通りパンツと浴衣だけか。
「あの自信家に灸をすえるんだ!!」
俺はそう言って洞窟の出口に足を運んだ。
そう、向こうはいつでも俺達を殺せるはずだった。それなのに嬲る様にしか攻撃しない。……パイロットは舐めてやがる。
俺は無駄だと思いながらも‘‘影の薄くなる技’’を使って洞窟の外に出た。
……バババババババババ!!!
少し遅れたな。俺は近くの大木に隠れた。そして25ミリ機銃の二脚を立てながら、一息休む。
「こっちだよ!!」
理子が洞窟から出てきた。あ、あいつ!!ヘリが理子の方へ向いた。それと同時に転がるように大木から出た!ヘリは急いで俺の方へ向きなおす。
……バババババババババ!!!
向こうが撃ってくるが気にしない。
「イピカイエー・マザーファッカー!!」
ダンダンダンダンダンダン!!
俺はヘリのローターの軸にすべての弾を叩き込んだ。……ッ!!また被弾か!!
ベキッ
ローターの軸が折れたと同時にヘリが落ちて行く。俺は急いで大木に隠れた。
ドカーーーーン
ヘリは墜落と同時に大爆発。その爆風によってまたも鉄片を浴びたが、致命傷はなかったようだ。
……そう言えば、敵のヘリの操縦手がココと瓜二つだったのはどうしてだ?
俺達は再び、急いで下山していた。途中で何匹も犬が襲ってきたので返り討ちにしながらも進んでいく。
「あそこに街灯が見えるよ!!」
理子が叫んだ。犬が襲ってくる以外は敵からの攻撃はない。……流石にもう襲撃はないだろう。そう思いながらその大きな道に出た瞬間
キキーーーーーッ!!
真っ赤なオープンカーが突っ込んできた。……轢かれる!?
「危ない!!!」
俺は理子とココを投げ飛ばした。
バキッ!!!
……今日は踏んだり蹴ったりだ。狙撃兵と
俺は薄れ行く意識の中でそう思った。
完
「ンなわけあるか!!!!」
俺はそう言いながら起きると、そこは知らない部屋であった。え?どこ!?
ちゃっかり飲酒運転をしていますが、今回の場合は緊急事態なのでショウガナク車を運転しています。この小説は飲酒運転を勧めていません。飲酒運転は絶対にしないでください。
‘‘影の薄くなる技’’は『変化、違和感を相手に認識させない』事の応用です。ですが、赤外線装置による『変化・違和感』は隠し通すことができないので、‘‘影の薄くなる技’’は通用しなくなります。
Next Ibuki's HINT!! 「四国八十八カ所」