少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 夏休み編がおわり、やっと2学期……。心機一転、頑張ります!!



高校生活2学期編
キンジ、お前また女問題かい……


9月1日、一般であれば本日は防災の日だろう。しかし、武偵高では、世界初の武偵高……ローマ武偵高校の制服を模した‘‘防弾制服・黒(デウィーザ・ネロ)’’と言う真っ黒な制服を着るのが国際的な慣例だそうだ。

 さて、講堂には大量に並べられたパイプ椅子に座った‘‘防弾制服・黒(デウィーザ・ネロ)’’の中に一人、黒の軍服を着たものがいた。……俺だ。8月、旅行に行く前に採寸し、発注したのだが業者で問題が起こり、遅れに遅れて9月4日に届くらしい。

……ショウガナイから第一種軍装でいいや、同じ黒だし。

などと思って行ったら、まぁ目立つ目立つ……

「我が東京武偵高は……。」

校長が長々と話しているが、要約すると『留学生受け入れたから!!それを刺激に海外行っても負けんなよ!!』ということを言っている。……どこの校長も話は長いようだ。

「ようイブキ、キンジ。」

「武藤か……初日くらいビシッとしたらどうだ?」

「おはよう遠山君、村田君。隣いいかな?」

「おはよう。」

無精ヒゲを生やした武藤と、キッチリと制服を着た不知火が俺とキンジを挟むように座った。

「イブキ、その制服なんだ?」

「村田君の服は目立ってるね。」

二人が俺の服について尋ねてきた。

「業者が問題起こして今日までに制服が届かなくなっちまったんだ。とりあえず黒だしこれでいいだろと思って行ったらこうなっちまった。」

「そいつは残念だったな……。そういえば聞いてくれよイブキ、キンジ。昨日乱射(ラン)があったみたいでよぉ…‥。俺の四駆(サファリ)の窓ぶち抜かれて、また保険会社に連絡しなきゃなんねぇんだ。」

その時ピクリとキンジの肩が動いた。キンジ、お前なんかやったな……。

「そいつは災難だったな。今じゃソイツは日本で売ってないんだっけ?」

だいぶ前にニュースで見た覚えがある。

「そうなんだよ!!今じゃ日本で売ってないってのに!!」

武藤はそう言って俺の肩をがっしり掴み、揺らした。

「ちょ!!揺らすなって!!」

昨日の宴会のせいで軽い二日酔いになってるんだ。

「まぁまぁ、それより遠山君。また女性関係でスキャンダル起こした?」

……キンジ、お前またフラグ建てたのか。

「またキンジかよ!!」

「ッケ!!結局は顔かい!!」

俺と武藤はキンジ(イケメン)を妬んだ。……一瞬、‘‘他人の芝は青い’’と言う言葉が頭の中をよぎったんだが気のせいだろう。

「大声出すなよ。始業式中で、しかもイブキのせいで目立ってるんだぞ。っていうか不知火、なんでそんなこと知ってるんだ?」

「知ってる……っていうか予想?さっき強襲科で剣道の朝練があったんだけど、神崎さんが大荒れだったからね。多分これ、遠山君関連じゃないかなって。」

「不知火……お前朝練出たのか。偉いな。」

俺は昨日の宴会のせいで起きるのが遅くなり、出るのは諦めた。

「そういえば蘭豹先生が怒ってたよ。村田君、後で補修だって。」

「マジかよ……。」

「冗談さ。」

「不知火この野郎!!」

今マジで焦ったぞ!!

「「落ち着けって。」」

武藤が俺を羽交い絞めし、キンジは俺の肩に腕を置き落ち着くよう促す。

「あはは...ごめんごめん。話を戻すけど、一部ではポピュラーな話題だよ。今朝遠山君が、レキさんと一緒に女子寮から登校してきたって」

……何やってんだよ!!というか、昨日帰ってこなかったのはそれが理由か!!

「今度はレキか!…ああでも、根暗と無口でウマが合ったのか?」

武藤、それは言い過ぎじゃねぇのか?

「キンジ気をつけろよ。レキのファン……というよりレキ教は狂信者が多いんだ。……死ぬなよ。」

俺はキンジに忠告した。

「マジか……。」

キンジが燃え尽きたように見えた。

「……こっちの方もポピュラーな話題なんだけど…神崎さん、レキさんと仲良かったから、友達と恋人、両方失ったワケだからね…暴れ回った後、軽く鬱入ってたよ。」

おい、不知火。燃え尽きたキンジにガソリン注いでさらに焼くとかどんだけ鬼畜なんだよ。

「まぁ、とりあえず狂信者とアリアに殺されないようにな。」

普通にありえそうだから怖い。

「イブキ……助けてくれぇ!!」

悲愴な面持ちで俺を見て言った。

「いやいやいや……そう言われても、助ける方法なんて俺はわからねぇぞ。家族除いて女の子とまともに縁ができたのは、武偵高(ここ)に来てからなんだぞ。」

軍隊で……しかも男所帯の特殊部隊の中で女の子と縁ができるか!!

「そこを何とか……レキからは求婚された後‘‘狙撃拘禁’’されるし……アリアはご立腹だし……どうすればいいんだよ……。」

キンジはFXで絶対に返せないほどの借金を背負ったサラリーマン見たいな表情で俺に嘆いた。……おい、ちょっと待て。

「レキがお前に求婚!?」

俺は思わず聞き返した。

「なんでも‘‘風’’に命じられたからだってよ……。」

「「「うわぁ……」」」

……うん、レキは好きとか嫌いとかの感情は薄いから求婚なんておかしいと思ったら、こういう事か。‘‘風’’の命令……。うん、原作なんてもうほとんど覚えてないぞ。

「……とりあえず、キンジ。」

「…あぁ。」

「……‘‘修学旅行Ⅰ(キャラバン・ワン)’’で何とかしろ、それ以外は考えつかねぇ。……いいかキンジ、これは冗談抜きで将来に直結することだ。今後の人生全てがかかってると思え。」

「……おう。」

心なしか、キンジの瞳が若干光を取り戻したように見えた。

「そういえば遠山君と村田君はどういったチーム編成にするの?」

不知火が気を利かせたのか話を変えてきた。チーム編成……武偵高は2年生の2学期になると、2~8人程度のチームを編成し、学校に登録するらしい。

 これが意外と重要なようで、国際武偵連盟(IADA)に登録されるようだ。

「ついでに俺は車両科(ロジ)装備科(アムド)から数人ずつ集めた兵站系だ。」

なるほど、武藤は兵站系を行くのか。

「俺はどうしようか迷ってるんだ。ネロ、牛若、エルは多分確定……というか他の奴が引き抜いても命令聞かないだろうし……。それにリサとニトは来るだろうし……。でもこれだとなぁ。」

「何か問題あるの?」

不知火が不思議そうに聞いてきた。

「俺と牛若、エルは完全な前線部隊、リサとニトは後方支援。前線と後方をつなげる役がいないんだよ……。ネロはできないこともないけど……本質は前線だし、適任じゃないんだよなぁ……。」

下手すると俺と牛若が遊撃に回る可能性があるから、エルをサポートしつつ後方もできる人……オールラウンダーな人間が欲しいが、そんな人はいるのだろうか。

「まぁ、俺は武偵高(ここ)卒業したら軍に戻らなきゃいけねぇし、最悪適当でもなんとかなるんだけどな。」

「単位取得に必死でそっちは考えてなかったな。」

キンジ、それは怠慢とも言えないか?

「遠山君……次にこれ着る時はどうなってるのかなぁ……。」

次着る時……それはチーム登録の時だ。……そういえばその時までに防弾制服・黒(デウィーザ・ネロ)は届くよな。また問題起こったとかありませんように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだキンジ。」

「どうした?」

講堂から解放された後、俺はキンジに声をかけた。

「ほら。」

俺は諭吉を一人キンジのポケットにねじ込んだ。

「どうせ学園島周辺は狂信者達に見張られてんだ。どっか遠いところで飯食うしかないだろ。」

「イ…イブキ!!」

「トイチな。」

「テメェこの野郎!!俺の感動を返せ!!」

「ちょ!!待て!!冗談だから!!その手を下ろせって!!なぁ!!」

 

 

 

 

 

 キンジと別れた後、俺は装備科棟(アムドとう)へ向かった。平賀さんに会うためだ。俺はロサンゼルスから帰った後、『もう消化ホースバンジーはやりたくない(切実)』ので平賀さんに‘‘どこにでも引っかけられて、頑丈(すごく大事)なワイヤー装置’’を頼んでおいた。それとずっと前に頼んでおいた25ミリ機銃の貫通特化(費用を抑えたほう)のうちの100発も今日出来上がったそうだ。価格は合わせて130万円。……高すぎないか?と思われるかと思うだろう。しかしパンツァーファウスト3(空飛ぶ日産マーチ)より少し高い値段と思えば、安く仕上がったと思うべきだろう。

 俺はそれらを取りに行くため、人気のない近道を使っていた。……まぁ、今日は‘‘水投げ’’の日(どんな奴にでも徒手空拳なら喧嘩を売ってもいい日)なので、喧嘩から避ける意味もあるのだが……。

 俺が細い道を歩いていると、小さい中学生ほどの少女がストローを吹き、シャボン玉で遊んでいた。……なんでこんなところで遊んでんだ?そんな事を思いながら俺は歩いていくと……

「お前、今5回死んだネ。」

「……ん?」

シャボン玉で遊んでいた少女が俺に向かって言ってきたようだ。……5回?さっきのシャボン玉の数か?

「だけどお前、今シャボン玉自分の息で膨らましてたよな。まさかお前、吐いた空気が水素です……とか面白くない冗談言うわけないよな。」

……。なんだかわからないが、しゃべりかけてきた黒髪ツインテールの少女との間に冷たい風が吹いたような気がする。

「……日本(リーベン)の武偵高、大したことないネ。けど、お前の観察は見事ヨ」

その黒髪ツインテール少女は中国の民族衣装を着ていて、アニメでしか聞いたことないような中国訛りっぽい日本語をしゃべった。

「お前さん、なんで中華娘のコスプレするかわからんけど、今時そんな喋り方はアニメでも見ないぞ。」

「何言うネ!!(ウオ)中国人(チョンゴーレン)ネ!!」

俺に近づき、大きな声で反論した。……うわっ酒くせぇ!!俺は思わず彼女の瓢箪(ひょうたん)を取り上げた。

「なにするネ!!」

「お前!!今何歳だ!?」

俺は魔力を込めて威圧し、彼女に聞いた。

「ウッ…14ネ‥‥‥。」

「お前さん、酒がうまいのはすごくわかる。だけどな、ここは日本なんだ。飲酒で留学生を逮捕はしたくないんだ。」

俺はそう言って彼女の手を取り、野口を一人握らせた。……今日は出費がかさむなぁ。

「今回は見逃す。これは没収だ。その代わりっちゃなんだが、その金でなんかジュースでも買え。おススメはカル〇スとサイダーな。」

俺はそう言って瓢箪(ひょうたん)の蓋を開け、匂いをかいだ。……うん、酒だ。そして瓢箪(ひょうたん)をあおると……

ゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッ…プハァ!!

「うおっ!!辛ぇ!!おい、これ中国産か!?」

俺は瓢箪(ひょうたん)を飲み干し、思わず聞いてしまった。

「……中国東北部(トンペイ)高粱酒(カオリャンチュウ)ネ。」

中国東北部(トンペイ)……あぁ、満州か!!秋山の爺ちゃんが満州の酒は辛かったって言ってたけど本当なんだな!!」

 秋山の爺ちゃんとは、俺の実家のはす向かいに住んでいる爺様だ。秋山の爺ちゃんは昔、騎兵隊でブイブイ(死語)いわせていて、老河口作戦(世界戦史における最後の騎兵の活躍)の時、騎兵第4旅団所属で大活躍したそうだ。

 そして、あの爺ちゃんは自他ともに認める酒好きで、食器代をケチってまで酒を買う酒豪だ(なんでも茶碗は一つしか持っていなかったらしい)。そして両親が死んだときに色々世話を焼いてもらった人の一人だ。

 ついでに、俺の家の隣に住んでいる吉田の爺様と(自他ともに認めるタバコ好き)俺を酒好きに育てるか、タバコ好きに育てるかで意地を張っている……。

まぁ閑話休題(無駄話をやめる)。今現在の満州の酒の感想は、その酒好きの爺様と感想と同じだった。

「うん!!これはこれでうまい!!……あ、お嬢ちゃん。俺は許可証があるから飲むだけだったら違法じゃないからな。」

「それはよかったネ‥‥‥って違う!!!」

「ん?どうした?」

(ウオ)の名前はココいうネ!!お前の名前も言うネ!!」

「村田維吹だ。」

「ちょっとお試しするヨ。姫から離れたら、すぐ、イタイことあるネ」

ココはふらふら、ふらふら、と千鳥足で、倒れるような動作から、側転に入り、俺に飛び掛かってきた。……‘‘水投げ’’か!!面倒な!!

「ほら!!」

俺はココに向かって瓢箪(ひょうたん)を投げた。俺はそれと同時に‘‘影の薄くなる技’’を使いココの背後へ行く。瓢箪(ひょうたん)をキャッチしたココはそのまま俺が消えたことに驚いている。

「よっと。」

俺は背後に回ると瓢箪(ひょうたん)を奪いつつ、足払いをしてココを転ばせた。

「これでいいか?」 

俺は瓢箪(ひょうたん)を振りながら言った。……うん、まだ結構残ってるな。まぁ、没収品を捨てちまうのももったいないし飲んじまうか。

 するとココはサッと立ち上がると、俺から距離を取った。

「ウ…(ウオ)万武(ワンウー)ココ……‘‘万能の武人’’ネ。イブキ、85点。」

「いや……手も出なかったのに格好つけるなよ。……というか、‘‘万能’’って器用貧乏だからそう言われたのか?」

「う、うるさいネ!!」

黒髪ツインテールが怒髪衝天……これはなかなかイジリ甲斐のありそうな子が来たもんだな。

「お前さんの所属は?何なら案内してやろうか?」

うまい酒も手に入って機嫌がいい。平賀さんに会った後なら武偵高(ここ)を案内してもいいぞ。

「やめとくネ。でも予想以上ヨ。……ココは大変満足ヨ。その瓢箪(ひょうたん)はやるネ。再見(ツァイチェン)。」

そう言って路地の奥の方へ消えて行ってしまった。

「なんか傍若無人な奴だったな……。」

俺は瓢箪(ひょうたん)を再び傾けた。……うん、辛いけど美味(うま)い。秋山の爺ちゃんはこれを片手に、馬と中国大陸を縦横無尽に走り回っていたのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 平賀さんの作業室につき、ノックをした。

「開いてるのだー!!」

扉を開け中に入ると平賀さんがいた。

「費用を抑えたほうの25ミリ機銃の弾とワイヤー装置ができたんだよね。」

「出来てるのだ!!」

平賀さんはそう言って部屋の奥の方へ行ってしまった。少しするとデカい金属の箱を乗せた台車を押す平賀さんが戻ってきた。

「まずこれなのだ」

そう言って台車で運んできたでかい金属の箱を開けた。……そこには25ミリ機関銃の弾がぎっしりと入っていた。

「貫通特化の弾が100発入ってるのだ。これはRHA換算で100mの距離で150㎜は抜けるのだ!!」

弾は真鍮の薬莢に円柱が付いており、円柱の先に針のようなものが付いていた。……確かにこれは装弾等付翼安定徹甲弾(APFSDS)だ。こいつが貫通150㎜あるのなら、第一世代主力戦車の正面をぶち抜くことは可能だろう(まぁ、当たり所によるが。)。

「もう100発は一ヵ月しないでできるのだ!!後、お金を無視したほうはまだできないのだ……。」

もう一つの方、50発で3000万程度を目安にした、費用を度外視した貫通特化の弾。単純計算で一発60万。でも量産品である戦車の砲弾が数十万~100万円と考えると、一流の技術者によるハンドメイド弾が一発60万は安い方なのではないだろうか。

「平賀さん、無茶言っているのは理解しているから時間がかかっててもショウガナイと思ってるよ。まぁ…最悪来年までにはできてると嬉しいけど。」

まぁ、今年中にできるとは期待していない。来年の4月にできれば御の字だろう。

「村田君!!来年までにはできるから安心するのだ!!」

そう言って胸を張る平賀さん。彼女がそう言うなら、期待しよう。

「こっちがワイヤー装置なのだ!!」

そう言って平賀さんが出したのは艶消しの黒で塗装された無地のバックルだった。ピンを使わない、バックルにある穴にベルトを入れて固定するタイプ。だけど……一般的なバックルより二回りほどでかい。

「これは最大60mの長さが出るのだ。ワイヤーの想定重量は250㎏で、このフックならどこにでも引っかけられるのだ!それとセラミックとケブラー繊維で作ってあるからライフルの弾でも貫通はしないのだ!!」

そう言ってフックを伸ばしてワイヤーを出した。ほぉ、これはいい。

「ただ巻き上げの力は弱いのだ。」

「いやいや、これほどの物を作ってもらって……。ありがとう。」

消化ホースバンジーをやらないで済むのは本当に助かる。二回も消化ホースババンジーをやってるからわかる、安全なバンジーほどいいものはない。

「村田君、本当にこれでよかったの?もっといろいろな装置をつけられたのだ。」

「現状はこれで十分。何かあったらその時に平賀さんに頼むよ。」

実際、これ以外に必要な装置は思いつかない。

「それと村田君、これはサービスなのだ。」

そう言って平賀さんは腕時計を出してきた。どこのメーカーのものだ?

「これはワイヤー装置内蔵の腕時計なのだ。この時計はバックルに使った材料を使ってとても頑丈なのだ!!」

「ひ、平賀さん!!」

俺は事件のたびに毎回腕時計が壊していた。ある時はミリタリーウォッチ、ある時はJ-ショック……。理子によるエアジャックの後、時計は壊れるものと考えて1000円腕時計を使っていたのだが……これで腕時計を事件後に毎回買いに行かなくて済む!!

「ありがとう!!平賀さんありがとう!!!」

俺は思わず握手までして感謝した。

「ど、どうしたのだ!?」

「毎回毎回、腕時計が壊れてね……。」

俺はそう言った後、バックルと腕時計をつけた。

「似合ってるのだ!!かっこいいのだ!!」

「バックルはちょっと重いな。」

腰に一本ナイフを挿しているみたいだ。

「これでもかなり軽量化したのだ。」

「あぁ、そうだ代金。」

俺はそう言って‘‘四次元倉庫’’から封筒を出した。

「130万円、現金で一括。確認したけどそっちでも確認して。」

「わかったのだ。」

平賀さんは封筒を受け取り、中身を取り出すとカウンターにセットし、数え始めた。

「……130万ちょうどあるのだ!ご利用ありがとうございますなのだ!!」

さて、じゃぁ帰りますか。俺は銃弾の入った金属箱を持った

「銃弾出来たら連絡ちょうだい。」

「了解なのだ!!」

俺は作業室を出ると新品の腕時計を見た

「2時過ぎ……ランチは終わってるなぁ。」

俺は金属箱を‘‘四次元倉庫’’にしまった。さて、この後どうしようか。……あ、はやて達を車で送るんだった。完全に忘れてた。どうしよう……酒飲んじまったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はやてとウォルケンリッター、玉藻と一緒に電車に乗って実家へ戻った。

 さて俺の実家は、兵部省や陸軍省に大本営の設置されている新宿、東京の重要な場所を管轄する練馬駐屯地、陸海空の兵站中枢施設のある十条駐屯地、東部方面総監部のある朝霞駐屯地、そして中央特殊武器防護隊のいる大宮駐屯所に電車や車ですぐに行ける場所にある。

 なので、レインボーブリッジ近くにある学園島からは電車を乗り継がなきゃいけないため面倒臭い。お父さん、もうちょっと東京から近くに家を構えてほしかったな……。

 駅から実家に、はやての車椅子を押しながら向かうと、隣の家に住んでいる吉田の爺様の門に張り紙がされていた。

『聖地巡礼に行ってきます。 吉田。』

あぁ、そう言えば今はもう9月だっけ。鷲宮神社の‘‘らき☆すた神輿’’見に行ったな。葉巻も好きだけど漫画も好き。葉巻はハバナ産にこだわり、漫画は‘‘のらくろ’’から深夜アニメの漫画まで。そう言えばこの前、メールで夏コミの戦利品自慢してたっけか。……この爺さん、100歳越えてたよな?

 俺達は実家に戻っていったん荷物を置くと、はす向かいの秋山の爺ちゃんの家に向かった。挨拶に行くためだ。

ピンポーン

「誰じゃあ?」

「秋山爺ちゃん、イブキです。帰ってきました。」

「おぉ!!イブキかぁ!?上がれ上がれ!!」

俺達は家に入ると(鍵かけとけよ爺ちゃん)、ガイゼル髭で垂れ目の好々爺がいた。

「イブキか!!よぉ~来た!!……?はやてちゃんは知っとんけど、そこのねー達は誰ぞな?」

そう言った後、秋山の爺ちゃんは茶碗を飲み干した。ちゃぶ台の上には4合瓶が数本転がっている。……ちゃんぽんか。

「なんか、はやての親戚筋でリヒテンシュタインからの留学生なんだって。」

ということになっている。戸籍関係は辻さんが改竄した。犯罪を犯すか、海外行かない限りはバレないだろう。ウォルケンリッターが(ザーフィラは犬になっていた)自己紹介すると、ギロリと秋山の爺ちゃんの眼光が光ったような気がした。

「………そういう事にして置くぞな。ねー達ははやてちゃんに忠義立てとるようじゃ。で、イブキ、その瓢箪(ひょうたん)は何ぞね?」

流石は秋山の爺ちゃん。鋭い観察だ。

「中国の留学生から貰った(嘘はついてない)満州産のカオリャンチュウだそうです。……辛いけど美味かった!」

「カオリャンチュウ……高粱酒!?懐かしいのぉ……。多美!!」

「はいー?」

台所で秋山の婆様(なんでも華族出身らしい)が返事をした。この人は上品で、俺はマナー関係の事は吉田の爺様と秋山の婆様に教わった。……なんで秋山の爺さんとこの人は結婚したのだろうか?

「たくあんを出せぇ!」

「宴会でもやるんですか?」

……たくあんが宴会かよ。相変わらずだな。

「そうじゃぁ!!」

「なら、他の料理も出しませんと。」

……婆様、スイマセン。

「おばあちゃん、手伝います。」

はやてがそう言って車椅子を台所へ動かした。

「はやてちゃん、悪いねぇ。」

「いえいえ、ここにきて、いつも助けてもらってますから。」

はやてはそう言って台所へ消えていった。

……あれ?この子小学生だよね?俺はそう思いながら瓢箪(ひょうたん)を秋山の爺ちゃんに渡した。

秋山の爺ちゃんはふたを開け、グビグビと飲んだ。

「プハッ!!確かに支那の酒じゃぁ!!」

「たくあんをお持ちしました。」

そう言って秋山の婆様がたくあんを俺がずっと前に送った皿に盛って持ってきた。

「ほかの料理はもう少しお待ちくださいね。」

「いえいえ、急に押しかけて料理なんて……本当にすいません。」

「ねー達も飲むぞな!!」

そう言って、秋山の爺さんは婆様の持ってきた茶碗に酒を注ぎ、みんなに渡した(ウィータにも)。

 そして宴会になり、再びシグナムさんが全裸になったのは言うまでもない。(なお、そのシグナムは秋山の婆様にこっぴどく叱られたのも言うまでもない)

 

 

 

 

 

「そう言えば、14日に京都行くんで地酒買ってきますね。」

「いやぁ~悪いのぉ~。」

 




 秋山の爺ちゃんは、‘‘日露戦争中コサック騎兵に勝った指揮官’’がモデルです。でも、秋山の爺ちゃんは老河口作戦で大活躍したことにします。
 
 吉田の爺様は、‘‘戦後総理大臣を務めた外交官’’と‘‘その孫’’を混ぜ合わせた人です。……これなら規約に引っかからないだろう。

伊予弁は難しかった・・・。

飲酒運転、ダメ、絶対。
 
シグナムの裸オチ、使いやすくて地味に気に入っています。



Next Ibuki's HINT!! 「京都・大阪」

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