少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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2万でネロ・ブライトは無理でした。


空港の時より嫌な予感がする・・・

 ジャンヌ発砲事件から数時間後、俺は牢屋から解放された。

「ただいまぁ~」

「おかえり、イブキ。」

俺が部屋に帰ると、玄関にエルが立っていた。

「イブキ、明日だから。」

もしかして、確認のためにずっと待っていた?いや、そんなことはないよな。

「わかってるよ。神奈川だっけ?」

「そうだよ。」

エルの目が輝いているように見える。

「神奈川の紅鳴館だっけ?ちゃんとルート調べておくから。」

「頼むよ。」

エルはそういうと俺の手をつないでリビングに連れて行った。そこまでうれしいですかエルさん。

 リビングに入ると、キンジとアリアが明日の予定を相談していた。なんか、「執事が・・・メイドが・・・」って聞こえるけど・・・。そういえば原作だと、執事とメイドをどこかでやるんだっけ?ま・・・まぁ、まさか紅鳴館じゃないだろう。きっとそうだ、そうに違いない。

 

 次の日、キンジとアリアは多めの荷物を持って何処かへ出かけてしまった。何でも理子と一緒に任務らしい。きっと理子の作戦とやらが始まるのだろう。

「イブキ、そろそろ行こうか。」

エルがボストンバッグを持って俺に言ってきた。

「じゃ、俺らも行きますか。」

俺は車のキーを手の中で回しながら、もう一方の手で荷物を持った。一応、肉の串焼きの作り方をネットで調べ、リサにマンツーマンで教わったから大丈夫なはず・・・。

 例の紅鳴館は横浜の郊外にあるらしい。で、俺は指定された住所に来ているんだが、何かおかしい。そう、そこはうっそうとした森なのだ。これ絶対ふざけてるよね。

「エル?本当にここか?」

「言われた住所はここなんだけど・・・あれ?アリアとキンジがいる。」

エルの指さした方向を見ると、そこにはアリア、キンジ、そしてキンイチさん(女装Ver)がいた。え?なんでキンイチさん?ってよく見ると胸がでかくなってるし、厚底靴も履いてる・・・。キンジもあまり気にしてないから、これは理子が変装でもしているのか?

 俺は門の前に車を止め、エルと一緒に車を出た後、キンジ達に話しかけた。

「よぉ、まさかここで会うとはなぁ。ところでここ、紅鳴館でいいのか?」

「あ・・あぁ。なんでイブキがいるんだ。」

キンジが驚きつつも答えてくれた。

「いや、俺とエルがここでコックと庭師の任務があってな。もしかして、最近執事だ~メイドだ~なんていってたけど、ここでやるのか?」

俺達は門から玄関まで歩きながら話していた。

「まさか一緒の場所で任務とはなぁ。こんな偶然なかなかないな。」

「コックはともかく、庭師はここに必要ね。」

うっそうとした森、茨が絡まっている鉄串の柵、薄気味悪い霧、時々横切る蝙蝠・・・。これは必要ですわ。

「何でここにイブキがいるんだ!?なんでまた私の計画に関わる!?」

キンイチさんに化けている理子が苦虫をこれでもかというくらい噛んだような顔をして言った。

「イブキ。そんな約束をしていたのかい?」

エルは首をかしげながら俺に聞いてきた。

「いやいやいや。俺もさ、さすがにあそこまで言われたら関わろうと思わなかったよ!!でも、その肝心の計画を知らないんだぞ!!まさか一緒に紅鳴館で仕事するなんて思いもしなかったもの!!」

どこで何やるって聞いてないから、関わるなって言われても難しいものがあるぞ。それに原作知識なんて、あてにできないand忘れてきてるしで使えないし。

 屋敷の前に着いた。玄関もまた気味悪い形をしている・・・。

「はぁ、計画が破綻しそうな気がする・・・。いいか!?イブキ!!計画に絶対関わるな!?」

理子は俺に詰めよってきて言ってきた。

「あ、あんた。さすがにそこまで言わなくてもいいんじゃないの?イブキもあんたのお母様の形見を取り返す計画に入れたらいいじゃない。」

ナイス、いい助け舟だアリア。そうだもっと理子に言ってやれ!!

「ナカジマプラザ、ジョン・F・ケネディ空港テロ事件、三角諸島沖に北方漁船襲撃事件、それに武偵殺しに魔剣・・・。これら全てイブキのせいで計画が破綻している。それでも関わるなと言うなというのか?」

一同、シーンと静まり返ってしまった。・・・俺そこまで疫病神と思われてるのかよ!?まぁ、確かに言われると否定できないけどさ。

「いやね、理子のハイジャック以外は全部偶然だからね。ほら、安心して。」

「でも、今回も偶然一緒に出会ったんでしょ。」

アリアさん。それいったら終わりよ・・・。

ガチャ

玄関のあく音がして、理子は急いで猫をかぶった。

「初めまして。正午からで面会のご予定をいただいております者です。本日よりこちらで家事のお手伝いをさせていただく、ハウスキーパー2名を連れてまいりました。」

「こんにちは。お聞きかと思いますが、庭師とコックを一時的にさせていただくものです。」

俺と理子がそう言ってドアを開けた人物を見ると・・・そこには小夜鳴先生がいた。は?なんでここにいるんだ?

「い、いやー。意外なことになりましたねぇー・・・あははー・・・。」

小夜鳴先生は笑っていたが、瞳の奥底では「計画通り」とでも言いそうに見えた。きっと気のせいだと思うが・・・。

 

 俺たちは小夜鳴先生に連れられて館の中に入った。館のホールには「狼に槍(?)」の模様が描かれた旗が飾られていた。家具は全体的に年代物、しかも色褪せていると来た。これは気味悪い。

「いやー、武偵高の生徒さんがバイトですかぁ。まぁ正直な話、難しい仕事ではないので誰でもいいと言えばいいんですが・・・ははっ。ちょっと、気恥ずかしいですね。」

小夜鳴先生は腕にギプスをつけていた。何でも、救護科棟に突撃してきた狼にやられたそうだ。そして、俺達をソファーに座らせた後、小夜鳴先生は座った。

「小夜鳴先生、こんな大きなお屋敷に住んでいたんですね。びっくりしちゃいましたよ。」

キンジが努めて平静を装って言っているけど、動揺してるのバレバレだぞ。

「いやー、私の家じゃないんですけどね。私はここの研究施設を借りることが時々ありまして、いつの間にか管理人のような立場になってしまっていたんです。ただ・・・私はすぐ研究に没頭してしまう癖がありますからね。その間に不審者に入られたりしたら、あとでトラブルになっちゃいますから・・・むしろ、ハウスキーパーさんにコックさん、庭師さんが武偵なのは良いことなのかもしれませんね。」

小夜鳴先生は予定通り、俺達を雇ってくれるようだ。でも、なんか俺の勘が怪しいって言ってるんだよなぁ。あのジョン・F・ケネディ空港であったグレーン少佐の時より悪い感じがする・・・。

「私も驚いております。まさか偶然、学校の先生と生徒だったなんて。」

そういえば理子、お前、派遣会社の人間を装っていたんだな。

「ご主人様がお戻りになられたら、ちょっとした話のタネになりますね。まぁ、この4人の契約期間中にお戻りになられれば・・・のはなしですが。」

あれ?小夜鳴先生って管理人(仮)なんだよな。ということは主人であるはずのブラドが帰ってきたら、いない間に何があったかの報告くらいはするはず・・・。なのに、なんで契約期間中に帰ってこないと、話のタネにならないんだ?一回ヴラドに会ったが、しゃべるのが嫌いor無口ではないはず・・・。これまた怪しいな。

「ご主人はいつお戻りになられるのですか?」

理子がさりげなく確認したところ、

「いや、彼は今とても遠くにおりまして。しばらく帰ってこないみたいなんです。」

俺はこの時、小夜鳴先生の答え方がよそよそしく、そして俺達と自分に言い聞かせるように言ったように感じた。やっぱり怪しい・・・。

「ご主人は、お忙しい方なんですか?」

理子がさらに尋ねる。

「それが実は、お恥ずかしながら・・・詳しくは知らないんです。私と彼はとても親密なのですが・・・・・・直接話したことが無いものでして。」

と苦笑いをして小夜鳴先生は言った。絶対に怪しい。親密なのに、直接話したことがない。直接話したことが無いということは、会う事すらないorほとんどないということだ。それなのにヴラドは小夜鳴先生に屋敷の管理をさせている。絶対にありえない・・・。まて、話さなくても屋敷の状態が分かるのなら、直接話さなくてもいいかもしれない。だけど、どうやってわかるんだ?監視カメラの類は一切なかった。じゃぁ、どうやって屋敷の情報が分かるんだ?カット。

 これ以上考えると迷宮入りしそうな感じがしたため、これ以上の考察はやめた。まぁ、とりあえず分かったことは、面倒ごとにまた巻き込まれた、という事か・・・。神棚に捧げてあるワンカップを四合ビンの高級酒に変えたほうがいいかな・・・。そういえばあのワンカップ、蓋開けてないのに一週間で空になってたんだけど・・・。カット

 

 理子が去った後、俺達は二階へ案内され、部屋をあてがわれれた。

「すいませんねぇ。この屋敷の伝統といいますかルールで、ハウスキーパーさんとコックさん、庭師さんは全員制服を着ることになっているんです。昔に仕立てられた制服がそれぞれの部屋にあって、サイズも色々ありますから、選んできてくださいね。仕事については、前の人達が簡単な資料を台所に置いておきましたから・・・適当にやっちゃってください。」

そう言って小夜鳴先生は笑うが、瞳の奥ではやはり笑っていない。

「で、申し訳ないのですが私は研究で多忙でして・・・地下の研究室にこもり気味の生活をしてるんです。ですから、お二人と遊んだりする時間はあまりとれないんです。ほんと、すいませんねぇ。」

地下で研究・・・ようは何やってるか、こっちは小夜鳴先生に気づかれず何やっているかを知ることは難しいか・・・。

「暇なときは・・・そうですねぇー・・・あ、そこの遊戯室にビリヤード台があるんですよ。それで遊んでて結構です。誰も使ってないから、ラシャもほとんど新品なんです。」

そう言って、小夜鳴先生は一階ホール脇にある薄暗い遊戯室を示した。

「それじゃぁ早速ですが失礼します。夕食の時間になったら教えてくださいねー。」

そう言って小夜鳴先生は地下室へ行ってしまった。

 

「なぁ、エルさんや。」

「どうしたんだい、イブキ。そんな口調で。」

「面倒なことに巻き込まれたねぇ。」

エルは首をかわいらしく傾げた。エルは面倒ごとに巻き込まれたって気づいてないな。・・・まぁ、ただの考えすぎで終わることを祈ろう。俺たちはあてがわれた部屋に入り、制服を着ることにした。

 

 

俺はコックなため、普通の白いコックの服だった。キンジやアリアも、普通の執事とメイド(?)さんだった。廊下でお互い、似合っているなぁ、とか、さすがにそれはないわ、など話していると、エルが部屋から出てきた。

「似合っているかな?」

そう言ってエルはくるっと一回転。でもその服装は・・・「紅鳴館」と書かれた紺のハッピ、紺の乗馬ズボン、地下足袋だった。

「・・・うん・・・似合ってるよ。」

「そうかな。」

そう言ってエルはにっこりと笑顔を見せた。誰だよ!!この制服にしたやつ!!!

 




次回にはヴラドの戦闘に入ってほしいなぁ・・・。

あぁ・・・マクレーのおっさんを書きたくてウズウズする・・・。

あと、Fate×ドリフも書きてぇ・・・


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