せめて人に当てないで・・・
空から女の子が降ってくると思うか?
確かに映画やアニメ、漫画なら物語が始まる良いきっかけになるだろう。だけどリアルだとどうだろう。女の子が空から降ってくるなど絶対面倒なことの前触れだ。空から女の子が降るなんて、自殺志願者か、鬼塚大尉の手の者か、自分の妄想以外はありえないからだ。だから俺は空から女の子が降ってほしくない。
俺の住んでいる寮の部屋には、俺とキンジが住んでいる。朝と夕方はそこに白雪に、サーヴァントの4人が来て、みんなで朝食・夕食をとることになっている。キンジは料理ができないし、ネロは残念な腕前、牛若はなぜか毎回兜焼き、エルはサラダとフルーツだけ、ニトは豆のスープとパンを作ってくれるけど苦手な様子。そこで、うまいけど見た目が雑、時々ゲテモノあり(ゲテモノじゃないと思うんだけど・・・)な料理を作る俺が飯を作ることになってしまった。でも毎日俺が6人分の朝夕を作るのは面倒・・・間違えた、大変なので白雪を説得し(キンジと一緒に自分の作ったあったかい飯食いたいだろと言ったらすぐだった。)7人で一緒に食べることになった。
「イブキ君もうすぐできるからキンちゃん呼んできて。」
「了解。いつもすまんねぇ・・・。」
「ううん、好きでやってることだから。」
白雪さんや、答え方が違うぞ。そう思いながら俺はキンジのベットへ向かった。
「起きろ~キンジ~。」
「・・・・・・。」
こいつ・・・俺や白雪が朝食の準備している間、のんきに寝やがって。そして俺はサイレンのボタンを押した。
ウ~~~~!!!ウ~~~~~!!
「うわぁ!!!」
「キンジ、おはよ~。」
「イブキ!!朝からサイレンつけるな!!」
「え?だってキンジが起きるの一番遅いし。それに俺が朝飯作ってるときものんきに寝てたのかって思うと、つい。」
「ついじゃねぇ!!」
「ほら早く着替えて飯食うぞ。みんな待ってんだ。」
「わかったよ。」
俺とキンジはダイニングへ向かった。
「遅いぞ!!余は待ちくたびれた!!」
「主殿!!準備は終わりました。」
「さぁ、食べようか。」
「相変わらず、キンジは遅いですね。」
「キンちゃん、おはよう。御飯できてるよ。」
すでに5人は席についてるようだ。
「あぁ、おはよう。」
「待たせてごめん。」
そして俺達も席に着き
「「「「「「「いただきます。」」」」」」」
みんなで食べる飯はうまいな。
俺とキンジは別々に登校してる。なるべく白雪にキンジと二人の時間を増やしてあげたいからだ。なので俺たちはキンジ達より少し早く出て、車で学校へ行っている。その時、使用する車が第2中隊のみんなからもらった「高機動車」だ。廃車予定のやつもらってきて、整備してくれたらしい。また、在庫処分か・・・。いや、くれるのはうれしいんだけどさ・・・。
今日、始業式があるのだが、キンジは始業式をさぼったようだ。そうか・・・もしかして原作が始まるのか。アリアがここに来ていたのはわかっていた。3月ぐらいには会って話もしたし。メヌエットからもメールが来てたしな。
「お姉さまが日本へ行って相棒を探しに行きました。お姉さまが迷惑をかけますのでどうかご容赦してくださいね、お兄さん。」
「メヌエットも来ればよかったのに、残念。」
本当に来ればよかったのに。
キンジが教室へ来た。
「キンジ、どうした?まるで空から女の子が降ってきて、そのせいで覚醒。白馬の王子モードで敵を倒し、そのことについて後悔しているようだぜ?」
「イブキ、見てたのかよ。」
「いや、そんな感じがしただけだぞ。」
当たりってところか。
「私、あいつの隣に座りたい。」
アリアが転校生としてみんなに紹介された後、こんな発言をした。
「よかったなキンジ!!何だか知らんがおまえにも春が来たみたいだぞ!!先生!!俺席変わりますよ!!」
武藤、お前アリアとキンジがくっついたら白雪がフリーになるとでも思ってるのか?その後、アリアがキンジにベルトを返し、見ていた理子が
「理子わかっちゃった!これフラグバキバキに立ってるよ!!キー君ベルトしてない。そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた!これ謎でしょ!?でも理子には推理できちゃった!!」
お?ここは俺も乗ろうかな。
「ほう、理子ームズ探偵にはどういう推理ができたのかな?」
「イブソン君、これは簡単な推理だよ。キー君は彼女とベルトをとる必要がある何らかの行為をした。そしてキー君はベルトを忘れていった。」
「理子ームズ、じらさないでくれ。」
「しょうがないなぁ、イブソン君。つまり答えは・・・二人は熱い恋愛の真っ最中なんだよ!!」
「な、なんだってーー!!」
完全な間違いです。そして、みんなが盛り上がった瞬間
ダァンダァンダァン
「恋愛なんてくだらない!!」
教室の後ろに二発の穴が空いていた。あと一発?俺の胴体に一発だよ。抜けなくてよかった。
ジャララララララ、チャキ
エルが鎖でアリアを拘束、牛若が刀を抜きアリアの首に添えた。
「主殿に攻撃するとは・・・。」
「ふふふ・・・フフフフフフフ・・・イブキに攻撃するのか・・・。」
「な、なによ!!」
ヤバい!牛若とエルが暴走した。
「エル、俺は大丈夫だから。流れ弾当たっただけだから。鎖戻して、瞳孔も戻して!!牛若も、ほら頭を撫でてあげるから。」
「本当ですか!!」
「僕には何かないのかい?」
「エルも撫でてあげるから!!」
何とか治まったようだ・・・。
放課後、俺とキンジは寮の部屋にいた。
「俺、アリアと知り合いでなぁ。空港でテロと会った事件の時に初めて会ってな。」
「へぇ~、というとだいぶ昔だな。」
「そうだなぁ、その時はキレイな金髪のちっこい元気な子だったのに、今は髪をピンクに染めて・・・銃をボカスカ撃つようになっちゃって・・・。反抗期なのかね?」
「どうなんだろ?」
などと話をしていたら
ピンポーン、ピンポーン
「キンジお前が出ろよ。」
「いやいや、イブキが出ろよ。」
「「ジャーんけーんぽん」」
ピンポーンピンポーンピピピピピピンポーン
「ハイハイ、今出ますよ~っと。」
負けたので俺が出る羽目になった。
「なんだ、アリアか。」
「遅い!!あたしがチャイムを押したら5秒以内に出ること!!イブキもこの部屋なのね!手間が省けてよかった。」
落ち着け・・・ブッダフェイスも三度までだ。まだ一度だ。
そしてアリアは玄関で靴を脱ぎ散らかし、泥がついているトランクを持ってリビングに行ってしまった。(二度目)
「ねぇ、トイレどこ?」
「あぁ、あっちだ。」
アリアはトイレに行ってしまった。落ち着け・・・。俺は仏、俺は仏・・・。
アリアはトイレから出た後、ソファーにドカッと座り
「コーヒー!エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ!!砂糖はカンナ!!一分以内!!」
仏様、三度目いったのでいいですよね。
「アリア・・・正座せい・・・。」
この雰囲気で何か感じたのか、キンジは自分の部屋に避難していった。
「何よ!!」
「てやんでぇ!!!正座せよと言っているのだァ!!わからんのかぁ!!べらんめぇ!!!」
「は、ハイ!!」
アリアが床に正座した。
「貴様ぁ親しき中にも礼儀ありという言葉を知らんのかぁ!!汚れているトランクを部屋にまで引きずり、誰が掃除すると思っているのだぁ!!!べらんめぇ!!!挙句の果てに、コーヒーを要求するだとぉ!!!なめてるのかぁ!!!・・・。」
ある程度たった後、
「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・」
アリアは虚ろな目でゴメンナサイしか言わなくなったので、説教はここで終わりにするか。
「終わりだ、正座を崩してよろしい。」
「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・」
「崩してよろしいといったのだァ!!!」
「ハイ!!」
アリアは正座を崩し、足が痺れているようだが何とかソファーに座った。
「イブキ、終わったか?」
「いや、すまんなぁ。」
キンジが緑茶を持ってきてくれた。俺コーヒー好きじゃないから、あるの全部お茶なんだよね。
「アリア、キンジと俺に用事があるようだけど何か用か?」
俺がそう言うとアリアはまだ痺れているであろう足を引きずり、ベランダのほうまで行った。そしてくるっと(痺れてるせいでぎこちないが)こっちを向き、俺達のほうに指をさして
「あんたたち!あたしのドr・・・
「イブキよ!!余は帰ってきたぞ!!」
「主殿!サワラが安かったので買ってまいりました!!」
「まったく、廊下が汚れてましたよ。掃除しないと。」
「イブキ・・・ただい・・・懲りずに来たのかい?」
「イブキの料理が食べたくなってな。邪魔するぞ。」
「キンちゃん、イブキ君、ただいま・・・。」
ネロ、牛若、ニト、エル、白雪が帰ってきたようだ。それに師匠まで来たようだ。
グー
アリアから何か聞こえたようだが気にしない。
「今日の夕飯は俺が担当か。無難にサワラの塩焼きと、マテ貝があるからそれの酒蒸しとサラダにでもするかな。アリア食っていくか?エル、大丈夫だからね。俺とキンジに伝えたいことがあるらしいから。だから瞳孔戻して。」
そうして俺は台所へ向かった。ニトと白雪がついてきた。手伝ってくれるようだ。まぁ、飯食いながらならゆっくりしゃべれるだろう。
「イブキ、コゴミがあるからこれも茹でてくれないかな?」
「ほんと、エルは農家の人と仲良くなれるねぇ」
ヒヒイロカネのせいでピンク色になることをイブキは忘れています。
サワラってうまいよね。あれの塩焼きと御飯はうまい。コゴミは塩ゆでにマヨネーズが・・・。マテ貝はテレビでやっていたけど(〇空レストラン)うまそうだったなぁ