実は夏の前にこの章を終わらす予定だったのですが……もうすでに秋の終わり。なんでこんなにずれたんだろ。おかしいなぁ?
テロ事件が解決した翌日、俺は治療を受けた後、‘‘負傷’’と‘‘各種省庁への書類提出及び関係者への謝罪’’ため『白鷺千聖の護衛任務』を降りようとしたのだが……
「あら、プロ意識が足りないのかしら?」←白鷺千聖
「そのぐらいの傷、すぐ治るやないか!!……あぁ!?」←蘭豹
とはいえ、 ‘‘各種省庁への書類提出及び関係者への謝罪’’をサボるわけにはいかない。そのため、俺は二日ほど休みをもらい、再び東京を駆け回ることになった。
その二日間はまさに地獄そのものだった。‘‘書類提出と謝罪’’や『東京国立〇物館に‘‘三日月宗近’’を返還』・『宮内省に‘‘サイモンを切った刀’’の返還』などまだ楽な方で、『西住さんを殺そうとしていたかなめの説得』・『‘‘娘が犯された’’と勘違いをした西住母にティーガーで追われる』・『‘‘西住流に取られた’’と言いながらセンチュリオンで俺を追う千代さん』など……
……これも全て‘‘サイモン’’と
俺はこの三人を何とか説得し、『暴走した三人のせいで迷惑をかけた関係各所への謝罪』などの仕事が増えることになったのは言うまでもない。
ついでに、俺は一部の仕事を
二日間の
『同章 まともな会議をしてくれ……』を覚えているだろうか。その時に議題に上がっていた『CiRCLE合同ライブ』が今、ここで始まるのだ。
『CiRCLE合同ライブ』はガールズバンドによる合同ライブであり……護衛とは言え、男の俺が楽屋に入るわけにはいかない。そのため、俺は客席でそのライブを鑑賞させてもらうことにした。
ついでに、この‘‘合同ライブ’’が終われば、俺はやっと『白鷺千聖の護衛』から解放されることになる。
……この護衛もやっと終わるのか。長かったなぁ……襲われたり、車が廃車になったりして。そう言えば次の車、どうしよう。
俺はため息をついた。
今だに俺は
「いやぁ、やっぱり熱いなぁ」
「藤崎君ね、もうちょっと向こう行ってくれないかい?この状態じゃ撮れないでしょ?ただでさえ君はデブなんだから……」
「あぁ!?」
「だって僕の場所の半分以上を君が取ってるでしょ!!それに音野君ももうちょっと向こう行けるだろ?」
「しょうがないでしょ、機材があるんだからさぁ」
「機材機材うるさいんだよ」
「機材なんか外に置いとけばいいよ、こんなの」
「盗られたらどうすんだよ」
「落ち着いてくださいって。こんなにうるさくしたら彼にバレちゃいますから。」
「うるさいなぁ、なんでお前‘‘簡易
「ほら、始まるから静かにしなさいって」
なぜか、ステージ側の客席で‘‘聞き覚えがある声’’が聞こえたのだが……気のせいだろう。
……まさか‘‘蝦夷テレビの皆さん’’がここに来るわけないか。
バッ!!バッ!!バッ!!
いきなり照明が付き、ステージに立っていた少女達を映し出した。
「こんにちは!!私達……」
「「「「「‘‘Poppin'Party’’です!!」」」」」
ライブが始まったようだ。
「村田さん!!始まりましたよ!!」
「え?……あれ?なんで西住さんがいるの?お母さんと熊本帰ったんじゃ……」
「‘‘蘭ちゃん’’がライブをやるって言ってたから……お母さんに頼んでもう少しだけ東京にいさせてもらってたんです。」
……『蘭ちゃん』って、事件の日に新宿御苑から東京駅へ向かうときに拾った黒髪赤メッシュの子だったよな。そうか、その子も出るのか。
「ライブって初めてで……ワクワクしますね!!」
西住さんは誰がどう見ても浮かれているのが分かる。彼女はポケットから未開封のペンライトを出し、袋を破ってそれを振り始めた。
「……そ、そうか。」
俺は‘‘彼女の母親に追い掛け回された’’ことを思い出して鳥肌が立った。
……‘‘母は強し’’とは良く言ったものだぜ
俺は
ライブが始まって数分後、俺は彼女たちの演奏に聞き入ってしまった。『高校生の演奏』という事であまり期待していなかったのだが……いやはや、彼女達の演奏は見る人・聞く人達を魅了する。
……これが高校生だと?下手なプロのバンドなんかよりも上手だぞ!?
一番手、『Poppin'Party』はガールズバンドらしいポップで明るい曲が流れ、観客全員と一体になって盛り上がる。
二番手、『Afterglow』は
三番手、我らが‘‘白鷺千聖’’が所属する『Pastel*Palettes』だ。流石はアイドルバンド、アイドルらしいポップでキュート(死語か?)な曲を披露する。
……
そんなことを考えた瞬間、ステージから鋭い視線を感じたため俺は思考をやめた。
さて……四番手、‘‘サイモン’’に人質にされた『Roselia』の演奏の前に休憩があった。
俺はその時間に用を足し、トイレから出ると……‘‘アメフトの防具で身を固めた集団’’にいきなり囲まれた。
……え?何!?どういう事!?殺気は感じないが……というかここはライブハウスの中だぞ!?なんでアメフト!?……ってこいつら、
俺は今現在、起こっている事が全く理解できない。
「者ども!!出会え!!出会え!!」
聞き覚えのある声が聞こえると、
「なんだ、なんだよオイ!?」
ここはライブハウスの中。ライブの観客たちが遠巻きに
「クソッ!!離せ、離せぇええ!!……おい、田口テメェ、今蹴っただr……ゴフッ!!だれだ、今俺を殴ったやつ!!……って‘‘天の鎖’’!?なんでエルが!?……理子、何ニヤニヤしながらスタンガン持って……アァーーーッ!!!」
俺は‘‘アメフト部+@’’によって楽屋裏まで連れて行かれると衣服脱がされ、代わりに何かを着させられた。
「どうだい、和泉君?仕掛ける方になった気分は」
「あれだね。いざやってみるとここまで面白いものはないね。今まで君たちはこんなことを僕にやっていたのかい?」
「村田さん遅いなぁ……もう始まっちゃうのに」
西住みほはイブキのことを心配していたが……Roseliaのライブが始まると、そんな些細な事は頭から消えていた。
あの‘‘Roselia’’はガールズバンドの中で最も有名なバンドの一つらしい。
俺はアメフト部に楽屋へ連れられて‘‘ある物’’を着させられた後、そんな‘‘Roselia’’のライブを舞台袖で拝聴させてもらっていた。もし、‘‘Roselia’’の熱狂的なファンならば大金を積んででもこの場所で拝聴したいだろう。しかし、俺はそんなありがたみを一切感じなかった。
「あら、面白いものを着ているわね。どうしたのかしら?」
「………。」
俺は白鷺千聖のイジリにも耐え、最後のバンドが搭乗するのを待っていた。
「ハッピー!!ラッキー!!スマイル!!イェーイ!!!」
五番手、最後のバンドは‘‘弦巻こころ’’が牽引するバンド、『ハロー、ハッピーワールド!』の登場だ。
「今日は‘‘0uちゃん’’も呼んでいるの!!‘‘0uちゃ~ん’’!!」
……行かなきゃだめだよなぁ。
俺は『蝦夷テレビのマスコット:0uちゃん』の着ぐるみを着てステージへ向かった。
「「「「「アッハッハッハ!!!」」」」」
‘‘0uちゃん’’が登場すると、観客席の一番前に陣取っていた‘‘蝦夷テレビの皆さん’’が大爆笑する。
ところで、『同章 まともな会議をしてくれ……』を覚えているだろうか?その時、俺は弦巻こころに‘‘0uちゃん’’の存在を教えてしまった。そのせいで彼女は『蝦夷テレビのマスコット:0uちゃん』に興味を持ち、‘‘弦巻財閥’’の力を駆使して‘‘0uちゃん’’をこの場に呼び寄せたらしい。
テロが起きる数日前、札幌にて……
「‘‘0uちゃん’’着ながら演奏なんて無理だよ……」
‘‘弦巻財閥’’から蝦夷テレビに仕事が入り、そして『木曜どうでぃ』のスタッフへ通達が来て、‘‘0uちゃん’’役(笑)である
「こうもうちょっとシャっとできないかい?適当なバイトでもできる様な事で仕事を貰ったんだぞ?君には意地って物は無いのかい?」
「……んなこと言っても『着ぐるみ着て演奏』なんてムリだろ」
「……ん?和泉、今なんて言った?」
「だから『こんな高校生のバイトでもできる様な事』で仕事貰ったんだから、もっとしっかりy……」
‘‘木曜どうでぃ’’のディレクター:藤崎は和泉の言葉であることを思いついた。
「ちょっと待て?……俺達は‘‘0uちゃん’’のおかげで全員東京へ招待されて、しかも大量のギャラも貰えたわけだ。」
「そうだよ?だから
「『高校生のバイトでもできる様な事』なら……数千円で適当な高校生を雇って、そいつに‘‘0uちゃん’’させて俺達は高みの見物でもすればいいんじゃないか?」
藤崎の言葉に鈴藤が食い付いた。
「あ……それ面白いかも、僕達は何もしなくていい
「ちょっと待ってマスター!?あくまでも僕達が仕事を受けたわけだ。それなのにその辺の高校生になんか……それにそんな都合のいい高校生なんているかい?」
「いるじゃない、東京に。彼がさ……」
「いや!!彼がいてもだ!!僕らにはテレビマンとしてのプライドってものg……」
和泉が反論するが……楽な方法を考えついた『木曜どうでぃ』班の行動は素早い。
すぐに東京武偵高校に任務の依頼を出し、蘭豹と綴が酔っぱらいながら承諾の印を押し……そして周りに回って俺に行きついたそうだ。
「そこのオッサンども、後で覚えてろよ?」
「「「「「アッハッハッハ!!!」」」」」
俺は‘‘0uちゃん’’の着ぐるみを着て‘‘蝦夷テレビの皆さん’’を脅すが……俺の怒りは彼らの‘‘爆笑の火’’に油を注ぐだけだった。
「……いくわよ!!『笑顔のオーケストラ』!!」
……え?ちょっと待って!?俺は何をやればいいんだ!?
弦巻こころの一言で演奏が始まったのだが……俺は何をすればいいのか一切教えられていない。
結局、俺は黒服(?)の人からマラカスを貰って振ったり、バズーカを渡されてそれを撃ったり(紙吹雪とか出るアレ)、小っちゃい大砲を使って空砲を撃ったりした。
「へぇ……お前がイブイブの護衛対象か。」
「あなたがイブキの同じチームなのね?」
『合同ライブ』が無事終わり、打ち上げが『ライブハウス CiRCLE』の楽屋で始まり、俺も参加させてもらったのだが……そこで
……‘‘君子危うきに近寄らず’’、‘‘触らぬ神に祟りなし’’。とりあえずあの二人から離れよう。
俺は置いてあったパンの中から適当に一つ取り、部屋の隅でそれを食べる。
……あ、美味い。
「あっはっはっは!!!村田君、ごめんね。ライブは楽しかったかい!?」
意外と美味いパンを味わっていると……
「……えぇ。おかげで冬なのに汗ダラダラになりましたよ。」
俺は親の仇の様に藤崎さんを睨むが、彼は‘‘何処吹く風’’と一切気にしない。
「そう言えば村田君、来年の春と夏は暇かい?面白い企画を思いついてですね……」
藤崎さんはそのヒゲ面を俺に近づけ、メガネを曇らせながら話し出す。
……今度また『木曜どうでぃ』に出てみろ?‘‘料理対決’’や‘‘クリスマス’’の様に死ぬかもしれないぞ!?
俺は身代わりを探すため、頭が高速で回転する。
その時、俺の視界の隅に……いつの間に仲良くなったのだろうか、理子と談笑する白鷺千聖が見えた。そして俺は『同章 まともな会議をしてくれ……』で白鷺千聖がテレビのロケをお蔵入りにさせた事を思い出した。
……そうだ!!そう言えば白鷺は前にテレビのロケをお蔵入りにしている。ならば俺が『Pastel*Palettes』に新しいテレビの仕事を紹介しよう。
「藤崎さん。俺の代わりに『Pastel*Palettes』が出たら面白いと思いません?」
「その話、詳しく聞かせて貰ってもよろしいですかな?」
事務所からの許可も下り、『Pastel*Palettes』は来年の春に『木曜どうでぃ』のゲストとして登場した。彼女達は『どうでぃ班』と一緒になって荒れ地を開墾して野菜を植え、食器を作り、和泉と料理の腕を競い合うという‘‘日本一長い料理番組’’を撮ることになるのだが……その過酷さを彼女達はまだ知らない。
「では試食に特別ゲストが来ております。村田君です!!」
「ッ~~!!ッ~~~~!!!」←鎖で椅子に縛られ、猿ぐつわを履かされたイブキ
ライブ順は『ガルパピコ』を参考にしています。
バンドリメンバーともう少し絡ませたかったのですが……自分の文才ではこれが限度でした。文才が欲しい……。
「イブイブごめんね。理子りんまだ死にたくないんだ」
理子も試食役として呼ばれたのだが……イブキを犠牲にしていち早く逃げたとか。
次話は『閑話:俺のいちばん長い日 with BanG Dream!』のため、『Next Ibuki's HINT!!』はありません。