少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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短編集です。


閑話:民間人編

1:花火

 私は5歳の時、大きな花火を見ました。花火を見せに行かせてくれた人はトオヤマ様とお兄ちゃんです。お兄ちゃんは、私たちをリアカーに乗せ、花火大会へ連れて行ってくれました。花火を見終わった後、みんな怒られるところでしたが、お兄ちゃんは一人で泥をかぶってくれました。花火を見る前からお兄ちゃんは優しい人だなぁと思っていましたが、これを見てかっこいいと思うようになりました。

 お兄ちゃんが帰っちゃうとき、私は泣いてしまいました。でも、お兄ちゃんは私をお嫁さんにしてくれると約束してくれました。私、ちゃんと覚えてるからね。

 その後、お兄ちゃんは大きな事件を二つ解決しました。流石お兄ちゃん!!すごい!!と思いましたが、お兄ちゃんは銃に撃たれたり、ナイフに刺されそうになったりしたそうです。私は不安になりました。私は急いでお兄ちゃんの携帯電話を探し、電話を掛けました。

「ハイ、もしもし・・・」

お兄ちゃんだ!!よかった無事だったんだ。でも私、とても心配したんだよ?

「お兄ちゃん!!大丈夫!?心配したんですよ!!!」

ちょっとくらい怒ってもいいよね。

 

 

2:汚ねぇ花火

俺がこのガキに話しかけられた時、面倒臭いガキだなって思った。だけど坊主、俺を一瞬で刑事と見破った。こいつは驚いた。その後色々あって俺はテロリストの一人と一緒に階段から落ち、そいつを無力化した。そうしたら、坊主が急いできて、立とうとしていた、テロリストの頭をハンマーで殴ったんだ。その時、俺は助けてくれたことより、勝手にこっちに来たことで頭がいっぱいになった。

「坊主なんでここにいやがる。トイレでじっとしてろッて言ったはずだぞ。」

「トイレでじっとするより、おっさんについて行ったほうが安全だと思ったんだ。敵は子供にも容赦なく撃ちそうな感じだったから。」

そう言われればそうだ。その後、坊主は拳銃で、10メートルくらい先のドアノブに向かって5発撃ち、全て命中させた。撃ち方は素人っぽかったがこいつはセンスの塊だな、初めての銃であんなに当てるなんて。はぁ・・・坊主ここまで来ちまったからには連れてかねぇと危険だな・・・。

「っけ!ませやがって。ロン・ロジャーにでもあこがれたか?足手まといになったら置いてくからな、くそッタレ!!」

「合点だぁ!!」

俺は移動する前に銃の撃ち方をそいつに教えた。驚くぐらいに呑み込みが早かった。

 

 坊主と2度目に会ったのは、5年後の空港だった。坊主は嬢ちゃん二人と楽しく話してた。その後、俺と坊主は嬢ちゃんの一人に質問攻めにあっていたが、俺は刑事の癖で怪しい二人組を見つけてしまった。

「なぁ、おっさん。あれ・・・。」

坊主も気づいちまったか・・・。しかし、この質問攻めからどうやって逃げよう。

「アリアごめん、ちょっとトイレに行きたくなって。マクレーのおっさんはどうする?」

お?いいことするじゃねぇか坊主。そうして俺と坊主は二人組を追った。

 実は、坊主に一緒に来てほしくなかった。坊主はまだ子供だ。犯罪が多発しているからって、子供にドンパチさせるなんて間違ってる。でもこいつは来ちまった。そういうやつだとわかっていたがな。しかもこの坊主、格闘戦が強くなってやがった。おかげで、何度も助けられたぜ。普通なら、子供に助けてもらったって思い、情けなく感じる。しかし、この坊主には不思議とそう思わねぇ。むしろ、年下の相棒って思えるから不思議なもんだ。そうして俺達は、テロリスト共を「汚ねぇ花火」にしたわけだ。

 

 あとこれだけは言わせてくれ。俺じゃなくて坊主が「疫病神」だ!!

 

 

3:師範

私はもともと軍にいた教官だった。しかし、私の技を完全に習得した者はいなかった。軍には完全に習得できる者いないのだろう、そう思い軍を辞め、道場を建てた。しかし、習得できる者は表れなかった。諦めていたその時だ,ある少年が来た。その少年はテロリストに会い、自分の無力を知り、強くなりたいといった。最初から意思のある者は強い。だが、私はこの少年にただならぬ気配を感じた。

 この少年の呑み込みの早さは異常だった。教えたことをすぐさま吸収し、それを応用してくる。私はこの少年との組合が楽しくなった。

 この少年がどこまでできるか、試したくなったのはいつからであろうか。私は軍人の中でも習得できたものがほとんどいない技を教えていった。「ナイフで首を切り落とす技」「三段突き」そして、

「今日は‘‘影を薄くする技’’を教える。」

「その名前、何とかなりませんか?師範。」

「うるさい。この技は相手に違和感を持たせない技だ。人間文字をじっと見ていると本当にこんな形だったか?と思うことがある。あれの原因は、変化のない物をずっと見続けるからそう思うんだ。」

「ゲシュタルト崩壊っていうんですよね。」

「よく知っているな。人間は変化や違和感があるとそこに注意が行く。逆に変化や違和感がないものは素通りする。この技はその変化、違和感を相手に認識させない技だ。」

「簡単そうなこと言ってますね。」

「うるさい、では見てみろ。」

この技を教え、2週間で習得したのは驚いた。

 もしかしたら、私の技を完全に習得してくれるかもしれない。そう思い始めた時だった。

「師範、俺、幼年学校受かったよ!!」

彼は幼年学校に行ってしまうらしい。あそこは寮暮らしだ。私の道場に通えるのもあと1年もないだろう。1年で私の全ての技を教えるのは無理だ。私は寂しくなった。しかし、そのことを少年に感づかせたくなかった。だから私は大げさに喜んだ。なんで引いてるんだ?

 数か月後、彼は幼年学校へ行ってしまった。ん?軍からの手紙で「教官として、軍に来てくれ」とあった。そうだな、今私には門下生がいるから非常勤ならいいかもしれない。

 

ところで、「ナイフで首を切り落とす技」「影を薄くする技」の名前を教えてくれ?、「ナイフで首を切り落とす技」「影を薄くする技」が名前だ!!わかりやすくていいだろう?

 

 

4:師匠

 私は驚いた。影の国で生きているから、英霊の座には登録されていない。それなのに私を呼び出した者がいる。「私を殺せるものが呼んでいる」そう私の勘は言っていた。

 そして呆れた。私を呼んだ者はほかにも色々と呼び、そのせいで魔力枯渇で死ぬ寸前ではないか。この者が私を殺せるのか?しかし、私の勘は「是」と言っている。面白い。私とそこにいた魔術師と協力し、その場になぜかあった聖杯をその者の中に入れた。

 

 私の勘は当たっていたようだ。まだまだ未熟だが驚くほどに吸収する。セタンタといい勝負かもしれない。まぁ、イブキはセタンタと違い、槍よりも刀や飛び道具そして銃剣?といった物が得意そうだが。他の分野でも吸収がいいのだろう。他の者達もイブキに色々と教えていった。私では教えられない他の分野を英霊が教えるのだ。もしや、セタンタ以上の者になるかもしれぬ。私は興奮した。

 

 召喚されてからある程度たった時、イブキはいまだに銃剣を教わっていると聞いた。。我々英雄に教わっているんだ。そっちが最優先だろうに。

 きっと私は、その師範とやらに嫉妬し、恐れていたのだろう。「私の物が盗られる」と。

 私はある日、イブキが学校に行っている時にその師範に会いに行き、勝負を挑んだ。ルールという制限があり、しかも木銃での勝負であったが、私はその師範に負けてしまった。長い間、影の国で人と接触しなかったせいだろうか、私は慢心していたようだ。師範、貴様がイブキに教えることを認めよう。しかし、イブキは私の物だ。貴様には渡さん。

 その日から修行を10倍に増やした。

「いい声を聞かせておくれ」

「ちょ、ま、ぎゃぁああああああああ!!!。」

泥人形よ、それはやりすぎではないか?

 

 

5:どっち?

「そういえばエル。普段は男か女どっちでいるの。」

俺は素朴な疑問をエルに尋ねた。

「僕は兵器だからね男も女もないさ。」

「でも聖娼シャムハトをモデルにしてるんでしょ。」

「そうだね。」

「じゃぁ、肉体は男女どっち?」

「イブキ、君はどっちのほうがいいかい?」

なるほど、普段は男でもあり、女でもある状態なんだな。

「そうだね、さすがに男より女のほうが華があっていいかな。」

そりゃぁ、男より女のほうが何倍もいいでしょ。

「了解、イブキ。」

よく考えればセクハラだなこれ。これを聞いていた玉藻に俺は叱られた。

 

 1週間後、

「何度裏切られても、やっぱり私は誰かの為に戦いたいです。主殿が許してくれるのなら、最期まで一緒に……いえ、なんでもありません」

「余は充実している。なんと幸福な皇帝であることか。遠くローマを離れた世界で、よき勇者と巡り会えた。ん、誰のことかだと? ……貴様に決まっていよう、我が自慢のマスターよ」

「僕は相変わらず兵器だし、精神は一向に成長しない。だけど、いつも僕は君のことを考えている。これは、どう言うのだろう……どう、言うのだろうね」

英霊三人の授業の後の、牛若とネロと戯れるところにエルも加わってきた。あの、エル様。瞳孔を開いたまま、俺に抱き着くのやめてくれませんか、怖いです。

「主殿!!私には撫でてください!!。」

「奏者よ!!抱きつくことを許そう!!」

あぁ!!クソ!!要求に答えてやらぁ!!!(思考放棄)

 

 

6:職業

「えぇ、皆さん聞いてください。」

俺は夕食の時間、重大なことをみんなに打ち明けた。

「マスター、お代わりですか?今、尻尾にピーンときました♪」

「あ、玉藻お願い。」

やっぱり白いご飯は美味しい。日本人でよかった・・・。

「じゃない!実は今、遺産を食いつぶして生活してるんだけど、このままだと1年後には、遺産がなくなっちまうんだ!!」

そのことにみんな驚いた。どのくらいっていうと、急に少女漫画のショックを受けたシーンのようになったんだ。まぁ、生きていた時代より遥かに美味な食事を毎日食べていたんだ。食べられなくなるのはきついだろう。

「そういう事なんで、ネロと牛若、玉藻以外はある程度の食事代を入れてほしいんだ。」

「な!!ファラオに向かって働けというのですか!!それにあの3人は例外とはどういうことですか!?」

ニトが文句を言いだした。まぁ確かにファラオに向かってこの言葉はだいぶ不敬だけど、食べるためにはショウガナイ。

「ネロと牛若は見た目が大人に見えないから、職に就けないんだ。もし就けたら、その仕事かなりまずいやつだし・・・。玉藻は全員の炊事洗濯してもらってるから例外。」

ニトは観念したのか黙ってくれた。ありがたい。

「まぁ、この理由から二人には中学に通ってもらうけどね。」

「了解しました主殿!!」

「うむ!!学校か、面白そうなところよな!」

二人も納得してくれたようだ。

「さすがに、働けって言うだけっていうのも悪いし、色々仕事見つけてきたよ。」

そういって紙を個人個人に渡していった。

「まずエジソンなんだけど、電気に詳しいから教師なんてどうかな?非常勤だからあまり厳しく調べられないし。あと、これが特許の取り方ね。エジソン=発明だからいいかなと思って。」

「うっはっはっはっはー!!さすがマスター!!この大統王のことをわかっている!!期待に応えるとしよう!!」

納得してくれて何より、

「師匠は、師範の道場でのアルバイト。なんか師範、今度から道場よく開けるようになるらしいから、バイト探しているみたい。師匠なら大丈夫でしょ。」

「あ、あぁ・・・食べるためだ、仕方あるまい。」

以外なことに、師匠は嫌そうだな、教えるの好きだと思ったのに。

「残りの三人は難しいから迷ったんだ。嫌ならやめていいからね。エルは農家の派遣のバイト、ベオウルフはジムのコーチ、ニトは内職ね。」

「わかったよ。」

「しょーがねぇ、食べるためだしな。」

「私は細かい作業できませんよ!?」

ニト以外は好評だよかったよかった。

「マミー達にやってもらおうと思ってさ。流石にファラオに仕事させるのはどうかと思ってね。ニトのためならマミー達はやってくれそうだし、なんなら、マミー達の分まで御飯作ればいいかなぁ~って。」

「しょうがないですね・・・。皆が払うのに私だけ払わないのはファラオとしてもどうかと思いますし・・・。わかりました。」

 

 そうして、俺の新しい家族は仕事に就いたわけ。どうやって戸籍を準備したって?それは

「もしもし、辻さん?実は・・・・・」

「わかりました!!この希信!!8人分の戸籍を準備しましょう!!」

困ったときは友人に頼めばいい。さすが、マクレーのおっさん。これは座右の銘にしようかな。

 




「影を薄くする技」の原理を紹介しました。いやぁ~書くだけなら簡単でいいなぁ~。

さてと、これで民間人編は終わりです。
 
玉藻のセリフが難しい・・・。

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