仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

62 / 67
 ギアルの初陣です。どのような活躍をするのかぜひご覧ください。
 それでは、どうぞ。


COMBO37 ギアル×デッド&アライブ

突然の事態とギアルの放った不意打ち気味の攻撃によってマシーンは吹き飛ばされてしまう。

自分たちの前に突如現れた謎の仮面ライダーに動揺するアーサーに気にせず、ギアルは彼の所まで近づくと脳天に鋭いチョップを入れる。

 

「痛った!?」

「まったく、君はまだ子どもだろう。いくら先生に選ばれたといっても無理をし過ぎだ」

「何を言って…大体あなたは誰…あだっ!?」

 

軽く腹パンをされて蹲るアーサーに気にせず、ギアルは説教をする。

仮面ライダーが仮面ライダーに説教されている様子を見て琴音や飛鳥たちは何とも言えない状態にいる。

無理やりバックルを取り外して変身を解除させたギアルは、文句を言おうとする戒の襟首を掴むとそのまま飛鳥たちの方へと投げ飛ばした。

慌てて飛鳥は戒をキャッチするが、その際胸に顔を埋めてしまったことで琴音に怒られていたが気にすることなくギアルは起き上がったマシーンと対峙する。

 

『ピコピコ。破壊を開始する』

 

マシーンは巨大なアームで彼を殴ろうとするが、ギアルはそれを躱すと厚くない装甲を殴り飛ばす。

怯んだ隙を逃さずに、彼は拳を主体とした戦闘スタイルで攻撃を叩き込んでいく。

彼が攻撃を狙う箇所はマシーンの死角、もしくは弱点となっているところでありそこを重点的に狙っているのだ。

 

「初めて戦う敵なのに、何で…?」

『ギアルの能力だ。戦っている間にエラーの弱点や死角を検索したのだろう、集中力の高い彼だからこそ出来る芸当だ』

 

新たな仮面ライダーの戦い方を見た戒は、戦闘の経験だけでは成し得ない戦い方に驚くがウェルシュは自慢げに戒を含む周囲の人間にギアルの能力を語る。

ギアルは二つの側面を引き出せる仮面ライダーであり、戦闘機をモチーフにした『フライヤーモード』の彼はソーシャルカセットの一部である検索アプリの能力を使っている。

本来なら別の物事を行いながら能力を引き出すことは不可能だが、彼自身の持つ優れた集中力によって必要な検索結果を受け取りながらスムーズに相手を追い詰めることが出来るのだ。

ウェルシュの解説を余所に、ストレートパンチでマシーンとの距離を無理やり広げたギアルは専用武器『ギアルショットガン』を召喚して構えると、銃口から散弾を放った。

 

『ビガガアアアアアアアアアアアアッッ!!?』

 

強力な銃撃を受けたマシーンは火花と共に煙をあげながら仰け反ったのを確認したギアルは、そのまま銃弾と格闘術を組み合わせて相手を追い詰める。

ギアルショットガンの銃身による一撃と同時に放たれた散弾によって大ダメージを受けたマシーンは左腕に装備した巨大なアームと両肩からキャノンを放射する。

迫りくる攻撃に焦ることなく、ギアルはトランスギアを定位置に戻すと今度は左側に回す。

 

【RIDE UP! SOCIAL! タンクを動かせLet's NAVIGATION!!】

 

先ほどとは異なる電子音声が鳴り響くと、アンテナが外れた代わりにマシンユニバースのタイヤが両脚に接続されると、左側にナビゲーション先のマークを模した赤いパーツが装備される。

『フライヤーモード』から戦車とナビゲーションアプリの『タンクモード』へと切り替えたギアルは両脚のタイヤを高速回転させると、凄まじい勢いを込めたタックルを浴びせる。

悲鳴と共に地面を転がる結果となったマシーンを横目にギアルはショットガンをポンプアクションでスナイプモードに変形させる。

スコープを覗きながら、照準を合わせた彼はそのまま引き金を引く。

同時に赤い矢印がマシーンの頭部に浮かび上がり、放たれた狙撃弾は不規則な軌道を描き…。

 

『ギギギギギギギギギギイイイイイッ!!!』

 

最短の道を進みながら目的地(マシーンの顔面)へと正確に命中した。

煙をあげるマシーンを横目に、ギアルはトランスギアを回してフライヤーモードへと戻ると定位置に戻した後、再度右側に回す。

 

【CRITICAL ARTS! FINAL WEAPON! SOCIAL!!】

 

必殺技を告げる電子音声を鳴り響かせたギアルはブースターの推進力でそのまま大空を飛ぶと、勢いよく両足を突き出した急降下キック『ギアルインパクト』を繰り出した。

 

「はああああああああああああっっ!!」

『ビガガガッ!?中枢部の損傷を確認…戦闘、終了』

 

そのままゆっくりと着地したギアルの背後では、マシーン・エラーが巨大な爆発を起こした。

凄まじい力の仮面ライダーに戒たちが呆然とする中、爆発地には破壊されたネオエラーカセットと神宮博士がいる……はずだった。

 

『酷いなぁ。まだまだ彼には頑張ってもらう予定だったのに』

 

そこに現れたのは皹割れた赤いモノアイがある白い右半身と黒い左半身が特徴の異形『デッド・エラー』と、水色のモノアイがある白い右半身と錆びた金色となっている左半身が特徴の『アライブ・エラー』…。

気を失っている神宮博士とネオエラーカセットの残骸を見ながら、深いため息を吐く。

幹部エラーの登場に戒はアーサードライバーを構えるのに対して、ギアルは身体を震わせていた。

それは恐怖などではなく、怒りによる体の震えだった。

 

「吉良あああああああああああああああああああっっ!!!」

 

怨敵を見つけたギアルは、雄叫びと共に「吉良」呼ばれた男性…デッドへと飛び掛かる。

しかし、それを守るようにアライブが盾を持った腕で殴り飛ばす。

地面を転がりながらも、起き上がったギアルはトランスギアを左に回してタンクモードへと姿を変えるとスナイプモードに移行させたギアルショットガンを乱射する。

狙撃弾はデッドとアライブに当たることなく、地面や建造物を破壊してしまうが気にせずギアルは攻撃を続ける。

 

「っ!忍結界っ!!」

 

このままでは被害が悪くなることを考えた飛鳥は忍結界を張って、最小限に留めることに成功するがギアルはタンクモードの重厚なプロテクターを活かしたタックルを繰り出す。

しかし、デッドは相手の痛覚を倍増させる黒い剣で彼を斬り払うと傷痕を抑えてのた打ち回る。

 

『まったく、君もしつこいねぇ…そんなだから、お兄さんたちに敗北するんだよ。ボロ雑巾みたいにねぇ』

「貴様あああああああああああああああああっっ!!!」

【RIDE UP! SOCIAL! 検索しながらFLY HIGH!!】

 

フライヤーモードへと切り替わったギアルが衝動のままに、再び二体のエラーに飛び掛かろうとするが、それを抑えた人物がいた。

 

「ちょっと!落ち着いてくださいっ!!」

「どけっ!!こいつは、こいつだけはぁっ!!」

 

尚も暴れるギアルを戒が必死に抑えようとするが、頭に血が上っている彼はデッドたちを見たまま暴れるのをやめない。

琴音や飛鳥たちはどうするべきか悩むが、やがて戒はギアルの仮面を殴った後にギアルドライバーを無理やり外すと思い切り殴った。

 

「がふっ!?」

 

魔力を込められていたのか、勢いのあるその拳に吹き飛ばされた空良は戒を呆然と見る。

そして、周囲を見渡した彼は破壊された設備を見て絶句するが戒は口を開く。

 

「大丈夫ですよ、結界が張ってありますから…でも、放っておいたらあなたは街を破壊していた」

「……」

 

その言葉に、空良は顔を俯けてしまう…自分の力は誰かを守るためだったのに、激情に任せて破壊をしてしまった。

悔しそうに唇を噛む彼に戒はギアルドライバーを差し出す。

 

「俺は、門矢戒……あなたは?」

「…潮田空良だ」

 

互いに、短く名乗った二人は襲い掛かろうとゆっくり近づくデッドとアライブを見据えるとドライバーを腰に巻きつける。

そして戒はドラゴンカセットを、空良はソーシャルカセットを起動した。

 

【DRAGON!!】

【SOCIAL!!】

「「変身っ!!」」

【RIDE UP! DRAGON! 牙の連撃!RED KNIGHT!!】

【RIDE UP! SOCIAL! 検索しながらFLY HIGH!!】

 

異なる電子音声が鳴り響く中、二人は仮面ライダーアーサーと仮面ライダーギアルに変身を完了すると二体のエラーに投げ掛ける。

 

「お前たちの物語、ここで終わらせる!」

「これより任務を開始する!!」

 

力強く宣言したアーサーはアライブを蹴り飛ばすと、ギアルはデッドにギアルショットガンを叩きつける。

攻撃を受けたアライブは「くそがっ」と口汚く罵ってエネルギー弾をばら撒くが、それを回避する。

脚力強化を施してから跳躍したアーサーはグレンバーンをアライブの脳天に突き刺してから着地し、蹴り飛ばす。

 

『痛ってぇなっ!!こんな傷…』

「再生するよな、でもどっちの傷を再生させる?」

『あっ?』

 

アライブが聞き返すのを遮るように、アーサーは熱操作で冷気を纏ってからキックを浴びせると今度は炎の膝蹴りを仕掛ける。

すると、アライブの傷は再生することなく着実にダメージを重ねていく。

 

『な、何だぁっ!?き、傷の治りが…!!』

「オラッ!!」

 

跳び蹴りが直撃したアライブは地面を転がる。

アライブ・エラーは生を求める欲望によって姿を得たエラーであり、攻撃を受ければ即座に再生する能力を持っている。

しかし別の個所に傷を負った場合…『最初の傷を優先して再生するデメリット』が存在しており、グレンバーンが突き刺さっている状態では再生能力が打ち消されているのだ。

引き抜こうにもアーサーの連続攻撃に邪魔され、盾に宿した死に対する恐怖心を倍増させて動きを鈍くさせようにも器用に躱す彼には不可能だった。

 

「まだまだ行くぜっ!」

『くそ……たれがあああああああっっ!!』

 

 

 

 

 

デッドは一度勝利したはずの相手に追い詰められていた。

黒い剣を振るって攻撃を浴びせようとするが、ギアルは武器であるギアルショットガンでそれを受け流し、銃弾を叩き込む。

自身の不死性が鈍くなっていることに対して、彼は今まで出したこともない焦りの言葉を口にする。

 

『なぜだ、なぜお兄さんの能力が…』

「検索済みだ。お前の能力は自分の死への渇望がモチーフになっている、だったら死なない程度に追い詰めてやれば良い」

 

「前回の時は考えていなかったがな」と自嘲する彼に対して、デッドは苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

『そんな屁理屈で…』

「だが現にお前は追い詰められているっ!!俺の考えが当たっている証拠だっ!」

 

無茶苦茶な意見を語る彼に対してデッドは苦言を呈すが、自分の意見を押し通すように強く断言したギアルは腹部に強烈なパンチを打ち込む。

威力は加減してこそいるが傷と痛みすらも再生するアライブと違い、デッドはダメージが蓄積するようになっている。

 

【RIDE UP! SOCIAL! タンクを動かせLet's NAVIGATION!!】

「ふんっ!!」

『うおっ!?』

 

タンクモードへと切り替えたギアルはデッドの腕を掴み、振り回してから投げ飛ばす。

同時にアーサーが蹴り飛ばしたアライブが倒れているデッドの方へ転がる。

 

「決めるぞ、門矢君」

「ああっ!!」

【CRITICAL ARTS! COMBO BREAK! DRAGON!!】

【CRITICAL ARTS! FINAL WEAPON! SOCIAL!!】

 

顔を合わせた二人は互いに必殺技のシークエンスを終えると、アーサーは助走つけてから跳躍し、ギアルは両足のタイヤを高速回転させると脚をデッドとアライブに突き出した。

 

「「はああああああああああああああああああああああっっ!!!」」

『『ぐっ、そんな…ああああああああああああああああっっ!!!』』

 

ドラゴンストライクとギアルインパクト(タンクVer)を別方向から同時に受けたデッド・エラーとアライブ・エラーは爆散する。

そこから、人間態である白いスカーフを巻いた黒いスーツと黒頭巾の男性と、左手には四つの眼を持った白いパペット人形が倒れる。

エラーブレスは破損してこそいたがエラーカセット自体は無傷であり、表情こそ分からなかったが楽しそうに笑っている。

パペットの方は死の恐怖に直面したのか絶望に染まった声色でうわ言のように呟いている。

 

「くはははは…!どうやら、お兄さんの目に狂いはなかったねぇ」

『死にたくない、死にたくねぇよ……!!』

「何を言って…っ!?」

 

何かに気づいたギアルがバックステップをすると、銃弾が地面に着弾して煙をあげる。

そこに現れたのはドラグハンター…しかし、その姿はダークヒーローのように洗練された緑のスーツに覆われており、配線のような赤いラインが縦横無尽は知っており、胸部とバイザーにはドラゴンの意匠がある。

 

『迎えに来たぞ。デッド、アライブ』

『…っ!槇村…!!』

 

聞き覚えのある声に、ウェルシュは声を漏らす。

姿の違うドラグハンターにアーサーたちが警戒する中で、気にせず彼はデッドに肩を貸しながら口を開く。

 

『仮面ライダー、よくもレッドゾーンを…と言いたいところだが、生憎と俺には俺の使命がある。邪魔をするならその分お前を叩きのめしてやる』

『待て、槇村っ!その姿は何だっ!?一体何を…』

『アルトリウス、俺はエラーの生みの親だ……作り直したんだよ。エラーの力を引き出すデバイスをな』

 

ウェルシュの問いに、答えたドラグハンターはテープレコーダーと拳銃を組み合わせた変身奏銃『チェンジレコーダーガン』を構える。

 

『また会おう。仮面ライダー』

 

それだけを言い捨てた彼『ドラグハンター・エラー 改造態』は、銃口から高密度の魔力弾を乱射して煙を発生させてその場からデッドと共に姿を消した。

 

 

 

 

 

『……というわけだ。彼は潮田空良、私の教え子の一人で海外にいたエラーの殲滅も担当していた青年だ』

「他にもいたってわけか」

「よろしく」

 

翌日、門矢家ではウェルシュが終えた説明に対して戒が納得したように頷いている中、空良はマイペースに琴音に握手を求める。

彼女がそれに応じながらも、戒は一緒に戦う仮面ライダーが増えたことに内心喜んでいたがウェルシュはあることに尋ねる。

 

『空良。あの時、デッドたちに対して君らしくない反応をしていたが…何かあったのかい?』

「…それはっ」

『いや良い。今の少し無神経だった、時期が来たら話してくれ』

「…ありがとうございます、先生」

 

何も言わずにいた恩師に対して、お辞儀をする中で空良は戒に対して振り向く。

 

「これからはよろしく頼むぞ、後輩」

「こちらこそ、先輩♪」

 

改めて、二人は固い握手を交わしたのであった。

 

 

 

 

 

そのころ、ドラグハンターたちが使用しているアジトではある出来事が起こっていた。

リーダーのドラグハンターと救済の審判を務めるミケネ、ユグドラシル少なくなったメンバーに寂しさを感じながらも、デッド&アライブはある物を渡される。

ある物…チェンジレコーダーガンを受け取った彼はまじまじと興味深そうに見つめており、手渡した本人であるドラグハンターはユグドラシルに尋ねる。

 

「良かったのか、ユグドラシル?お前の分も作ったのだが…」

「構わないわ。私にとってこの力は子どもたちを救うためのものだから」

『ニャッハッハッハ』

 

彼女の言葉に納得したように笑っている間に、デッドは自身の本体であるエラーカセットを起動させる。

 

【DEAD・ALIVE!!】

 

そして、紫色のボディに赤と緑の配線が散りばめられたチェンジレコーダーガンにセットすると待機音声が鳴り響く。

 

「『憑鎧』」

 

短く呟いた彼は銃口を己の頭部に向けて引き金を引いた途端、異なる電子音声が鳴り響く。

 

【HEARLING UP! DEAD&ALIVE! BREAK YOUR BODY!!】

 

新たな姿へと変えた彼を見て、ドラグハンターとミケネは不気味な笑みを零すのであった。

To be continued……。




 デッド&アライブエラーと因縁のあるギアルこと空良は検索アプリとナビゲーションアプリの二つの力を切り替えて戦う仮面ライダーです。
 変身する際には専用バイクのマシンユニバースがプロテクターとなって装着することになります。
 ついでに色々なフラグをたてましたが多分何とかなると思います。
 ではでは。ノシ

マシーン・エラー ICV中村浩太郎
神宮博士がネオエラーカセットによって融合した姿。名前の通り、機械仕掛けのようなボディを基本に、左腕の赤いアーマーとアームと両肩のキャノン砲が装備されている。
左腕のアームを使った格闘戦を得意としており、アームを射出して遠くの敵を攻撃する能力を有している。またキャノンによる砲撃も得意とする。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。