仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

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 サモン編の後編です。今回はサブタイトルの通り、スーパーヒーローがゲスト出演します。誰かはお楽しみに。
 そして、今回はオリジナル・エラーが少しだけ登場します。
 それでは、どうぞ。


COMBO27 マジェンタ×スーパーヒーロー

アーサーの放った二撃目がサモン・エラーへと向かう…しかし、その攻撃が届くことがなかった。

 

「何っ!?」

 

黒い剣がその打撃を防ぎ、アーサーの拳を弾き飛ばしたからだ。

強烈な勢いに押され、地面を踏ん張って耐える。

そこに現れたのは二体の怪人だった。

二体の内一体は水色のモノアイが特徴の右半身が白で左半身が錆びた金色でカラーリングされており、二体目の方はひび割れた赤いモノアイが特徴の右半身が白く左半身が黒くなっている。

二体のエラーは左腕にエラーブレスを装着しておりサモンを守るように立ち塞がる。

 

『悪いけど、このまま倒されるわけにはいかないねぇ』

『オラ、さっさと逃げろっ!』

 

黒いエラーは自身の半身と同じ、細かい刃がある黒い剣を肩に担いで口を開いている間に金色のエラーは白い盾を構えながら尻もちをついているサモンに指示を飛ばすと立ち上がった彼はそのまま逃走を開始する。

「待て!」と後を追いかけようとするがそれを二体のエラーが邪魔をする。

 

『君が日本の仮面ライダー君だろぉ?初めまして、お兄さんはデッド・エラー、そして…』

『アライブ・エラーだ。覚えておいてもおかなくても構わないぜ』

 

黒いエラー…『デッド・エラー』と金色のエラー『アライブ・エラー』はそう名乗りをあげてアーサーと対峙する。

対するアーサーも拳を構えており何時でも迎撃のタイミングを狙えるようにするが不意にデッドが構えを解いた。

 

『まっ、今回はただの気まぐれ。お兄さんたちと戦うのはまた今度にさせてもらおうかなぁ』

『…てことだ。じゃあなっ!!朴念仁野郎っ!!!』

 

アライブがそう叫んでエネルギー弾を飛ばして、アーサーたちの視界を奪うとそのままと姿を消してしまった。

新たな幹部格が現れたことに警戒しながらもアーサーはミラージュカセットを抜き取りそのまま変身を解除した。

 

『新たな幹部エラーか、手強いぞ戒』

「ああっ、でも…」

 

一先ずは逃げたサモン・エラーのことを優先して、再度スマホに保存しておいた事件現場の写真を順々に調べる。

そして、彼の言動を脳内で再生させる。

 

「マジェンタ、寄こせ…」

 

そもそも、なぜサモンは自分たちを襲ったのか…マジェンタが欲しいなら雑貨店なりデパートなりを襲って手に入れれ良いだけの話だ。

しかし、彼は絵の具を持っている様子がない自分たちを襲ってきた…だとしたら。

 

「犯人にとって、マジェンタはただの色の一つじゃない」

 

そう呟いてから、次の思考へと突入する。

犯行時間は基本疎らだが全て夜の十時や深夜に行われている、その内の現場には若者が集まる場所もあるため少なくとも壮年の男性ではなく十代から二十代の人物で一人暮らし。

もし家族や恋人がいるのなら、誰かがそれに気づくはずだし時間を統一させるはずだ。

そこまで考えて、戒は千歳に連絡を入れる。

 

「千歳、頼みがある…リアと協力して調べてくれないか……」

 

彼からの頼みを聞いた千歳はリアと共にすぐに『ある人物』の情報を調べ上げる。

そしてその数分後、到達した情報を戒に伝える。

 

「……そうか、だとしたらサモンの正体は」

 

二人の情報によって完全に事件の全貌が見えた戒は「ありがとう」と彼女に感謝の言葉を口にすると候補生たちを呼ぶ。

 

「…あれ?風魔は何処行った」

「えっ、確かさっきまでは私たちと一緒に…」

 

土方がそう口にした途端、彼女のスマートフォンに着信が入る。

慌てて画面を見ると、それは風魔からの着信でありすぐに通話をする。

 

「風魔っ!今何処にいるのですか!」

『声が大きいって!それよりも教官君に伝えて…エラーがいたんだって!』

「なっ、待ってください!どういうことですか!?」

 

どうやら、アーサーがデッドたちと対峙している間に風魔は逃走したサモンの後を追い始めていたらしくサモンのアジトを特定したらしい。

慌てて土方は戒にそのことを伝え、電話を彼に手渡す。

 

「場所は何処だ?」

『えっと、結構寂れているから多分廃工場だと思うけど…あっ!『✕✕工場』って書いてあるっ!!』

「よし!独断行動に関しては後で説教するがナイスだ風魔っ!!」

『えへへ///』

 

戒の言葉に風魔は照れ臭そうな声を出す。

そんな中、戦闘を終えて眠っていた清明が急に目を開けると戒が持っていた土方のスマホをひったくるように奪う。

 

「…風魔っ」

『あれ?清明、どうしたの一体…』

 

風魔の言葉が鈍い音と共に途切れ、そして通話が終了する。

清明は珍しく焦った表情で戒の学生服の裾を掴む。

 

「風魔が…危ないっ」

「どういうことニャッ!?」

「もしかして、清明ちゃん…見たんですかぁ?」

 

村正が動揺する中、清明は菖蒲からの問い掛けに首を縦に振る。

清明は予知夢の能力者であり、その内容は彼女が眠っている間ランダムに起きるのだ。

しかしその内容は断片的でありありきたりな日常やバカバカしいものが大半なのだが今回は仲間の危機に関する夢を見たのだ。

しかし、それを事前に彼女から聞いていた戒は息を深く吸って気持ちを落ち着けながらも琴音に美海の連絡を任せ、風魔がいるであろう廃工場へと目指した。

 

 

 

 

 

サモン・エラーは気絶させた風魔を担ぎながら誰もいない廃工場の中へと歩を進めていた。

周囲には廃棄となっている塗料や絵の具が大量に積まれており元々それに関する工場だったのだろうが彼は気にせずに内部へと進む。

もう少し奥まで進もうと足を進めるが鉄臭い機材の臭いに思わず顔をしかめてしまう。

そして、彼の脳内に過去の記憶がフラッシュバックする。

 

――――「何やってるのよ!マジェンタがなくちゃ完成しないでしょ!!この下手くそっ!真面目にやりなさいっ!!」――――

――――「やっぱり、あんたはパパに似たのよ。あのろくでなしにっ!!」――――

――――「ママ?マジェンタがいっぱい出てるよ?……ママ?」――――

『あっ、あぁ…あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!』

 

忌まわしい、思い出したくもない記憶にサモンは何度も何度も頭を地面にぶつける。

しかしそれでも映像は断片的に映し出される。

何度も何度も酷いことをする大好きなママ、寒いのに外に出されようとする自分、そしてカッターナイフをママに突き立てる度に流れ出る『マジェンタ』…命乞いをするマ…。

 

『…ちゃん……僕ちゃんっ!!』

『っ!!?』

 

エラーカセットの鋭い声に映像がなくなり、同時に周囲には自分の頭部から流れ出るマジェンタが流れ出している。

 

(そうだ、ママはここにいる……あれはママじゃなかった。そうだ、ママはここにいるんだ……!!)

 

荒い息を繰り返しながらそう繰り返したサモンは地面に染み渡るマジェンタを舐め取ろうとするがそれを制したのは他でもない、エラーカセットの人格だ。

 

『駄目よ、それじゃ理想の色は出せないわ』

『じゃあ、どうするの?』

『だから彼女を捕まえたんじゃない』

 

優しいその声に視線を向けた先には、マジェンタがいっぱい詰まっている少女が横たわっていた。

 

 

 

 

 

「ん、んぅ……」

 

意識を取り戻した風魔は痛みが走る頭を抑えながら周囲を見渡した。

確か、自分はエラーの居場所を突き止めてそれで……。

そこまで分かった途端、慌てて周囲を調べる…内部からして恐らく廃工場の内部だろうがサモンがいる気配がない。

自分の失態に風魔は唇を噛み、悔しさを露わにするがすぐに思考を切り替えると廃工場から逃げ出そうとした時…。

 

「あれ?君は確か…」

「あっ!夢見さん」

 

現れたのは戒の依頼人だった青年、夢見謙一であり頭を抑え朦朧とした意識のまま風魔を見つけるなり声を掛ける。

一方の風魔も顔見知りの人物に出会ったことで安堵するが、なぜかここにいる彼に疑問を抱く。

 

「あの、夢見さんはどうして?」

「いや、俺も気が付いたらここにいて…それに頭や顔が痛くて」

 

そう言いながら彼は一番痛むであろう頭部を抑えており、嘘をついている様子はない。

落ちこぼれだが曲がりなりにも忍である風魔は彼と行動を共にする。

しかし、道中は何事もなく…それどころかサモンの気配すらないため彼女も「逃げちゃったか」と少し表情を暗くさせるがやがて廃工場の入り口が見え、同時に戒たちが姿を見せる。

 

「風魔っ!」

「教官君!ごめん、あたし…」

 

風魔が謝罪の言葉を口にするよりも早く、戒の蹴りが夢見の身体を蹴り飛ばした。

吹き飛ばされた彼の身体は少しだけ宙に浮くとそのまま塗料が積み込まれている箱に激突する。

突然のことに彼女は混乱するが戒は気にせず夢見の方を見る。

 

「あぁぁぁぁ…痛いっ、痛いよぉっ!!ママァッ!!痛いよぉっ!!!」

 

彼は蹴られた箇所を抑えてのた打ち回っており、その付近に彼が持っていたであろうカッターナイフが落ちている。

やがて、彼がゆっくりと立ち上がり涙を流しながら叫ぶ。

 

「ママァッ!!こいつらが僕をいじめるよぉっ!!僕はマジェンタが欲しいだけなのに、痛いよぉ!」

 

好青年の面影は見る影もなくなっておりまるで子どものように泣き叫ぶ。

その狂気じみた様子に風魔は怖気が走るが…。

 

「ああああああ!…あれ?門矢君、それに手伝ってくれた子たちまで…助けに来てくれたのか!重ね重ね本当にすまない。今度何か…」

 

急に動きが止まると、夢見は最初に出会った時のような穏やかな物腰で話しかけてくる。

先ほどまで泣きわめいていたにも関わらず知らないように振る舞う。

しかし。

 

「ママッ、うん…大丈夫だよ。それにほら、いっぱい来たよっ!あそこにね、マジェンタがたっぷり詰まっているんだよ!前もそうだったんだ」

 

また子どものような言動をする彼に、風魔は困惑し…予め戒から説明を聞いていた土方たちも絶句している。

やがて、戒が口を開いた。

 

「夢見謙一は…多重人格者だ」

 

その単語に風魔は反応する。

『多重人格』……よくテレビや漫画で聞いたことがあるが一人の人間の中に複数の人格が眠っているというものだったはずだ。

しかし、それが作り話だと思っていた風魔にとってそれは衝撃的な話であり簡単に受け入れられる話でもなかった。

戒もそれが分かったのか全員に説明するように言葉を続ける。

 

「詳しくは分からないが、幼いころに壮絶なトラウマ体験によってその部分だけ記憶を切り離して全体を保護する副人格が生まれる…それが多重人格だ。まさか、『副人格にエラーカセットを渡す』とは思わなかったけどな」

『あるいは、エラーカセットを起動した瞬間にトラウマが掘り起こされて副人格が誕生したか…だが』

 

ウェルシュは夢見を見るが、当の彼はぶつぶつと呟きながらポケットからエラーカセットを取り出した。

 

「マジェンタを寄こせえええええええええええええええっっっ!!!!」

【LOADING…GAME START…】

「くっ、変身っ!」

【RIDE UP! DRAGON! 牙の連撃!RED KNIGHT!!】

 

スイッチを押して起動させると、夢見の身体は魔力へと包まれてサモン・エラーへと変貌し、戒もアーサーへと変身する。

そして、激突した衝撃で散らばった塗料と絵の具をかき集めて自身の身体へと取り込んでいく。

そして、頭を強く振り始めると白い雲が分離して人の形を作っていくとその姿を確立させていった。

それは赤い帽子に青いオーバーオール、小柄な体型をしているが立派なヒゲがトレードマークのそれは白い手袋と茶色いブーツを装着している。

 

「イヤッフー!!」

「……マリオ?」

 

声を出したその『妄想』にアーサーは驚いたように仮面の下で呆然とした表情となる。

マリオ…『ミスター・ニンテンドー』・『ミスター・ビデオゲーム』の異名を持つ言わずと知れたスーパーヒーロー。

デフォルメチックな見た目と紙のような見た目から恐らく『ペーパーマリオシリーズ』だろう。

今までの戦闘でも分かっていたが、どうやらサモンはマリオシリーズに強い思い入れがあるらしい。

唖然としているアーサーに対してサモンのエラーカセットはマリオに対して指示を飛ばす。

 

『さぁ、奴らを地べたに這い蹲らせなさい!!』

『やっちゃえっ、マリオッ!!』

 

サモンの言葉に、アーサーは思わず身構えるがマリオは微動だにせずただ黙って彼らを交互に見る。

それどころか、構えすらもしない。

 

『命令よっ!!』

 

苛立ったようにエラーカセットの人格が身体の主導権を一時的に握ると彼の肩に手を置こうとするが、それを払い木製のハンマーを構えるとそのまま思い切り殴り飛ばした。

殴られたサモンは召喚した長槍で防ぐが勢いを殺し切れず、後退する。

 

『まさかっ、私たちに歯向かうのっ!!召喚された紛い物の分際でっ!!?』

 

ヒステリックに叫ぶサモンたちを無視してマリオはこちらまで走るとアーサーに手を差し出す。

その行動にアーサーや風魔たちは驚くもすぐにその行動を理解した。

 

「一緒に、戦ってくれるのか?」

「……」

 

その言葉にはっきりと頷いたマリオに対して、アーサーは喜びを露わにしその手を握り返した。

そして、マリオがサモンの方を向いて対峙するとアーサーたちも目の前の敵へと視線を向けた。

 

「お前の物語、ここで終わらせるっ!!」

『僕の、僕のマリオを返せええええええええええええっっっ!!!』

 

自分の召喚した存在が歯向かってくる事実にサモンは怒り狂ったように地団太を踏むと頭を激しく振って現れた大量の雲からガンマン、侍、兵士などなどグチャグチャの色が混ざった軍団を召喚する。

そして、大量の軍団と七人の戦いが始まった。

まずはガンマンがライフル、マグナムなどの銃器をそれぞれに構えて風魔と村正目掛けて一斉放射をするが忍転身をした風魔はそれを躱すと、手裏剣を投擲してガンマンたちを一掃するが身体が欠損したにも関わらず銃撃しようとする。

 

「甘いニャッ!!」

 

同じく忍転身をしてスクール水着のような紺色の装束に着替えた村正がメカニックな手甲を振るって吹き飛ばす。

吹き飛んだ瞬間を見逃すことなく、風魔は鎖で拘束して凄まじい回転をする手裏剣で一刀両断した。

 

 

 

 

 

場面は変わり、身の丈以上の刀を振り下ろす侍に対して…西洋騎士を彷彿させるような赤と白を基調とした忍装束の土方はハンマーを器用に操って攻撃を防ぐ。

重い一撃を得意とする彼女だが、防御に関して広報性の中で随一であり相手の攻撃を中々通さない。

痺れを切らした侍が刀を振り下ろそうとした時だった。

 

「それっ!!」

『ギッ!?』

 

後ろから飛び出した菖蒲が忍転身を行い、白いワイシャツと赤いスカートの装束に変わったと同時に攻撃の隙を狙うように飛び蹴りを叩き込み、そのままコンボを続けるようにストレートジョブを入れてダメージを蓄積させる。

 

「これで、止めですぅっ!!」

『ギィッ!!』

 

ストレートキックを叩き込まれ侍はよろめいて後退し、残りの侍たちも襲い掛かってくるが土方が地面を思い切り叩いて地面から浮き上がらせると、薄い緑色のパジャマのような忍装束の清明が寝ぼけた眼で標的をロックオンする。

 

「……シュート」

 

その呟きと共に、ランチャーから射出された大量のミサイルが侍たちを一掃させた。

そして近くで戦っていたアーサーたちの方にも決着が着こうとしていた。

マリオは大量に襲ってくる兵士たちの攻撃を躱すように高く跳躍すると頭を踏みつけるように次々と蹴散らしていく。

アーサーは脚力強化で相手を蹴り飛ばしていき、グレンバーンで相手を斬り捨てながらも着実に兵士を消滅させる。

そして、マリオは水色のブーツを模したバッジを胸元に装着し武器を振り下ろした兵士を思い切り踏みつけると、エフェクト共に兵士は消滅する。

そして、バッジ『ガツーンジャンプ』を外すと今度は紫色のハンマーを模したバッジ『ドカーンナグーリ』を装備して後ろにいた兵士の攻撃を受け流すとがら空きになった背後目掛けて殴り飛ばした。

殴られた兵士は弾丸のように吹き飛び、残りの兵士を巻き込み壁に激突したと同時に消滅した。

 

『どうやら、精密な設定がないと召喚した物体の力が完全に再現されないみたいだな』

「何にせよ、これで止めだっ!!」

 

護りが手薄になったサモンに一瞬で詰め寄ったアーサーは彼の顎を蹴り上げてからラッシュを叩き込む。

そして、冷気を纏った踵落としを浴びせてからヤクザキックで蹴り飛ばした。

 

『あっ、あぁ…』

『やめてっ、これ以上この子を……』

「すぐに解放してやるっ!!」

【CRITICAL ARTS! COMBO BREAK! DRAGON!!】

 

緑色のボタンを押して炎を纏って跳躍したアーサーを見たマリオは跳躍して自身のペラペラな身体を利用してドリルのように変形させるとやがて一つの必殺技を生み出し、落下の勢いを殺さずに突撃を開始した。

 

「いけええええええええええええええええっっっ!!!!!」

『ぎゃあああああああああああああああああああっっっ!!!』

 

奇跡の必殺技『ミラクルアクション』をまともに受けたサモン・エラーは断末魔と共に爆散し、気を失った夢見と砕けたエラーカセットが残った。

両者が地面に着地すると、身体を元に戻したマリオは苦しげな表情を見せる夢見に駆け寄り優しく頭を撫でる。

すると、彼の表情が何処か安らかな表情へと変わったのを確認すると自分の身体が淡い光に包まれていく。

恐らく創造主を倒したことで自分も元に戻ろうとしているのだろう、最後に自分と同じヒーローに振り向き…。

 

「ヒュイゴー!」

 

自分が話せる最大限の激励の言葉を喋ると、アーサーは嬉しそうにサムズアップをする。

それを見たマリオもサムズアップをするとそのまま消滅していった。

 

 

 

 

 

夢見謙一は幼少時、両親が喧嘩の末に離婚し彼は母親に引き取られるようになった。

芸術家でもありエリートでもあった彼女は旦那の面影がある彼に暴力や暴言…所謂DVを行っていたらしい。

だが、それに耐え切れなくなった彼はカッターナイフを振り回し実の母親を亡き者にしてしまったのだ。

当時の小学校の担任が様子を見に来た時、彼は呆然とした表情で「マジェンタが出てる」と呟いていたらしい。

子どもの犯行と数々の虐待から同情も集まり、裁判になることはなかった。

その後は、本人もその記憶を喪失し普段通りの生活を送るがふと目にした絵画ポスター…マジェンタに染まったイラストと渡されたエラーカセットによって虐待を受けていたことで生まれた小さなトラウマが副人格となり、エラーとして暗躍をしていたのだ。

自分の思い描いた妄想で喜んでいた、両親のことを思い出しながら……。

 

「はぁ……」

 

もやもやする感情を胸の中に押し留め報告書を書き終えた戒はファイルを棚にしまい、どうするか考えを切り替えた。

 

「これが、幼少時の戒の写真です。それでこれが小学生に上がった時の写真でとてもとても可愛くて…」

 

アルバムを見せて延々と語っている美緒をどうやって退散させるか、だ。

候補生たちと共に自宅と琴音の家に描かれた落書きの洗浄が終わると、美緒が徐にアルバムを取り出して自分の過去を話し始めたのだ。

おまけにそれに対して全員が興味津々(土方と菖蒲は鼻を抑えていたけど)なので自分の意見が素直に通るとは思えない。

そして、自分の黒歴史も段々と暴露され始めたのだ。

 

「ちなみに、戒はこの時おね…」

「言わせねぇよっっ!!?」

 

世話の焼ける、それでも優しい母親に対して鋭いツッコミを入れるのであった。

To be continued……。




 サモン・エラーの出番はこれで終了です。エルミンさん、素敵なエラーを本当にありがとうございました!
 そして、最初に登場したデッド・エラーとアライブ・エラーの二体で一組のエラーは麦蕎那支さんからいただきました!麦蕎那支さん、誠にありがとうございます!幹部の方はキャラクター紹介で追記させていただきます。
 今回は半蔵学院の候補生たちを出しましたが次は誰を登場させようか考えています。楽しいなー(笑)
 それでは、また次の機会に。 ではでは。ノシ

サモン・エラー CV鈴村健一・坂本真綾
エルミンさんからいただいたオリジナルエラー。モチーフは『絵師』・裏モチーフは『指揮者』
「夢見謙一」の副人格が『思い描いた妄想を現実に出したい』と言う欲望で融合変身した。指揮者のような白いスーツの上に、モザイク風のカラフルな汚れが付着した白いエプロンを着用しており雲のような白いアフロを被っている。カラフルなモノアイも特徴。
頭を振ることで妄想した物を「召喚」して己の力として使役する。妄想や設定が精密でハッキリしていればいるほど、召喚されるものにも正確に反映される。ただし、本体の戦闘力は特別高くなく、護身程度でしかない。

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