仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

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 本編は一休みして番外編です。今回は小学生時代の戒のお話です。特に語ることもありませんが、「こういう子だったんだな」と思いながら読んでみてください。
 ちなみに今回の話で戒や琴音たちのセリフに平仮名を多用していますが意図的です。短いですが、どうぞ。


ANOTHER COMBO3 憧れ×目覚め

母が買ってくれたお気に入りの洋服を来て、父から買ってくれたお気に入りのシューズの紐を結ぶと戒は兄の御下がりであるリュックを背負う。

そして、玄関まで見送りに来た美緒と桜花に笑顔を見せる。

 

「行ってきます!おかあさん、おばさん!」

「いってらっしゃい」

「みんなと喧嘩しちゃ駄目だよ、カー君」

 

二人の言葉に元気よく頷くと戒はドアを開けて外へと出かけて行った。

ドアが閉まったのを確認すると、桜花は笑みを保ったままリビングに戻ろうとするが膝と両手を床につき明らかに落ち込んでいる様子の美緒に肩を貸す。

 

「ほら美緒ちゃん、しっかりして」

「だって、心配じゃないですか。あの子が外泊するなんて…」

「両備ちゃんたちのお家の御泊り会でしょ?両姫ちゃんもいるし大丈夫だよ」

 

「しかし」となおもぶつくさ言う美緒を引きづりながらリビングにあるソファに座らせると自身もチェアに腰を掛ける。

 

「可愛い息子が私の手を離れて、なおかつ余所の場所で泊まることに抵抗があるんですよ、私は」

「そう言えば礼司君の林間学校の時も変装して同行しようとしたよねー、真希奈ちゃんと一緒に」

「美海と士さんに妨害された挙句、叱られました…理不尽です」

 

そんな親友同士のやり取りをしていると、ふと桜花が疑問に思ったことを口にする。

 

「そう言えば、礼司君は?」

「部活ですよ、基本的に中学は部活動が義務付けられているそうですから」

 

手元に置いてあった推理小説の文庫本の活字に目を通しながらそう答えた美緒に「ふーん」と納得するがその時、ある言葉を口にした。

 

「彼女とかいないのかな?」

「……は?」

 

途端、空気が凍るが当の本人は気にすることなく話を続けていく。

しかも地雷を無自覚に踏みながらだ。

 

「だって部活動ってことはさ、必然的に女子と交流することになるじゃん?写真部だったよね確か…可愛い子が多いって評判だよね?」

「噂はあくまで噂でしょう?それにあの子は真面目ですから邪な誘惑に流されたりしませんしそもそも認めませんし礼司はまだ未成年ですし大体…」

 

最初はゆっくりと、しかし段々と早口になって行き終いには無駄に綺麗な滑舌によるマシンガントークへと変わっていく。

「本当に美緒ちゃん面白いな」と思いながら桜花はテーブルに置いてあった某週刊少年誌を読むのであった。

 

 

 

 

 

目的地…両姉妹の自宅に辿り着いた戒は息を切らすが何とか呼吸を整えるとインターホンを鳴らした。

 

「はーい…あらあら、戒君。いらっしゃい」

「こんにちわ、両姫おねえちゃん」

 

迎えてくれたのは両備と両奈の年の離れた姉である両姫…学校から帰ったばかりなのかブレザータイプの中学服を着ており灰色と黒のチェックスカートを揺らして優しい微笑みを見せる。

そのまま玄関で靴を脱ぐと両姫に案内されるままリビングへと足を踏み入れた。

一般的な内装だったが質素ながらも何処か女の子らしい雰囲気に落ち着かなくなってしまう…改めて感じる女子に緊張しているのだがまだ子どもである彼には分からなかった。

 

「戒君の家とはちょっと狭いわよね、ごめんなさいね」

「う、ううんっ!全然そんなことないよ!こっちこそゴメン!!」

 

申し訳なさそうに笑みを作る彼女に慌てて謝るとその動きが面白かったのか「ありがとう」といつもの優しい微笑みを浮かべた。

胸を撫で下ろすが、あることに気づく。

 

「琴音たちは?」

「三人とも遊びに行きましたよ」

「何だよ、ぼくだけのけものにして」

 

自分を置いて遊びに行ったことに文句を言いそうになったが目の前に両姫がいるため出そうになった続きを飲み込むと戒はリュックを下ろすと、当時話題になったゲーム機PS○を取り出して起動する。

両姫はカチカチとゲームをプレイする戒の手元を興味深そうに眺める。

 

「何ですか、これ?ドラゴンを狩ってますけど…」

「っ?ゲームだよ。両姫おねえちゃん知らないの、ドラハンX」

「バイトや勉強してると、こういうのに疎くなっちゃって。ファミコンの仲間?」

「古っ!!」

 

彼女の発言に戒は思わずツッコミを入れてしまう、祖父母の家でしか見たことないような骨董品が両姫の口から出るとは思わなかったからだ。

嫌な予感がしてきた戒は恐る恐る尋ねる。

 

「い、一応きくけどさ、ツインファミコンとかって…」

「知ってますよ。ファミコンとディスクシステム両方のゲームで遊べるハイテクゲームですよね」

「だから古いよっ!じゃあ、アイドルの曲は?」

「……硝子の少年とkissから始まるミステリー?」

「古いっ!古い以前にぼく知らないよっっ!!」

 

あまりにも古臭い両姫のチョイスをしながらも、最近のゲームに興味が湧いた彼女にゲームを教えるのであった

ちなみにその数時間後、ダブルスクリーンで話題になったゲーム機DSでリメイクされたマリオに夢中になっていたことは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

「おねえちゃん?両姫おねえちゃん?」

「すぅーすぅー……」

 

ソファに寝ていた両姫に声を掛けるが聞こえてくるのは彼女の穏やかな寝息だけ。

身体ごと振り向くと、戒の考えていた通りソファの上で横になって眠っていた。

 

(…やっぱり、疲れてるのかな?)

 

眠っている両姫を見ながらふとそんなことを考える。

両備と両奈から聞いたが、家事は全て両姫が行っており親せきからの援助はある物のバイトをしたるだけでなく勉強も優秀なことから欠かしていないのだろう。

中学生とは思えぬ彼女のハードスケジュールに危惧した美緒や桜花は彼女たちを食事会に誘ったりいらなくなった備品などを渡しているのを見たことがある。

それに、カレンダーにも「りょうびの日」など書かれていることから二人も負担を掛けないよう手伝ったりしているのだろう。

「それなら」と戒は何も言わず、彼女を労ろうとゲームに没頭することにした。

そして数分後……。

 

「……あきた」

 

DSの電源を切るとそう呟く、いくらゲームが好きでも一人で遊ぶには限界がある。

「漫画でも読もうかな」とリュックに詰めておいたコミックスを取り出そうとした時だった。

 

「んぅ……」

(……やっぱり、おっきいなぁ)

 

漫画に目を通しながらも、戒は横目でちらちらと彼女を見る……中学生にしては均整の取れたスタイルとスイカのような胸、そしてミニスカートから伸びる長く白い脚。

その光景に思わず生唾を飲んでしまう、普段から綺麗だとは思っていたが眠っている彼女は一層美しく見えたのだ。

脚をもぞもぞと動かしている両姫を見て悪戯心が湧いた戒は漫画を置くと周囲を挙動不審に見回し、太ももに指を伝わせてみる。

ハリのある柔肌に気分が高ぶるのを感じると、今度は彼女の頬を指で優しく突く。

人差し指から伝わる柔らかい感触に味を占めたのか今度は黒く艶のある長い髪に触れる。

綺麗な髪に指を通す度、鼓動が速くなっていくと「んぅん」と身体を動かした。

驚いた戒は足早に距離を取って警戒するが、寝返りだったらしくそれ以外の行動をしなかった。

しかし、その際ブレザー越しでも分かる大きさの胸が揺れると彼の目はそこに奪われる。

 

(……ち、ちょっと、だけ…なら)

 

ほんの少し、軽く触れるだけ……。

自分にそう言い訳しながら戒はゆっくりと手を彼女の胸に持っていくと腫れ物のように触れる。

途端、柔らかい胸の感触が伝わってくる。

 

(っ!?や、柔らかい、両姫おねえちゃんの胸…すっごく柔らかいっ!!も、もうちょっとだけ、もう少しだけなら……)

 

両姫に抱きしめられていることで今までその感触を味わうことはあった。

しかし、自分の手から伝わってくる弾力は身体が熱くなったような妙な感覚を覚えていくと同時に鼓動が早鐘を打つ。

そこから戒が手を動かすようになるのに時間は掛からなかった。

 

「ふぅっ、んんっ、すぅー…」

「ん……(何か、変な気分に)///」

 

身体が落ち着かなくなってくる熱に戒は恐怖と興奮を感じるようになる。

しかし、それでも掌は両姫の胸を掴んで離さない。

 

「んぅ、んっ、んぅんっ…」

 

弾力のある胸の感触に顔は真っ赤に染まっており自分で自分を制御出来なくなってくると次第に罪悪感が湧き上がってくる。

それでも、両手を動かすことを止められないし止まらないのだ。

 

「はぁぁ…両姫おねえちゃぁん……///」

 

体感したことのない、自分の知らない感覚に涙目になり切なげな声を漏らすと、眠っている無垢な両姫のブレザーのボタンを外そうとした時だった。

 

「「「ただいまーっ!!」」」

「っ!!??!!!!?」

 

三人の元気な声が聞こえた途端、急速に熱が冷めたのを感じた。

慌てて、消したDSに電源を入れて『今までゲームで遊んでいた』のをアピールすると両備、両奈、琴音が顔を見せる。

 

「あ、カーくんっ!やっと来たんだ!」

「きいてきいてー!今日りょうなちゃんたち、お買いものしたんだよっ!」

「ほらっ、あんたのアイス。か、感謝しなさいよね!///」

 

若干頬を染めた両備に手渡されたのはアイスの入ったコンビニ袋、「ありがと」と言うとアイスの封を破ってソーダ味のそれに被りついた。

アイスの冷たさに頭を痛めていると両姫が目を覚まし一度あくびをすると、寝ぼけ眼で微笑む。

 

「ふぁ…あら?お帰りなさい。両備ちゃん、両奈ちゃん、琴音ちゃん」

「ただいま、ねえさん」

「たっだいまー!」

 

両備が笑って、両奈は飛びついて両姫の胸に顔を埋めると彼女はくすぐったそうに微笑んで抱きしめる。

その光景を見ていた戒は一瞬だけ頬を染めて顔を横に向けた。

両姫と一緒に遊んだり夕飯を食べたりして楽しいお泊り会となった。

そして肝心の戒だが……。

 

「んぅ……おねえちゃん///」

 

家に帰って来てからも、眠るたびに両姫のことを思い出すようになり、そこから琴音などの同年代の異性にも過剰に意識し一時期赤面症になった。

この体験が後々、戒の好みになったのは言うまでもない。

そして…。

 

「カー君があんなことするなんて…は、はれんちだよ///」

「あいつ、何でりょうびたちには無関心なのよ…!」

「りょうなちゃんもカーくんに触れられたいなー」

 

三人は一部始終を見ており、尊敬する姉に悪戯していたことと自分たち以外に頬を染める幼馴染に嫉妬していたが琴音は牛乳を飲むようになり、両備は両姫に忍転身を教示してもらい…両奈は戒の前では少しだけ猫を被るようになった。

なお、まったくの余談だが……。

 

「どうしたんです、戒?」

「すぐ顔が赤くなっちゃうの、どうしたら良い?おかあさん」

「そうですねぇ……じゃあ、これで耐性を着けましょう」

「……『ドキドキクライシス』?」

 

戒が美少女ゲームにのめり込むきっかけを作ったのは別の話である。




 以上、美しい思い出でした。これが原因となって「胸の大きい年上の大らかなお姉さん」がカー君の好みとなりました。
 ちなみに両姫さんは気づいていましたが「男子だから」とスルーしてくれました。
 ではでは。ノシ

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