仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

43 / 67
 GW最後の投稿です。今回から活動報告で募集してくれたオリジナル・エラーが登場します。そして、今回は子どもっぽい三姉妹の末っ子のお話…それでは、どうぞ。


NORMAL COMBOⅡ
COMBO21 ツン×デレ


突然だが、華風流には気に入らない男がいる。

その男のことを考えただけでイライラするし、胸の奥が締め付けられる感覚がする。

おまけに、彼の話題が自分以外の口から出ただけで機嫌が良い日も最悪な日へとシフトチェンジしてしまう。

それもこれもあの男……『門矢戒』のせいだ。

彼を特別意識するようになったのはカグラ千年祭で自分の身体を抱えられた時…あの感触を今でも覚えている。

華奢ながらも鍛えていることが分かる身体と少女を彷彿させる端正な横顔、その時の自分はさながら王子様に救われたお姫様だったのかもしれないと、自分の考えとは思えないほど浮かれていた。

 

「……はぁ」

 

ため息をつく…こんなにも調子が悪いのも子どもらしい考え方をするのも全部「あいつのせいだ」と内心毒づきながらも華風流は箸を進めていた。

今は夕食時間であり、この日の当番は自分だったが美味しく出来ている。

そんな自己評価をしていると、ふと姉の一人である華毘が落ち着かない様子で食事をとっていることに気づく。

何か話したい様子だったが食事を優先するかどうか迷っているのだろう…呆れた様子で華風流は話しかけた。

 

「華毘お姉ちゃん」

「えっ?な、何すか華風流ちゃん」

「食事終わったら話しても良いから」

 

その言葉を聞いて安堵したのか彼女はようやく箸を進めだした。

 

 

 

 

 

『それの何が不満なんだ、お嬢?』

 

話を聞いていた彼女の契約精霊…イルカの秘伝動物の『ルカ』は疑問をぶつけた。

ルカが聞いた話を要約するとこうだ。

焔紅蓮隊と半蔵学院との旅行を戒から聞いて「自分たちも行きたい」と言い出した華毘が彼と共に今回の旅行を組み立て、そして夕食後サプライズとして発表する予定だったのだ。

……まぁ、自分たちにはバレバレだったわけだが。

そんな話を聞いた彼の問い掛けに華風流はため息を吐いて答える。

 

「私に内緒であのバカと約束したのが気に入らないの。しかもよりによって華毘お姉ちゃんと……」

 

そう、気に入らない。

そして想像してしまう、自分たちの中で一番のスタイルの良い華毘と仲良くしていたという事実が心を乱す。

苛々する……けど明日は早い。

明日着るための自分の中で一番オシャレな服と…なけなしのお小遣いで買った可愛い下着を出そうとした時だった。

 

「随分とお悩みだねぇ、何ならお兄さんが手伝ってあげようか?」

「っ!?…んぐっ!!」

 

突如声が響いた。

姉たちの声とは違う男性の声に振り向いて武器を取るよりも前に口を塞がれて持ち上げられる。

「お嬢!」とルカが迎撃しようとするがあっさりと下されてしまう。

口を塞がれているため悲鳴をあげることも出来ない彼女に対して謎の人物はポケットからエラーカセットを取り出す。

 

「何、これはゲームだよ。君が意中の相手を射止めるための……ね」

 

右手に握らされたエラーカセットの感触に恐怖に近い感情を抱く、そしてそんな思いを相手の人物は無視して起動させた。

 

【LOADING…GAME START…】

 

 

 

 

 

そして、翌日…門矢家では。

 

「えっへへー♪かーい、かーい。んーふふ///」

「…えっと」

 

華風流が戒の胸に顔を埋めて頬をすりすりしていたのだ。

自分の匂いを彼に押し付けるような行為と普段の彼女とは違う様子に混乱するしかない戒は蓮華と華毘の二人に目を向けるが当の彼女たちも困惑した表情を隠せない。

何しろ、家を出るまでは何時もの小生意気な彼女だったのだが戒の家に着くなり抱き締めてきたのだ。

頬を赤らめ、目にハートがあるような錯覚を覚えるほどデレデレしている彼女に少しだけ不機嫌になっている琴音が説得を始める。

 

「ねぇ、華風流ちゃん。カー君困っているから離れよ、ね?」

「嫌」

 

短く一言でバッサリと斬り捨てた彼女に琴音は軽く怒りを覚えるがそれを堪える。

その一方で混乱から抜け出せた戒は華風流を刺激しないよう、優しく言う。

 

「離れてくれない、華風流?」

「えー?んふふ、仕方ないわねー♪///」

 

最初こそ訝しんだ表情を見せたが頬を赤らめた彼女はすぐに離れる、あまりにもキャラが違う妹の様子に蓮華と華毘も恐る恐る尋ねる。

 

「なぁ、本当に華風流か?」

「お姉ちゃんたち怒らないから正直に答えて欲しいっす」

「何?私は私、巫神楽三姉妹の三女華風流。好きな食べ物はチューチューアイス、てか偽物なら気づくでしょ?はい論破」

 

二人の言葉にすらすらと自分の役職と名前、そして好きな食べ物まで言った挙句彼女の口癖まで言われたら流石の二人も本物だと思わらざるを得ない。

「本当に本物なのか」と姉二人が頭を悩まし始めている中、華風流の手にはポッキーの箱を持っており口には一本のポッキーを咥えている。

それを見た琴音はある警戒するが、当の本人は気にせず戒の元へと来ると再び彼の膝へと座りポッキーゲームを強要してくる。

 

「ちょっ…近い近いっ///」

「んー、んー♪」

「華風流っ、好い加減に…」

 

流石に悪ふざけが過ぎる彼女の行動に蓮華が長女として注意しようとした時、突然華風流が苦しみだしたのだ。

すると、華風流の身体が淡い光に包まれると驚くべき現状が起こった。

 

「「「「はっ、はあああああああああああああああっっ!!?」」」」

 

華風流を除いた全員が驚く、流石に家中に響き渡るほどの悲鳴を聞いたウェルシュと…そして魔改造の件で話を受けていたリアと千歳も駆けつけると驚くべき光景に目を見開いていた。

そう、()()()()()()()()()()

 

「ええっ!ぶ、分裂した…まさかっ!巫神楽姉妹は実は四姉妹だった…とか」

「そんなわけないって、私たちは三姉妹だっ!!」

「そうっす!流石にうちもこれだけは分かるっす!」

 

あまりの光景に見当違いの発言をする戒に姉二人はツッコミを入れるが二人の華風流は言い争いを始める。

顔が赤くなっている方の華風流が話を切り出す。

 

「あ、あんた何してんのよ!あ、ああ、あんな奴にべたべたべたべた…気持ち悪いっ!///」

「私は好きだから行動してるだけ。大体、あんたは私だから私の意思はあんたの意思…つまりこれはあんたが望んだこと。はい論破」

「論破してないっ!私はあいつが大っ嫌いなのっ!!す、すす、好きなんかじゃない!///」

「自分を全否定とかwwwwwマジワロスwwwwww」

 

全く同じ声と容姿で言い争う二人だが若干顔を赤らめていない華風流の方が優勢だ。

自分に論破されるとは思っていなかっただろう、目に涙を溜め始めた顔が赤くなっている方が地団太を踏むと自分の服のポケットに手を入れて、ある物を取り出した。

 

「好い加減に黙れえええええええええっっ!!!///」

『っ!?それはっ!!』

【LOADING…GAME START…】

 

ある物…エラーカセットを取り出して起動すると二人の華風流は姿を変えた。

両者共に背が伸びており、女性らしいラインの黒い素体と瞳を閉じたモノアイが特徴的だがエラーカセットを起動した華風流の方は氷柱やシアンカラーが基本デザインのブレザー服を来たエラーに、論破していた華風流はピンクのブレザー服に赤いリボンが全身に巻かれた装飾を持ったエラーへと変貌した。

『コントラスト・エラー クールサイド』は地団太を踏んでから『コントラスト・エラーホットサイド』に掴みかかろうとするが、あっさりと掴まれると外に追い出されてしまう。

 

『えへへー♪ポッキーゲームの続きは後でね///』

 

そう戒に言うと、コントラストHは外へと飛び出してしまった。

呆然としていたが、すぐにウェルシュの声で我に返る。

 

『戒っ!追うぞっ!』

「分かってる!」

 

 

 

 

 

二体のコントラストはビルの屋上で戦っていた。

コントラストCは刺々しい氷を拳に纏わせるとそれを叩き込もうとするがコントラストHはそれを捌く。

勢いをつけたことによって転んでしまったコントラストCはしばらく転がると、地面を拳で殴りながら言葉をぶつける。

 

『あいつに抱き着くなんて頭がおかしいんじゃないのっ!?』

『すごく落ち着いた、それに温かかった///』

『私はあんな奴大っ嫌いっ!!』

『好き好き大好きっ!戒のこと大大だーい好き!!///』

『う、うるさいうるさーーーいっっ!!!!///』

 

起き上がって再び攻撃を仕掛けようとするコントラストCにコントラストHも迎撃しようとした時だった。

 

【RIDE UP! DRAGON! 牙の連撃!RED KNIGHT!!】

『『っ!?』』

 

戒の変身したアーサーがグレンバーンの鞘と刀身を喉元に突き付けていたのだ。

動きの止まった二人にアーサーは言葉をかける。

 

「何があったか分からないけど、とりあえず落ち着けってっ!」

『ちょっと、余計なことしないでっ!』

『えへへー♪私が心配で来てくれたんだ、嬉しい///』

『黙ってなさいよっ!』

「ああ、もう厄介だな…」

 

落ち着かせようにも口喧嘩を始めるコントラストに対してアーサーは頭を抱えそうになる。

しかし、そんな彼の言葉が二体のコントラストを高ぶらせた。

 

『はぁっ!?い、いきなり何言ってるのよっ!!バッカじゃないのっ!?///』

『そんな、まだ昼なのに…恥ずかしいじゃないっ///』

「…はっ?」

 

コントラストCは焦ったように叫び、コントラストHは心底嬉しそうに見悶える。

それに唖然とするのは他ならぬアーサーだ。

自分が言った言葉を思い返してみる……間違いない、自分は何もおかしいことも誤解させるようなことも言っていない。

だが無情にも二体のコントラストは独り言を続けていく。

 

『何よ何よ何よっ、私に気がない癖にそんなこと言って…その優しさが頭にくるのよっ。大体、わ、私以外の女に優しくするなんて生意気だし…』

『言われちゃった、戒に言われちゃった。えへ、えへへへへへへへ♪』

「あ、あのー」

 

増々ヒートアップ(片方氷だけど)をしていく二体にアーサーが呼びかけようとした途端…。

 

『い、一発殴らせろおおおおおおおおおおっっ!!!///』

『頭撫でてキスしてダッコしてええええええええっっ!!!///』

「い、いやああああああああっっ!!?」

 

今までのエラーとは違う、完全に敵意のない言動で襲い掛かってくるコントラストに嫌な予感を抱いたアーサーは二体の攻撃を捌く。

コントラストCは氷柱と氷を駆使した攻撃的なスタイルでアーサーを殴り飛ばそうとするが、そこから不意を突くようにコントラストHが抱き締めようとしてくる。

良く見ると身体中が赤熱しており、もし捕まってしまったら一溜りもないだろう。

戦いにくい相手に対して回避するしかないアーサーだが、マジシャンリンクにチェンジして二人に掌底を浴びせる。

 

『『きゃっ!?』』

 

攻撃を受けたコントラストCとコントラストHは同時に地面を転がる、その時に蓮華と華毘、ルカと琴音がアーサーと合流した。

立ち上がった二体に対して蓮華、華毘、ルカの二人と一匹が説得する。

 

「華風流っ!融合を解除しろ!」

「そうっす!大人しく門矢君の家に帰るっすよ!」

『これ以上、暴れたら周りに迷惑だぜっ!お嬢っ』

 

蓮華と華毘は妹に何が起こっているのかまだ理解出来ていなかったが「どちらも本物の華風流」と確信めいたものがあったことで二体に話しかける。

しかし、ここでもコントラストに異変が起こった。

 

『はっ、はあああああああああああっっ!?れ、蓮華お姉ちゃんも華毘お姉ちゃんも何考えてんのよっ!!デリカシーなしにもほどがあるわっ!///』

『バッカじゃないのっ!?で、でも…下着は一番自信があるの持ってきたから大丈夫だけど…///』

「「いや私(うち)ら至極全うなことを言ったつもりだけどっ!?」」

(…またあの反応)

 

地団太を踏むように喚き散らすコントラストCと、何処か覚悟を決めたかのように自分に喝を入れるコントラストHに対して二人は珍しくツッコミを入れるが当のアーサーはコントラストの反応に注目していた。

 

『と、とにかく自分のことは自分で何とかするっ!誰が好き好んでこんなケ、ケダモノの家に行くかっ!!///』

『えへ、えへへへへへっ♪もう少しおめかししてから行くから…待ってなさいよ戒っ!!///』

 

互いに正反対なセリフを吐くとコントラストCは巨大な氷柱を目くらましにするとコントラストHと共に去ってしまった。

 

 

 

 

 

古びたゲームセンターにいるドラグハンターは亡き戦友…フェニックス・エラーについて考えていた。

彼は自分のことを信じてくれたし自分も彼のことを信じていた。

だが、ミケネにゲームオーバーの報せを受けた時、言いようもない不安感に包まれた。

妖魔衆の件もあるため、しばらくは救済を中断しているがそれでも心は晴れない。

 

『気にすることはないニャ。フェニックスは自分の本分を全うしただけ、オーナー様が気に病むことはないニャ』

「…分かってるさ、ミケネ。だけど、理屈じゃないんだ…例え分かっていても、仲間がいなくなるのは、とても悲しいことなんだ」

 

自分の肩に座っていたミケネの言葉にそう返した時、扉の開く音がした。

来客者…ユグドラシルはドラグハンターに近づくと座っていたミケネに尋ねる。

 

「どういうことかしら、ミケネ?」

『ニャ?』

「惚けないで。エラーが動いている、しかも私たちが把握していない個体がね。ゲームは中断しているんじゃなかったのかしら?」

『ニャニャッ!?そんなはずは…』

 

彼女の言葉に驚いたミケネはすぐに自分の能力を使うがしばらくすると心底驚いた表情を見せる。

エラーが動いている、しかも同一の反応がある二体のエラーだ。

 

『プレイヤー名、コントラスト…だ、誰の仕業ニャッ!?』

 

自分の把握していないプレイヤーの情報に驚きを露にするミケネだったがドラグハンターはある確信があった。

常に独断で行動していた『彼』の存在を……。

 

「しばらくは見届けよう、コントラストの救済をね」

 

一人と一体にそう話すと、彼はダーツの矢をダーツ盤に向かって投げた。

 

 

 

 

 

『彼女の身体を調べたが…紛れもない本物だ、二人ともね』

『それはつまり、オレみたいに純粋な魔力の塊じゃないってことか?ミニ四駆の旦那』

 

ウェルシュの結果にそう尋ねたルカに対して彼は「ああ」と短く肯定する。

そして、千歳が二体のコントラストのデータを映し出す。

 

『恐らくだが、二つの相反する欲望があったから二つの特性を持つエラーになった……しかし、二人に分離したことの説明がつかない』

「でも、どうして華風流ちゃんは急に暴れたんだろう?」

 

困った表情をディスプレイに映すウェルシュとは別の疑問を持った琴音が口を開く。

融合した彼女はエラーカセットの人格に寄生されている様子はなかったしどちらも無差別に街を暴れることはしなかった…つまり、はっきりとした理性があるのだ。

その疑問に蓮華と華毘は「そうだ」と声をあげた。

 

「私たちは普通に言ったら様子がおかしくなった、なぁ華毘」

「そうっす、うちらが説得したら華風流ちゃん急に一人で喋りだして…」

「思考が固定されているのかもしれない」

 

華毘の言葉を遮るように言った戒はゆっくりと椅子から立ち上がると全員に分かるように説明する。

 

「俺が彼女に対して言った時、コントラストは急に照れたり怒ったりした。その言葉自体には特に深い意味はなかったけど…違う意味で受け取ったなら話が早い」

「えっと、どういうことっすか?」

 

「つまり」と戒は千歳が映してあるディスプレイに触れると絵を描き始める。

 

「俺の言った言葉『厄介だな』って言葉を、華風流は『可愛いお前が二人に増えるなんて厄介だな』と受け取ったんだ」

「カー君…それ本気で言ってる?」

「けど、それなら急に暴れだしたことへの説明がつく。俺の言動、もしくは俺に関することは全て前向きな言葉として思い込まされているんだ」

「つまり、私たちの『家に帰ろう』って言葉は…」

 

蓮華の言葉に頷いた戒は少し照れくさそうにするが咳払いをして誤魔化すと続きの言葉を言った。

 

「『家に戻って思う存分甘えてもらえ』みたいな感じだったと思います」

 

その言葉に全員が沈黙した。

あまりにもバカバカしい絡繰りに開いた口が塞がらなかったからだ……脱力と呆れが入り混じった微妙な空気にウェルシュは言いにくそうに話す。

 

『だが、このまま彼女を活動させるのはまずい…元々一つしかない人格と身体が二つに別れたままだと元に戻れなくなる可能性がある』

『マジかよ、お嬢は大丈夫なのか!?』

「融合してからまだ時間は経っていませんが、とにかく急いで…っ!?」

 

リアがルカを宥めるように言った直後、自身のタブレットが反応するとすぐさま画面を見る。

 

「兄様っ!華風流…コントラストを発見しました!」

「場所はっ!?」

「……っ!場所は中央公園…半蔵学院のメンバーが駆けつけています」

 

その言葉を聞いた戒は家から飛び出すとドライグハートに跨ってからアーサードライバーを巻き付ける。

 

【DRAGON!!】

「変身っ!」

【RIDE UP! DRAGON! 牙の連撃!RED KNIGHT!!】

 

ドラゴンの霊装を纏って変身したアーサーはドライグハートを発進させた。

 

 

 

 

 

忍結界を張った半蔵学院のメンバーはコントラストCとHに苦戦していた。

声を聴いた最初こそ驚きはしたが事情を後で聞くために、彼女たちと応戦しているのだが無駄に良いチームワークによって斑鳩と葛城、柳生が倒されてしまう。

残った飛鳥と雲雀は武器を構えるが、飛鳥はコントラストに尋ねる。

 

「何で、華風流ちゃんがエラーなんかに」

『変な男に襲われた時に無理やり変身させられたのっ!そのせいでこんな奴が…』

『あんたたちが戒の話をするから苛々したのよ…襲い掛かって、ゴメン』

 

不機嫌な声色で事情を話すコントラストCとしおらしくなって謝罪をするコントラストHに対して雲雀は少しだけ考える仕草をすると二体に質問した。

 

「もしかして華風流ちゃん。戒君のこと好きなの?」

『は、はぁっ!?何であんな奴…嫌いよ嫌い、大っ嫌いっ!!』

『好き好き、大好きっ!』

『蓮華お姉ちゃんたちの胸見てデ、デレデレするし』

『私だって後数十年したらなるわよ!』

『誰にだってへらへら笑うし』

『私だけにその笑顔を見せて欲しいのよ!』

 

互いに反対のことを口にするコントラストだったがそのまま二体とも言い争いを始めてしまう。

緊張感のない戦いに飛鳥たちはおろか、倒れていた斑鳩たちも流石に苦笑いするしかない……するとタイミング良くドライグハートに乗ったアーサーが割って入る。

 

「無事か、みんなっ!」

「戒君っ!」

 

アーサーの声に飛鳥が喜びの表情を見せるとコントラストの心中が穏やかじゃなくなっていく。

後から来た琴音たちに疲労困憊の飛鳥たちのことを任せるとアーサーは二体のエラーと対峙する。

 

「迎えに来たぜ、華風流」

『べ、別に来て欲しくなかったし…よ、余計なお世話よっ!!///』

『迎えに来たなんて…えへへへ♪///』

『……どうやら、君の予想通りみたいだね』

 

指を突き付けて怒鳴るコントラストCと照れたように笑うコントラストHの反応にウェルシュは困った声色で話す。

恐らく、今の言葉も自分を力づくで攫いに来た肉食系男子のようなセリフに聞こえているのだろう……それでもアーサーは召喚したグレンバーンを構えた。

 

「すぐに正気に戻してやる」

『なっ!?なななななななななななっっ!!!?///』

『し、周囲の目も考えなさいよっ!ほ、本当に大胆なんだから///』

「……リアちゃん、何て聞こえたのかな?」

「恐らく…『俺のキスですぐに正気に戻してやるよ』的な感じだと思います」

「誤認ってレベル超えてないっ!?もはや妄想の域だよそれっ!!」

 

アーサーのセリフに対して過剰に反応するコントラストに対して琴音はリアに聞く。

琴音に尋ねられた彼女は自分の推測を口にしてツッコミを入れられたがあながち間違いでもないのだろう。

「あいつ意外と初心だな」と見当違いの考えをする蓮華たちの尻目にアーサーとコントラストの戦闘が開始された。

 

『むううううううううう…!!/// わ、私の前から消えろこの変態、スケベ、朴念仁、ド変態っ!!』

「ふっ、よっと!」

 

地団太を踏んで攻撃を開始したコントラストCだが元々中距離・遠距離が得意な彼女の攻撃ではいくら身体能力と格闘技術が向上しようと場数が違うアーサーの前では届かない。

拳を掌底で受け流し、カウンターを叩き込もうとするがコントラストCはそれを氷を纏わせた両腕で防御する。

しかし、隙を縫うように抱き着こうとしてくるコントラストHの魔の手が迫るが…。

 

『チャオッ!!』

『ぐっ、ルカ…あんた…!!』

『悪いなお嬢、契約者を止めるのが俺の役目ってな!!』

 

自分の邪魔をした秘伝動物である彼に歯ぎしりをするが、ルカはキザな口調と共にコントラストHをかく乱する。

コントラストCを投げ飛ばしたアーサーは隙が出来たコントラストHの胴体を蹴り飛ばす。

 

「ナイス、イルカッ!」

『そっちもな!それと、俺はルカだ。惚れるなよ、旦那っ!』

「惚れるかっ!」

 

そう軽口を叩き合うと、巨大な氷柱型のミサイルを飛ばしてくる…コントラストCだ。

一人と一匹はそれを難なく躱すがアーサーは何時の間にか後ろに忍び寄っていたコントラストHによって羽交い絞めにされてしまう。

 

『えへへー♪捕まえたわよ///』

「あちちちちちちっ!!?」

『戒っ!』

 

赤熱化しているコントラストHの力強いハグによってアーサーはダメージを受けるが緑色のボタンを押して熱操作するとアーサーの身体は冷気を纏っていく。

デレ状態であるコントラストHはそれに気づかず抱き締める力と熱量を強めていくが、それよりも先にアーサーの一本背負いが炸裂した。

地面叩きつけられて転がるとコントラストCも苦し気な様子を見せる。

 

『どうやら、ダメージも互いに共有しているみたいだね』

「どちらにせよこれで決める!」

【RHYTHM!!】

【RIDE UP! RHYTHM! 音色と踊れ!GREEN BEAT!!】

 

リズムカセットを起動してリズムリンクへとチェンジしたアーサーはすぐにピアノアローにカセットを装填し、必殺技であり極力見栄えの良いシューティングフィーバーを放とうとしたが。

 

【LOADING…~♪!RIDE UP! D■A■ ■L■■E! BAD and DEAD END! THE ERROR…!!】

「っ!?」

 

突如聞こえたエラーブレスの電子音声…だが所々ノイズの入ったその音声が鳴り終わるとコントラストを守るように全身に黒いフードを被ったエラーが立っており白い盾でその攻撃を弾き飛ばした。

驚くアーサーたちを無視するようにフードを被ったエラーはコントラストCとHを連れて去ってしまった。

To be continued……。




 今回の怪人…コントラスト・エラーは麦蕎那支さんからいただきました!麦蕎那支さん、誠にありがとうございます!ツンデレな感じが再現できたか微妙です…正直怖いっ(ガクブル)。
 応募してくださった皆さんをお待ちください、きちんとエラーはアーサーを苦しめるぐらい活躍させますので!
 話を本編に戻しますが華風流をエラーにさせた男は何者なのか?そして最後に登場したエラーの正体とは!?
 次回も気長に待ってくださると嬉しいです。ではでは。ノシ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。