仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

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 今回も再生エラーが登場しますが、後何体残っていたかど忘れしていました。確か、スナイパーとバイシクルと…後誰でしたっけ?
 さてと、そろそろクライマックスに近づいているような近づいていないような…時系列があやふやになっている感があるEV編ですが自分は元気です。
 それでは、どうぞ。


COMBO17 会話×不死鳥

「段蔵、か……」

『フェニックスの名前…いやコードネームか?どちらでも良いがこれで彼の姿にも合点が行った』

 

戒とウェルシュは自室で今まで溜まった情報をまとめていた。

フェニックスが忍だったことに驚いたがウェルシュは何か根拠があったのか言葉を続ける。

 

『通常、エラーは動物の姿を取ることはない…大半の人間は内に宿る精霊のことを認識していないからだ。だが、忍…すなわち己の精霊を認識している者は獣に近い姿を取ることが極まれにある』

「フェニックスは上忍に位置する存在だったから宿した精霊である不死鳥の姿を取った…てわけか」

 

「なるほど」と彼の説明に納得した戒はベッドの上で横になる。

そんな彼にウェルシュは難しい顔をディスプレイに映しながら「どうする?」とこれからのことについて尋ねる。

 

「……ドライグハートは?」

『完全に転移するのにまだ時間が掛かる。まだ一人でやるつもりか?』

「いや、飛鳥さんにも怒られたしみんなの力を借りるよ」

 

それだけを言うと、戒はホテル内にある温泉へと向かって行った。

 

 

 

 

 

大浴場に張られた熱い湯の中に身体を沈ませると、もやもやしていた頭がはっきりとしていく…ウェルシュにはああ言ったが協力してもらう人物は選ぶつもりだ。

少なくとも両備と両奈、雪泉はやめた方が良いだろう、ただでさえ悩みを抱えているのに重ねるように問題を提示するのはあまりにも酷だ。

そんなことを考えていた時、扉の開く音がした。

「ウェルシュか?」と戒はぼうっとした頭で音の方を向くと、一瞬で思考が停止する。

 

「あらあら、タイミングが悪かったかしら?」

 

バスタオル姿の両姫がその場にいたのだ。

豊かな胸元から下半身までは白いタオルで隠しているが、すらりと伸びた綺麗な脚が露わになっており湯気の影響か微かに汗が滲んでいる。

 

「な、ななっ!!?何してるんですか両姫姉さんっ!!!///」

「うふふ、久しぶりに戒君と一緒に入ろうかなって思って」

 

別の理由で顔を真っ赤にした戒とは対照的に両姫はあっさりと答える、慌てている彼に対してくすくすと笑う。

戒は顔を横に反らそうとするも、思春期男子としての性かどうしても豊満な彼女の姿を脳内フォルダに焼き付けようと視線をちらちらと向けてしまう。

それに気づいたのか両姫は楽しそうに笑うと、衝撃的なことを口にした。

 

「タオルの下が気になるのですか、それじゃ特別に見せてあげますね♪」

「はっ、はぁっ!?///ちょっと、待っ…」

 

戒が制止するも既に遅く、両姫はバスタオルを両手で広げ始めた。

両手で視界を隠そうとしたが指と指の間を僅かに開けていたことは言うまでもなかったが気絶する事態には至らなかった。

 

「じゃーん、どうかしら戒君」

「……///」

 

目の前にはバスタオルを外した両姫がいた…しかし、全裸と言うわけではなく青と黒を基調としたビキニを下に着用していた。

全裸でないことに安堵した戒だったがそれでも刺激が強いことには変わりないため顔は赤いままだ。

嬉しいような嬉しくないような微妙な気持ちとなるがすぐに切り替えると銭湯から出ようとするが両姫が入ってくる。

おまけに密着するほど隣にまで来たせいで余計に緊張してしまい、冷静な判断が出来なくなってくる。

 

「ふぅ……良い湯加減ですね」

「…そうですね」

 

いつも通りの様子で自分に微笑みを向ける彼女に対して冷静さを取り戻した戒が答える。

 

「昔はこうやって一緒に入っていたわよね、懐かしい気持ちです」

「あの頃は、みんな泥まみれになったりして遊んでましたもんね」

「その度に四人でお風呂に入って…うふふ♪」

 

昔の思い出に浸っているのか、両姫が楽しそうにくすくすと笑った。

そこからは、何の気ない会話をしていたがあることに気づいてしまう。

 

(……む、胸が浮かんで…!?///)

「…?どうしました、戒君」

 

ふと視線を下に向けると、ビキニに包まれた両姫の豊かな胸が風船のようにぷかぷかと浮いていたのだ…戒はそこを凝視してしまっていたが彼女の言葉で我に返る。

すると、今度は湯煙によって色っぽく見える両姫の姿に顔を赤くしてしまう。

やっぱり心臓に悪い……!

見えない場所でタオルを腰に巻くと、戒は慌ててこの場から立ち去ろうとするが両姫は「戒君」とそれを呼び止める。

 

「背中、流してあげるわね」

「えっ!?いや良いですって!///」

「だーめ、体はもう一度洗わないといけませんよ?」

 

「良いから」と戒が答えるよりも早く、洗い場へと向かい彼に腰を下ろさせるとボディソープを泡立たせたスポンジで彼の身体を洗い始めた。

 

「ふふ、かゆいところはありませんか?」

「…ない、です///」

 

からかうように尋ねる両姫に、戒は顔を真っ赤にして答える。

非常にまずい……。

女性が自分の背中を洗ってくれている…それだけでも頭がくらくらしそうなのに、相手があの両姫なので彼の心臓は破れそうなぐらいバクバクしている。

おまけに。

 

「よいしょ…と」

(…む、胸が当たって…!!///)

 

両姫が身体を動かす度にマシュマロのような柔らかい感触が背中に当たり、それがさらに彼の顔を赤くさせる。

当然、このようなことをされたら男子として正直な反応をしてしまうわけで……。

 

「きゃっ…もう戒君。前に行ったら背中が洗えませんよ」

「いやっ、でも…///」

 

前のめりになっている戒に優しく注意すると言い訳をしようとする彼の背筋を無理やり伸ばした。

身体を洗っていた両姫が口を開いた。

 

「蓮華ちゃんたちのこと、教えてくれない?」

「あー…もしかしてそれで?」

「うふふ、半分はそれでもう半分はこれ」

 

巫神楽三姉妹の隠し事について尋ねてきた彼女に苦笑いする。

しかし、一緒に温泉に入りたかったのは事実のようであり本心であることが分かると再び顔を赤くした。

しばらくすると、シャワーで背中についた泡を洗い流すと両姫は戒に伝える。

 

「はい、終わりましたよ」

「…ありがとうございます///」

 

お礼の言葉を述べると、足早に浴場から出ようとした時だった。

 

「「えっ?」」

 

何と、戒の腰に巻いていたタオルが落ちてしまったのだ。

両姫と違って彼は何も身に着けていない……つまり。

 

「あ…あぁ……」

「…戒君」

 

生まれたままの姿となってしまった戒は呆然としており、冷静な思考をすることもままならない。

それとは対照的に両姫は彼の下半身に視線を向けると少し間をおいて…。

 

「あらあら、随分と元気みたいね」

「っ!!///」

 

くすりと微笑まれた途端、戒の恥ずかしさは頂点にまで達した。

自分のタオルを掴むと、大浴場から飛び出すように退室し身体を拭くと自身の部屋へと戻り電気を消して就寝した。

その際、「どうした戒!?」とウェルシュが焦るように聞いてきたが無視した。

 

 

 

 

 

「エラーの気配はないのか、ガラクタミニ四駆」

『好い加減機嫌を直したまえっ!!何があったか知らないがそろそろ泣くぞっ!?』

 

翌日…つまり三日目の午前十時ごろ、戒とウェルシュは再生エラーの捜索を始めていた。

昨日の件もあって不機嫌な戒に対してウェルシュは涙声で抗議するがそれをスルーして森の中を散策する。

すると視線の向こうに一人の男性がその場で胡坐をかいて地面に座っているのが見えた。

しかし、戒とウェルシュは崖の先にいる人物に思わず萎縮してしまう…見た目からして既にご老体の身であることは確かだが威圧感と頼もしさ、寂しさを与えた。

 

『ほう、懐かしい顔だな…』

「っ!?お前は…」

 

彼を守るように現れたのは黒い狙撃手…スナイパー・エラー。

だが、彼は身構えた戒とウェルシュに対して武器を召喚することはおろか戦闘態勢にすら移らない。

ウェルシュは未だ警戒していたが戒は肩の力を抜く。

敵対の意がないことに分かったのだろう、するとこちらに背を向けていた老人が口を開いた。

 

「知り合いか?スナイパー」

『いやっ、元敵同士さ。黒影』

 

知人のように気安く声を掛けた老人…黒影に対してスナイパーは皮肉気な口調で返す。

戒の視線を受け止めた彼は鼻で笑うと事情を説明する。

 

『何、俺は奴に勝手に復活させられてね。命令を聞く必要もないから適当に歩いていたら偶然彼と会ってな、それ以来こうして世間話をしている』

 

そう言いながらもスナイパーはペットボトルのお茶を投げ渡すと地面に腰を下ろした。

戒も疲れたように近くの岩に座ると、黒影が口を開いた。

 

「君が、門矢君か」

「えっ?ああ、はい」

 

いきなり自分の名前を呼ばれたことに驚きながらも頷くと黒影は「ふむ」と納得したように話しかけてくる。

そこでようやく思い出す、以前雪泉が自分と琴音に対して話してくれた敬愛すべき忍のことを……。

 

「雪泉が…孫が世話になっている」

「いえ、俺も話だけでしたが雪泉さんたちから聞いてます。敬愛すべき人物だって」

 

思ったことを話すと彼は恥ずかしそうに表情を変えたが、すぐに先ほどの真面目な顔に戻ると本題へと切り出す。

 

「君に、聞きたいことがあってな……」

「はい…」

 

空気が変わったことが分かると戒の身体にも自然と力が入ってきた。

黒影の次の言葉を待つ…そして。

 

「…雪泉たちのことはどう思っている」

「……はっ?」

「五人もそろそろ年頃の少女だ、俺としては将来のこともだが男女関係のことも気になってしまってな…」

 

シリアスな雰囲気でそう言った彼に戒は呆然としてしまうも、黒影は気にせず言葉を続けていく。

あまりにも家庭的な内容についていけずにいる彼のことなどはお構いなしだ。

 

「君は雪泉と仲が良かったな、それに胸に触れたり着替えを覗いたり…」

「人聞きの悪いこと言わないでくれます!?全て事故ですっ!」

「では、嬉しくなかったと?」

「素敵な胸でした本当にありがとうございます!」

 

などと、老人と少年のカオスなやり取りが繰り広げられていたがウェルシュとスナイパーが止めに入り収束へと導くことに成功した。

 

「少し脱線したが、これからもあの子たちのことを頼む」

「……はい」

 

咳払いの後にそう頭を下げた黒影に戒は快く返事をする。

去って行った戒たちの場所をしばらく見つめていたが、ある気配を感じると懐かしげな表情を見せる。

 

『…俺はしばらく辺りをぶらついているよ』

「すまない」

 

スナイパーも黒影の財産でもある最愛の少女たちが来ることを察したのであろう、両足に銃器を召喚、装備するとジェット噴射の要領で木々に飛び移って姿を眩ませた。

上を向いて空の景色を眺める、現世のそれと何ら変わらない青い空と穏やかに吹く風は今まで苛まれていた自分の心を落ち着かせるようであった。

どれぐらいそうしていたのであろうか、複数の人物たちの息の切れる声が聞こえた。

振り向くと、そこには愛孫たちが立ち尽くしている。

しばらくして彼女たちは目に涙を溜めるがやがてせきを切ったように彼を思い思いに抱き着き始めた。

顔を埋めて泣きじゃくる彼女たちは、まるで小さい頃と何ら変わっていなかった。

 

 

 

 

 

カグラ千年祭、五日目……。

今のところこれと言った変化がない、再生エラーもフェニックスの反応も感知出来ないまま無意味な時間を浪費していた。

しかし、森林での捜索をする中でも戒とウェルシュは雑談をする。

 

「お嫁さんにしたいキャラはsakiの霞さんかな、だって年上で黒髪で、おまけにお姉さんでおっぱいだし」

『君はそこしか目が行かないのか。私だったら妥当にサクラ大戦の真宮寺さくらだな、日本の大和撫子だぞ』

「それお前が単に外国出身なだけだろ」

 

好きなキャラ同士のトークをしながらも、森林での捜索をしている最中だった。

羽根を模したエネルギー弾が戒の地面に着弾すると音をあげて爆発する。

襲撃者はもちろん…。

 

『……』

 

フェニックスは灰色の煙をあげる爆発地の方を見るが、手に持ったボウガンを下ろさない。

自分たちのゲームを尽く邪魔してきた忌々しい仮面の騎士がこんな簡単に倒されるとは思っていないからだ。

距離を詰めようとした時だった。

 

【RIDE UP! RHYTHM! 音色と踊れ!GREEN BEAT!!】

『っ!?』

 

変身音声と共に緑色の弾幕がフェニックスの視界を遮った。

それがピアノアローから発射された大量の矢だと分かった時には身体を吹き飛ばされており、空中で回転してからバランスを整えると着地する。

煙を払いながら登場したリズムリンクのアーサーは武器を構えると対峙したフェニックスに語りかける。

 

「随分と、姑息な真似をしてくれたな段蔵さん?」

『忍とは元来、闇に紛れて動くものです。それと、私はフェニックスです』

 

不意を突いたことににべもなく応える怪人にアーサーは「やれやれ」と呆れた表情を仮面の下で見せるとロックオンと解析を合わせた射撃を行うがフェニックスはそれを躱しながらも、話を始める。

 

『ここは、最も大切な者と出会える素晴らしき世界。そして時の止まった永遠の世界』

「…何が言いたい」

 

不気味に笑うと、フェニックスは言葉を続ける。

 

『この世界を終わらせたいと思いますか?私は絶対に思えません。大切な人と一生会うことが出来るなんて、素晴らしい世界ではないですか……!!』

 

恍惚とした声色で語るフェニックスにピアノアローを握る手が震える。

再認識したのだ、いくら冷静な言動を取ろうとエラーだと言うことに。

致命的な部分が壊れているし、自ら望んで人間の身体を捨てた異常者を目の当たりにしたアーサーは赤い複眼で睨みつける。

 

『お遊びはここまでです、私は失礼させてもらいますよ』

「待てっ!…っ!?」

 

炎の壁を展開して逃走しようとするのを防ごうとするが、背後からの殺気に振り返ってピアノアローで防ぐ。

 

『へへへ、ここで会ったが百年目ッスよ。仮面ライダーアアアアアアッ!!!』

『ハイドかっ!?…戒っ!』

 

憎悪の籠った声で叫ぶのは簡素な黒いスーツを着た白い仮面の異形…ハイド・エラーは鉤爪に力を込めようとするが鳩尾を蹴り飛ばすとフェニックスの方に向き直るが既に姿を消し去っていた。

「くそっ」と舌打ちをするが、首輪によって首を絞められて苦しげな声を漏らす。

 

『へへへ!!首をへし折って…ゲボッ!!?』

「COMBOゼロで瞬殺された雑魚キャラが粋がるなっ!」

『雑魚キャラは雑魚キャラらしく、瞬殺されていたまえ!』

 

顔面を狙撃されたハイドは鎖を緩めてしまい、ピアノアローで切断するとアーサーとウェルシュは彼を罵倒しながらリズムカセットを必殺技専用のスロットに装填する。

 

【CRITICAL ARTS! COMBO BREAK! RHYTHM!!】

「ふっ!はっ、オラァッ!!」

『GAME OVERへのCONTINUEはなしっすかあああああああああっ!!?』

 

両手の拳に音のエネルギーを集中させ距離を詰めると、左のフックで怯ましたハイドを右のアッパーで打ち上げた後、左ストレートで貫いた。

『リズムスマッシュ』を叩き込まれたハイド・エラーは爆発四散しエラーカセットと傀儡を破壊された状態で転がる。

それを無視してウェルシュはフェニックスの残留した魔力を調べて行方を確かめようとするが反応はない。

 

『……駄目だっ、もう反応がない』

「だけど、これで奴の動機もはっきりした」

 

ウェルシュの悔しげな言葉にそう呟きながら、アーサーは青空に高く存在する太陽を見上げるのだった。

To be continued……。




 さてと、そろそろEV編の日常パートを挟むべきですかね?そうなると、どのような話にしようか…ぶっちゃけ戒を辱めてなおかつ琴音を怒らせるストーリーを考えています。
 いや、それよりも最近影の薄いリアと千歳を出すべきだな。よし、番外編はそんな感じにする予定です。
 ではでは。ノシ

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